私がこよなく愛する歌手の一人に市丸姐さんがいます。
市丸姐さんのプロフィールは…
市丸(1906~97)
長野生まれ。19歳のときに上京。
昭和6年「花嫁東京」で歌謡界デビュー、同年「茶切節」がヒット。
昭和8年には長野県民謡「伊那節」(これも後に吹き込みヒット)を基にした「天龍下れば」が大ヒット。
同じ所属会社(ビクター)の小唄勝太郎ともども「市勝時代」を築く。
その小唄勝太郎とは犬猿の仲で知られた。
戦後は、それまでの日本調を生かしつつも、流行を取り入れた「三味線ブギウギ」
を大ヒットに導く。
この歌に中山晋平は「市丸にこんな歌を歌わせるなんて」と激怒したという。
が、本人は服部良一のもとに自ら曲の依頼をし、西川鯉三郎に振り付けを依頼するなどヤル気満々だった。
昭和30年代あたりからは小唄・端唄といった方面に重点を置くようになる。
昭和35年には、中村勘三郎の許しを得、江戸小歌(←小唄)中村派を数百年ぶりに復活させ、家元となる。
懐メロ番組にも「三味線ブギウギ」「天竜下れば」などを披露に度々出演。
また、邦楽番組にも、小唄・端唄・長唄・清元…と芸の幅が広いこともあり、欠かせない存在としてちょくちょく出演していた。
これは晩年まで続く。
ちなみにテレビ出演の際は、着物の色にも気を配り、カメラ目線もしっかりしていた。
生涯ビクター専属であったこともあり、ビクターでは生き字引的存在であった。
後輩の面倒はよかったらしい。あの中尾ミエが「市丸姐さんは怖かった」と証言。
平成9年1月の卒寿パーティーでも艶やかな姿を見せていたが、その直後に入院。
2月17日に他界、90歳。生涯独り身を貫いた。
というのが市丸姐さんのプロフィールです。
とにかく美人でした、この姐さん。近寄りがたい美人。
いくら美人でも年取ったらそうはいかん…と思うでしょう?
いえいえ、それがそうじゃないんです。
私、昭和45年の市丸姐さん、つまり64歳のときの映像を持っているんですけど、どう見ても60過ぎの婆さんには見えません。全然ババアらしくないんですよ。
声も、これがまた粋なお声で素晴らしい。
♪ハア ちょいと ブギウギ~ とカメラ目線。
明治生まれがカメラ目線ですぜ!
今の60代じゃないんです、平均寿命は60代後半の時代ですよ。
いやはや、大したものでしたm(_ _)m
その後、平成に入ってからの、日本髪の鬘をつけていない姐さん(85歳)の映像も見ましたが、年齢よりは若く見えました。
(残念ながら私が見たことのある市丸の映像は3種類だけです…)
ここまでイロイロ言ってる私ですが、残念ながら市丸姐さんの音源は手持ちがあまり
ありません(汗)。
ビクターからは今現在、流行歌だけを集めたCDは出ておりません。
小唄とか端唄・長唄とかのCDは結構出ているんですけども…私、そのあたりは興味
がありませんので(^ ^;Δ
とりあえず、数少ない持っている音源の一部の解説&感想を…。
1.天竜下れば
作詞:長田幹彦 作曲:中山晋平
昭和8年、市丸姐さんがラジオに舞台に歌いまくり、執念でヒットさせた作品。所謂、新民謡というものである。今でも長野では親しまれている、市丸姐さんの戦前最大のヒット曲。とにかく粋な歌い方で、たまりません。
2.茶切節
作詞:北原白秋 作曲:町田佳声
もとは昭和2年、静岡鉄道が製作した宣伝ソング。
それを昭和6年、市丸が吹き込み、ヒットさせた。
「ちゃっきり娘」というトリオ漫才もあったほど、有名な静岡県民謡。
これも新民謡である。
♪唄はちゃっきり節 男は次郎長
これを知らない日本人はいないと言われましたが、今はどうでしょうか?
姐さんの声がまだ若い、未熟というか、少し声を無駄に張り上げてる感も…。
3.流線ぶし
作詞:西條八十 作曲:細田義勝
昭和10年の作品。
世の中何でも流線だ、ということを西條八十は教えてくれます。
市丸はいつも通り淡々と、粋さをにじませながら歌います。
4.三味線ワルツ
作詞:佐伯孝夫(?) 作曲:清水保雄
昭和27~28年頃の作品。
「ゲイシャ・ワルツ」に触発されたかと。
なかなか面白い作品だと思います。
5.三味線ブギウギ
作詞:佐伯孝夫 作曲:服部良一
昭和24年のヒット曲で、市丸最大のヒット曲。
この唄への意気込みは先述した通り。
この曲は一連の芸者歌手にはおそらく歌えないでしょう。
市丸だからこそ、歌いこなせたと思います。
私、この曲一曲で市丸を敬愛するようになりました。
そのぐらい、斬新な名曲。
こう熱く市丸姐さんについて、書き連ねましたが、あんまり音源持ってない上、好きじゃない唄も多いんですよねえ、市丸姐さん。
市丸姐さんの、戦前流行歌とは相性が良くないんでしょうね。
でも、大好きなんですよ。
「三味線マンボ」という唄を一度だけ聴いたことがあるんですけど、すごく良かった。
戦後の唄をもっと聴きたいですね、姐さんは。
我が故郷にも、市丸姐さんが歌う「函館五稜郭音頭」というご当地ソングがあります。
これは自慢ですね(^▽^)
ちなみに、これが市丸姐さんです。
本当はもっと別嬪なんですよ(^.^)
私、この姐さんのライバル・小唄勝太郎も大好きな歌手です。
機会があれば、勝太郎編もいずれ…。
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私も市丸ねえさん大好きです。
勝太郎さんは可愛らしいかんじ、市丸さんは知的なかんじで、「情けの勝太郎、智の市丸」というのは本当に名言だなあと思います。
市丸さんの流行歌は手に入れにくいかもしれませんねえ。 私は、けっこうラジオ深夜便から録音したりしたのですが…
戦前の唄にも、「峠三里」「伊豆の踊り子」などいい唄がありますが、勝太郎さんにくらべるといかんせんヒットが少なかったですね。 やはり市丸さんは戦後に本領発揮したような感があります。
余談ながら、犬猿の仲といわれた勝太郎さんとは、勝太郎さんが入院したときに仲直りしたそうです。 勝太郎さんが他界された後は、勝太郎さんの「大島おけさ」を市丸さんが歌い継がれました。
それと、「天龍下れば」は、もとは流行歌のつもりで発売したのですが、現在では新民謡として定着しているとのことです。 こういう例はほかにもあって、現在では童謡として親しまれている「鞠と殿様」も、佐藤千夜子さんのレコードでは「新民謡」ということになっていました。 演奏も、ピアノに横笛が入っていて、いかにも当時の新民謡のような感じです。
お越しくださいましてありがとうございます。
トラバの件もありがとうございます。
ホント、勝太郎に比べるとヒットも曲も…。
姐さんが対抗意識を燃やすのもわかります(^^;
戦前の曲はどうもマイナー調ばかりなのが…。
市丸のそれはちょっと切なくなりすぎな気が…。
そういった意味では戦後の方が明るい曲が増えて、私の好みにバッチリあってきます(^.^)
温故知新を唄でやってのける、これが市丸姐さんの真骨頂だと思います。
(勝太郎に三味線ブギは無理でしょう)
市丸姐さん、70年代の唄で「きち・キチ・吉」なる歌がありますが、これがまた面白い唄です。
それにしても勝太郎の「大島おけさ」を市丸が歌う…う~ん、一度聴いてみたいですね。
チエミさんとの繋がりも深く、ラジオで「かくし芸」として「さのさ」を披露したときの伴奏は市丸さんだったそうですし、後年もTBSで共演した「日本調特集」の番組がありました。
美貌もですけど、歌声がほんとうに最後まで見事でしたよ!
歌謡曲のCDを出してもらいたいですね!
柳橋の市丸邸はまだ在るんですか?
ホンに市丸姐さんの戦後の流行歌を聴きたいものです。戦前のはツマリマセン(というより肌に合いません)。私は「三味線マンボ」をもう一度、何としても聴きたいです!
一連の「三味線」シリーズをまず復刻して欲しい…。
渡辺はま子・小畑実も同じように復刻して…。
無理とわかっていても聴きたいんですよ~。
市丸さんを探して♪
こちらにおじゃまさせていただいております。
他にも興味深い記事がいっぱいで楽しいです!
先日、柳橋に食事に行きました。
前から憧れの市丸さんのギャラリーとか料亭跡地も散策して、記事を書きたいのですが、こちらに市丸さんのことが詳しく書かれていて
トラックバックをさせていただいてもよろしいでしょうか。どうぞ宜しくお願いいたします。
ブログ移行でここをチェックするのを怠っておりました。
ブログ、ずっと前に拝見していました(大汗)
「良い記事だな」とニンマリしておりましたら、ここにコメント頂いていてことをすっかり見逃していたようで・・・。
ここのブログを使って頂きありがとうございます。感謝、感謝です!
また、機会があれば投稿して皆様に市丸姐さんの素顔をお伝えしたいと思います。このブログに感謝です。m(_ _)m
ようこそいらっしゃいました。
江戸小歌中村派の当代家元の書き込みに目がテンになっております。
市丸姐さんの旧宅はギャラリーとして健在なんですか。本当に嬉しいです。
御姐さんは芸に関しては、とても厳しい方だったそうで・・・。
いや、素敵なエピソードをご紹介くださり、本当にありがとうございます。
もし、よろしければ、また市丸姐さんのエピソード等投稿下れば幸いです。
身近におられた方からお話が伺えるなんて本当に幸福なことです。