ここのところ連日、渋谷のスパ爆発事故の報道が続いている。
まだ日本でスパ・リゾートなどの言葉もなかった20年程前にドイツの湯の町バーデンバーデンを訪れたことがある。
其の時は温泉よりも森の国ドイツの”黒い森”と呼ばれていたシュバルツバルトを見たくて行ったのだが、バーデンバーデンの整備された町の姿に感心した。
ホテルは後のアトリウム型ホテルのモデルとなった”バディッシャーホッフ”へ泊まった。
夜はカジノへ繰り出そうというので、ネクタイを締めて出かけたが中部ヨーロッパを代表する観光地のカジノは其の歴史を感じさせ風格のあるものであった。
カジノに隣接してクア・ハウスがある。
中には入らなかったが周辺は綺麗に整備され、町全体が癒しの空間となっている。
近くのバーデン・ワイラーにもモダンなクアハウスがあり、其の設備の充実した内容と豊富な緑にスパ・リゾートを実感した。
しばらくして、日本でも温浴施設ブームが起きた。
丁度バブルの崩壊を境目に癒しが求められてきた時期に符合している。
私も両国に”ゆ・江戸遊”というアクアハウスを設計した。
両国周辺は古くからの良質な住宅街と相撲部屋をはじめ豊かな旦那衆の存在で知られるところであるが予想通り繁盛した。
今では江戸遊はチェーン店を4ヶ所経営していると聞く。
横浜周辺では、駅前の”スカイ・スパ”が著名である。
駅から近いので多くの顧客を集めており私もよく利用している。
ここの長所は14階という高さからの眺望であろう。
サウナからの眺望、寝湯からの眺望、加えて種類の豊富なジェットバスが清潔な洋風インテリアと共にお客の評価を得ているものと思う。
こんな横浜のみなとみらいに和風の味を歌った”湯河原温泉・万葉倶楽部”がオープンしてしばらく経つ。
先日機会があって行って見たが、外観の平凡さに比較して内部は中々ユニークなものであった。
まずエレベーターで最上階に行き受付は7階、そこに浴槽と露天風呂があり、その他のサービス施設は階段で1階ごと降りて、マッサージルームやレストランが設置されている。
民芸調のインテリアで、木も黒く塗ってあり多少暗い感じがしないでもないが、微妙な雰囲気があり癒しを感じる人も多いかと思う。
比較的高い年齢層であるが、若い女性の姿も見かけられた。
ただ何か一つバーデンバーデンで感じたシンボルとなる空間がほしい気がした。
横浜のハマボウルの跡地に”後楽園ラ・クーア”が進出することが決まった。
西口にはこの種の施設がなかったからタイミングの良い出店だと思う。
性格の薄かった西口のビジネス街もこれで一段と整備が進むことと思う。
日本のスパ・リゾートもようやく色々な淘汰を経て、リゾート空間と呼べるものを建設できる時期に来たように思う。
こんな時期に松涛のような事故は嘆かわしい限りであるが、リゾートマネージメントと同様、施設設備管理の面でもより一層の努力が求められる時でもあろうと思う。