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『銀色』 感想

2018-08-26 14:29:36 | エロゲ感想@えむあい
『銀色』 ねこねこソフト
オリジナルは2000年、完全版は2001年発売。
『みずいろ』『ラムネ』で有名なねこねこソフトの出世作です。
一時期はAndroidでプレイできたようですが、エンジンアプリが停止したようで、
現在はXP以前のPCでやる他ないんじゃないかと。


・シナリオ 70~80点
「どんな願いも叶えてくれる」という銀糸に纏わる、時代をまたいだ短編集。
この銀糸というのが血生臭い代物で、「猿の手」のごとく悪意をもって願いを叶える仕様。
最終章の現代編のみハッピーエンド、他は全て悲劇と呼んでいいのではないでしょうか。

というわけで、完全版のおまけ等を除けばギャグはゼロ。全編シリアスを貫きます。
そして時代が時代のため、とにかくあちこちで平民が死に放題。
これがつらい。
ファンタジーなバトル物でかっこよく死ぬ!とかでなく、
伝染病に罹った家族を生き埋めにする、同じ廓の娼婦仲間が鉄格子に縄をかけて首を吊る、
などの展開が目白押し。
18年前のエロゲオタ達、よくぞこの作品をコンプしてきちんと高評価したもんだと思います。
萌え萌えキュンなシーンが全くないですよ。真面目か。

人気が高いのは第一章と第二章だそうですが、これは納得。
エロゲでヒロインとのHがないなんて、と普通は思うところですが、
第一章の二人はプラトニックで終わっているのがいい。

逆に、第三章の三角関係にはげんなりしました。
他の章が全て一対の男女だし、ここも二人組のラブストーリーで良かったような。


・グラフィック 60~70点
2001年の作品ということを考えると、かなり優秀。
狭霧の立ち絵とか、あやめ(現代編)のHシーンとかツッコミたい絵もありますが、
これとかこれとか今見ても綺麗だと思います。

枚数も特に不満はありません。

言うとすれば、どうしてもヒロインの髪型が見通ってしまっているので、
全員を茶髪にせず、黒髪のヒロインを二人くらい混ぜてくれたら嬉しかったかも。
まあ…うん…性癖の問題でもあるけども…。


・音声 60~70点
うーん…この時代のエロゲ声優さんだなあ、という感じ。少しぎこちないです。
でも、第一章の名無しヒロインの喋り方はこのままが好み。

主題歌もBGMも美しく、曲数が多くて素晴らしい。
山場山場で主題歌が流れるので記憶に残ります。
サントラ買っちゃった!


・システム 30~40点
さすがにここは2001年製。率直に言って使いづらいです。

ノベルゲームをプレイする際に重要な「スキップ」「バックログで音声再生」などができない。
バックログもウィンドウ内表示で、10クリック前くらいしか遡れません。

とはいえ、これは仕方ないかと。
何度も頻繁にリプレイしないのであれば、特に不便は感じません。


・総評
正統派の美しき鬱ゲー。
露悪的なグロやらレイプやらの描写を盛り込んだ鬱ではなく、
時代背景として必要な鬱シーンが描かれている短編集、とお考え下さい。

やっててスカッとするわけでもなく、萌えキャラが多数登場するわけでもなく、
エロいわけでもない(Hシーンはありますがさっぱりエロくない)。
この名作を、しっかり「名作」として評価した当時のエロゲユーザーはすごい。

現在はDMMなどでDL購入できますが、
該当サイトで販売されている(エルフとかの)レトロ作品と違い、
XP以前のPCでないと起動しないので、購入の際はご注意ください。
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