「ザ・ファイター」のクリスチャン・ベールはアカデミー賞(助演男優賞)の大本命だ。
先日、ゴールデングローブを受賞したが、当然だと思う。
まさに鬼気迫る怪演といえる。
彼はこの役のために、ほほがこけるほどに体重を落とし歯並びまで変えている。
全身から放つオーラはまさに薬物中毒の不条理さそのものだ。
映画が進むにつれ彼の内面に変化が起きる。
その繊細な機微も絶妙に表現している。
これほど自信を持って予想できるオスカーはかつて無い。
銀行レースだ。
さて映画の方だが、大きな問題を抱えている家族と、才能を十分に伸ばしきれない主体性のないボクサー、過去の栄光にしがみつき薬におぼれるトレーナー(兄)、主人公と激しい恋に落ちる大学生、迫真のボクシング、心の奥に秘めた葛藤、等の要素が縦糸のように存在し、人々の間の軋轢と感情の爆発が横糸となって物語をまとめている。
映画そのものも単に人物伝に留まらず、社会性のある人間ドラマとして観客にメッセージを伝えている。
来週(2/27)、作品賞にノミネートされたとしても驚かない。
さらに、ゴールデングローブではエイミー・アダムスとメリッサ・レオがノミネートされ(助演女優賞)、メリッサが賞を獲得した。
メリッサ・レオは21グラムでデル・トーロの妻を渋く演じていたのを覚えているが、評価の高い Frozen River (フローズン・リバー)を見逃しているので、DVDを見てみたいと思う。
(今オンラインで調べたらすぐ借りられそうなので、近所の図書館まで回してもらうように手配した。)
つい先日、ブラック・スワンに五つ星をあげたばかりだが、この映画も五つ星に値する。
良い映画に続けて巡り会えて幸運だ。
★★★★★