最近の出来事

ニュースや新しいテクノロジー、サイエンスについて感じること。

グーグル

2011-01-26 07:52:56 | 日記
グーグルにおけるアンドロイド関連部門の責任者エリック・チュの発言で見逃せないものがある。
フォーブスによれば、彼は「アンドロイドのアプストアが期待はずれの状況だ」と不満を漏らした
その際、容認できない発言があった。

「ユーザーのアドレスブックをソフトウェア開発者が利用できるようにする」というものだ。
つまり誰と誰がつながっているかをグラフ(ソーシャルネットワーク)にして広告主やソフトウェア開発者に提供するというのだ。
個人のプライバシーを全く考慮していない。

もちろんグーグルは広告会社だから、ユーザーのアドレスブックが宝の山に見えても仕方がない。
しかし、そこにある個人情報に手をつけるというのは倫理上許されないのではないか。
知り合いがアンドロイド電話を使っていたら、住所録から自分の情報を消してくれと頼まなければいけない。

これまでもウェブブラウザーやウェブページを通じて、ウェブの利用状況に関する個人情報をかき集めてきた会社だ。
個人情報を保護していては商売が成り立たない。
収入源が広告に限られているという大きな制限のため違法すれすれのところで活動するのは致し方ないが、何をしてもいいというわけではない。
グーグルの倫理観が今問われている。

ちなみに、チュによると現況打破の秘策とは

1.アプリケーションの中で買い物が出来るようにする
2.電話会社を通じて支払いが出来るようにする
3.アプストアの内容を整理する
4.ソフトウェア開発者に対するニンジンとして、ユーザーの住所録を解放する。
5.HTML5を利用したアプリケーション開発を目指す。

#1は1年前よりアップルが行っており、2匹目のドジョウを狙ったものだ。
ただの物まねで問題はない。

#2は直接支払いを受け取れるアップル社と異なり、グーグル社の弱点だった。
各国の電話会社との個別交渉になるので楽ではないが、通らなければいけない道だ(遅きに失した感はある)。

#3は現況を端的に表している。
アンドロイドのアプストアはただのリングトーンや壁紙、ウィルスで溢れており、まっとうなアプリケーションを見つけるのが難しい。
何らかの手入れが必要だ。
正しい方向といえる。
事前審査がないのも問題だ。
「自由」を掲げているからだが、そのためユーザーが保護されていない。

#4は上に述べたとおり言語道断だと思う。

#5は自分の首を絞めている。
つまりアンドロイドは通過点でもうすぐやめますよと宣言したのも同然。
そんなプラットフォームに誰が投資するだろうか?
将来のないプラットフォームのために時間を費やしてアプリケーションを作製する開発者がどこにいるだろうか?

グーグルが正しい戦略を立てられないのは、ハードウェアを知らないことと、あくまでも広告主の側にいてユーザーを金儲けの対象としてしか見ていないからではないか。