1992年 インド南部に住む女性が
「夫が私の血をお酒に混ぜて飲んでいる。」と告発。
この夫は、三年前に結婚して以来、
度々に妻の腕から注射器で採血しては
血を飲んでいたとのこと。
以前にウズベキスタンで生き血を飲む為に
4人の子供を殺害し銃殺刑になった男のことを
書かせて頂いた時にヘマトフィリアについて
少しだけ触れさせて頂いたことがあったと思います。
性に対する常識的な考えや欲動から逸脱した性的嗜好のことを
性的倒錯とか性的嗜好障害とか、性的嗜好異常と言って
英語では、パラフィリアと言い、
精神医学において精神疾患と診断される症状を指します。
数多く分類されたパラフィリアの中で
血液に対して執着し興奮する症状を
ヘマトフィリア(血液嗜好症)と言い、
血液を吸血する欲求に駆られる症状を
ヴァンパイアフィリア(吸血病、好血病)と言うのだそうです。
ちょっとややこしくなるかも知れませんが、
吸血鬼自体に惹かれてヴァンパイアになりたいと考えるのは、
ヴァンパイアイズムと言うのだそうです。
ヘマトフィリアは、何らかの原因によって
通常の行為によって繋がりや融合を求める以上に
相手の血液を飲むことであったり、
自分の血液を飲んでもらうことによって
繋がりや融合感を求めます。
映画で血が流れるシーンや
ボクシングや路上での喧嘩で血が流れるのを見ると
性的な興奮を感じたりする人は、
ヘマトフィリアの種を心に有しているかも知れません。
これが酷くなると
魚や動物の血が流れ出るのを見て興奮し、
さらには相手の血液を欲するようになり、
ついには他人を殺害してでも血液を手に入れて
自分の欲望を満たしたいとなってしまう。
ただ必ずしも段階を踏んで
次第に破滅的欲求が強くなっていくとは限らず、
その欲求段階で留まったままとなることもあるようです。
が、が、紹介させてもらったインドの夫の場合は、
妻が夫を告発したとあったので
妻には採血を拒否することが許されないような
半強制的な採血をしていたとも考えられるので
その少し先には、相手を傷つけてでも血液を欲しがるがあり、
さらには………なのでちょっと、いやかなり怖いかな。
人間って欲求が次第に高まっていくものなので
自分の身が危険なレベルに近づいていると感じてではなく
単にそのような生活を続けることに拒否感を感じてにしても
妻の判断は正しい判断をしたんじゃないかと。
性的倒錯(パラフィリア)の決定的な治療法というのは
今の所はないようですが、
その原因は、生まれながらとか脳機能の異常ではなく
トラウマ、ストレス過多等
精神的なものだと考えられているようです。
と言うことは、じっくりと時間をかけて症状の改善に取り組むことで
修正することが出来る可能性が残されていることになります。
アメリカの有名な精神科医であり催眠療法家でもある方が、
ある夫婦に性生活に問題を抱えているとの相談を受けました。
精神科医は、面接での夫婦の上品な装いや言葉遣いから
次の様に夫婦に伝えました。
効果的な治療法があるのですが
治療法の内容については言えませんし、
その治療を受けることで
強いショックを受けることになります。
なので今から少し席を外すので
その治療法を受けるかどうかを夫婦でよく話し合って
私が戻ってくるまでに決めてくれと伝えます。
夫婦は、大きな不安を感じましたが、
これからの二人の為にと受けることを医師に伝えます。
では二人とも自分が座っている椅子から転げ落ちない様に
両手でしっかりと掴んでください。
医師は、大きな声と荒々しい口調で
「てめぇたちは、上品に○○◇◇××してねえで
〇〇◇◇▽▽✕✕✕………しろ!」と指示と言うのか、
説教と言うのか、命令と言うのか、暗示だったのか、
とにかく、とんでもなく下劣で卑猥な言葉で畳みかけてから
治療は終わりましたと伝え、夫婦を返したそうです。
後日、その夫婦から連絡があったそうです。
「私達夫婦は、あの治療を受けて大きなショックを受けました。
帰りの車中では、互いに会話が一言も交わさなかったほどです。
しかし、受けたショックが次第に収まり帰宅する頃には、
何かのタガが外れたかのように凄い気分が湧き上がってきて
帰宅した早々に互いを求めあって
それはもうgo to heavenだった。」
医師の強烈な言葉が、夫婦の背中を強く押して
上品な殻をぶち壊したことで
それまで抑制されたままであった夫婦の行為が
気持ちのまま、本能のままとなった。
心を強く抑圧、抑制した状態でいると
いつまでも真の欲求充足が得られない状態が続き、
時に心のエネルギーは、
自分で築いた難攻不落の抑制の壁に沿って流れを変えて
別のもので欲求を充足しようとしたり、
欲求を昇華させようとしたりと動くものです。
精神分析のフロイトが提唱した概念では、
自分の欲求が満たされない時に、
私達の無意識は自己防衛機制という働きをして
自我を護っていると言われています。
これはピンポイントでヘマトフィリアの話ではないし
ヘマトフィリアの治療の話ではありませんが、
そこまで掛け離れたものでもないように思います。