捜査圏外の条件…松本清張スペシャル

2014-01-03 15:00:00 | ドラマ/映画/ドキュメンタリー
 いわずと知れた松本清張原作ドラマです。

 正直松本清張が好きかと聞かれると、好きじゃない。

 同じミステリー、推理小説と言っても、作家によって資質が違うから、どこへ焦点を置くかが違う。


 清張作品は社会派と言われるように実際に即した事件を扱うようなことが多い。でなければ、完璧なアリバイ崩し。

 こういうのは好きじゃない。

 しかし、この時代の作家、特に清張氏は様々な人生経験をした後デビューをしている(40歳くらい、その時代ではかなりのスロースターターとなったが、戦争に巻き込まれているということもあるだろう)だから人の気持ちを書くこともできる作家だ。

 特に貧しさの中、そこから抜け出すために、とか、貧しかったから登りつめたかっただから…間違いを起こした人間が起こした事件を描いている。

 今の若い作家がアリバイ崩しを書くとアリバイ崩しとしてはいいのかもしれないが、人の気持ちが置き去りになっている。
 まるでない、ということもある。これは作家とは言えない。



 3度ドラマ化されたということで時代によって、誰が犯人か判るという曲が違うらしい。

 私が見たのは「火曜サスペンス劇場」内での1989年にドラマ化されたものの再放送です。

 しかも途中からだが…。

 
 黒井忠夫は東京のある銀行の新宿あたりの支店に勤めている。
 妹がおり、両親の代わりに妹と一緒に過ごして、山形に嫁にやるが夫が亡くなりあっという間に未亡人になって黒井の所へ戻って来る。
 しかし、光子は墓参りに行くと言い、姿を消す。そして光子が旅館で急死したとう知らせが黒井に来る。男と一緒だったらしいが、その男は光子を見捨ててさっさと逃げた。
 
 黒井はその男が自分と一緒に仕事をする笹岡と気付くが、笹岡を問い詰めても、黙っていてくれと懇願され、そのときは口をつぐみ、会社も辞め、宇部に行く。

 そこで八代正子と出会う。
 正子は薬品を扱う会社…研究所?…に勤めていてそこの薬で笹岡に復讐することを考える。
 その為、黒井は自分が「捜査圏外」になるときまで待ち続ける。

 そして7年が過ぎた。

 正子は21歳からの7年を彼に捧げることになったからそろそろ結論を出してほしいと、見合いの話があると言い、黒井の気持ちを探るが、はっきりしない。

 正子は見合いと偽り、東京でかつて黒井が務めていた会社の部下に会い、黒井のことを訪ね、初めて妹、光子の死の真相を知る。(笹岡が一緒だったということは知らない)

 正子は黒井から一旦距離を置く。

 黒井の元にはその部下から笹岡がどんな生活をしていたかをいちいち報告してもらっていて、ついにそのときが来たことを悟る。

 自分は「捜査圏外」になっている。
 正子に1年待ってくれと言い、結婚をほのめかせ、正子のいる研究所から毒薬を盗み出す。

 そしてついに笹岡に復讐を果たすが…。

 
 黒井忠夫役古谷一行

 
 八代正子役伊藤蘭


 黒井光子役甲斐智恵美


 笹岡勇市役前田吟

 当時の写真に合わせてみましたが…。


 救いはそれからまた7年近く黒井が帰るのを正子が待っていたことでしょうか。

 この時代ならではでしょうね。(原作1952年発表)

 正子がそれで幸せだったのかは…判らない。しかしこの時代の女性はこれくらい、立場が弱くて可哀想と言わざるを得ないんだなと改めて思う。

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