世宋ホテルを出た道路の反対側にプラタナスの街路樹が続いて。道路には飲み物、たばこ
雑貨類を扱う屋台店が並び、人々の往来が絶えない。
南大門近くの手前の坂道を上ると東国大学のキャンパスに至る。
その坂道前に広場があった。そこに樹齢、数百年はあろう銀杏の大木が立っている。
パジ、チョゴリ姿の老人がぎらぎらする陽光を避け、木陰に座って悠然と煙をふかしている。そこだけがタイムトンネルとなって李朝の昔を目のあたりにすることができた。
目をつむり、喧騒をさけて手で耳を塞ぐと私の脳裏に身で押し軍の先鋒、小西行長軍が迫るざわめきが聞こえるようだった。
壬辰倭乱の伝承話である。
小西は家来に命じてその辺りの様子を探らせたが、李朝軍の気配がなく、大銀杏の下に一人の兵士が立っているだけだった。
しかしうっかり攻撃をかけると、大軍が押し寄せるだろうと思案した偵察兵士は小西への報告が遅れ、その間に加藤清正軍に一番乗りの功を取られてしまう。
立腹した小西は入場するとその銀杏の大木を切り倒せと命じ、兵士が斧を振るって樹に切りつけたところ、真っ赤な血が噴き出した。同じ時刻、小西は首を切られるような痛みを感じて慌てて伝令を飛ばし、銀杏の樹を切るのを止めさせた。
そんな伝承話を脳裏に浮かべ、私は広場の屋台店に群がる老若の現代韓国人の顔を眺め、
いったい歴史とはなんだろうと感慨無量の気持ちになった。
雑貨類を扱う屋台店が並び、人々の往来が絶えない。
南大門近くの手前の坂道を上ると東国大学のキャンパスに至る。
その坂道前に広場があった。そこに樹齢、数百年はあろう銀杏の大木が立っている。
パジ、チョゴリ姿の老人がぎらぎらする陽光を避け、木陰に座って悠然と煙をふかしている。そこだけがタイムトンネルとなって李朝の昔を目のあたりにすることができた。
目をつむり、喧騒をさけて手で耳を塞ぐと私の脳裏に身で押し軍の先鋒、小西行長軍が迫るざわめきが聞こえるようだった。
壬辰倭乱の伝承話である。
小西は家来に命じてその辺りの様子を探らせたが、李朝軍の気配がなく、大銀杏の下に一人の兵士が立っているだけだった。
しかしうっかり攻撃をかけると、大軍が押し寄せるだろうと思案した偵察兵士は小西への報告が遅れ、その間に加藤清正軍に一番乗りの功を取られてしまう。
立腹した小西は入場するとその銀杏の大木を切り倒せと命じ、兵士が斧を振るって樹に切りつけたところ、真っ赤な血が噴き出した。同じ時刻、小西は首を切られるような痛みを感じて慌てて伝令を飛ばし、銀杏の樹を切るのを止めさせた。
そんな伝承話を脳裏に浮かべ、私は広場の屋台店に群がる老若の現代韓国人の顔を眺め、
いったい歴史とはなんだろうと感慨無量の気持ちになった。