ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

猿の惑星:創世記(ルパート・ワイアット監督)

2012-05-03 | Weblog
キャスト:ジェームズ・フランコ、フリーダ・ピントー、ジョン・リスゴー、ブライアン・コックス、トム・フェルトン、ジェイミー・ハリス、デヴィッド・ヒューレット
ストーリー:製薬会社の花形研究者ウィルは傷ついた脳細胞を回復させる薬を発明しようとしていた。アフリカ大陸から運び込んだ猿を対象に実験を繰り返していたが、最も顕著に知的活動が進歩したメス猿が突然暴れだし死亡。その息子をやむなく家で育てていくが…
コメント:最も性質の悪いボス猿は実はジェームズ・フランコ演じる研究者ウィルではないか、と…。シーザーはネーミングはローマの独裁執行官を思わせるが映画の中ではきわめて穏便に、しかも民主的手続きを踏んでいるように見える。一方で人間のウィルは製薬会社の内部規定は無視するは、製薬開発を進めろといった途中で「やっぱりやめる」などと言い出し、それじゃあ普通はレイオフになってしまうのも無理ならかぬところ。シーザーが家に帰りたくない理由。それは研究者ウィルが鼻持ちならない独裁者だからではないか、と。恋人のインド系アメリカ人のキャロラインですら、なんだか猿のシーザーとさしてかわりがない扱いにみえるのは私だけか。
 さて旧「猿の惑星」シリーズは第1作から第5作まで製作された。第2作では未来の世界から「現代」へシーザーとその妻コーネリアスがやってくる。ちなみに「猿の惑星1と2」で登場するコーネリアスはこの映画のなかでちらっと紹介される。また旧「猿の惑星」で登場するイカロス号はこの映画のなかではニュースの報道でちらっと登場。もともと名前がイカロスなので、墜落するのが「予定」されている感もある。旧「猿の惑星」シリーズは人気されあれば、とことん続ける…という意地で続けた感じもあり、それがかえって第1作の価値をも押し下げたが、2011年になってまた新たな物語が始まるのも不思議だ。人間が進化のトップにたつという自信が揺らいでいるせいかもしれない。旧「猿の惑星」は、マッカーシズムによる「赤狩り」と猿の人間狩りをオーバーラップさせ、「猿の惑星2」にはベトナム戦争やベトナム戦争に用いられたナパーム弾などの影響がかいまみえる。それでは、21世紀の「猿の惑星」には何が反映しているかというと、リーマンショックによる世界同時不況。エンディングのタイトルロールをみると直線が画面をはいわたり、それが分岐し、さらに枝分かれしていく様子がうかびあがる。これって一つの「終末」が瞬時に世界をかけめぐる様子をグラフィカルに表現したものだろう。少なくとも1968年ごろの世界ではこうした「終末」もしくは世界の崩壊は予想されていなかったはずだ。もし次の「猿の惑星」が製作されるとしたら、世界同時不況ではない別のテーマが画面に色濃くにじみ出てくることだろう。
 
 さらにキャスティングでいうと、けっこう地味に豪華。トム・フェルトンは「ハリー・ポッター」シリーズで悪役ドラコを演じた俳優。魔法の杖のかわりに感電棒をこの映画では持っている。アルツハイマーの父親役はジョン・リスゴー。アメリカテレビ「デクスター」の第四シリーズでゴールデングローブ賞を受賞。この映画ではうってかわってアルツハイマーの患者を熱演している。フリーダ・ピントーは「スラムドッグド&ミリオネア」でヒロインを演じた女優。主役のジェームズ・フランコは「スパイダーマン」が有名だが個人的にはロバート・アルトマン監督の「バレエ・カンパニー」で演じた料理人の役が好き。この映画ではなんだか鼻持ちならないのだがこれはやはり脚本のせいだろうなあ…。
そろそろ「猿の惑星」から離れて「キリンの惑星」とか想定外の進化の歴史を映画化してもいいのでは、とか思う。オゾン層が弱体化して植物はいずれも異様な育ち方をし、生物はキリンなど首が長い動物が優勢となって人類はいずれも皮膚がんでばたばた死滅し、3000年後の地球ではキリンが文明を司っていた…。だめか…。