会社の話。今から十数年前にこの地に都市部の支社として事業所が発足し今に至る。しかしこの地に来た当時、地元自治組合との関わりがあった時期があったのである。なぜ企業まで組合に加担しなくてはならないのか大変不思議であると思われる方の為にこれから現在までの経過を説明する。
もともと市町村が所有していた土地があり企業誘致を行っていた。こんな企業やお店が来ますと言った住民事前説明会みたいな事は事前に済ませているのでここではじめて自治組合と接点が生まれる。
しかしその後の予定では会社自体は個人ではないのでゴミは専門業者が処理するから自治組合との接点はなし。市町村とのインターフェースは総務課等で行う。少なくとも関東本社管理部門ではそう考えていた。しかし実際に操業開始してから事業所地元自治組合を名乗る人物が「御社の土手の草刈を担当し今後相互援助の関係を築きたい」旨の申し出をしてきたのである。本社からも地元との付き合いは上手くやるようにとの指示により草刈をお願いし相応の礼金を自治会にお支払いして来たのである。親睦を深めるなら断る理由はない、むしろ労役をやってくれるなら歓迎であると言う考えで。
それを機に地元の催しに招待される事が多くなったが何かと寄付が多いのである。「祭りには花火が付き物。花火代の寄付をお願いしたい」とか「企業との合同忘年会を行いたい。ついては宴会費を企業側で持っていただく。宴会場については公民館を自治組合側で手配する」とか色々。関東本社管理部門では疑問視する声も有ったが寄付と言う形で親睦宴会を行った。ちなみに祭りの寄付は領収証と祭りのバザー引換券などを置いて行くのが、実際の祭りに行ったと言う従業員を見た事がない。
そんな付き合いをしてたら次の年に草刈作業人数がえらく増えたのである。これは初回に「自由参加して頂ければ」とアナウンスしていたのが、そのまま引き継がれたらしく2年目から人数増加し当然「謝礼」の金額も増えた。
当然出費が増えれば本社管理部は黙っていない。「ナゼ去年より増えたのだ?」と問合せが来たのである。これは想定予算よりオーバーした事による問合せだ。
当然その次の年度は予算を縮小し個人ではなく自治組合宛に幾らで何人出してと限定してお願いする事にした。すると自治組合員を名乗る爺さんがやってきて会社で苦情を申されたのである。
「なぜ予算を減らしたのか。なぜ人数限定するのか、なぜ個人に支払われないのか」。
これに関しては依頼主である会社の方針だから仕方がないのである。幾ら地域貢献と言えども赤字を出していたのでは企業として成り立たない。当然この御時勢であるので普通の手法ではないだろうか。
これを機に本社側はともかく支社の管理職らも自治組合に対して不信感を抱き始めた。この頃本社側では水面下で進行していたらしいが支社がある地元市町村運営の高齢者事業団に見積依頼して自治組合で実際に使った草刈費と比較検討していたらしい。
もうココまで来ればお解りかと思うが、次の年は義理で人数限定という事で作業をお願いしその次の年からは自治組合はお断りし高齢者事業団に作業依頼したのである。理由は?、勿論安いから。オマケに速いし刈り取り痕がきれいで草の処理もしてくれる。
メリットは他にもある。まず狩り払い機のガソリン代を企業が負担しなくても良い。また石欠け(狩り払い機の刃が壊れる)による保証をしなくても良い。最大の利点は作業員が負傷しても事業団側なら保険加入しているので依頼者側で保証する必要がないといい事づくめである。本社社長などは「最初からこうすれば良かった」と言い出す始末であった。
当然自治組合をお断りする時には自治組合から”なぜ依頼しないんだ”みたいな文言が出たらしいが先ほども述べた様にコスト面、安全面など全ての要素を検討した結論で高齢者事業団に移管すると言う旨を伝え納得して頂いた。
この様に素人集団なのに見返りはしっかり頂こうとするスタイルは如何なものかと思われる。「御礼」と言う形ではあるが労働をして頂く対価と考えている。よってそこにボランティア性を感じ取る事は残念ながらできない。
すなわち「仕事ごっこ」の域を脱していないと思われる。
一方高齢者事業団は作業料金内から自身の団体管理費なども捻出している(もしかすると天下系が頭におり税金が投入されているかも知れないけど・・・)。
それならば高齢者事業団以下の金額を「御礼」として自治組合に依頼すれば良いのでは?と言った意見があるかも知れないが幾ら土手と言えども会社の外部に見えている部分である。企業としてはあまりきれいでない社屋や土地をさらすには抵抗感があるのだ。
これは大きなお世話かも知れないが自治組合に草刈依頼していた頃はそこの自治組合だけ集会所で毎月宴会を行っていたらしい。しかし高齢者事業団に変更したら1年に2回となったそうだ。
ちなみに今でも花火の寄付徴収には毎年係りの方が支社に訪れている。こうなると企業は単なるパトロン扱いではないかと思えてしまう。
ところで今年は震災で多くの方がお亡くなりになられているが果たして祭りそのものをやるんだろうか?。
もしも集めに来たとしたら・・・・自分らが呑みたいだけの集団じゃないの?と言ってみたい(笑)
最後にもしも震災リスクで地方移転をお考えの社長さん。地方の自治組合と称される集団はこんな例ばかりでは無いと思いますが実際の生産活動に支障ない地域を良くリサーチしてから進出する事を強くお勧めします。せっかくその地方の時間当たりの賃金レートが安くコストダウン計画を立てても実際にこの様な形では安いが安いでなくなりますよwww