「階段紀行」シリーズのフランス編を始めます。階段のバラエティではイタリアよりもフランスの方がより豊富です。まずはパリからスタートしましょう。
第一弾はルーブル美術館。古代オリエント時代から18世紀にかけての所蔵美術工芸作品数は30万点以上。おそらく世界でも最も有名な美術館だろう。
宮殿に1989年I・M・ペイによって造られたガラスのピラミッドから美術館のエントランスに入ることになるが、その入口に軽快な螺旋階段が存在する。
柱や壁の支えを持たない、すっきりとしたデザイン。
ガラスの天井から差し込む光の中を、美の殿堂へと誘う優雅な導入路になっている。
下から見上げれば、新体操のリボンが舞いひるがえるような軽やかさを感じることが出来る。
チケットを購入して美術品の宝庫へと足を踏み入れると、正面にどっしりとした階段が現れる。踊り場に見えるレリーフは、イタリアの彫刻家チェッリーニの作品だ。もしイタリア・フィレンツェに行かれたことのある方なら、シニョーリア広場のロッジアにあるメドゥーサの首を掲げた「ペルセウス」を思い出すかも。あの作品の作者でもある。
鉄製の手すりで囲まれた幅広い階段。エントランスの軽快さと比較するなら、こちらは中世からの歴史を感じさせる伝統的な造形が際立つ。
館内の作品を紹介し出すときりがないので、超個人的な好みで絵画と彫刻作品を1点ずつ。
絵画はラトゥール作「いかさま師」。あの狡猾そうなおばさんの表情が何とも素晴らしい。
彫刻はジェルマン・ピロン作「悲しみの聖母」。前の絵画とは対照的に全身から慈愛の香りがあふれ出るような聖母の姿に感動です。
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