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えすみの日記

ふつーの主婦ですが、日本の未来を真剣に考えたい!

日本は世界第5位の農業大国

2010-11-05 09:37:22 | 読書
感想文『日本は世界第5位の農業大国~大嘘だらけの食糧自給率』
浅川芳裕著
講談社プラスアルファ新書刊

著者略歴
1974年、山口県生まれ。月刊「農業経営者」副編集長。1995年エジプトカイロ大学文学部東洋言語学科セム語専科中退。ソニーガルフ(ドバイ)勤務を経て、2000年農業技術通信社に入社。若者向け農業誌「Agqizm」発行人、ジャガイモ専門誌「ポテカル」編集長を兼務。


タイトルに惹かれた。日本の近代史をはじめとする自虐史観、「海外よりこの点で遅れている。だから日本人はダメなんだ~」等の自虐的日本人論、少子高齢化で経済も国際競争力がなくなってダメになっていく…日本の未来は暗い…
マスコミでは毎日、日本人を暗い気分にさせ、未来にたいして不安を煽るような放送番組を繰り返している。これでもかこれでもかと流している。
そしてつい最近脚光をあびるようになった食糧自給率もそのひとつ。



~以下Wikiより ~

食料自給率(しょくりょうじきゅうりつ)とは、1国内で消費される食料のうち、どの程度が国内産でまかなわれているかを表す指標。食料を省略して自給率と言われる場合もある。

以下の二種類がある
カロリーベース総合食料自給率

国民1人1日当たりの国内生産カロリー÷国民1人1日当たりの供給カロリー

なお、国民1人1日当たりの供給カロリーとは国産供給カロリー+輸入供給カロリー+ロス廃棄カロリーの合計である。

生産額ベース総合食料自給率

生産額=価格×生産量で個別の品目の生産額を算出し、足し上げて一国の食料生産額を求める。

国内の食料総生産額÷国内で消費する食料の総生産額
~~~~~~~~~~~~
日本は先進国中最低の食糧自給率である→食糧のほとんどを海外からの輸入に頼っている→輸入が止まったら食糧がたりなくなり大変なことになる→だから、自給率をあげる努力をしましょう(具体的には小麦粉より国産米粉をつかうなど)

↑この理論、マスコミでさんざんとりあげられてきました。
『日本は食糧生産力がないんだ。日本の農業は衰退産業なんだ。ささやかだけど米粉を買って日本の農業を応援しよう』

私もすっかり信じてこんな風に感じてました。

民主党も食糧自給率を現行の41%から10年後には50パーセントにするという政策を掲げています。
そのために戸別所得補償制度をつくりましたよね。


しか~し!

浅川氏はこれらの自給率なる指標は

『まったく無意味!』

とバッサリ切り捨ててます(オドロキ)

先進国中最低と言われる自給率はカロリーベースでこれを国策として使っているのは日本のみ(なぜなら食糧政策としても、農業政策としても有効な指標ではないから他国では採用しない。農水省の発表している他国の食糧自給率は日本の農水省が独自に計算したもの。)等…
食糧自給率という指標のまやかしと
これを国策に採用することの愚を詳しく浅川氏は述べてます。

それどころか、
日本の農業は世界に誇れる成長産業である。

とはっきり述べてます。

マスコミが盛んに流す日本の農業のイメージは、
高齢化、
後継者不足、
低収入
農業従事者が年々減っている
だから日本の農業は衰退している


というものですが、

これらは他に生計の術をもつ兼業農家であり、日本の農家の一面しかとらえていない。

日本には
生産性向上と品質向上、顧客開拓に力を入れている農家が少なからずいて

(つまり農業をきちんとビジネスにしている)

彼らのような専業農家が
今の日本の農業を支えている。日本の食品が海外でも安心、安全、高品質という評価なのは、彼らの努力のおかげである。

マスコミは農業にきちんと取り組んでいるこれらの専業農家をこそ、取り上げて農業のイメージを変えるべき。

政府は片手間に農業に取り組む兼業農家に金バラマキ、やる気をますます萎えさせる戸別所得補償制度をやめて

真剣に農業に取り組む農家にこそ補助金や援助を惜しむべきではない。


浅川氏はこのようにのべています。

とにかく読みはじめて最後まで、

目からうろこが落ちまくり。

そうそう、
浅川氏がこの本でもうひとつ重要なことを述べてました。

農水省が食糧自給率にこだわる理由ですが、

食糧の貿易の際に発生する関税によって多額の利益をえているから。だそうです。

つまり、日本は「農家を守るため」という建前で海外からの輸入品に高額の税金をかけていますが

そこから農水省の幹部の懐にかなりお金が入る仕組みになっているそうで
高い関税を維持するため、また自由化を阻止するための海外向けの口実として、食糧自給率を示して「日本の農業はこんなに弱いからいじめないでください」と宣伝してるそうです。

これを読むと
いまもめているTPPへの参加に真っ先に農水省が反対してるのも納得…

日本は農業も海外との競争力が十分あるんだから
つまらない権益にこだわる農水省は本当にどうしようもないと思います

奇跡のリンゴ

2010-08-21 10:11:24 | 読書
【奇跡のリンゴ】石川拓治著、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班監修、幻冬舎。

いやはや、感動しました。

副題にもあるとおり、

絶対不可能といわれ、だれも成し遂げたことのない
リンゴの完全無農薬栽培を実現させた人。

青森のリンゴ農家、

木村秋則(あきのり) さんの物語。


無農薬?それがどうしてすごいことなんだ?

農業に縁のない人にはピンとこないかもしれません。

元々リンゴという果実は渋味が強く実の小さな野生種でした。つまり、とても食べられるものではなかった。

現在の甘くて大きなリンゴは
人間の好みに合わせて、品種改良を重ねて結果うまれたものだといいます。

しかし、品種改良の結果、リンゴの樹は害虫や病気に非常に弱くなってしまい、

たくさんの農薬をつかわないと簡単に壊滅的な打撃を受けてしまうのだそうです。

木村さんはふとしたきっかけで、30年ほど前、リンゴの無農薬栽培を始めるのですが、

この努力が半端ないです。

しかし農薬をやめて何年も実はおろか、花も咲かないのです。

畑は害虫が大発生し、病気も頻発して
木村さんは農薬以外でできるあらゆることを試しては失敗します。
努力しても、努力しても結果が出ず。
みるみる弱って枯れていくリンゴの樹々・・・。

一家は収入が激減し、
困窮して、日々食べるものすら、困るほどに・・・。ちょうど、日本がバブルにわいていた頃こんな苦労をしていたことに驚きました。

だれにも強制されたわけでもない、やめようと思えばやめられたのに苦しくてもがんばった木村さんとご家族。

そして、

苦しんでギリギリの果てに見つけた『答え』。
その答えにいたる過程は感動的でした。

まだ読んだことのない人のために詳しくは書きませんが、
泣けました。

この答え(無農薬栽培に本当に必要なもの)が、述べられているページを読みながら

私は何度もアニメの風の谷のナウシカの場面を思いだしていました。

猛毒の瘴気を発する腐海の植物の胞子を集めてこっそり育て、

恩師ユパを驚かせたナウシカ。「きれいな水と空気があれば腐海の植物も毒を出さないんです。汚れているのは土なんです・・・」

腐海の最深部に迷い込んだナウシカ。人をよせつけない最深部で、人間を苦しめているはずの腐海が自浄作用で大気や水をきれいにしようとしている働きがあるのを知って涙する。

ナウシカの腐海に対する愛情と、
木村さんのリンゴに対する愛情。

失礼かもしれないけど、
私の中で重なって見えました。

半端じゃない、苦労を重ね花が咲き、実をつけてようやく収穫ができるようになるまで約10年。

10年・・・。

木村さんはすごい人です。

思いっきり感動したい人にオススメします。


普通の国になりましょう

2010-07-19 23:58:40 | 読書
【普通の国になりましょう】C・ダグラス・ラミス著。

著者は沖縄在住の政治学者。元アメリカ海兵隊員で大学教授などを経て、現在は平和憲法(9条)に関する問題や米軍基地問題についての執筆、講演活動しているアメリカ人です。



今話題の小沢一郎氏が

かつて

『普通の国になりましょう』

と発言したことあるそうです。

これは《憲法9条を変えて、自国軍を持とう》という意味だそうです。

この言葉について、

政治学者であり、元海兵隊員のラミス氏が

・国が軍隊を持つとはどういうことか

・戦争をするとはどういうことか

を平易な言葉(漢字にルビをふってます)でわかりやすく述べてます。

絵本のようで、若者向けに書かれた本のようです。


私は9条はそのままでいいけれど、
外国に攻められた時のためにやっぱり軍隊はあったほうが
いいんじゃないかと漠然と思っていました。

国民の生命が守られるし、
国の伝統や文化も守られる

はずだと。

けれどこの本のなかでは、そんな甘い考えを一蹴してしまう歴史のデータや
軍事力世界一のアメリカの現実が述べられています。
そして、『国の文化を破壊するのは、他国の軍事力や政治力ではなく経済です(つまりグローバル化)』という一文に衝撃を受けました。


軍隊を持つ、戦争をするとはどういうことか。そして沖縄の米軍基地問題や9条について、この本をよんで関心を持つ人がもっと増えればいいなと思いました。














坂の上の雲

2010-07-10 23:03:23 | 読書
ようやく読み終わりました。

司馬遼太郎さんの

『坂の上の雲』

文庫本で8冊。

実は、最初図書館で借りて読んでいたのですが、

あまりに面白くて、
繰り返し読みたくなってしまい、あわてて全巻買いました。

副読本(小説に載ってない日露戦争についての写真や詳しい資料)と突き合わせつつ、ゆっくり読んだので完読に約1ヶ月半かかりました。

ちなみにドラマ『坂の上の雲』に出演の菅野美穂さんは
この小説を読み終わるまで1年かかったそうです。

あらすじは
明治初期に四国松山に育った3人の若者、
秋山真之と好古兄弟。そして、正岡子規。彼らの青春時代と日露戦争を通して
明治初期の日本と日本人の姿を描いている

といったところです。

幕末から日露戦争までの日本は生まれたばかりの新しい国で未熟だったが、必死の外交で外国と渡りあい
勝利は絶望的といわれた超大国ロシアに戦争を挑み、奇跡の勝利をとげるに至る。

前半の真之たちの青春時代や日本の陸海軍の奮戦ぶりも非常に面白いのですが

日露戦争に至るまでの
政治や外交の様子、
さらには敵国ロシア側の内情なども実にわかりやすく描かれていて、

その点もとっても気にいってます。

日露戦争も開戦から終戦までいちいち劇的に展開するので

ドキドキしながらも、
ゆっくり読み進みました。
この作品は7割が日露戦争についてかかれてるのですが

戦争はどうして起きるのかとか

日本人にはこんなに必死に国を思っていた時代があったのか
とか

いろいろ考えさせられます。

司馬さんは繰り返し作品中で述べてますが、

この幕末から日露戦争までの明治日本は個人の立身出世が国益と合致したという希有な幸せな時代だった。つまり、一生懸命勉強して偉い人になることが
そのまま、国のためになると信じられていたそうです。だから明治日本の人たちは貧しくても必死に勉強したそうです。

いまの日本と大ちがいですね。

不況だなんだかんだで
閉塞感を感じている人や自信を失っている人にオススメしたい作品です。

秘話 陸軍登戸研究所の青春

2010-06-16 20:58:23 | 読書
『秘話 陸軍登戸研究所の青春』 新多昭二著【あらすじ】ラジオ好きの科学少年だった筆者は

10代の青春真っ盛りの時期に太平洋戦争を迎えた。

日々、敗戦色が濃厚になっていき、日本はついには学徒出陣、本土決戦か…というところまで追い詰められていくのだが… 。
英語の科学雑誌を愛読する、根っからの理系少年。旧姓中学の理科班(部活のようなもの?)でラジオや機械いじりや実験、発明を楽しんでいた筆者は
この理系の才能を見込まれて、
学徒出陣を免除される代わりに軍直属の兵器開発研究機関(登戸研究所)へ配属されることになる。

そこは、細菌兵器や気球爆弾など恐ろしい兵器を開発する極秘機関だった…

あらすじは
こんなかんじですが

のちに情報工学の分野でいくつもの会社を立ち上げ大成功をおさめた新多昭二さんの戦争体験記と言ったところです。

戦場に行っていない一人の若者(著者)が戦争前、戦時中、戦後の日本の激変ぶりを冷静に分析して淡々と述べているのですが…

戦争の悲惨さを訴えるとかそういうお話ではないです。

ただ他の戦争体験記にはないいくつもの珍しいエピソードなどが描かれていて
面白いと思いました。

ちょっと変わった視点からの昭和史を描いた作品です。

実は私この本を読んで、あるページで衝撃を受けました。
GHQの占領政策についてのことですが・・・

うーん、説明するのは難しいので、興味ある方は詳しくは本書を読んでみて下さい。