14世紀のエルサレム王ピエールⅠ世は、
愛妻家でどこに行くにしても妻のシャツを持参。
普段は、シャツをベッドの上に置いていて
訪問者があると、それに最敬礼をさせていました。
キプロス王国は、トルコの南側、シリア、イスラエルの西側の
地中海に浮かぶキプロス島を中世に統治していましたが、
その後、中東のパレスチナに樹立した十字軍国家の
キリスト教王国(エルサレム王国)が統治しました。
う~ん………ベッドの上にあるのが
妻のシャツじゃなくて
国旗であるなら寝室に掲揚しようが
ベッドの上に置こうが違和感がありませんが
訪問者に最敬礼をしてもらうのは、
寝室以外の場所に掲げた国旗のような………
持参した愛妻のシャツを置く場所となると
やっぱ寝室にとなるのは自然なことで
で、その妻のシャツに最敬礼をさせるとなると
寝室となるんでしょうけど、
妻のシャツに最敬礼てのがどうにもなあ。
特に中世の頃ってのはどの国の王様でも
その権力は遥かに大きかったでしょうから
王の威厳を誇示したり、王への敬意とか忠誠とかを
内外の者がハッキリと態度で示すことを強く求めることって
普通のことだったのかも知れません。
エルサレム王国の歴代君主の一人、ピエールⅠ世が
公務を終えてプライベートが確保された室内で
椅子に掛けるなりベッドに優しく置くなりした
持参した妻のシャツを眺めたり触れたりしながら
ああ愛しい妻よ。君と離れている1秒は、
一日にも感じられるぅ。
嫌じゃあ、嫌じゃあ、公務なんてクソくらえじゃあ。
早く妻の傍に帰りたいよぉ。ごろにゃ~ん。
なんて感じで愛する妻を身近に感じられるように
常に妻のシャツを持ち運んでいたのだとすると
まあ理解できるのですが、
わざわざ訪問者を寝室にまで招き入れて
お后のシャツに最敬礼をさせていたってのは
他の国の国王と比べても特異だったからこそ
記録して残っているのだと思うんですよね。
中世の王様と周囲の者との関係を
現代の感覚でとやかく言うのは愚の骨頂なので
そうだったんだと知識として残すだけにして
中世の頃に倣ってとどこぞの会社の社長が
訪問者に奥さんの写真や持ち物に対して
社長の自分と同じ以上に敬意を払うことを求めたり、
社長の妻が何を勘違いしているのか、
社長以上に自分を扱うことを周りに強く求めたり、
虎の威を借りる狐の如く
居丈高に振舞ったりするのは………だし、
それを社長が知っていても当然の如くであったなら
業績が調子がいい時は、それが通用したとしても
調子が悪くなった時は、待っていたと言わんばかりに
人が離れていくのが自然のような………
社長にも奥さんにも周りの人間は
礼を持って接するのが当然のことではあるけれども
社長自身も周りの者に対して謙虚さや謙遜を持って欲しいし、
奥さんにも奥ゆかしさが感じられるのが
日本の美的感覚だったように思うのです。
今の日本、もうそんな美的感覚が素晴らしいと言うと、
いつの時代の話?馬鹿馬鹿しい。って感じで
鼻で笑われるのだろうか。そんなことはないよね。