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ダークナイト ノベライズ 翻訳 THIRTEEN Latter half

2009-01-04 17:07:04 | ダークナイト・翻訳




それは忍び笑いから始まり、含み笑いになった。それからジョーカーが隣りの部屋から踏み出してきた頃には、悲鳴のような笑い声になっていた。
彼は笑うのを止め、「俺が思うに、出来の悪いジョークだな」と言った。
「俺の坊やにここにいていけない理由を教えてやろう」―ギャンボルは彼のボディガードに指で合図をした―「奴の頭を引っこ抜いてやれ」
ジョーカーは彼のしりポケットから新たに削られたばかりの鉛筆を取り出して、消しゴムが下にある状態でテーブルに置いた。「手品はいかがかな?」彼は明るく尋ねた。「この鉛筆を消してみせましょう」
マローニの部下は突進しようとした。ジョーカーは横に避けると、暴漢の頭の後ろをつかみ、鉛筆にたたきつけた。暴漢はくたくたになって、その体は床の方に倒れた。
鉛筆はなくなっていた。



「マジック!」ジョーカーは断言した。
「ところで、スーツは安くないんだ。 知っておくべきだと思ってね。これを買わせてくれたのはあんたらだからな」
「座れよ」とチェチェン人はジョーカーに言った。「取引を聞こうじゃないか」



「1年前、この街の警察と検事たちは皆、あんたらに逆らう勇気など無かったはずだ」とジョーカーが言った。「何が起こったんだ?タマでも落とされちまったのか?想像してくれ。あの男だ、俺のような―」
「異常者」とマローニが言った。
ジョーカーは彼を無視して、続けた。「俺のような…俺はあんたらがどうして真っ昼間からかわいそうなグループセラピーを開いているのか分かってる。なぜ夜に出かけるのを怖がってるのかについても。バットマンだ。奴がゴッサムにあんたらの本性を見せちまった。それにな、デントはただの始まりに過ぎないぞ」彼は、テレビを指さした。「それと、そいつのいわゆる計画についてだが―バットマンには管轄なんてものは全く無い。奴はそいつを見つけて、密告させるだろうな」
彼はスクリーン上のラウに向かって微笑みかけた。「俺はいつも裏切り者を見つけることができるのさ」
「俺たちは何をするべきだと思う?」チェチェン人は尋ねた。



「簡単なことさ。バットマンを殺せばいい」
「簡単なことなら、なぜすぐにやらない?」マローニは不平を言った。
「昔、おふくろがよく言ってたんだ。得意なことは、絶対無料ではやるなってさ」
「いくら欲しいんだ?」チェチェン人は尋ねた。
「半分」
テーブルの周りの男達が笑った。
ジョーカーは肩をすくめた。「今、あんたらがこれに対処しないと、すぐにそこのギャンボル坊やは、ばあちゃんにやる5セント硬貨すら手に入らなくなっちまうぜ―」
ギャンボルは立ち上がり、飛び出した。「もう沢山だ、道化野郎!」



彼はテーブルの隅の近くまで来て、立ち止まった。ジョーカーはコートの前を開き、胸に結びつけた爆薬を明らかにした。
「全体の割合からこれを爆破するのはやめておこう」とジョーカーは言った。
ギャンボルは一歩だけ近づいた。「俺たちから金を盗んで、逃げられると思ってるのか?こう宣言しよう―この道化を殺したら50万。生け捕りなら100万ドルだ。殺す前に俺がマナーを教えてやるとしよう」
「気が変わったら俺に教えてくれ」とジョーカーは言って、部屋から出て行った。



「金を動かせるのはいつ頃だ?」マローニはラウに尋ねた。
「既に終えました。明白な理由により、あなたの許可を待つことができませんでしたが、ご安心ください、あなたのお金は安全です」



サル・マローニは、彼が何も知らなかった狂人が、どこにも所属せずに彼の鼻を突いてくるのが気に食わなかったので、彼は決めた。
彼は、この私立探偵―元警官で、能力不足からではなく収賄をしていたために権力から蹴り落とされていた―を知っていた。彼は、彼らと同じくらいに能力が優れていた。名はハムリン。彼は時折、サルのために仕事をしていた。請求額は高いが、彼は常に確かな情報を届けてきていた。サルはハムリンを呼び、言った。「このジョーカーという男について全てを知りたい。靴のサイズまで」
すると、ハムリンが言った。「2週間だけ時間を下さい。私は接触しているでしょう」
2週間が経過し、ハムリンから連絡があった。「まだ何も見つけられてないが、もう少しだけ時間を下さい」と。サルは、彼にもう少しだけ時間を与えた。
1週間後、ハムリンは昼下がりにクラブに現れた。プラスチックのカップからコーヒーを飲んでいるその姿は、まるで地獄から帰ってきたかのようだった。まず、彼にはひげそりと散髪が必要だった。それに彼はひどく痩せていた。彼のスーツはしわになって、彼に掛けられているだけだった。ネクタイには大きなグレイビー・ソースのしみが付いていた。そして、両眼の下には浅黒い隈まであった…
「私は次にどこに行くべきかわかりません。私が3週間、このジョーカーとやらを調査していて、何が分かったと思いますか?何もありません。私は気違いになりそうだ。あなたは彼が本物の人間だと確信していますか?あなたの想像上の人物では?奴はまるで、虚空か何かから突然現れたみたいだ」
サルはそれを聞いているのが嫌なので、言った。「君は私に干渉したくないのだね?君ならこのジョーカーにたどり着くことができるだろうと思っていたんだが」そして彼を黙らせるために何かをそっと渡した。
そして、ハムリンは言った。「あなたはそれが私でないということを知っていますね、サル。そして、あなたと私は地獄に戻るんですね」それからハムリンは笑い始め、笑い声がよりやかましくなっていった。そして、すぐにハムリンは空気を求めて喘ぎ始めたので、それほど笑っているとは言えなくなった。ハムリンは窒息しかけていて、目はふくらみ、顔が真っ赤になっていた。
サルは1杯の水を手に入れるために給仕に向かって叫んだが、それと共に給仕が来た頃には、ハムリンは死んでいた。
サルは彼自身の個人的な医者に検死をさせた。だが、彼は金を節約しなければならなかった。ハムリンの飲んでいたコーヒーに毒を入れられていたと判断するのに医者は必要なかった。誰かがそれを見ていたかもしれなかった。そして、残りに関しては…
オーケー、その毒は中国やチベット、韓国など、それらのうちのどれかだけで手に入れることができるものだった。誰がそれを気にかける?





ハービー・デントは、警察本部の屋根の上のサーチライトの横で立ち続けていた。彼が一人ではないことを突然理解したときには、空にその光が照らされてから20分間が経過していた。
「君に連絡をするのは難しいようだな」と彼はバットマンに話した。
それから、ゴードンが手に銃を持って、階段へと続くドアを蹴破って現れた。彼はデントとバットマンのいる方を見ると、武器をホルスターに入れ、バットマンを無視して、デントに近づいた。



「私の許可も無く、勝手に信号を点けないでくれ!」とゴードンが言った。
「それなら、あなたも私に伝えもせずにマフィアの話を進めないでくれ」とデントは返した。「今ごろ、ラウは香港へと行く途中だろう」彼は続けた。「君が要請してくれれば、私は奴のパスポートを押さえることが出来た。だから私を仲間に入れてくれろと言ったのに」
「へえ、そうかな?金庫室に残されていたのは、印をつけた紙幣だけだった。彼らは、私たちが来ることを知ってたんだ。そして、君のオフィスが関与した途端に、情報が漏れた」
「私のオフィス?君はここでワーツやラミレスのようなクズ達と一緒に働いているってのに…ああ、そうだった。ゴードン。私は君のところの新人をゆすりの現行犯で捕まえる寸前だったんだぞ」
「マローニのスパイが、明らかに君のオフィスにいるという事実をゴマかそうとしないでくれ。デント」
デントはバットマンの方に振り向いた。「我々はラウを連れ戻す必要がある。だが、中国人はどんな状況においても自国民を引き渡そうとはしない」
「もし、私が奴を連れ戻せば」バットマンが尋ねた。「君は奴を自白させることが出来るか?」
「私が、彼に口を割らせてみせる」
「私たちはマフィアの資金を追いかけている」ゴードンは言った。「物騒な事態になるぞ」
「私がこの職務に就いたときから、危険は承知の上だよ、警部。あなたと同じようにね」デントは振り返った。「どうやって、彼を連れ戻すんだい?」
しかし、バットマンはそこにいなかった。
「彼はそれをやってくれる」ゴードンは言った。



翌朝、ルーシャス・フォックスは7時前にオフィスに着くと、彼の上司が待っていたのを見つけた。フォックスはブルース・ウェインに向かってうなずき、彼の机の後ろに座った。
「私たちの中国人の友人は、私が取引中止を伝える前に街を出発しました」と彼は言った。
「あなたは常に香港に行きたがっていたと僕は確信しているんだが」とブルースは言った。
「電話では何か問題がありますか?」
「ラウさんが個人的な流儀に値すると思ってね」とブルースが言った。「よし、僕の衣装の問題については…」
「私について来て下さい」
彼らは、プライベート・エレベーターに入って地下2階―そこには会社の応用科学部が収容されていた―まで下った。その途中でブルースは、ルーシャスにもう一つの仕事について教えていた。応用科学はフォックスがよく知っていた領域であり、つい最近までは彼の専門分野だった。彼はブルースを作業台、ファイリングキャビネットや開かれていないカートンなどで散らかされたスペースへと導いた。
「…高高度のジャンプ」とフォックスは言っていた。「酸素と安定装置が必要です。言っておきますが、いつものあなたのリクエストと比較すると、飛行機から飛び降りるのはかなり簡単です」
彼はキャビネットで立ち止まり、引き出しを開けて、酸素タンクと肋骨状のゴムホースを引っ張りだした。



「飛行機に戻るにはどうすればいいかな?」ブルースは尋ねた。
「私がいい旅行代理店を勧めましょう」
「着陸なしで」
「そうこなくては、ウェインさん」
フォックスは引き出しを閉じて、顎を撫でた。「私はここに何も持っていませんが、CIAは60年代に紛争地域から工作員が脱出するための移動法である『スカイフック』を研究していました。それを調べてみましょう」
彼は別の引き出しを開いた。その中にはバットマン・コスチュームの部品があった。ブルースは波形の刃がついた袖を持ち上げた。
「ケブラーのプレートで強化し、チタン繊維でコーティングして柔軟性を加えました」とフォックスは言った。彼の声には誇りが込められていた。
「あなたはより速く、より軽く、より機敏な動きが出来るようになるでしょう」
ブルースが篭手を調べると、突然その刃が袖から放たれて、部屋の向こう側を横切って壁に埋まった。
フォックスはくすくすと笑った。「おそらく、最初に説明書を読むべきですね」
「そうした方がよさそうだ」
フォックスはコスチュームの胸部分を持ち上げ、それを曲げたり、ねじったりして、その柔軟性を示した。「しかしながら、トレードオフがあります…プレートを分けたことが、砲撃とナイフにより弱くなったという弱点をあなたに与えました」
「物事が簡単になり過ぎていると思って欲しくないんだろうね。それで、犬に対しての効果は上がったのかな?」
「あなたが仰られているのはチワワですか?それともロットワイラー?そうですね、猫に対してはバッチリ働いてくれると言えるでしょうね」



その後、街でランボルギーニを運転していたブルースはアルフレッドに電話をしていた。
「アリゾナに海軍の貨物輸送機を見つけました」とアルフレッドは言った。「非常にふさわしいと言えるでしょう。その紳士は飛行までに1週間かかると言っています。 そして、彼は現金を受け取る。乗務員はどういたしましょうか?」
「韓国の密輸業者がいいね。彼らはピョンヤンまでレーダーの下を通って飛んでくれるだろう。アリバイについても考えてくれたかい?」
「ええ、もちろん」



レイチェルとハービーの刺激的な夜は、バレエを見る代わりに、喫茶店で1杯のコーヒーを飲んで、早めに家に帰るものとなった。彼らが着いた頃には、劇場は閉まっていた。誰かがチケット売り場の窓にタブロイド紙の一面をテープで貼りつけていた。見出しの下にはくちばし状のキャップをかぶり、半袖の白いシャツを着て微笑んでいるブルース・ウェインの写真があった―

愛の船―億万長者の逃走
モスクワ・バレエ団全員とご一緒に


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