木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

ヨコハマ・デザイン・サーベイ

2007-04-05 23:14:04 | Weblog

 

取り込んでいた幾つかの仕事が大体目途が着いて来たので、今日は夕方から横浜駅前のショップを巡って、デザインの調査・マーケッティングをした。

随分前から、ディテールの設計に行き詰った時にはとにかく町へ出て色々なものを見ながら歩いているとフッとアイデアが浮かんでくることが多かった。

今設計している住宅のシアタールームのインテリアで吸音パネルと壁クロスの見切り材、其の色、収め方トータルな雰囲気を考えているので、其のヒントを求めながらの探索である。

 

横浜高島屋の2階に海外ブランドのショップが集中している。

アルマーニ、エルメス、シャネル、ダンヒル、カルチェ、ブルガリ、ルイ・ヴィトン、サルバドーレ・フェラガモ等々皆立派なショップである。

材料は、石か木をメインの素材にして後はディスプレイ家具のデザイン、短期間に施工をしているので、高級ブランドと言えども、ディテールは単純なものがほとんどだ。

むしろテクスチャーや色彩感覚に見るべきものが多い。

ここではやはりアルマーニ・メンズショップの色彩感覚が秀逸。

 

日本でショップデザインが脚光を浴びたのは、もう20余年程前のニコル、ビギ、コムデギャルソンなどの店舗が出てきた時であろう。

ニコルは当時売れっ子のデザイナー横田良一を擁して、シンプルなインテリアで人気を博したものであった。

彼のデザインはそれ以降ファッションショップの定番となった感がある。

私が本社ビルを設計したミレーヌ・トモダの友田社長と一緒に横田氏のデザインオフィスに行ったことがある。

商品陳列が主流であった当時の店舗に対し、彼は空間を売ると言って、商品の数を少なくし店舗を広く見せる独特の手法を持っていた。

現在のショップデザインは、高島屋などを見ても、やはり商品主流でショップの空間デザインで売っているものはほとんどない。

 

最近著しい躍進ぶりの東口そごうへ往く。

同じ海外ブランドショップが2階にあるが、ルイ・ヴィトンのショップが目立っている。

例の何枚かのガラスを重ねて模様のモアレを造ったファサード。唯一の空間を売る店舗である。確か建築家の青木淳のデザイン。

このあたりでは、東口のルミネにたくさんのショップが集まっている。

有名ブランドではないが、小さいながらも個性的でまとまったデザインの物販店舗が多い。

照明や、ガラスの使い方、商品棚に参考になる店舗が多い。

1階の喫茶室のインテリアが良好。バックのカーブした壁パネルが効いている。

 

 色々歩いて、考えている間にアイデアが湧いて来た。

臙脂と黒のストライプ壁面にゴールドのL型金物の見切り材ではどうだろう。

やはりウエスチンホテルの黒と赤茶とゴールドのイメージ。カーテンの選択が課題だと思う。


都知事選・雑感

2007-04-04 00:14:01 | Weblog
今話題の都知事選挙が中盤を過ぎ、残りわずかとなってきた。告示前の盛り上がりに比べると選挙戦に入ってからは、メディアに登場することが限られるせいか何となく緊張感に欠ける印象を受ける。

1975年の美濃部・石原決戦の時、私は石原氏の演説会場について廻り、最後は新宿東口の保革入り乱れての呼号合戦に臨場した記憶があるが、其の時は石原裕次郎も登場しての盛り上がりであった。当時は今のように醒めた時代でなく何かが変わる予感があったので、それはすごい迫力であった。

最近会う人ごとに、黒川さんの都知事選出馬について聞かれる。曰くなんで今更選挙に出るの?本気なの?選挙応援しなくていいの等々。
私も直接話を聞いたわけではないからわからないが、最近の色々な発言や新聞記事を読んでいると、何となく気持ちは理解できるような気がしてきた。
元々社会や大衆について、敏感な人であったが一方で生活臭さを排除する人でもあった。芸術家としての氏はほぼすることをし尽くしたような気がする。後は原点に戻って行動することを選択したのかとも思う。
しかし話を聞いていて昔の黒川さんの鋭さはどこに行ったのだろう。

又選挙となるとどうして歌ったり踊ったり、下町のナポレオンだのドラえもんなどと言わなければならないのだろうか? 無党派層あるいは大衆は劇場選挙でないと関心をもってくれないと言うことだろうか

孫子の兵法に曰く”戦いは正を持って合し、奇を持って勝つ”は良く知られた言葉であるが、この選挙戦は奇策ばかりが目に付いて戦の感じが余りしない。
やはり正論を戦わす機会例えばNHKで、半日ぐらい掛けてじっくり討論をしそれぞれの人物を皆が評価するぐらいのことが出来ないものか。
一国の総理に匹敵する首都の長を選ぶ選挙は、もっと格調高く密度の濃いものであって欲しいと思う。

週末の東京行脚

2007-04-01 00:10:32 | Weblog
今日は恵比寿に最近開店した”ビーンストーク”というベビー用品のショップの九州店についての打ち合わせ。ビーンストークとは豆の木という意味である。
恵比寿のショップはガーデンプレイスの三越店の地下1階にある。ベビー用Tシャツとアクセサリー、靴その他のかわいい商品が置いてある。ベビーカーを引いた若い奥さん達で賑わっている。

ガーデンプレイスの三越店はいつもそれほど混雑していず、ギフトで利用する客も多いようで、この選択は正解だったかもしれないと思う。
企画者の河野氏から、ベビー・マーケットと今後の方針について話を聞く。お台場のビーナスフォート店も最近オープンし、これからの展開が楽しみである。

打ち合わせの後、六本木へ 短時間であったが昨日オープンした東京ミッドタウンを通りすがりに見学してみた。
これは六本木ヒルズとあらゆる面で対照的な再開発プロジェクトである。ヒルズは森ビルがテレビ朝日の土地を核に周辺の土地を地上げして開発。入居テナントは時代を象徴するIT企業、タワーのデザインも従来の超高層と雰囲気の違うイレギュラーな形で設計はコーン・ペダーソン・フォックスアソシエイツ、一方のミッドタウンは三井不動産、積水ハウス、大同生命他数社の共同企業体で、防衛庁跡地の再開発計画である。設計はスキッドモア・オーイングスメリル、他安藤忠雄、隈研吾などが美術館の設計でコミットしている。
全体的な印象はヒルズに比較して落ち着いた大人の雰囲気を出しているが面白みは余り感じない。短時間であったのでショップが配置されているギャレリアに行って見たが、何か表参道ヒルズと同じようなアトリウム空間と高級店舗、人の混雑振りで余りインパクトを感じなかった。

ミラノのギャレリアは1階のショップの魅力と建物のファサードが素晴らしいのであり、吹き抜けを余り意識させないところが秀逸だと思う。ところがこれをお手本にする日本のギャレリアは、吹き抜け空間を立派に飾るばかりでそこに人の動線を集中させ、ショップは関係なく人ばかりがぞろぞろと巡るだけ。表参道ヒルズもまったく同じである。 もったいないことだと思う。

ミッドタウンはデザインがテーマだと聞いた。敷地の中にサントリー美術館や、デザインのテーマ館もあり、建物も多種類の材料とファサードデザインで変化に富んでいると思う。
しかし人がたくさん集まり其の人たちが楽しく歩け、くつろいだり談笑できる空間がきちんとデザインされているとはどうも思えない。前述したアトリウムの創り方にしても、屋外レストランの配置の仕方にしても、、、
それぞれの建物を斬新な形や新しい材料を使用してデザインすることに精一杯、それぞれを結ぶ空間や、広場についてもう少し配慮が欲しかったと思うのは私だけだろうか。

これからも六本木周辺に同じようなプロジェクトが幾つか出来るという。恵比寿の近くでも地上げの話を聞いた。 こんな同じような大規模プロジェクトばかりではなく、もっと中規模でも質の高い再開発地区をつくるべきだと思う。現在の街を生かしながら、、、