脳トレ宇宙論 第23話 アインシュタインの宇宙① 特殊相対性理論 続
(R.ラゥカー、「四次元の冒険―幾何学・宇宙・想像力―」、工作舎、1989.の監訳者あとがきより抜粋)
アインシュタインの1905年の特殊相対性理論は運動物体の空間と時間は密接に結びついていることを明らかにし、ミンコフスキーはこれを空間の三次元に時間と言う異質な次元を加えた四次元時空連続体いう概念で表現した。この理論の結果を列挙してみると、光速度に近い速さで走っている物体は静止系から見ると縮んだり変形して見えること、光速度に近い速さに近づけば近づくほど質量が増大して加速しにくくなること(その結果高速度より早くはなれない)、質量とエネルギーは等価であること(その結果質量保存の法則とエネルギー保存の法則とは同じ内容を表しているということになった)等々。これらの常識に反する結果は、光速度不変の原理と特殊相対性原理から導かれるのである。この理論は慣性系についてしか成り立たなかったから、アインシュタインはこれを加速度系に拡張し、1916年に一般相対性理論を提唱した。この理論では重力によって時空間が曲がると考える。すなわち質量をもつ物体の周りの時空間は歪むと表現できるのである。
特殊相対性理論の要点、キーワード
①4次元時空、ミンコフスキー空間、ミンコフスキー計量、光円錐、これは4次元ユークリッド空間とは異なり、非ユークリッド空間である。
②世界点、世界距離、世界線、測地線
③ローレンツ変換、座標変換、ローレンツ変換の数学的解釈および物理的解釈、固有の長さ、ローレンツ収縮、時間の伸び
④固有時、4元速度、4元加速度、4元運動量
⑤運動方程式、エネルギーと運動量の関係、静止質量エネルギー
以上のような考察を進めるためには、時間空間に対して我々が従来持っている概念を根底から反省し直すことが必要である。特に、我々は時間tをすべての座標系に共通なパラメタ―のように考えてきたがアインシュタインは互いに運動している座標系には別の時間を考えなければならないことを示した。
(蛇足)とは言え、特殊相対性理論の数式展開は高校数学の範囲で十分であり、多くの参考書、解説書、教科書、WEB記事などがある。各自に適したものを選んで読むのが早道である。
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