ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ナチス怒涛の侵略(フランク・キャプラ監督)

2012-05-06 | Weblog
コメント:「素晴らしき哉、人生」「毒薬と老嬢」のフランク・キャプラ監督による一種のプロパガンダ映画。とはいえ、アニメーションや実写フィルムを織り交ぜたその手法はやはりフランク・キャプラ監督ならではのもの。よく歴史の教科書に「マジノ線」というフランスがしいていた防御ラインについて言及があるが、その構造はこの映画をみて初めて知った。またなぜドイツがオランダ、ベルギーそしてノルウェーに侵攻したのかその理由も地図で図解されている。リトアニアの在外交官だった杉原千畝氏が日本のシンドラーとして諸外国ならびに国内でも評価が高いが、なぜそれではドイツがバルト三国とよばれたリトアニアに侵攻したのかその理由までは言及している歴史の教科書は少ない。大英帝国を東側から空爆するためにもスカンジナビア半島に拠点を作る必要があったためだが、第二次世界大戦開始直後のドイツ陸軍の動きは確かに才気あふれるもの。電撃的にフランスなどに侵攻していくその手腕は見事だったが、すでにこのDVDでもうっすら予想がつく展開ではあるが、侵攻はできても治安を維持するのは難しい戦法だった。
 プロパガンダとはいえ、ノルウェーに対する侵攻やデンマークやオランダ、ベルギーなどへの侵攻は不可侵条約などを無視したかなり豪腕の侵略だ。連合国側にはかなり甘い内容となっているが、少なくとも中立を維持しようとしていた国々への侵略の様子はかなりひどい。ポーランドをソビエト連邦と分割統治した歴史も、かつてオーストリアやプロイセンがそうだったごとくポーランド民族にはわすれがたい歴史だろう。とはいえそこまでひどい歴史を刻みつつもEUという壮大な試みが現在なされているところに欧州各国の未来への意気込みを感じる。ギリシアやイタリア、スペインといった国々の財政赤字の問題などはこうした歴史の流れのなかでは大きな問題ではないような気がする。

ドライブ・アングリー(パトリック・ルシエ監督)

2012-05-06 | Weblog
キャスト:ニコラス・ケイジ、アンバー・ハード、ウィリアム・フィクナー、ビリー・バーク、デヴィッド・モース
ストーリー:誰もが「死んだ」と思っていた男ミルトンは、自分の娘とその夫をカルト教団に虐殺され、孫娘を誘拐されたことから執拗な追跡をくりひろげ、途中カフェテリアで会った娘バイパーとともにカルト教団を追い詰めていく…
コメント:だれもがそうはいわないが、この映画、明らかにクリント・イーストウッドの「荒野のストレンジャー」「ペイルライダー」を現代版に焼き直したものだろう。「ペイルライダー」では「青白き馬に乗りた男来りて…」とヨハネの黙示録を金鉱掘りの娘がつぶやくとクリント・イーストウッドが馬に乗って現れたが、この映画ではダイナーを辞めたばかりの娘が恋人にDVを受けている最中に車を持っていないニコラス・ケージが現れる。ま、別に物語の設定上、ニコラス・ケージは別の車でもよかったような気もするが、それをいっては「シェーン」はなぜあの家族のあの男の子だったのか、「マトリックス」はどうして「ネオ」だったのか…と粗探しになってしまうのでそれは問わない。で、登場人物の名前からして「ミルトン」。これは「失楽園」の作者である17世紀イングランドのジョン・ミルトンをなぞった名前だろう。いわゆるサタンとその系譜についてキリスト教にも影響を与えた「失楽園」。すでに冒頭から粗筋は決まったようなもの。まあ…アクションシーンはたいしたことなく、カルト宗教とはいっても「生贄」がはたしてアメリカのカルト教団にふさわしいものかどうかは疑問。生贄ってなんだかパレスチナかあるいはメキシコ系カソリックの影響を受けたカルトあたりのほうがしっくりくるが。
 セリフのなかに「地獄の門」という言葉があり、これはダンテの「神曲」をモチーフにしたものだろう。おそらくは「地獄から脱出」ではなくて「煉獄から脱出」のほうが納得がいかないわけではない。しかしまあ、そうしてしまうとアクション映画というよりも小難しくなるので「地獄」と脚本はなったのかもしれない。
 映画の中でauditorが「監査役」と翻訳されていたが、これは「審問官」のほうがより適切な翻訳ではないかと感じた。株式会社ではないので監査役というよりも地獄の審問官という位置づけでないと、どうもしっくりこない。審問官だからまだニコラス・ケージの善悪の是非までは判断がつかず、そこでコイントスの出番となる。映画で突然コイントスをして「運が良かったな」というセリフがあるが、これは神ならぬルシファーにお伺いをたてる意味でのコイントスだったのだろう。