2018/12/4, 立花 聡=エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。=ネットワーク機器開発大手シスコ社は即座に反応し、一部の従業員に、不要不急の中国出張を控えるように社内メール通達を発出した。原因は明白だ。中国がファーウェイ事件の報復に出ることをリスクに捉えたからだ(12月7日付け英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」オンライン記事)。
様々な形態によって中国は外国人に出国制限をかけることができるのである。中国「民事訴訟法」第255条では、「被執行人が法律文書に定めた義務を履行しない場合、人民法院は出国制限をし、また関係部門に通達を発してその出国制限に協力要請をすることができる」と定められている。 上記条項の司法解釈の規定では、「出国制限される者の具体的範囲としては、被執行人が法人またはその他の組織であった場合、法定代表人、主要な責任者のみならず、財務・会計担当者等債務の履行に直接責任を負う者も含む」となっている。
さらに、中国の「外国人入国出国管理法」第28条では、外国人が次に掲げる情況の1つに該当した場合、これの出国を禁止すると定めている。(2)未完了の民事案件を抱え、人民法院が出国禁止を決定したとき。(3)労働者の労働報酬の遅配・未払いがあり、国務院の関連部門または省・自治区・直轄市人民政府が出国禁止を決定したとき。(4)法律・行政法規が定めるその他出国禁止の情況。 このように、様々な形態によって中国は外国人に出国制限をかけることができるのである。人種のるつぼといわれる米国は何より、多様性に価値を置いてきた。しかし、トランプ大統領の中国に対する露骨な狙い撃ちによって、このような米国の固有価値観に背馳する一面も露呈した。中国人エリートたちが戸惑うのも無理はない。 ニューヨーク・タイムズ系のコラムニスト袁莉氏がこう述べている。「北京にとっても、中国人エリート階級の対米恐怖感と信頼感の欠落によって恐ろしい結果を生む可能性がある。米中貿易に衝突が存在しながらも、双方の経済が緊密につながっている。現下中国経済の減速も相まって、米中のビジネス関係のいかなる停滞も状況を悪化させ得る」。権威主義体制下で育った中国人はあらゆる領域に及ぶ国家権力にとにかく敏感である。あらゆる領域に政治やイデオロギーが浸透し、彼たちはこのような赤裸々な権力行使に嫌悪感を抱きながら脱出を図り、自由な国であるアメリカにやってきた。彼たちから見れば、孟氏は犯罪者でもなければ、法律上の被疑者。あくまでも米中貿易戦争の犠牲者にすぎない。非常に感性的ではあるけれど。 彼たちは、中国人に生まれたこと、あるいは中国からやってきたこと、この出自を「原罪」とされたように感じた瞬間に、固有のアメリカのイメージが崩れ去ったのである。この問題の解決には2通りの方法がある。正確に言えば二段構えである。(1)まずは中国の進歩を抑制し、息の根を止めることである。これは通商の鈍化やサプライチェーンの無効化(中国外のサプライチェーンの立ち上げ)といった手段を講じることだ(12月9日付け記事「休戦あり得ぬ米中貿易戦争、トランプが目指す最終的戦勝とは」)。数年後に成果が出れば、米国の勝利となる。 (2)次に、もしこれが失敗した場合、つまり米国の抑制が奏功せず中国が最終的に大成功し、しかも米国を超越した状況になった場合の話。そのときに、べったりした中国依存状態よりも棲み分け状態のほうがよほど有利であることは自明の理である。(3) キーワードは「分断」と「棲み分け」。だから、掛け橋は要らないのだ。いや、邪魔で危険なのだから、早く撤去したほうがよい。トランプ氏はこう考えているのではないかhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/14794?page=3
様々な形態によって中国は外国人に出国制限をかけることができるのである。中国「民事訴訟法」第255条では、「被執行人が法律文書に定めた義務を履行しない場合、人民法院は出国制限をし、また関係部門に通達を発してその出国制限に協力要請をすることができる」と定められている。 上記条項の司法解釈の規定では、「出国制限される者の具体的範囲としては、被執行人が法人またはその他の組織であった場合、法定代表人、主要な責任者のみならず、財務・会計担当者等債務の履行に直接責任を負う者も含む」となっている。
さらに、中国の「外国人入国出国管理法」第28条では、外国人が次に掲げる情況の1つに該当した場合、これの出国を禁止すると定めている。(2)未完了の民事案件を抱え、人民法院が出国禁止を決定したとき。(3)労働者の労働報酬の遅配・未払いがあり、国務院の関連部門または省・自治区・直轄市人民政府が出国禁止を決定したとき。(4)法律・行政法規が定めるその他出国禁止の情況。 このように、様々な形態によって中国は外国人に出国制限をかけることができるのである。人種のるつぼといわれる米国は何より、多様性に価値を置いてきた。しかし、トランプ大統領の中国に対する露骨な狙い撃ちによって、このような米国の固有価値観に背馳する一面も露呈した。中国人エリートたちが戸惑うのも無理はない。 ニューヨーク・タイムズ系のコラムニスト袁莉氏がこう述べている。「北京にとっても、中国人エリート階級の対米恐怖感と信頼感の欠落によって恐ろしい結果を生む可能性がある。米中貿易に衝突が存在しながらも、双方の経済が緊密につながっている。現下中国経済の減速も相まって、米中のビジネス関係のいかなる停滞も状況を悪化させ得る」。権威主義体制下で育った中国人はあらゆる領域に及ぶ国家権力にとにかく敏感である。あらゆる領域に政治やイデオロギーが浸透し、彼たちはこのような赤裸々な権力行使に嫌悪感を抱きながら脱出を図り、自由な国であるアメリカにやってきた。彼たちから見れば、孟氏は犯罪者でもなければ、法律上の被疑者。あくまでも米中貿易戦争の犠牲者にすぎない。非常に感性的ではあるけれど。 彼たちは、中国人に生まれたこと、あるいは中国からやってきたこと、この出自を「原罪」とされたように感じた瞬間に、固有のアメリカのイメージが崩れ去ったのである。この問題の解決には2通りの方法がある。正確に言えば二段構えである。(1)まずは中国の進歩を抑制し、息の根を止めることである。これは通商の鈍化やサプライチェーンの無効化(中国外のサプライチェーンの立ち上げ)といった手段を講じることだ(12月9日付け記事「休戦あり得ぬ米中貿易戦争、トランプが目指す最終的戦勝とは」)。数年後に成果が出れば、米国の勝利となる。 (2)次に、もしこれが失敗した場合、つまり米国の抑制が奏功せず中国が最終的に大成功し、しかも米国を超越した状況になった場合の話。そのときに、べったりした中国依存状態よりも棲み分け状態のほうがよほど有利であることは自明の理である。(3) キーワードは「分断」と「棲み分け」。だから、掛け橋は要らないのだ。いや、邪魔で危険なのだから、早く撤去したほうがよい。トランプ氏はこう考えているのではないかhttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/14794?page=3