鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の巫女ー桂木透子ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第三十九話

2019-03-10 14:03:15 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第三十九話


私の偽者"シファル・サーベラー"を名乗るズォーダーの造り出した傀儡と対面を果たした。
見る姿も無惨な巫女の鎧=諸刃の鎧を脱ぎ捨て、巫女の剣(つるぎ)=諸刃の剣(つるぎ)を中段に構え、摺り足で近づいた。



「よくもまぁ。その下碑な格好で、白銀の巫女であるわたしの前に来れたものだな。」
「丸見えではないか。」
「フッハッハッハッハッ。」偽りの巫女は高々と笑った。

その偽りの巫女を取り巻く十数体のニードルスレイブが、頭上からゆっくりと降りてくる。
感応波を送り、起動させたのだろう。



「傀儡が操る人形に殺られるほど、マネケではない!」
「この私を見くびるなッ!!」
私は偽りの巫女の送り出す感応波を利用し、逆に人形たちを操る。
ニードルスレイブの射ち放つ矢が、180度、回れ右をはじめ偽りの巫女へと襲い掛かる。
まだ、私より体力を残す偽りの巫女は、風になびくカーテンのように「ヒラリ。ヒラリ。」と交わしてゆく。
時折、右手に構える巫女の扇で弾き返し、感応波でその弾き返した矢で私に襲わせた。

手甲型の諸刃の剣で叩き落とす。
やはり、呼吸を整えたとは云え、体力はかなり消耗している。
「ハァ。ハァ。」と私は肩で息をしていた。

「あまり時間を掛けるわけには行かない。」私は、人形たちを攻撃に操るのを止めた。
私の守りに利用し、一気にかたをつけるため、諸刃の剣(つるぎ)を下段に構え、ダッシュした。



「偽りの巫女シファル・サーベラーを名乗る者よ。」
「これだけ間合いが近ければ、あの人形たちの攻撃は不可能だな。」




「私は白銀の巫女シファル・サーベラー。この都市帝国を操れる唯一の人間!」

私は偽りの巫女の喉元に剣(つるぎ)の刃先を突き付けた。
だが、私の脇腹に刺さるものを同時に感じていた。
滲むように、じわりじわりと脇腹から血が流れるのを覚えた。

「ニヤリ。」と不適な笑みを浮かべる偽りの巫女。

「お前こそ偽りのサーベラー!」
「能力はわたしの方が上だったようね!」
「【跪づけ!さすれば命は助けてやる!」
「我々にはない文化の見せ物にしてやる!交尾と云う文化の見せ物になッ!!」

私は剣(つるぎ)を彼女の喉元から惹いた。
詰め寄る人形たち。
私は最後のチャンスに掛けた。
瞳を閉じ、感応波を張り巡らせた。
無数の矢が、偽りの巫女を貫く。





「残念だったわね。」
「所詮は造り出(コピー)された傀儡。」
「人工受精とは云え、私は母体から生まれ、育てられた人間。」
「記憶だけをコピーされた傀儡とは違うのよ。」
膝から崩れように床に倒れる偽りの巫女シファル・サーベラー。
その彼女が見上げるその先に大帝ズォーダーは居る。
そのズォーダーは、一足先に進んだ古代と対面した。




◆◆◆◆◆





一方、私たちが都市帝国内部に侵入している事など、あるはずもないと言わんばかりに大帝ズォーダーは、地球に使者として、バルゼーとラーゼラーの部隊を派遣、降伏を促していた。

地球が降伏を受け入れれば、人類は地球時間で一年または、大帝の欲している"時間断層"の解明が終わるまでは生かされているだろう。
実験材料として・・・

降伏を受け入れようと、受け入れまいと確実に地球人類は滅ぼされる。
それが大帝ズォーダーのやり方だ。
かつて、私の惑星(ふるさと)であるゼムリアが、そうであったように。
タイプズォーダーを造り、ガトランティス人と名付け、"駒"として支配していた当初こそ、ゼムリアは支配者であった。
だが、彼らゼムリア人は、その事に胡座(あぐら)を掻き、ガトランティス人を家畜扱いした。
造られし命の人形。ゼムリアの神話に残る"ゴレム"。
だが、ゴレムと1つ異なるのは、意識(こころ)を持っていた事。
そう。プロトタイプである初代タイプズォーダーは"人間"に近づける為、アケーリアスの残した"知恵の実"を与えたのだ。
これにより、タイプズォーダーはより深く思考する"人造人間"と成った。
「心」が造られたのだ。
家畜扱いするゼムリアが、崩壊する序曲が奏でられた瞬間であった・・・

当時、ゼムリアはその名をこの宇宙全体に轟かせる為、あらゆる知的生命体の存在する惑星(ほし)を力で支配して来た。
戦力と云う武器を利用して、支配して来たのだ。
だが、そんなゼムリアも人間には限りがある。
戦士となる人の不足である。
その戦士となる人を補う為にタイプズォーダーは造られたのだ。
人造人間の部隊なら、自分たちは戦わずして、新たに文明や文化そして、新たに支配する為の資源を手に入れる事が可能なのだから。



タイプズォーダーは、この心を利用してゼムリアに反旗を翻す事を企てる。



「白銀の巫女様。御願いが御座います。」
「ゼムリアの民は、私に心をと、このように私の細胞から新たに造り出した私の児を授けてくださいました。」
「私はこの児に"ミル"と名前を付けました。」
「ですが、私は児の育て方をまだ、教わっておりません。」
「どうか、私にも児を育てる力をお貸し願いたく思う所存であります。」

「タイプズォーダーよ。善き心を授けて貰ったようですね。」
「いいでしょう。わたくしが力を貸しましょう。"愛"と云う力を貸します。」
「いっしょにミルを育てる愛を育みましょう。」



白銀の巫女シファル・サーベラーの思いとは裏腹に、歯車は回りはじめた・・・


第四十話
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。