「Mさんのね、奥さん。お亡くなりなったんです」
隣のDさんから夜に電話。故ハナちゃん(ラブラドル・レトリバー)のいたお宅である。そのまた一軒右隣が、Mさんち。
「え! ご主人と一緒に雪かきされてたじゃないですか?」
「それは、上のお嬢さん。もう二十歳でお母さんとよく似てたから。乳ガンだって。7年ぐらい前から闘病されてたんだって。日曜の朝に病院からご遺体が戻ったらしいの。Gさんが香典もっていったら、ご主人、受け取らなかったって。葬式も内々で済ませたいんだって」
「そうですか。ご主人の気持ちもわかります。じゃあ、これからも普通にご挨拶させていただきます」
……私より年齢下じゃないのかなあ。正直、表情が冷たそうで、ちょっと苦手な奥さんだった。私が勝手にそう思っていただけだけど。3年前くらいの夏に夕涼みでスイカをお呼ばれしたとき、意外と喋る人なんだと思ったくらい。なぜか2人のお嬢さんたちは私に愛想がよくて、イヌと散歩していると向こうから「おはよございまーす」と声をかけてくれた。ご主人は酒好きなのか、いつもタクシーで帰ってきて文字通りへべれけの千鳥足だった。
そんなMさん宅から突然、一人いなくなった。ほんの数メートルしか離れていないお宅なのに、なぜかすごく遠く感じる。そういえば、昨年の秋は左一軒隣のYさんが、高校生の娘さんとおばあちゃんを残し肝臓ガンで他界した。働き盛りだったのに。
しかし、私はすごく鈍感だ。なんの驚きも立たない。目下のところ、「明日の朝、何食べようか」と思っている。
隣のDさんから夜に電話。故ハナちゃん(ラブラドル・レトリバー)のいたお宅である。そのまた一軒右隣が、Mさんち。
「え! ご主人と一緒に雪かきされてたじゃないですか?」
「それは、上のお嬢さん。もう二十歳でお母さんとよく似てたから。乳ガンだって。7年ぐらい前から闘病されてたんだって。日曜の朝に病院からご遺体が戻ったらしいの。Gさんが香典もっていったら、ご主人、受け取らなかったって。葬式も内々で済ませたいんだって」
「そうですか。ご主人の気持ちもわかります。じゃあ、これからも普通にご挨拶させていただきます」
……私より年齢下じゃないのかなあ。正直、表情が冷たそうで、ちょっと苦手な奥さんだった。私が勝手にそう思っていただけだけど。3年前くらいの夏に夕涼みでスイカをお呼ばれしたとき、意外と喋る人なんだと思ったくらい。なぜか2人のお嬢さんたちは私に愛想がよくて、イヌと散歩していると向こうから「おはよございまーす」と声をかけてくれた。ご主人は酒好きなのか、いつもタクシーで帰ってきて文字通りへべれけの千鳥足だった。
そんなMさん宅から突然、一人いなくなった。ほんの数メートルしか離れていないお宅なのに、なぜかすごく遠く感じる。そういえば、昨年の秋は左一軒隣のYさんが、高校生の娘さんとおばあちゃんを残し肝臓ガンで他界した。働き盛りだったのに。
しかし、私はすごく鈍感だ。なんの驚きも立たない。目下のところ、「明日の朝、何食べようか」と思っている。