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木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●パブロ・ピカソとその予言能力

2008-10-09 23:50:20 | Weblog

この10月4日から、国立新美術館とサントリー美術館で、”ピカソ展”が共同開催されている。

昨日六本木のミッド・タウンに行ったので、サントリー美術館のピカソを眺めてきた。

 ピカソほどの巨匠となると、ほとんどの絵が何らかの形で見覚えがあり、特に改めて衝撃を受けると言う事はなかったが、彼の下書き用のスケッチブックが展示してあり、めったに見れない線描きの素描はやはり力強いラインを見せて貴重なものであった。

 

ピカソの絵は現代を予言するものであるとよく言われる。上記の絵は1937年ピカソの愛人であったマリー・テレーズを描いたものだが、多面的な視点の導入、要素を分解して再構成する手法は、よく知られるように現代の相対主義を象徴するものであった。

 

晩年になると作風は変化し、左は”影”という1953年これはピカソの子供を2人生んだ妻で画家のフランソワーズのヌードと自分のシルエットを重ねた絵、私は”影”は色彩感覚といい構図と言い好きな作品のひとつである。

右は1962年、46歳年下の愛人で妻のジャクリーヌ・ロックの肖像画。ジャクリーヌは晩年のピカソを支えた魅力的な女性であった。

この絵にはピカソの原点と成熟の両方が見て取れるようである。

 

詩人は時を知らせるとヘルダーリンは言っているが、画家はビジュアルな手法で時代精神を表現する。

ピカソの生涯を見ても予言能力とは平凡な日常生活の中から出てくるものではなく、特殊な人間の特殊な体験から出てくるものだということを強く感じる。

 

それだけ時代を味方につける事は、誰にも出来ることではなくマイノリティーのものかもしれないと思う。


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