木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●文武一道

2012-08-04 18:41:38 | Weblog

 右:嘉納治五郎、左:三船久蔵

 

忙しく過ごしているうちに、いつの間にか時間がたって、オリンピックも佳境となった。

食事時にテレビを見ていると、まず日本柔道の放映がある。日頃は柔道など気にかけたこともないのだが、今回のように日本選手の負け試合を見るのも久しぶりのことである。

ある程度勝ち上がってから負けるのは仕方ないにしても、初戦から負ける映像を見させられるとだんだんと感情移入し、テレビに夢中で仕事が遅れることこの上ない。

 

しかし知らなかったが日本柔道はいつからこんなに弱くなったのだろう。 専門家の意見も注意深く聞いてみる。

大体言ってることは、柔道の国際化が進み、外国選手との力の差がなくなってきたことと、色々なルールや審判の判定ミスなどに引っ張られなかなか勝てないのだという。

それにしても金メダルが女子の松本選手だけというのは情けない。特に男子の重量級は全く勝てず、涙を流す選手がいるにいたってはこれはどうなっているのかと思う。

 

文武一道とは、柔道の神様と言われた三船久蔵十段の言葉で、極めれば学問もスポーツも結局一つの道であることを教え、スポーツも肉体の修練だけでなく、精神的要素が必要なことを述べた言葉である。

空気投げで、自らの数倍の体を持つ相手を、簡単に投げ飛ばす三船十段のテープが残っている。お互いが組み合い移動するうちにスパッと一本が決まる美しい申し合い。 

今の組手を取り合う手競り合いばかりで、いたずらに時間ばかりが過ぎるJUDOとは全然違う。 そして負けて呆然としてインタビューに応じる選手の姿は、なにやら今の日本社会の姿を象徴するようでもある。

 

なにやかや言っても、結局は実力不足。日々の訓練が足りなかったということだろう。 

それとどの選手も、得意技がはっきりしないで、これなら勝てるというものが伝わってこない。やはり個性を感じないのである。

目先の勝ち負けにこだわってばかりで、得意技を磨くような時間と体制ができないのかもしれない。

 

無敗を誇った、ブラジルの格闘家ヒクソン・グレイシーのビデオをあらためて見てみたが、本当に勝ちパターンが決まっていて必ず勝つ。

それと先手で常に動いて小さなジャブを相手に与え、隙あらば一気に勝負にもって行き決めてしまう。 また彼は一種の戦う思想家でもあり、日本へ進出するときに、日本社会の分析まで行っている。

日本人の長所の真面目さについて、勝負において時にそれは短所でもあることを、、、、。

 

しかし、この難しい時代を生き抜くために、目先の出来事に踊らされず、得意技に磨きをかけなければならないのは、私自身の課題でもあることを、ここ数日のオリンピック報道で改めて教えられたような気持ちではある。

 

 


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