ひなたぼっこ

「まだ見ぬ素晴らしい景色」を求めて自転車で。

屋久島サイクリング

2015-11-09 | Bicycle ride
10月26日。
屋久島で迎える最後の朝。



天気ヨシ!
即ち自転車日和!
宮之浦岳には通用しなかったけど、この日をこの天気で迎えれる自分はやっぱり持ってるなと。


だがイテテテ・・・・


下半身のダメージがハンパない。特に腰がかなりやばい。
まあ慣れないザック背負って歩きまくりましたから。
正直まともに走れそうな気がしないし、もしかしたら苦しいだけの時間になってしまうかもしれない。

でもこの天気の下で走らずに帰ったら絶対に後悔する。



痛いとか苦しいとかもう無理とかってのは終わってから好きなだけ言うことにして、それまでは封印。


でもイテテテ・・・


自転車乗る時に後ろ側から跨ぐじゃないですか。
なだぎ武のディラン・マッケイみたいな感じで。
その時の脚がほんとに上がらなくてサドルを跨げないんですよね。
だから通常よりもバイクをうんと斜めにしてサドルを低くしないと乗れない。

ああ情けない・・・w




走り出してみると意外といける。
自転車ってのは身体に優しい乗り物なんだと改めて実感。
追い風なのもあって快調快調♪

でも登りでダンシングすると腰に激痛がががが・・・。
なるべく負荷をかけないようにシッティングでじんわりたんわりと。
いつも遅いがこの日はもっと遅い。


千尋の滝



左側の壁が250m×300mの花崗岩の一枚岩。
人間が両手をいっぱいに伸ばした長さが一尋。
つまり千人が手を伸ばした広さがあることからこういう名前が付けられた。

落差60mの大爆布なんですが、ここんとこまとまった雨が降ってないので水が少ないって言ってた。
でもそれによって今回の旅は全く雨に打たれる事なく過ごせた。
雨具が必須のこの島で、山小屋での防寒の為にしかそれを使う機会がなかったのはほんとに恵まれてたんだなと。


滝の入口にあった土産物屋でたんかんジュース。



「んのがーぃの」ってのは「我が家の」って意味。
これほんとに美味しい。


モッチョム岳



屋久島南部で一際目を引くかっこいい山。
標高は1,000m弱なんですが、急登につぐ急登コースで「ここを登れれば屋久島の山は大概登れる」とも言われる。
てっぺんからの360°の眺めは爽快でしょうね。

ちなみにモッチョムって変わった名前ですが、地域の言葉で女性の秘部を表す言葉に由来するんだとか。
モッチョム素敵!とかモッチョム最高!モッチョムペロペロとかって気軽に言ってると恥ずかしくなるよ。




海岸線近くからいきなりギュンとそびえる山々。
屋久島は内側に2,000m近くの山(奥岳)がそびえ、その外を囲むように標高1,000m級の山が並ぶ(前岳)。
そうまるでカルデラ地形の外輪山のように。
でその前岳がこんな風に海岸から急登してるので、最高峰の宮之浦岳などは海岸部の人里から望むことはできない。
「島のほぼ全域が山林」という地形に改めて感心する。


幸運な事に、たぶんこれ以上ないくらいの快晴。



だがそれでも奥の方の山には雲がかかっている。
快晴の宮之浦岳を拝むのはそれほど手強いって事。


この近くに干潮の時だけ現れる(入れる)海中温泉ってのがあるんですが、なんか工事してた。



わざわざ坂を下ってきたのに・・・また登る時に腰に激痛orz







ハイビスカスに向日葵。
10月も終わりだってのにさすが南国ですね。



猫も誇らしげで、鹿や猿と同様堂々としたもんである。



「屋久杉のパワースポット」なんて書いてあるもんだから急ブレーキで止まってみた。



広島出身だと言う話好きなおじさんに色々教えて貰う。
たぶんというか、間違いなくこの人はいい人だ。そして話も面白いし、為になる話もたくさんしてくれた。

でも話が長い!長過ぎる!w

こちとらまだ70km近く走らないといけないし、しかも今日はいつもにましてノロマな亀だ。
このまま話に付き合ってたら飛行機に乗れなくなってしまう。
最後は半ば強引に「ごめん!もう行くから!」ってこの場を後にした。
完全にケツカッチンで、ゆっくり昼飯食べる時間もなくなってしまった・・・



屋久杉のキーホルダーをくれたからって昼飯の恨みは晴れません。
でも嬉しげにサドルにぶら下げて、終わってから仲間にちょっと自慢した。


青い空、青い海。






そして川まで青い。


大川の滝



堆積岩が熱変成してできたホルンフェルスの岩盤を流れ落ちる落差88mの滝。日本の滝百選。
この日でも見事な爆布だったけど、大川の滝で画像検索すると何倍も凄い水量。



西部林道



基本ずっと海岸沿いを走る屋久島道路の中で、山の中を走る雰囲気を最も感じれる場所。
けっこう登るし、自転車乗りとして見れば一周道路の中でハイライト区間と言えるかな。




自分が好きな一車線の木漏れ日溢れる林道。
ここは島で唯一、海岸までのすべての森が世界遺産の登録地に指定されてて、この辺り16kmには全く民家がない。
だからここは猿達の楽園でもある。






勢いよくカーブを曲がると道端で猿が普通にくつろいでるので、あまりびゅんびゅんと走ってはいけない。
ここの猿達は今まで見た中で最も警戒心が薄い。
自転車で横を通ってもほとんど逃げないし、リラックスしまくりである。



そうは言ってもリラックスしすぎや・・・
猿も恍惚の表情をするんだなw

まったく・・でっかいキン○マ見せつけやがって、おのれには恥じらいというものがないんかい!

挙句のはてにはこんなのまで見せつけやがって・・・



しかも俺と目が合ってから始めやがった!
まるで見せつけるように・・・いや、見せつけてるのだ。

「あんたのそのポンコツの腰じゃ、せいぜい下になってマグロみたいにじっとしとるしか出来んやろ?」
「ワイはそんなんと違うで。よう見ときー!どやー!!」

こいつは俺に向かって確かにこう訴えながら事に及び続けた。


ウキィィィィィィ!!!!
むかつくーーーー!!!!!



毎年行われてる「サイクリング屋久島」の参加者の声で、この西部林道がきつかったって意見多いですけど、
今回は違う意味で厳しく、とことん打ちのめされてしまった。
野生の猿の逞しさハンパない。


猿に苛められて涙目になった西部林道を抜けると、真っ青な海と真っ白に輝く海岸線が迎えてくれた。



そう、海は全てを優しく包み込んでくれる母なる存在。


とにかく砂浜の白さが凄い。サングラスしてないと眩しくて直視できないくらい。



海に浮かんでる島は今年5月に噴火した口永良部島。
噴煙が火口から10,000mも上がり、屋久島全域に島外避難指示が出された。
でも影響はほとんどないって聞いたし、今回の旅でもそれを感じる事はなかったのは幸い。


永田いなか浜



日本一のウミガメの産卵地で、特にアカウミガメは日本の総上陸数の3分の1を占める。
周囲をぐるっと海に囲まれた島だけど、実は砂浜の場所はとても少ない。
少ないくせに、たまにあったらこれほど美しい。
真っ白な砂浜とコバルトブルーの海。絵になりすぎ。
屋久島は山だけでなく海も魅力的なんだと感じるのです。


ここからは海の美しさを五感で感じながら。











地元鳥取でも岩美の方に行けば南国のような海を見れます。
ぶっちゃけ沖縄の那覇の辺りなら岩美の方が綺麗だとも思う。

でもこちらはレベル違った。
”南国のような”じゃなくて南国そのものの海。
やっぱこれには勝てないな。

自分のターゲットは「まだ見ぬ絶景」を見る事。
今回これでもかってくらいそれを見る事が出来た。
知らない場所を訪れて、知らない道を走る。
そこで出会う驚きや感動は一種の麻薬である。
だって一度知ったらもう絶対止められないから。


スタートした頃は追い風ヒャッホー♪と喜んでたけど、



よく考えたらここは島だ。
ぐるっと周ってくれば追い風は向かい風に変わる。

うおー! 進まねー! そして腰痛いー! アップダウンもお腹いっぱいだー!



最後はボロボロになってアウターギアをほとんど踏めなかったけど、なんとか屋久島空港に到着。
なんとか全行程をやりきった。



少し休憩してたらサンカラスパリゾートのスタッフだと名乗る人に話しかけられた。
会社がサイクリストの誘致にも力を入れてきて、自身も去年のサイクリング屋久島に参加されたとのこと。
「今回は自転車で走るために来られたんですか?」って聞かれたので、
昨日まで山を縦走してて、今日は一周してきましたって答えたら本気で驚いてたw
「縦走した翌日に自転車で一周する人に初めて会いました!」ってw
アスリートですね~って言われたけど、いやいや、こんなに不摂生ばかりしてるアスリートいませんから。
自分との戦いとか、トレーニングとか無縁でただ”欲”だけでやってるだけですよ。
そしてこの島にはそうしたくなるとこが満載で素晴らしかったですよっと。


で、そのサンカラの社長さんの対談記事でこんな事が書かれてました。

屋久島って、たまたま来る人はいないって言われている。
ようは「ここに来よう」と決めないとこれない場所。
それを「島に呼ばれている」と言うんだと。



何年も前からずっと屋久島に行きたいって言い続けてたけど、なるほど、それはこういう事だったんだなと。

きっかけは人それぞれだし、ここでの過ごし方も人それぞれだと思うけど、
今回の屋久島シリーズを読んで「ここに行ってみたい!」と思ってくれた人がいたとしたら、
それはきっとあなたも屋久島に呼ばれてるって事の証。
そして呼ばれたら是非とも行くべき価値のある、いやありすぎる場所。

神々が鎮座すると言われる神秘の島、ほんとうにほんとうに素晴らしかったです。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様でした (ふじしん)
2015-11-09 23:15:57
縦走編そして自転車編、楽しく拝見させていただきました。
しかし持ってますね~。何時ものように期待通りの絶景も拝見出来ました…まるで観光用のパンフレットでも見ている様な。
何だか私も屋久島に呼ばれている様な気がしてきました…しかし体力がなぁ~(-_-)
何だかんだ言っても、ぐりおさん、、体力有りますよね。
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リスペクト! (けいあん)
2015-11-10 08:48:21
ぐりおさん 凄いです!
体力と気力には敬服します
一気に読んでしまいました。
”神々の住む島”の事が手に取るように分かり、何か引き込まれそうです。
もしかしたらこれを「呼ばれている」と言うのでしょうか?
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>ふじしんさん (ぐりお)
2015-11-10 23:19:19
持ってましたね~w
最終日は天気が良くて写真もよく映えてくれました。
体力がそんなにある方とは思ってないんですが・・・
全然速く走れないですし。
でも自転車も登山も自分のペースで出来るので、そういうじんわりと長丁場はわりと得意かもしれないですね。
それに結局遊びですからね、遊びなら誰でもぶっ倒れるまでやっちゃうでしょw
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>けいあんさん (ぐりお)
2015-11-10 23:23:35
ありがとうございます。
体力はあやしいですが、気力だけはありますねw
それにどうせならトコトンやった方がずっと記憶に残りますし。
興味を持ったならそれは呼ばれ始めてるって事です。
よし行こう!って決めたらもっと呼ばれてるの実感できるはずですよ。
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