ジェズアーティ教会はジュデッカ島を望むザッテレ海岸に建っている。
4本のずっしりとした円柱が、ファザードを飾る。
ここは、ジャン・バティスタ・ティエポロフアンの私にとってはたまらない教会だ。
別名を「サンタ・マリア・デル・ロザリオ教会」というように、天井画は「ロオザリオの制定」が掲げられている。
ドミニコ修道会の創始者である聖ドミニクスが、ロザリオを掲げて異端者たちを追い払う奇跡の場面だ。
ドミニクスの姿は極端な仰視法で描かれる。私たちは天井に平行に絵を見ているのだが、絵の中にいるドミニクスは垂直に立っている所を見上げているとしか思えない。
一番下の部分では、異端者たちが画面からはみ出してしまったようなだまし絵手法も使われていて興味津々の絵になっている。
そして、上部にはゆったりとした空間を設けて、永遠性を思わせる画面構成を完成させている。
「ロザリオの聖母」は、画面の最上位に聖母マリアを配置し、
中央に左から十字架を持つ聖ローサ、キリストを抱く聖カタリナ、首飾りを手にうつむく聖アグネスの3人のドミニコ会女性聖人を配している。
まるで聖人の美人コンテストでもあるかのようなラインアップ。それもティエポロ特有の誰もが現実を超越したかのような無表情。
「男どもなんて、全く取るに足らないちっぽけな存在よね」などとつぶやいてでもいるようだ。
堂内は広々としている。
こちっらはジャンバティスタ・ピアツェッタ作の「ドミニコ修道会の三聖人」。
仰ぎ見る聖人の表情が素晴らしい。
その他にも昇天する聖人の姿。これもティエポロかも。
大きな「ロザリオの聖母像」も入り口付近に置かれていた。
ちょうど夕方のミサが終わったばかりの時間帯で、堂内の照明が点灯していたために、全体を明るい中で見ることが出来た。特に天井画などは照明がないと本当に暗くてよくわからないことをしばしば経験しているので、この日は本当にラッキーだった。