心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

夢か現実か

2024年08月02日 | 雑感・愚見

 

1993年 バングラデッシュで

妻が不倫する夢を見た男が、妻を絞殺しました。

逮捕された男は、

「眠りから覚めると、妻は私の隣で寝ていて、

思わず手を伸ばした。」と供述しました。

 

 

こんなの只の言い訳でしかない。

嘘に決まっている。有り得ねえ。

と思うかもしれませんが、

夢と現実の区別がつかなくなることって

有り得ない話でも無かったりします。

 

夢と現実の区別がつかないと言うのは、

自分が持つ記憶や感覚が、

夢と現実の現実の区別がつかないということです。

 

身近なものとしては記憶の内容が

実際とは違っているのにもかかわらず

それを事実だと思い込んでいる

記憶錯誤とか虚偽記憶とか言われる現象があります。

 

私の場合だと学生の頃に訪れた大阪城で

楠木正成公の騎馬像を見たと記憶していたので

数年前に桜の季節に大阪城を訪れた時に、

懐かしの楠木正成公の騎馬像をと

大阪城中を歩いて探したけれども見つからず、

大阪城公園の事務所にいってまで

撤去されたのかどうかを確かめたら

楠木正成公の騎馬像が設置されていたことは

これまで無いと聞いて絶句。

 

あの時、楠木正成公の騎馬像を見た記憶だけではなくて

大阪城公園の通路脇の樹々の間に騎馬像を見た時に

大阪城と楠木正成が何の関係があるのだろうって

不思議に思ったことも記憶にあったので

この記憶は、間違っていないはずとの確信があったのですが

間違った記憶だったと認めるしかなかったんですよね。

 

学生の時に騎馬像を見たことまで間違っていないはずなので

あの時に見た騎馬像って一体どこで見たのかは今だ謎のままなのですが

何故故にこのような記憶間違いが起きてしまったのかについては

一つの仮説を持っているのですが確かめることが出来ていません。

 

 

また、〇〇になってしまうのでは………

〇〇は、私を○○しているに違いない。

なんて不安に思ったり、疑いを思ったりすると

それはまだ確定の出来事ではないことを自覚していますが、

心は、実際にそれを体験しているのと同じような反応をします。

 

また実験で、自分以外の人全員が示し合わせて

「お前、あの時こうだったよね。」とか、

「お前、前にそれについては〇〇って言っていたよね。」

なんて全員から嘘を言われたりすると

あれ………そうだったっけ、おかしいなあ………そうだったかも。

なんて簡単に記憶が書き換えられてしまうことがあります。

 

またイメージトレーニング法のようなものがあるように

脳にとってはイメージ実際との違いは

然程ないと言われていたりするので

催眠でもイメージを利用することがあります。

 

そして、イメージであることを自覚している部分が

何らかの要因で不確かになったり、

錯覚をしたり、思い込んだりすると

イメージ(夢)と現実を区別することが

難しくなってもおかしくありません。

 

大抵の場合、睡眠から覚醒した時に

夢で体験したことと現実とのギャップの大きさがあると

夢の体験だと判断しやすいものですが、

 

見た夢がとんでもなくリアルな夢であった時はもちろんですが、

過去の出来事であったりすると

夢の体験の記憶が無意識に保持されて

時間が経過するに連れて記憶の書き換えが起きることもあります。

 

バングラデッシュの夫が裁判で述べたことが

自分を擁護する言い訳ではなく嘘偽りのないことだとすると、

リアルで強烈な夢を見たことでパニック状態となって

夢と現実の区別が出来る部分が

機能不全となった可能性もあります。

 

それほどの精神の不安定状態になったのには

普段から「妻は自分の全てだ!」的で

それは決して愛する気持ちからではない

妻への執着とか嫉妬心とも言える気持ちがあり、

尚且つ、自分のようなものを

妻がいつまでも愛し続けてくれるのだろうかと言うような

不安な気持ちを持ち続けていたのかも知れませんし、

男は、ここ最近の妻の行動を怪しく感じていたのかも知れません。

 

 

夢と現実の区別が出来なくなる原因として

現実生活の中で人間関係や厳しい境遇を抱えていて

ネガティブな感情やストレス過多を感じている場合や、

過眠症や不眠症なども原因となることがあります。

 

また高齢者が睡眠の質が低下することで

睡眠と覚醒の狭間を行き来することが原因となったり、

加齢に伴う初期の認知症が原因となることも。

 

また強いトラウマを抱えている人が、

現実の体験の影響を受けて悪い夢を見て

それを過去に現実に起きたことだと思い込んでしまうことや

精神安定剤や睡眠薬等の副作用として

現実に起きたかのようなリアルな夢をみることもあるようです。

 

そして、最後に蛇足ではあると思うのですが、

幻覚や幻聴や妄想を伴う統合失調症の方の場合は、

夢がというより覚醒状態の時にそれが起きますし、

認知症の方も覚醒状態の時にそれを経験します。

 

条件が揃うことで夢と現実の区別が不確かになることは

遠いようで遠くない現象なのかも知れません。

 

私達の多くは、夢と現実の区別が出来ないなんて

体験をすることはそうそう無いかと思われますが、

記憶に関しては、私達は持っている多くの記憶の殆どを

正しい記憶と信じているかも知れませんが、

それはそう信じているだけなのかも知れないのです。

 

 

 

催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。