今だから…昭和さ ある男のぼやき

主に昭和の流行歌のことについてぼやくブログです。時折映画/書籍にも触れます。

我が愛しの芸者歌手たち・日本橋きみ栄

2006-07-25 00:01:23 | 我が愛しの芸者歌手たち

以前予告していました通り、「我が愛しの芸者歌手たち」、今回は日本橋きみ栄を取り上げたいと思います。

ポリドールレコードの芸者歌手と言えば、新橋喜代三・〆香・染千代と並び、名前が出るのが、この日本橋きみ栄です。

日本橋きみ栄
日本橋きみ栄(1915~93)
本名:佐藤清子
東京・神田生まれで生粋の江戸っ子。
17歳から芸の世界へ身を投じる。
昭和8年、ニットーレコードで初吹き込み。
やがて美声が評判を呼び、昭和9年「港の別れ唄」で業界に認められる。
昭和10年、ポリドールレコードへ。
昭和12年「蛇の目のかげで」ヒット。
戦後は、23年「炭坑節」がヒット。
その後ポリドールからキングへ移籍した。
32年からはビクターで、純邦楽の分野の吹き込みをするようになる。
46年、芸術最優秀賞受賞(自作曲「見世物小屋」)
49年にポリドールへ復帰。
50年、山田五十鈴主演「たぬき」音曲担当となり評判を取る。
平成5年10月9日、死去。78歳。


上記の略歴で間違いがございましたら、ご一報下さい。
すみやかに訂正致します。

ポリドールレコードというところは何やらややこしい会社でございまして、一応、今はユニバーサルという会社になっていますが、昭和23年までのポリドールと、1960~80年代のポリドールは別モノの会社であるご様子。
復刻するにも複雑な事情がある上、売れ行きが見込めないのでは・・・というお寒い状況でございます。
とはいえ、70年代には復刻LPが多数出てますので、必ずしも入手困難とは言い切れないので、興味のある方はそちらを当たってみてはどうでしょうか。

神田祭
作詞:佐藤惣之助 作曲:山田栄一
浅草〆香・上原敏と歌ってます。
下町の祭ムードがしてくる佳作です。
ただ、歌い手がねえ…。
こういう曲なら上原敏より高田浩吉の方が粋に歌えた気が…。
別に敏さんが悪いとは言ってませんけどf(^_^;
神田で生まれ育ったゆえ、きみ栄にお鉢が来たのでしょうね。
でも、〆香姐さんの歌声の方が素晴らしいf(^_^;


昭和10年ごろの吹き込み風景
蛇の目のかげで
作詞:並木せんざ 作曲:阿部武雄
日本橋きみ栄の代表曲にして、初の大ヒット曲。
詩も♪~とさ と淡々と、それでどこかユーモラスな感じがしています。
作詞者:並木せんざはサトウハチローの別名
作曲の阿部武雄は、この年に「妻恋道中」「流転」「裏町人生」「鴛鴦道中」などもヒットさせていて、まさに絶頂期の仕事。
きみ栄の粋な歌い方は文句なしの絶品。

五月雨傘
作詞:矢島籠児 作曲:島口駒夫

江戸情緒漂う日本調歌謡曲の名作。
きみ栄の良さが実に出ている気がします。


後年のきみ栄
炭坑節
戦後のきみ栄の大ヒット曲。
炭坑節は、赤坂小梅・美ち奴・音丸なども吹き込んでいますが、有名なのは美ち奴・きみ栄の両ヴァージョンでしょう。
空前絶後のノドを持つ美ち奴に勝るとも劣らない粋な歌唱を披露してくれたきみ栄に拍手を送りたい。

浮名くずし
作詞:佐藤惣之助 作曲:阿部武雄
片面は三味線やくざ(東海林太郎)で、両面ヒットしたそうであります。
股旅モノ+α、といった曲調で、きみ栄の名唱が曲の良さを引き立てます。


次回は小唄勝太郎を取り上げる予定です。