ひなたぼっこ

「まだ見ぬ素晴らしい景色」を求めて自転車で。

ドラマチック伊豆半島 ~試練の一日目~

2016-04-13 | Bicycle ride
サンライズ出雲を、静岡県は沼津で降りました。



古来から東海道の陸路と海路を繋ぐ交通拠点であり、また東海道の宿場町として発展した大きな町です。
とにかくここはロケーションというか、場所がいい!

左側には日本一の富士山、右には度々人気ランキングの上位にあげられる箱根と熱海の温泉地、そして下側に伸びるは伊豆半島。
熱海・箱根は今回はおいておくとして、富士山という存在は我ら西日本に住む人間にとってちょっと特別。
普段まず見る機会がありませんからね。
そして伊豆半島からはその富士山を拝めるポイントがたくさんあって、日本一美しい山の富士山を見ながら走れるなんて最高じゃん!
さらに、実は以前から是非とも一度走ってみたいと思ってた道がこの伊豆半島の中にあるわけでして、想像しただけでテンション上がる!
今回、その為の拠点として沼津を選んだ次第であります。


駿河湾越しの富士山が見えるスポットだけど、見えるのは雲だけ。



予報では午後から回復するようなのでそれに期待しましょう。


沼津港へ




朝5:30とか6:00からやってるお店が何件かあるって話だったのに、どこも開いてない。
なんで?早朝営業やめちゃったの??それとも定休日?
結局7:00開店の店が一軒あったので、それまでウロウロしながら待つ羽目になりました。
のっけから予定通りに行かない・・・



港のすぐ横なんで新鮮な魚介が食べれるんですが、朝一から刺身って気分にもならなかたったのでミックスフライ。
まあフライなんてどこで食べても大概一緒。


狩野川沿いを走ります。



いいですね~。
初めて見る場所、初めて見る光景。
次の瞬間には何が待っているのか、一体どんな景色が広がってるのか、ちょっとの不安と大部分の期待。
そんなのを味わいたくて、俺は色んなとこに出掛けるんですよ。



スカッと晴れてないのはちょっと残念だけど、旅の醍醐味ってこういう事なんだよね。



修善寺へ



「しゅうぜんじ」ではなく「しゅぜんじ」
正面に見えるのは修禅寺、そしてここは修善寺温泉。
ちょっとややこしいw

その名からわかるように元は禅寺です。
平安時代に弘法大使が開いたと言われるのが修禅寺という禅寺。
そして弘法大使が独鈷杖で岩を砕いて霊泉を噴出させたのが独鈷の湯をはじめとする修禅寺温泉。

うん、やっぱりややこしいw



そんなこんなで、温泉大国として知られる伊豆半島の中で最も古い温泉なようです。



さて、ここから長い長い登り区間の始まり。
現在のとこから800m以上高度を上げていく事になります。
どうせ登りはスローモーションで、たっぷり時間を掛けることになる。
その間に雲が晴れて、見晴しのいいとこで富士山を眺める。

うん、我ながら完璧な段取りだ(キリッ



だけど・・・あれ? おかしいな・・・

なんか目が霞んできたぞ・・・



いや、これは目が霞んでるのではなく、霧だ!


標高620m だるま山展望台 完 敗



富士山どころか・・・何一つ見えません(泣

貴重な休日と時間とお金使ってここまでやって来たというのに・・・この仕打ちか。
これじゃあ正直なんの為に来たのか分からない。

ずっと走りたかった西伊豆スカイラン。



でもこんな状態じゃあ全く意味がない。
ていうか何も見えないのでどこ走ってるのか分からないしw







若干晴れてきたりな瞬間もあったけど、やっぱりここの良さは全く持って体感できず。
想像してみて下さい。ほとんど何も見えない中をいつまで続くか分からない坂道をひたすら登っていくという苦難の状況。
正直1㎜も楽しいって思わなかったけど、とりあえず当初の目的の仁科峠まで行って記念撮影。

もしかしたら俺は霧の神様に愛されてるのかもしれない・・・
四国カルストでもそうだった。
屋久島宮之浦岳でもそうだった。
今回といい、大事なとこで霧に包まれてしまう。

霧に愛され過ぎな人・・・ もう「ぐりお」って名前を「きりお」に改めようかと真剣に考えました・・・
期待が大きかったからもあるんだけど、この時ばかりは己の運の無さを呪いましたよ、まじで。

でもね、一つ言っておきます。
今まで旅を続けて来れたのも、なんとかブログを続けてこれたのも(更新頻度はめっさ低いっすが)
色んな困難があっても、その後には必ず素晴らしい光景に出会えたから。
そう、旅の神様はよく俺に意地悪をするが、最後には必ずご褒美をくれるのだ。

仮面ライダーだって、ウルトラマンだって、最初はやられてピンチになるけど、最後に勝って大団円だ!
伊豆半島の旅だって同じ展開である。
今回久しぶりに「ドラマチック」というタイトルを付けたのは、この旅がほんとにドラマチックだったから。
絶景とかを期待してこのブログを見てくれてる人、大丈夫、期待してくれてもいいですよ。

だから早くそれを見せろよ!って声が聞こえてきますが・・・

やだね!せっかくなんでとりあえず順を追って書いて行きますよっと。

K59号にて湯ヶ島を目掛けて下る。



シングル車線のウネウネなこの道も、通常なら自分が大好きな表情の道なはずですが、
こんな状態じゃめっちゃ怖い道になってまう。
ウエットの下りはマジで苦手・・・


湯ヶ島まで下りてくると霧も晴れて視界がクリアに。
R414に乗り換えて天城峠に向かう。
演歌を聞かない人でも知ってる石川さゆりの名曲の「天城越え」である。



霧がないとまるで目が良くなったような錯覚をうけたけど、それでも美人は見つけられなかった。
きっとたくさんの美人は霧に包まれてたんだろう。


本格的な登りに入る前に、気分的にピリッとした刺激を入れとくと良い。
て事で、わさびソフトです。



ジェラートのようにわさびを練りこんであるのかと思ったら、バニラソフトに生わさびがトッピングされているではないか!
なんとエキセントリックな発想なんだと心底驚いたのである。
いや、正確には横の店では普通に練りこんだ緑色のソフトも売ってあったんだけど、どうせ逝くならこれだなと。
だってこんなエキセントリックなのはここでしか食べれないだろう・・・
と思ったけど、今考えたらここでしか食べれないのは練りこんだ奴であって、これは普通に生わさび乗っければいつでも食べれるじゃんと考えた。
いや、やはりそんな事は絶対にしない自信があるのでやはりここでしか食べれないのだ。

ちなみにお味の方はというと、最初に受けたインパクトとは違って、わさびの辛さとバニラミルクの甘さが絶妙にあわさって実に美味かったです。


天城旧道



R414は立派なトンネルができてるんですが、天城越えってのは本来この旧道の事。
旧道はご覧のとおりダート道で、石がゴロゴロ浮いてたり、前日の雨もあってかなりネチャイとこも多かったし、
結構な傾斜区間も多く展望もほとんど無いし、おまけにこんな道が5km以上続くしでとても過酷。
だけどこの地を訪れるならこの道を通らないわけにはいかない。


天城山隧道



川端康成の「伊豆の踊子」、松本清張の「天城越え」で有名な、まさにその場所。
完成したのは明治時代の1904年、しかも日本初の道路隧道=日本初のトンネルなのである。

壁面も天井もすべて石造りの大変に趣のあるトンネル。
ていうか、天井部分とかってどうやって作るんだ?
扇型に切り出した石をアーチ状に積んでいくのは分かります。
橋とかなら上から石をはめてやるの分かりますが、こんな場合は上からははめられないだろう。
トンネル外壁のアーチ部分を先に作ってから、周りを埋めていくんだろうか?
それなら実際のトンネル幅よりずっと大きな穴を開けないといけません。

1000年以上も前のまともな機械も無かった頃、これだけの仕事を成した先人。
しかも454メートルという途方もない距離を。
そこに畏敬の念とロマンがある。


ちなみに名曲天城越えのサビの部分。

『あなたと越えたい 天城越え』

天城越えを越えるって表現はちょっとおかしい。
頭痛が痛いみたいな。
天城越えってのは「天城峠を越える旅路」の事なんですね。

いつもなら何気なく聞き流してる真の意味も、実際にこの場にこなければ知らないままであっただろう。
これもまた旅の醍醐味。


過酷なダート路面を何事もなく無事に走り終え、R414に復帰した後に出会うもう一つの名所「河津七滝ループ橋」





なんと720度、つまり二週も回るループ橋だ。
これができるまでの道は九十九折れの連続だったようですし、天城トンネルと併せていかにここが下田街道の難所だったかってのが分かります。

まっすぐ下れば河津桜で知られる河津の町に出るのですが、R414は右折してちょっとした山岳区間へ。

天城峠を越えたこの南伊豆エリアは、日本の歴史に大きく関わっています。
それはまた後日に記しますが、江戸時代から海上交通の要所として独自に発展してきました。
だが東海道の発達によって次第に海上交通が衰退し、時には命懸けでもあった天城峠の存在で陸の孤島となっていくのです。
で、それを救ったのが天城トンネルの開通なのですね。

そんな視点で山間の辺りを見てみると、どこかうら淋し気な、ひっそりとした、そしてゆっくりとした時間が流れてるようにも見える。






歴史も、現状も、知ってる事の方が少ないので、勝手に自分が作り上げてるイメージが大きいのかもしれません。
でも率直に「いいとこだな」って思いました。
人々の生活の息吹が聞こえてきそうな田舎だとか、長い年月をかけて作り上げられた里山とか、
そういう場所に琴線が触れる自分がそう思った感覚はあながち間違いではないと思う。

そして伊豆半島は、まだまだ琴線に触れる場所の連続でした。

長くなったので今回はここまで。




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