妄念の凡夫

日々是称名

実家の2代目ラビ死去

2014-06-23 00:49:04 | ペット
 数ヶ月前から調子が悪かったという。散歩へ行ってもほんの数十メートルで動かなくなり、道の真ん中でうずくまったままのこともあったそうだ。
 先週あたりから、何も食べなくなった。昨日は、鼻の上に牛乳を垂らしてやったら、舌でペロッとなめたという。
 6月22日の午後3時頃、永眠。享年4歳。

なんまんだぶ


20002014





出自を知る権利

2014-06-15 12:57:23 | 日記・エッセイ・コラム
『報道特集』で、精子提供によって生まれた人の話が取り上げられていた。
 先日書いた『わたしを離さないで』に通じる苦悩が、現実に起こっている。万能細胞がクローン人間を生み出すようになると、小説の内容そのものが現実になってしまうのも、時間の問題と思われる。
 しかし、生物学上の父親(精子を提供した医大生)がどうなったかを探して、本人の気持ちは収まるのだろうか。当事者がハッピーでいられるとは思わない。知らないままのほうがいい、というのは、所詮、部外者・野次馬の感想なのか……。

 ここで、私の話。大学へ行くとき戸籍抄本が必要になって、母から「実は、お父さんは、別の人と前に結婚しとったんや」と聞かされたことがある。
 15年前に事故で死んだ私の父は、再婚して私と弟をもうけた。父の最初の配偶者は、高校の時の同級生らしい。祖母と折り合いが悪かったとか、離縁されて里に帰されたとか、産後の肥立ちが悪く母子ともに死んだとか、妻子に死なれた父は、家から出てしばらく釜ケ崎で日雇い暮らしをしていたとか、その後引き戻され、見合いをして私の母と所帯を持ったとか……、断片的に母から聞いた話は曖昧で定かではない。というか、正確に知りたいとも思わない。
 父の口からはついぞ聞くことなく、父は忽然と他界してしまったが、それでいいと思う。ただ、私が生まれる前の父にもエピソードはあったんだなあ、と妙に感心したことがある(当たり前だ。誰にでもエピソードはある)。
 父の話、祖父の話、曾祖父の話などをたどっていけば、それが私の前世なのかもしれない。ただ、それだけである。
 問題はこれからだ。この先残された時間は、かなり短くなっている。しかし、まだまだやり直せる。生きられるだけ生きてゆく、それしかないではないか。


↓番組で紹介されていた本。私は読みたいと思いません。


AIDで生まれるということ 精子提供で生まれた子どもたちの声AIDで生まれるということ 精子提供で生まれた子どもたちの声
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発売日:2014-05-01



ああ無常……

2014-06-10 01:14:15 | ブログ
 ネットニュースにはなっていたが、OCNからのお知らせが届いた。

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【重要】「OCNブログ人」のサービス終了について

 いつもOCNをご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。
 
 このたび、「OCNブログ人」は、2014年11月30日をもちまして
 サービスを終了させていただくことになりました。

 ブログを引き続きご利用になるお客さまには、
 NTTレゾナント社が提供する『gooブログ』を推奨いたします。

『gooブログ』へのお引越し方法などにつきましては、
 2014年8月中旬に、下記URLおよびメールにてあらためて
 お知らせいたします。

 ・「OCNブログ人」
   http://mgzn.ocn.ne.jp/c/tl?i=OfX37LQ2qtI09Xhe

 お客さまには大変ご迷惑をおかけいたしますが、
 何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
 
長らくご利用いただきまして、誠にありがとうございました。

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 あっさりしたもんですな。
 いや、私はブログをやめませんよ。
 用意される受け皿に移るつもりです。でも、
 簡単に引っ越しできるのかしらん。案内がもらえる8月中旬まで、まだまだ間があるし……。
 
 それより、ネタですね。書き残したいネタが出てくればその都度書いていくつもりです。

 ご機嫌よう。さようなら(美輪明宏テイストで)




『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ著、ハヤカワ文庫)

2014-06-01 01:18:04 | 本と雑誌
 なぜこの本を読もうと思ったのか。たぶん、ネットの芸能ニュースで、蜷川幸雄演出の日本版舞台の告知を見たからだと思う。
 タイトルと、カズオ・イシグロというスノッブの好奇心をそそる原作者名に惹かれたのだ。
 カズオ・イシグロの小説は、独身のころに『日の名残り』、結婚してから『充たされざる者』を読んだことがあるが、あまり覚えていない。いずれも、静かな抑制の効いた文体だったような気がする。
 本作も、抑制の効いた主人公キャシーのひとり語りである。女性の話し言葉だから読みやすいのだけれど、物語の全貌が前半ではまったく見えてこない。ノスタルジックな寄宿舎生活の思い出話が延々と続く。
 しかし、主人公たちが成長するにつれ、過酷な運命が明らかになるのだ。
 よく考えてみると、物心ついて「自分が何者なのか」朧気ながら見えてくるのは、思春期からだろう。「なんでもうちょっと早く気づかないのかな」と思うのは、私が読む側だからだ。「私が当事者だったらどうだろう」と考えると、胸が締め付けられる。
 読み終わったあと、無性に映画を観たくなった。幸い近くのGEOですぐにレンタルできた。
 予想通りの映像だった。イギリスの田園風景と古びた煉瓦造りの校舎、落ち着いた街並み……日本人からすると羨ましい環境の中で、淡々とストーリーは展開していく。ほぼ原作通りだ。
 マダム、エミリ先生との再会がクライマックスなのだが、映画ではかなり端折られている。なので、映画を観ただけでは肝心のキーワードが出てこない。謎が解けないままではないのか?
 その代わり、エンディングの草原のシーンで、映画化にあたっての監督の解釈が表明されている(原作ではここまで踏み込んでいない。あくまでも読者それぞれに解釈を委ねている)。


私たちと私たちが救った人々に違いが?


みんな〝完了〟する。〝生〟を理解することなく??命は尽きるのだ。



 草原に吹き付ける風が、境界の有刺鉄線に引っかかってボロボロになった、多数のスーパーの袋の切れ端を、パタパタとはためかせる。まるで、ルースやトミーの肉片のように。


↓主人公キャシーの心の綾の表現が、なんとも細かい。

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↓キャリー・マリガンは魅力的な役者だ。

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↓タイトルの由来となった曲『Never let me go』は、小説では架空の曲だが、もともとはカズオ・イシグロが村上春樹からもらった音源に入っていたスタンダードナンバーからヒントを得たらしい。

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