新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ベルニーニとローマ③ ローマは「古代遺跡の残る街」から「画期的ななバロック都市」へと変貌して行く

2021-02-13 | ベルニーニとローマ

 クーポラからの見学を終えたら、大聖堂内部を見て回ろう。ここには有名なバルダッキーノと呼ばれる高さ29mの天蓋がある。

 聞きなれない言葉バルダッキーノとは、バグダッドのこと。バグダッドから運ばれた高級な布地で天蓋を作ったことから生まれた言葉だ。

 そもそも大聖堂はAD64年にキリストの一番弟子聖ペテロが殉教した場所に建てられた教会。聖ペテロがこの教会の地下に埋葬されている。

 その聖なる場所を示す天蓋は、太くねじれたブロンズの柱が豪快にうねり、鳩、月桂樹の葉などが彫り込まれている。ベルニーニは旧聖堂にあったエルサレムから運ばれたとされるねじれた柱に注目、これを積極的に取り入れて、さらに装飾的に仕上げたものだという。

 このねじれは、その後の各地のジェズ教会の建築に次々と採用され、バロック建築の典型とされるようになって行った。このバルダッキーノは、新しいバロック美術の誕生を示す作品として今でも輝き続けている。

 さらに、バルダッキーノの奥にあるのがカテドラ・ペトリ(ペトロの司教座)。初代ローマ教皇の重要な遺品を納めたブロンズの司教座を、4人の教会博士が支える。その上には神の光、周囲を飛び回る天使たち。目も眩むほどの作品は、バロック美術における最高傑作の1つとされる。

 現存するこの大聖堂は、前回に少し触れたように、ミケランジェロがブラマンテの計画を引き継いで、雄大なクーポラの完成へと導いた。

 ベルニーニは先人の志を引き継いで、次に大聖堂広場の画期的な整備を実現し、さらに内部の革新的な充実を成し遂げることに成功した。

これはローマを単なる「古代遺産の残る街」ではなく、革新的なバロック都市に変貌させたことにほかならない。それはベルニーニを第2のミケランジェロに育てようとしたウルバヌス8世の試みが見事に実を結んだ証でもあった。

 

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ベルニーニとローマ② ベルニ... | トップ | ベルニーニとローマ⓸ ミケラ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ローマ (gloriosa)
2021-02-14 19:55:30
がーこ様

 お久しぶりです。

私のブログも久しぶりにローマの話を始めました。写真はだいぶ前に撮影したものばかりですが、内容は変わっていないはずなので、改めてローマという街をベルニーニという人をテーマに再検証しようという企画です。
10回ほど続けていきたいと思っています。

地震は、相当揺れました。震度4ですが、夜中だったのでちょっとショックを受けましたよ。まあ、大きな被害はなかったようで、不幸中の幸いというところでしょうか。

返信する
Unknown (がーこ)
2021-02-14 19:18:03
こんばんは。

外側も内部も本当に雄大で豪華ですね!
ツアーとかで行くのではなく、やはり個人で行ってゆっくり細部まで見たい場所ですね。

行けなくなると、あちこち何処へでも行きたくなりますね〜。

昨夜の地震は大丈夫でしたでしょうか?
関西までもわずかですが揺れたようで、よほど大きかったのだと思います。
返信する

コメントを投稿

ベルニーニとローマ」カテゴリの最新記事