その(1)
「古典尺八を楽しむつどい」。古典とは
いつの時代まで遡ればよろしいのでしょうか。
尺八の歴史を紐解きますと、なんと1万年前
にまで遡ります。中国の1万年も前の遺跡から
鶴や動物の足の骨に孔を空けた笛が何本か出土
しているそうです。
その昔、中国は漢の武帝の時の事です。武帝は
隣国を攻め、戦いに明け暮れていましたが、ある
時、山間に兵を進めていきますと、猿の鳴き声が
聞こえてきます。その声がなんとも美しい。
兵たちは、その声に聞きほれ、闘う意欲を失って
しまいました。故郷の家族のことが思い出され、
里心がついて、戦意喪失です。
兵たちが進まないので、怒った武帝は、「その猿
を捕まえ、殴り殺せ!」と命じます。「ぶてぇい、
ぶてぇい!」と。誰も応じようとしないので、武帝
は自ら弓矢をとり、その猿を射殺してしまいました。
“いかんわなぁ”。漢の国はやがて滅びます。
さて、何日か、何ヵ月かが過ぎて、村人が山中で
妙なる笛の音を聞きます。近づいてみると、朽ち
果てた猿の骨に、風が当たり、妙なる音が鳴って
いるではありませんか。
村人は、その猿の骨で笛を作り、また、竹で同じ
ような笛を作った。それが尺八の元祖だそうです。
あります。
尺八は、中国音で「チーパ」。もともとの意味は
「肘や脛の骨」だそうです。
このように、尺八には、なにか、もの悲しい、
郷愁を誘うような響きがあるようでございます。
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