脳トレ宇宙論 第31話 宇宙は どこから来て どこへ行くのか
宇宙論パースペクティブ ― 宇宙進化の軌跡と未来
(アンドロメダ星雲)
人間はなぜ宇宙に魅かれるのか。宇宙は学問、芸術、社会、意識・・・など、人類の活動全般について何を如何に変えてきたのか。
人類は遠い昔から空を見上げ宇宙について考えてきている。宇宙は無限に広がっているのか、宇宙は無限か有限か。宇宙はどんな構造か。宇宙はどんな形か。宇宙はどのように膨張しているのか。ビッグバンの前に何があったのか。再びビッグバンが起きるのか。・・・
現在宇宙について何が分かっているのか、何が分かっていないのか。
20世紀の後半から量子力学 素粒子物理学 天体物理学 原子核物理学 現代宇宙論 量子重力理論 電波天文学 天文観測機械の技術進歩 飛翔体観測 計算機械技術などの急速に発展した宇宙科学は、ビッグバン理論や多宇宙論、ブラックホールや暗黒物質の理論など、さまざまな発想や考え方によって非常に華々しい進展を遂げつつある。私たちの宇宙は138億年前に誕生して、現在まで膨張しつづけてきた、「進化する宇宙」だと言われている。この宇宙進化の過程のどこかで銀河が生まれ、さらに太陽系が生まれ、そして地球上に生命が誕生し、最後にとうとう意識をもち、いろいろなことを考え、それを伝えあって知識や科学理論を蓄積し、発展させる生命、つまり人間が生まれた。
ここでは大雑把に歴史的進展を見ながら、見てみよう。
物理学・天文学の歴史のあらまし
270BC頃 地球の大きさの測定エラトステネス(ギリシア)
129BC 「ヒッパルコス星表」の完成ヒッパルコス(ギリシア)
1543 「天体(球)回転論」発刊,地動説の提唱コペルニクス(ポーランド)
1609-10 天体望遠鏡による諸発見(ガリレオ衛星,月面模様,天の川の正体,太陽の自転など)ガリレオ(伊),ファブリチウス(独)ほか
1609-19 惑星運動の法則の発表 ケプラー(独)
1610 「星界からの報告」出版 ガリレオ(伊)
1668 反射望遠鏡の製作 ニュートン(英)
1672 太陽視差の測定 カッシニ(伊)
1678 光の波動説の提唱 ホイヘンス(蘭)
1687 ニュートン『プリンキピア』(万有引力の法則、運動の3法則)
1704 光の粒子説の提唱 ニュートン(英)
1718 恒星の固有運動の発見 ハレー(英)
1728 光行差の発見 ブラッドレー(英)
1755 島宇宙説と太陽系の星雲起源説の提唱 カント(独)
1783 太陽系の空間運動の測定 ハーシェル(英)
1785 宇宙(銀河系)の形と大きさの観測的決定 ハーシェル(英)
1796 太陽系の星雲起源説の提唱 ラプラス(仏)
1838-39 恒星の年周視差の測定 ベッセル(独),ヘンダーソン(英),ストルーヴェ(露)
1842 恒星のドップラー効果の予測 ドップラー(オーストリア)
1850頃 天体写真術の確立 ボンド(米),ド・ラ・リュー(英)
1856 恒星の光度-等級関係の定義 ポグソン(英)
1869 元素の周期表(メンデレーエフ)
1886 ラジオ波の検出(ヘルツ)
1887 マイケルソン-モ-リーの実験 マイケルソン(米),モーリー(米)
1890 天体の視線速度(ドップラー効果)の測定 フォーゲル(独),シャイナー(独),キーラー(米)1901 恒星スペクトルのハーバード分類 キャノン(米),ピッカリング(米)
1895 X線の発見(レントゲン)
1896 ウラン放射能の発見(ベクレル)
1897 電子を発見(トムソン)
1898 ラジウム発見(キュリー夫妻)
1900 量子論(プランク)
1902 星間ガスの重力安定性理論 ジーンズ(英)
1903 原子崩壊説を提唱(ラザフォードとソッディ)
1905 巨星と矮星(星の区別)の発見 ヘルツシュプルング(デンマーク)
1904 原子模型の理論を発表(長岡半太郎)
1905 特殊相対性理論の提唱 アインシュタイン(独,スイス)
1905 光量子仮説(光の粒子性) アインシュタイン(独,スイス)
1911 原子構造についての研究(ラザフォード、ボーア)
1911-12 宇宙線の発見 ヘス(オーストリア)
1913 原子構造の量子論(ボーア)
1914 恒星のスペクトル型と絶対等級の関係(H-R図)の出版 ラッセル(米)
1915-16 一般相対性理論の提唱 アインシュタイン(独)
1919 原子核崩壊の実験(ラザフォード)
1920-21 干渉計による恒星直径の実測 アンダーソン(米),マイケルソン(米),ピース(米)
1923 コンプトン効果の発見(コンプトン)
1924 物質波の概念の提唱 ド・ブロイ(仏)
1924 恒星の質量-光度関係 エディントン(英)
1924 渦巻星雲の正体の解明(セファイド変光星の発見) ハッブル(米)
1925 量子力学の創始(ド・ブロイ)
1927 銀河系の回転の観測オールト(蘭),リンドブラッド(スウェーデン)
1929 銀河の速度-距離関係の発見 ハッブル(米)
1930 冥王星の発見 トンボー(米)
1930 サイクロトロンの建設(ローレンス、リビングストン)
1931 チャンドラセカール限界質量の提示 チャンドラセカール(インド,米)
1931 宇宙電波の発見 ジャンスキー(米)
1932 陽電子の発見(アンダーソン)
1932 中性子の発見(チャドウィック)
1934 超新星の性質の解明 バーデ(米),ツヴィッキー(米)
1934-35 中性子星の理論的予測 バーデ(米),ツヴィッキー(米),エディントン(英)
1935 中間子理論(湯川秀樹)
1937 中間子の発見(アンダーソン、ネッダーマイヤー)
1938 ウランの核分裂の発見(ハーン、シュトラスマン)
1939 恒星質量ブラックホールの理論的予測 オッペンハイマー(米),ヴォルコフ(米),スナイダー(米)
1939 核反応による星の熱源の説明(ベーテ)
1942 核の連鎖反応(フェルミ)
1945 原子爆弾(米国)
1946 ビッグバン理論 ガモフ(ロシア,米)
1957 最初の人工衛星スプートニク1号(ソ連)
1961-63 クエーサー(準恒星状電波源)の発見 シュミット(米),マシューズ(米),サンデイジ(米)
1962 X線星の発見 ジァッコーニ(米),ガースキー(米),パオリーニ(米),ロッシ(米)
1964 クォーク理論の提唱(ゲルマンら)
1965 宇宙マイクロ波背景放射の予言 ディッケ(米),ピーブルス(米),ロール(米),ウィルキンソン(米)
1965 宇宙マイクロ波背景放射の発見 ペンジァス(米),ウィルソン(米)
1967 パルサー(中性子星)の発見 ベル(英),ヒュウイッシュ(英)ほか
1967 電弱統一理論 ワインバーグ(米),サラム(パキスタン),グラショー
1969 人類の月面到達(アポロ11号) (米)
1971-72 確かなブラックホール候補(Cyg X-1)の同定 小田 稔(日),ウェブスター(英),プリングル(英)ほか多数
1973 ガンマ線バーストの発見 クレバサデル(米),ストロング(米),オルソン(米)
1975 連星系をなすパルサーの発見 ハルス(米),テイラー(米)
1987 超新星1987Aからのニュートリノ検出 小柴昌俊・カミオカンデ・グループ(日)
1998 銀河系中心にブラックホールが存在する証拠 ゲッツ(米),クライン(米),モリス,ベックリン(米)
1998-99 宇宙の加速膨張の発見 パールムッター(米)ほかSCPチーム,シュミット(豪),リース(米)ほかHizSSチーム
2000 すばる望遠鏡運用開始(日)
2001 ハッブル定数の高精度決定 フリードマン(米)ほかハッブル宇宙望遠鏡キープロジェクトチーム
2003 宇宙論パラメータの精密決定 スパーゲル(米)ほかダブリューマップ(WMAP)衛星チーム
2016 ブラックホール連星合体時の重力波の観測 LIGOチーム(米)
・・・
以上100弱の項目を示したが、この他の成果もこれらの数十倍から数百倍あるいはそれ以上であろう。宇宙科学も多くの数知れない人類の英知と精密な実験、観測を営々として積み上げてきた成果である。今後将来にわたってこれらをさらに読み解き、さらなる進展を期待し、希望が膨らむ。かくして我々人類の実りある豊かな無限の未来がある。
我々は何者か?
ETIは本当にいるのか?
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