今だから…昭和さ ある男のぼやき

主に昭和の流行歌のことについてぼやくブログです。時折映画/書籍にも触れます。

三浦洸一を聴いてみよう

2006-07-11 08:54:10 | 昭和の名歌手たち

私、時折、無性に三浦洸一を聴きたくなる時があるんです。
あの品の良さ、野暮さとは一寸違う感じで…。
「文芸歌謡」というジャンルがしっくりきます。
まだご健在な方ですが(笑)、ちょっと取り上げてみたいと思います。


なかなかのイイ男に撮れてます
三浦洸一(1928~)
昭和3年元旦、三浦半島で出生。
浄土真宗の寺の三男坊。
本名:桑田利康
東洋音楽学校卒業後、昭和27年ビクター入社。
ちなみに黒柳徹子は東洋での同級生。
作曲家・吉田正に師事し、昭和28年5月「さすらいの恋唄」でデビュー。
同年9月発売の「落葉しぐれ」で一躍スターダムに。
昭和30年には「弁天小僧」を、昭和31年には「あゝダムの町」「東京の人」ヒット。
昭和32年には川端康成作品をモチーフにした「踊子」がヒット。
この「踊子」のヒットから、「釧路の駅でさようなら」等文学的香りの作品を多数発表し、「文芸歌謡の第一人者」と呼ばれるようになる。
紅白歌合戦には昭和30年(第6回)初出場。
その後、昭和32年(8回)から38年(14回)まで連続出場。
39年の落選時には物議を醸し出した。
昭和58年には「笑っていいとも」にレギュラー出演し、好評を得る。
平成12年、レコード大賞功労賞受賞。
2006年現在も、現役で歌っている。
ちなみに芸名はビクター文芸部によるもの。
三浦は、三浦半島の生まれであることから。
洸一は、この世界で「ピカ一」になれるようにと「光一」の予定だったが、既に青木光一(コロムビア)がいたため、この世界は水物だから、と「洸一」になった。


三浦さんの曲には「文芸歌謡」と言われただけあって、独特の世界があります。
この空気は今は失われたものです。
当時はこういう情景もあったのか…と思いながら聴くのもまた一興です。


街燈
作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
「街角で起こる出来事を街燈、お前は知っているんだね」という唄。
都会調の曲で、まさに吉田メロディーの本道。
フランク永井とは一味違う、三浦洸一の良さが出ています。

釧路の駅でさようなら
作詞:吉川静夫 作曲:豊田一雄
歌詞の中に♪挽歌の街に 滲む頃~ というフレーズが出てくるが、これは原田康子「挽歌」から取っているそうです。
作曲した豊田一雄は現在消息不明だとか…。
三浦の低音が全編に冴え渡る傑作。
当時釧路駅では、列車の出発時にこの曲が流れていたそうです。

東京の人
作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
吉田メロディー十八番・都会歌謡の名作。
フランク永井の「有楽町で逢いましょう」は、最初は三浦さんが歌う予定だったそうです。「三浦洸一 フランク永井を唄う」的アルバムがあったら聴いてみたいものです。

落葉しぐれ
作詞:吉川静夫 作曲:吉田正
更け行く静かな秋の夜、ひとりしみじみと聴きたい、そんな曲です。
島倉千代子も好きな曲で、コンサート等でも一時歌い、後にアルバム用に吹き込んでいます。

こころの灯(ともしび)
作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
38年(14回)の紅白で唄った隠れた名曲。
もうこの頃になるとヒットは出なくなりますが、ヒットが無い=いい曲が無い、では無いことを証明してくれた1曲。
いかにも三浦洸一な曲ではありますが、それが良いのです。


端正な歌い方
私が気になっているのは公式のプロフィールに書かれている「挽歌」「櫻の園」「ちぎれ雲」という曲が復刻されていない点です。いっぺん聴いてみたいものですね。
ま、三浦さんの全曲集が発売されていること自体、ビクターという会社を見る限りでは奇跡でありますから、期待するだけ無駄なんですが・・・。