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5.生命の誕生・進化・終焉

2021-03-17 11:31:52 | 人類・新世界・未知との遭遇

生命の誕生・進化・終焉

・生命とは

生物一般の基本的属性。科学的に規定することは難しい。

生命について得られた生物学上の知見は莫大な量に達しており、生物の特性としてあげられてきたものには、生物体の有機物質を主とした構成と有機物質の生産、代謝、刺激反応性、ホメオスタシス維持の能力、自己複製と生殖、遺伝と変異などいろいろある。いずれも生物学的に重要なものであるが、「生命」の必要十分条件を規定するのはむずかしい。

 また、「生命とは分解と合成を繰り返しながら、その状態を維持する動的平衡にある流れである」と定義する。動的平衡とは何か?それはかたちを保ってはいるが、その構成要素は日々刷新されて、例えば人間の細胞は数年で入れ替わるという。そしてその生物だからこそ「時間」を認識するという(福岡伸一)。

(参考 Wikipedia、ほかに

エルビン・シュレーディンガー著、生命とは何か―物理的にみた生細胞 、岩波文庫、1944年

福岡伸一著「生物と無生物のあいだ」 -生命とは何か?、講談社現代新書、2007年05月18日)

 

・代謝

ウイルスを例外として、生物の体は細胞からなっている。したがって細胞が営む物質代謝は生命の重要な特性の一つである。生物は絶えず外界から物質を吸収し、また外界へ排出している。これが代謝の外見である。細胞内では環境から吸収した物質によって絶えず物質の更新が行われている。これは生命維持に不可欠で、代謝の停止は生物の死を意味する。

・自己複製と遺伝

すべての生物に普遍的な特性は、自らと極めてよく似た子孫を再生産する能力をもっていることである。この自己複製の過程は遺伝とよばれ、生命の基本的特性としてあげられる。

・生物と無生物

「生命とは何か」の解答に接近する方法の一つは、生命現象をもったもっとも単純な有機体を調べることである。例えば、バクテリオファージはバクテリアを宿主として増殖するウイルスであるから、自己の写しをつくるという生物共通の属性を備えている。

はやぶさ2、小惑星「リュウグウ」から生命誕生の“解”を探す

生命の本質に関する考察は,歴史的に生気論と機械論的概念との間で分かれてきた。生気論では,生物を非生物から区別し生命の根底にある本質を形成するなんらかの「生命力」の存在を認める。機械論では,生命が特質としてもつあらゆる現象は基本的な化学と物理学の法則に従う処理過程と変換現象で説明できるとし,究極的に生物は原子と分子で構成されたものであってそれ以上のものではないと主張する。

・生命の起源(Origin of life)と生命起源論( abiogenesis)
生命は、いつ、どこで、いかにして誕生したのかという、地球上の生命の最初の誕生・生物が無生物質から発生した過程に対する説明は古くから行われていた。遡れば、古代には神話においてそれを説明した。また、様々な宗教においても同様のことが行われ、形を変えつつ現在でも続いている。

  生命はいつどのように地球に出現したか。この問題は哲学や神学の課題ともなっているが、生物学上の仮説は次の三型に分けられる。

(1)自然発生説:生命は現在でも無生物から容易に自然発生する。

生物の自然発生は古代から広く普及していた観念である。

17世紀後半、イタリア人のレーディの説

18世紀後半、フランスのプーシェF. A. Pouchetとパスツールの論争

パスツール『自然発生説の検討』1861年

(2)生命宇宙起源説:生命は遠い過去から宇宙に存在するもので、地球の誕生直後に落下した。

1860年前後の、生命観の画期的な C・ダーウィンの『種の起原』の刊行(1859)。

生物進化の過程を逆にたどれば、地球上の原始的な生物に行き着く。

この原始的な生命体はどのようにして生じたのか。

生命には起源があるはずという論理的結論と、生物の自然発生はないという実験結果との間の矛盾を解決するため、生命が他の天体から地球にやってきて発展したという説が現れた。

ドイツのH・T・リヒター(1865年)、イギリスのW・T・ケルビン(1871年)、スウェーデンの物理学者アレニウス(1903、1908)。

現在これらは否定されている。例えば、宇宙空間に存在する種々の高エネルギーの放射線に耐えられる生命体は考えられない。宇宙起源説は、地球における生命の起源の問題が他の天体における生命の起源の問題に転嫁されている。

(3)物質進化の帰結としての生命:地球の歴史のある時期に、一連の化学反応が積み重ねられ、無生物的な有機物質が合成された。その後の物質の進化の過程で生命という有機体が形成された。生命の自然発生や宇宙起源説にかわり、現在では、地球上の生命は地球上における有機物の進化の結果として生じた、という考え。

ソ連の生化学者オパーリンやイギリスのJ・B・S・ホールデンは、天文学や地球化学などの資料を広く集めて原始地球の状態を想定し、原始的生命体を構成する有機物がどのような過程で無機物から生じてきたかについて考え、生命起源説をたてた(1922)。

オパーリンは著作『生命の起源』(1936)ではタンパク質の生成に重点を置いているが、のちに核酸とタンパク質とがまとまった系として生成するという観点を重要視した。

 アメリカのミラーS. L. Millerは、オパーリンやホールデンの想定した原始地球の物理学的・化学的環境を模倣した条件でのモデル実験によって、有機物の合成が可能なことを証明した。

地球が形成されたのは46億年前で、やがて原始海と原始気圏ができた。原始気圏は遊離窒素を含まない還元性のものであったと考えられている。そこでミラーは、原始気圏の仮想的成分であるメタン、アンモニア、水、水素の混合気体を、電極を入れたガラス管内に封入した。この管の中で数週間にわたって放電したところ、さまざまの単純な有機分子が気体相から分離し、ガラス管の底にたまった。この中には数種類のアミノ酸が含まれていた。

 これらの生成物のかなりの種類が、月の石や隕石(いんせき)から検出されている。これは間接的ながら、生命誕生に必要な成分が無生物的に原始地球で生成されたとする仮説を支持するものである。生成された有機物は原始海底に蓄積し、やがて物質代謝や自己複製能力をもった細胞構造、すなわち生命が誕生した、と考えるのである。

しかし、有機物から原始生命への発展の経路は一般に信じられている考えであるが、実験的証明はない。オパーリンは原始生命のモデルとして、コロイド状のコアセルベート(液滴)を用い、この中に酵素を封入し、細胞に似た代謝反応を行わせる実験を報告した。

 オパーリンやホールデンの仮説によっては、生成物は広大な水域中に拡散し、生命誕生に必要な濃度にまで達したとは考えにくい。これを解決する仮説をJ・D・バナールが提唱した(1967)。最初の生命は酸化白土性粘土粒の中に生じたという仮説で、詳しくは次のようである。

淡水や海水中で細かい粘土の沈殿物に吸着された小さな有機分子はでたらめにじっとくっついているのではなく、粘土分子との間および相互間に一定の位置をとる。これは、吸着された分子が互いに作用しあうことができ、とくにエネルギーが光の形で供給されうる場合にはいっそう複雑な化合物を形成することができるような位置である。

以上のようにバナールは有機高分子の出現における粘土の役割を述べている。この粘土をイギリスのカーンス‐スミスA. G. Cairns-Smithは原始遺伝子と考えた。その素材の濃縮促進作用のある原始遺伝子の担う情報解読は、現存の核酸パターンの解読より、さらに直接的な物理化学的反応である。原始遺伝子、つまり粘土結晶による支配が、粘土結晶のパターンに従って生成した有機高分子(たとえば核酸)による遺伝的支配に移行したのが、生命の起源にかかわる重要段階であると考えた。

しかし、DNA分子が存在しても、酵素DNAポリメラーゼとATPからのエネルギー供給系がなければ、現在の生物では自己複製はおこらない。この過程の実験的証拠はないが、すべての既知の生物がDNA(またはRNA)を含んでいるという事実から、最初に出現した自己複製体がDNA(またはRNA)を含んでいたと考えるのは妥当な論理的帰結であろう。

 イギリスのアンブロースE. J. Anbroseは、種々の生命の原始形態があったとした場合、特定のものだけが自然選択の結果残ったとは考えられないと主張している(1982)。なぜなら、原始的な生命形態は、地球の表面は広いので、必要とする物質を求めて競争する生物的環境にさらされていなかった。また塩基をDNAの中に規則正しく、偶然に並べる確率は非常に小さく、分子のランダムな組合せから多くの種類の原始生命が同時に生じたとは考えられない、生命の起源はただ一度のできごとであったに違いない、と述べている。

・環境と原始生命の進化

生物発生以前の地球には遊離の酸素は存在していなかったから、初めて出現した生物は無酸素的に有機物を分解しエネルギーを獲得する発酵型の微生物であったとされる。発酵により二酸化炭素が増加すると、次に、この二酸化炭素を利用し光のエネルギーで有機物を合成(光合成)することのできる「植物」が出現する。ここで初めて酸素が発生する。次に酸素による酸化をエネルギー獲得手段とする「動物」が発生した、と考えられている。いわば環境の変化が生物を変化させ、逆に生物が環境を変化させる(環境の生物化)という、両者の密接な相互作用がみられる。生物と外なる自然とをあわせて生態系というが、生物はこの構造のなかでのみ生存できる。また、この構造の発展とともに生物はより高次の生物に進化した。

 生命現象の分子レベルでの解明がさらに進み、生命の起源に関する問題点が宇宙生物学やモデル実験による寄与などにより解決されたとき、生命の定義は再検討されなければならない。[川島誠一郎]

 

 




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