妄念の凡夫

日々是称名

ケンカ

2010-09-28 00:53:58 | 日記・エッセイ・コラム
 最近、電車の同じ車両で、ケンカしている人間を見かけることが多くなった。
 恥も外聞もなく、声を荒げて大声で言い合っている。
 「次で降りろ!」「降りてもいいけど、やられるのはあんただぜ」
 売り言葉に買い言葉の連続だ。

 あーやだやだ。と思いながら、思いっきり耳ダンボである。そして両者の話を聞いて、心情的にどちらにつくか考えている自分。「そーだ、のしちまえ。うざいオヤジなんか。やれ!やれー!」黙って知らんぷりしている心の中は、野次馬根性丸出しである。

 海を挟んだお隣の国とのニュースもそんな感じか。関係のないところで嫌がらせをしやがって、係争ごとを分けて考えられんのか、レアアースを渋ったり、通関を滞らせたり、毒ガス回収事業で視察している人をスパイの嫌疑で拘束したり……頭に来ると手段を選ばないのか。理不尽な腹いせをこれからは「中国する」とでも名付けようか……と、ニュースを目にするたび、ハラの中で怒りをぐつぐつ煮えたぎらせている。

 ハーバード大学のマイケル・サンデル教授がいま人気だが、彼の本を読んで見たいという気持ちになっている。回答があるわけではないのだが、「正しいこととは何か」を考え続けることに価値を置いているのは共感がもてると思うからだ。仏教にも通じるのではないのかしらん。

 私の愚かな怒りの火を消す解決策は、法の鏡に自分の姿を映し出すしかない。死ぬときに、死ぬのは自分だ。相手ではない。


「ラビが死んだ」

2010-09-23 23:49:37 | 日記・エッセイ・コラム
 22日の午後3時、母からの携帯。「仕事中ごめんな。3日前ぐらいから、エサを食べんようになって、ゴホ、ゴホ、咳するようになっての。今朝がたは散歩もしたんやけど、ヒルになったら死んでたんや」
 ラビの尻尾にできていたソフトボール大のできものは、ガンだった。獣医に連れて行ったら、いろいろと転移していたらしく、尻尾や脇などを5カ所ぐらい切除する手術が施された。なんとか回復し、元気に走り回っていたと聞いたが、次の帰省に間に合わなかった。
 享年9歳。子イヌの頃を知っているだけに、あっという間だった。
 仏からご覧になれば、ラビの9年間も私の47年+そこそこも儚いことでは同じである。だから哀れまずにはおられないのだろう。南無阿弥陀仏

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前言撤回

2010-09-21 22:27:51 | 日記・エッセイ・コラム
 JAL(やカネボウ)が倒産したいま、『沈んだ太陽』とでも題したノンフィクションの骨太小説を書く人はいないのかなあ。??と昨日書いた。撤回します。今日、たまたま見た朝日ニュースターの番組『ニュースの深層』で紹介されていた『腐った翼 JAL消滅への60年』(森功、幻冬舎)というのが、このテーマでの骨太ノンフィクションにあたりそうだ。

↓読んでみたい、なう。なんちって。
腐った翼―JAL消滅への60年腐った翼―JAL消滅への60年
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発売日:2010-06



『沈まぬ太陽』

2010-09-19 23:57:13 | 日記・エッセイ・コラム
 レンタルDVDを探していたら、ちょうど数本残っていたので借りることに。劇場公開1年後に観ることとなった。
 途中10分の休憩があるほどの大作(『二百三高地』にもあった)。
 理不尽な左遷、家族との割かれた時間……とはいうが、サラリーマンでもひとたび会社を辞めると〝ホームレスへまっしぐら〟といういまの状況にくらべたら、甘いんじゃないかい。
 氷河期のなか就活している学生からいわせたら、会社の命令で海外勤務なら「喜んで~」(牛角風に)と即答されそうだ。
 「私はなんて些細なことで悩んでいたのか……」というラストシーンの主人公のつぶやきは、定年間際になって始めて出てくる言葉じゃないだろう。数年したら悟るよ、普通(実際、モデルとなった人はそうだったみたい。アフリカ生活をエンジョイしてたらしい)。
 善玉・悪玉をハッキリ分け過ぎだと思う。事実は、小説や映画のようなことじゃなかったらしい。
 JAL(やカネボウ)が倒産したいま、『沈んだ太陽』とでも題したノンフィクションの骨太小説を書く人はいないのかなあ。

↓フィクションなので真に受けないほうがいいみたい。
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『一週間』

2010-09-17 00:51:42 | 本と雑誌
 井上ひさしさんの遺作を読んだ。
 戦後、シベリアに抑留された元共産党員が「日本新聞」の書籍担当に選ばれてから1週間のうちに起こった波瀾万丈の運命。放送作家・戯曲家らしいドタバタチックな展開がブラックジョーク的だったけれど。冷戦中だったらこんな小説できなかったのではないか。
 ソ連参戦はなんだったのか、シベリア抑留の実体とはなんだったのか、ソ連の民族移動政策とはなんだったのか……最近になって判明してきたことを随所に忍ばせている。物語のカギとなる、レーニンの手紙については、ホントの話なのだろうか(たぶんフィクションでは?)。
 それにしても、明治以降の富国強兵政策の帰結が、北方ではシベリア抑留の悲劇で終わったのである。占領する側は、負けた国の人間なんて、利用できるかどうかでしか判断しない。イデオロギーに忠実だとか、ロシア通だとかは関係なかった。かつて夢見た理想の国によって理不尽にも死に追いやられた人が、数多くいたに違いない。
 同じくシベリアで死んだ近衛文隆(近衛首相の長男)の悲劇を書いた『夢顔さんによろしく』も読んだことがある。あるジャーナリストが、「国際関係は国益という名のエゴとエゴのぶつかり合いだ」と述べていた。ゲンダイに限ったことではない。いつの時代も国家のエゴが、個人のちっぽけな良心を踏みつぶしてゆくのである。
 こんどは『不毛地帯』を読んでみよう。

↓未完成だがテンポがいいのでスーッと読めます。
一週間一週間
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2010-06


↓近衛家のプリンスはなぜシベリアで死んだのか(その奥さんはあの大谷家から嫁いでいた)。
夢顔さんによろしく 下―最後の貴公子・近衛文隆の生涯   文春文庫 に 9-4夢顔さんによろしく 下―最後の貴公子・近衛文隆の生涯 文春文庫 に 9-4
価格:¥ 660(税込)
発売日:2002-10