鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

二次創作ーさらば宇宙戦艦ヤマト・サイドストーリー第一話

2020-01-31 21:01:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作

二次創作
さらば宇宙戦艦ヤマト・サイドストーリー

第一話


プロトタイプ宇宙戦艦を奪取され、連邦政府内がゴタゴタする中、最新鋭護衛艦ゆうなぎのテスト航海と輸送船団護衛を兼任した古代は、帰還早々に、藤堂長官に呼ばれていた。


ー連邦政府長官室ー


「最新鋭護衛艦のテスト航海及び輸送船団の護衛の任務、ご苦労であった。」
「まぁ。掛けたまえ。」

古代は、腰から上を曲げ、一礼すると「はっ。」と短く返事をし、革ばりのソファーに腰を下ろした。

「古代。君の耳にも届いているとは思うが、プロトタイプの宇宙戦艦が何者かによって奪取された。」
「そこで君に、新たな任務に就いて貰いたい。」

「ここからは、私が話そう。」そう口を開いたのは、同席した芹沢参謀長であった。

「古代少佐。君には新たに土方中将の指揮下に入って貰いたい。」
「土方中将率いる太陽系警務艦隊旗艦「宇宙航空母艦グラーフ・ツェッペリン」に乗艦して貰いたいと思っている。」
「プロトタイプ宇宙戦艦の捜索、拿捕またはそれが叶わぬ時は、撃沈もやむを得ずである。」

「お話は解りました。」
「ですが、噂によれば奪取した者の仲間には"民間人"が含まれていると、耳にしました。」

「…古代。君の言う通り、民間人が含まれている。」
「だか、犯罪者である。」
「拿捕し、逮捕が最優先されるが、抵抗が激しければ、撃沈もやむを得ずだ。」
「その判断は土方中将に一任している。」
「君は、それに従えばいい。」
「この任務を受けるか、辞退するかを決めろ。」

「…解りました。受けます。」古代は少し、躊躇いがあったが、新しい任務を受諾した。

「うむ。話は決まった。」
「では、古代少佐。三時間後、第九宇宙港へ来たまえ。」
「そこで辞令書を渡す。以上だ。下がってよし。」

古代は腰を上げると、一礼し、連邦政府長官室をあとにした。


ー古代私邸ー


出迎える森雪との再開に笑顔を見せる進は、直ぐに新しい任務に就くを告げた。

「新しい任務!?」
「資源輸送船団の護衛じゃないの?」
婚前だが、既に一緒に暮らす雪が聞き返した。

「…すまんな。」
「藤堂長官から直々に頼まれてね。」
「すぐに戻るさ。」

「…そう。それで新しい任務って?」

「……土方校長、じゃなかった、土方艦長のお供だよ。」

「えっ!?土方さんの!?」

「ああ。そう土方さんの。」
「それより、雪、コーヒーを淹れてくれないか。」

「珈琲ね。ちょっと待ってね。」
「ミルクとお砂糖、たっぷりのお子さま珈琲、お待ちどうさま。」

「…お子さまコーヒーって、言うなよ。」進は、口を尖らせ云った。

「アハハハ。」

二人の笑い声が、二人の不安を消そうとしていた_。

「土方さんとの任務なら帰りは、解らないわね?」
「とりあえず、予備を含めて10日分の着替えを用意して置くわね。」
「洗濯はマメにね。」

「すまんな。雪。」

「何度も謝らなくても大丈夫よ。」

「すまんな。」

「ほらまた。」

「アハハハ。」


ー次元の狭間ー




「話は解りました。」
「あの古の種族の封印が解かれ、空間次元の門も開いてしまったのですね。」

「仕方ありません。わたくしの力が落ち込む時期と重なってしまったのです。」
「あなた方に罪はありません。」

「この異常な出来事に気がついてくれる事を祈るしか、ありません。」
「今のわたくしには、まだ、時間が足りません。」

「あの魔女だけは阻止せねば……」そう言うとテレサは念を集中させた。


ー火星圏・アステロイドベルトエリアー




「よし。この空間は、おあつらえ向きだな。」
奪取されたプロトタイプの宇宙戦艦は、アステロイドベルトエリアに浮遊する流星群に紛れ、その姿を隠した。

「人間よ。地球に対し、宣戦布告の時が来た。」
「実行に移せ!」
プロトタイプの宇宙戦艦内に声だけが、響き渡る。
眼を赤く光らせ、夢遊病者のように、ふらふらと動き出す奪取に関わった者たち。

「そうだ。我々は選ばれし者。」
「今こそ、地球人類に裁きの鉄槌を下ろす時!」
操られる者たちの中でも、リーダー的存在の青年が、声を大にして言った。

「誰が、地球に、連邦政府本部と防御軍司令部に同時に映像通信を強制介入出来る者は?」

「俺がやろう。ハッキングなら自信がある。」 一人の顎髭を蓄えた初老を迎えた男が名乗りを上げた。

数十秒後、連邦政府本部と防御軍司令部に、映像通信を強制介入させた。

「映像通信、繋がるぜ。」

「うむ。」

「℃#〈$_#……。我らは神に選ばれし者たち。」
「連邦政府及び防御軍に宣戦布告する。」
「我らは神に選ばれし者たち。地球を明け渡せ!」
「跪く者は命だけは助けてやる!逆らう者は死を与える!」
「我らは神に選ばれし者たち。」
「地球を明け渡せ!」


◆◆◆◆


【宇宙航空母艦グラーフ・ツェッペリン】

全長:362.5m

最大幅:66.5 m

主機
地球製量産型波動エンジン改・ギヤードタービン2基4軸

乗員
373名(パイロット:72名を含む)

兵装
40cm三連装陽電子衝撃砲×4基
10.5cm連装陽電子速射高角砲×16基
四連装ミサイルランチャー×2基
艦底亜空間魚雷発射管×4門

搭載機射出用リニアカタパルト6基
(舷側に3基づつ※但し宇宙空間(無重力での運用)を想定しての設備である。)

両舷側に管制ブリッジが聳える。
上部にはメインブリッジが聳える。

搭載機:70機
・コスモタイガーⅡ×65
(攻撃機(単座)×32雷撃機(三座)×24直掩機(副座)×6予備機×3)
・100式偵察機×2
・救命艇×2
・上陸用舟艇×1艇
※全体的には、後に完成するアンドロメダ級に艦形は似ている。


【護衛艦 ゆうなぎ】
(後のパトロール艦ゆうなぎ)

全長:190m
全幅:26.6m

主機:地球製量産型波動エンジン

武装
艦首:52Cm拡散式陽電子衝撃砲×1門

主砲20.5Cm二連装陽電子衝撃砲×3基

三連装魚雷発射管×4基

ミサイル×4門

搭載艇:脱出カプセル(内火艇)

※公式とは異なります。



第二話へ
つづく。


この物語りは、私設定が混ざった「さらば宇宙戦艦ヤマト」の二次創作です。
イスカンダルの航海後から白色彗星帝国出現までの約一年間の間のほんの僅かな隙間のオリジナルエピソードです。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶また、さらば宇宙戦艦ヤマトー愛の戦士たちー」等の設定資料から引用。

二次創作ーさらば宇宙戦艦ヤマト・サイドストーリー

2020-01-29 22:40:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作

ーアンドロメダ銀河近傍空間ー

「ダメだ!!ゲートが…空間次元の門が…」
「空間次元の門が開いてしまうッ!!」

【アンドロメダ銀河】

アンドロメダ銀河は、アンドロメダ座に位置する地球から目視可能な渦巻銀河である。
さんかく座銀河 (M33) 、銀河系(天の川銀河)、大マゼラン雲、小マゼラン雲などとともに局部銀河群を構成する。

直径
22~26万光年。

地球から約250万光年の距離に位置し、M33とともに肉眼で見える最も遠い天体である 。
およそ1兆個の恒星から成る渦巻銀河で、直径22~26万光年と我々の天の川銀河(直径8~10万光年)よりも大きく、局部銀河群で最大の銀河である。
従来は直径13万光年程度と見なされていたが、21世紀初頭の観測結果によって、アンドロメダ銀河の銀河ハロー部分(銀河周辺領域)と思われていた領域の星々が、実はアンドロメダ銀河のディスク(銀河の円盤部分)の一部であると判明し、アンドロメダ銀河本体がより大きく拡がっていることが判った。

かつて、系外銀河のことがよく知られていなかった時代に銀河は星雲と混同されており、その名残として現在でも「アンドロメダ星雲」、「アンドロメダ大星雲」、などと呼ばれることもある。
ハッブルがリーヴィットのケフェイド変光星による星間距離測定法を使って算定した初期には、地球からの距離は90万光年と言われていたが、その後距離を算定する手法の誤り(若いマゼラン雲とアンドロメダ銀河の年齢差による絶対等級の過少見積もり)が判明し2倍の200万光年と推測された。
さらに観測精度が向上し、徐々に推定距離が長く算定されるようになった。

一時期、見かけが天の川銀河と似ているとされていたが、アンドロメダ銀河は中心核を2つ持つことが観測より明らかになり、天の川銀河のバルジと比較してガスや暗黒物質が非常に少ないことや、そのガスが銀河面に直角な渦巻き構造を持つことなども判明した。
一方で、天の川銀河のバルジに棒構造が発見されたことにより、ハッブル分類上でもアンドロメダ銀河は渦巻銀河、天の川銀河は棒渦巻銀河に区別されるなど、両者の違いが明らかとなった。



「ダメだ!!今の我々の力では……」





このアンドロメダ銀河空間とは別の空間から突如、ワープアウトする白色に輝く彗星、白色彗星が出現した。
この出来事は約三ヶ月遅れで、地球でも観測され、地球連邦政府にも報告は上がるが、ガミラス戦役以降、「事なかれ主義」に舵を切りつつある連邦政府は、仮に、この惑星規模の彗星が現在の進路を維持し、天の川銀河へ、それも太陽系に接近するとしても、光の速さで約250万年も掛かる事から、気にも止められる事はなかった。

時に西暦2200年12月28日

ー太陽系連邦政府管轄・木星圏ガニメデ資源採掘基地・第十航宙港ー


【地球連邦防御軍所属:護衛艦ゆうなぎ】

「航海長。時間だ。」
「進路、地球へ。出航せよ。」

「進路、地球へ。ヨーソロ。」

この年、艦長に就任したばかりの若き士官、元宇宙戦艦ヤマト戦闘班リーダー古代進は、紺を基調とした艦長コートに身を包み、出航の指示を出した。
停泊する宇宙港から垂直方向に離陸用ブースターを噴射させながら、連邦防御軍所属護衛艦ゆうなぎが、ゆっくりと浮かび上がる。
内側がオレンジ、外側が半透明に輝く炎がブースターノズルから勢い良く噴射する。
その噴射に負けないくらいの水蒸気が、艦体を包む勢いで、舞い上がる。
1.000メートルほど上昇したところで、艦首の向きが変わった。
40度ほど上を向く。
それとほぼ同時にメインエンジンである波動エンジンに火が入った。
「ヴァシュッ!!」とメインエンジンノズル口が膨らむように開く。
同時に蒼白く噴射される炎は蜃気楼を浮かび上がらせた。
「ゆらゆら」と回りの景色が歪んで見える。

「第三戦速から第一戦速へ。」

「第一戦速へ。ヨーソロ。」
「大気圏離脱、30秒前!」

艦が小刻みに揺れる。
紫色の景色から漆黒の景色へと変わった。

「艦首、水平もどーせ。」

「艦首、水平ヨーソロ。」

「速度、そのまま輸送船団の右翼を固めろ。」

「了解。」

艦内外のチェックが済み、異常無き事を確認した艦長古代は、額の汗を拭うと白い艦長帽をかぶり直した。
それを見届けたかのように、同乗する元宇宙戦艦ヤマト生活班・通信士相原が口を開いた。

「艦長。新年は地球軌道上ですね。」
「嬉しいような。悲しいような。」
「そう云えば、休暇開けには結婚式でしたね。」
少し、「ニヤケた」顔を覗かせた相原。

「…すまんな。相原。」
「少し、伸びそうだ。ついさっき、長官から直々に、"とんぼ返り"を命じられた。」
「次の任務後だ。」

「そうなんですか!?」
「雪さん。可哀想ッスね。」

「いや、雪は理解してくれたよ。」
宇宙空間に浮かぶ星々を眺めながら、そう返事を返した。

悠久の時は流れ、生命(いのち)溢れるところ、それが大宇宙……
生命(いのち)から生命(いのち)へと、永遠に終わることもない……
生命(いのち)の歌で奏でられる海。
それが大宇宙……

先の白色彗星の出現とは別にもう一つ、この銀河に、いや、太陽系に忍び寄るものがあった_。

古代たちは、地球人類はまだ、この事に気づく者は居なかった_。


二次創作
さらば宇宙戦艦ヤマト・サイドストーリー
~絶対零度の魔女プロローグ編~




資源輸送船団及び、古代らが乗艦する護衛艦ゆうなぎが、地球軌道に到達する12時間前、それは突然に起こった。
防御艦隊再建に伴い、量産化に先駈け建造されたプロトタイプの宇宙戦艦が、何者かによって奪取されるという、前代未聞の事件が発生した。

けたたましく警戒アラートが、復興したばかりの防御司令部内に響き渡る。

「ガガガガーーーッ!!」

「司令室!聴こえるか!Aー6区の通路を閉鎖してくれ!」
悲痛な叫びと怒号が飛び交う中、1人また1人と犠牲者が出る。
黒衣に身を包む者を先頭に約30人ほどの武装した集団によるテロと呼ぶのに相応しい銃撃戦が、繰り広げられていた。

「奴ら、強化武装スーツと歩行型戦車まで持ってやがる!」
「空間騎兵隊並みだぜ!」
「それなりに訓練か場数を踏んだくらい手慣れてるぞ。」
「そこいらの武装テロ集団とは桁が違う!」

「伊藤隊長!このままじゃ自分たちは格好の餌食ですよ!」
「自分たちのアサルトライフル程度じゃ歯が立たない!」

「くっ!」
「司令室!自分たち警務隊じゃ歯が立たない!」
「相手は空間騎兵隊並みの手慣れた武装集団だ!」
「コッチにも空間騎兵隊を援軍に寄越してくれ!」

「今、送ったところだ!もう少し、踏ん張ってくれ!」


ー中央司令部作戦室ー

「芹沢参謀長!これはクーデターじゃないのかね?」
険しい顔を覗かせ、政府高官の藤堂長官が口を開いた。



「長官。只今、調べているところです!」

「参謀長!顔認証の結果が出ました!」
「全員の顔を確認は出来てませんが、民間人です!」

「バカな!民間人にこれほどまでの技量を持ってる者が居る訳がない!」

「……ですが連邦政府管理のデータとの照合です!」

「うぐぐっ。」どうなっているのだと、苦虫を噛んだ表情を浮かべる芹沢参謀長。


「貴様らとのお遊びも終わりだ!」
「射て!」黒衣に身を包む者による命令が下された。
歩行型戦車に装備された、対戦車用迫撃砲が火を吹く。
施設通路の壁に直撃した迫撃砲弾。
「ガラガラ」と崩れ落ちる瓦礫、生き埋めにされる警務隊。

「……つぅ。」
「おい!動ける者は居るか?」

「なんとか無事だけど、動けない!」

「こっちも動けない!」

そんなやり取りが続く中、プロトタイプの宇宙戦艦は奪取された_。





第一話へ
つづく。


この物語りは、私設定が混ざった「さらば宇宙戦艦ヤマト」の二次創作です。
イスカンダルの航海後から白色彗星帝国出現までの約一年間の間のほんの僅かな隙間のオリジナルエピソードです。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶また、さらば宇宙戦艦ヤマトー愛の戦士たちー」等の設定資料から引用。

もし、【さらば宇宙戦艦ヤマト】で終わっていたら…

2020-01-28 11:44:00 | 日記



もし、【さらば宇宙戦艦ヤマト】で終わっていたら…
テレビ版【2】が製作されていなかったら…

「ふと。」そんな事を思った事があった。
今現在、第1作テレビ版、劇場版、さらばを除き、リメイクシリーズ2199・2202を含めテレビ版2~復活編まで合計8作品が、存在する。(2520版)を入れると9作品。(^^;

で、本題に戻すとテレビ版2とリメイクシリーズを除くと6作品(2520を含む)。
「新たなる旅立ち」「ヤマトよ永遠に」「ヤマトⅢ」「ヤマト完結編」「ヤマト復活編」「2520」この6作品です。

さらばの時点で、沖田、古代、森雪、佐渡、真田、徳川、加藤、山本、土方、アナライザー、デスラー、タランと主要なキャラクターは死亡してます。
古代守は?スターシャは?
この二人のキャラクターも…スターシャ死亡編が、存在する事を考えると当然、この二人も死亡です。(T_T)

と、なると、「2520」しか残らない。
ただし、敵勢力として登場した「暗黒星団帝国」「ボラー連邦」「ディンギル帝国」「SUS連合」は使えるのではと思う。
「ガルマン」は無理と考えます。デスラーが死亡しているので。

そうなると…🤔

【宇宙戦艦ヤマト】という冠タイトルを付けた【2520】のような、全く新しい【宇宙戦艦ヤマト】が相応しい。となる。気持ちの面では複雑ですが(^^;

しかし、一気に300年近くも先の物語りは…とも思う。

でも、よくよく考えてみると第1作の「スターシャ死亡編」は封印され、「スターシャ生存編」が支持され、テレビ版から、さらばに繋がった訳です。
なら、「テレビ版2」からも支持されたから"あり"だろう。
ありだと思うけど、完結編はあり得ないになるのです。私の中では✋
「沖田の脳死までには至っていなかった…」これは本当に当時、劇場で怒りが込み上げたのです。

なんだかんだと結論が出ない(^^;
いや、出た(^-^)
ヤマトがイスカンダルから帰還した2200年から白色彗星帝国が出現、銀河系へ侵攻してくる2201年までの間、一年間の隙間。
ヤマトも健在、沖田以外は生存しているこの時代、エピソードがあっても良いんじゃない!?(;゜∇゜)
公式でも発表されてないし。と結論付けました(^^;





二次創作ー宇宙戦艦ヤマトrebornー後編

2020-01-27 23:29:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作

二次創作
宇宙戦艦ヤマトreborn後編


【奪還の果て】


「艦隊を失ったなどと、報告は出来ん!」
「反射衛星砲で、ロングレンジ攻撃で沈めてくれるわ!!」
「奴の、ヤマトの射程圏外からな!」

「ガンツ!反射衛星を展開せよ!」
「ヤマトを、奴の射程圏外から仕留める!」

「反射衛星砲、発射ッ!!」



「ヤマト上空より、高出力エネルギー弾!!」
「直撃します!」

「なっ何ッ!?」

「右舷、パルスレーザー砲群損傷!!」
「第22移住区に火災発生!区画隔壁閉鎖ッ!!」
「艦内、ダメージコントロール急げ!」

「……この攻撃。」沖田は呟くように心の中で云った。



「主力六番艦!轟沈ッ!!」

「なっ!何ッ!?」

「レーダー士!今のは何処からだ!」

「はっ、ハイ!それが零時の方向です!」

「…真上か!?」
「真上に艦影は?」

「あ…ありません……。」

「…ん!?」
「…今度はまっ…真下からです!」

「…艦長!艦隊を散開させよ!」

「了解ッ!」

目まぐるしくブリッジ内には状況報告と指示、命令が飛び交っていた_。



「あの時の攻撃と同じだ…。」そう確信した沖田であった。

「戦術長。航空隊を何時でも冥王星に降下出来るように散開、ヤマトから離れて待機させよ。」
「これよヤマトは、揺さぶりを仕掛ける。」

「航海長。コース258冥王星へ降下、全速で突入せよ!」

古代も島も、両名共に何をやらかすつもりなのか解らないまま、命令に従った。
古代は島の方を向いた。
島は島で、「やるしかないだろう。」と顔を覗かせていた。

だが、そのヤマトの動きに合わせ、無数に打ち上げられた反射衛星もまた、動く。
シュルツは複雑に高出力ビーム光弾を反射させ、ヤマトに直撃させた。

「ふん。」
「いくら全速で逃げても所詮、図体のデカイ戦艦。小型戦闘機のように飛び回れる訳なかろう。」
「やはり、猿以下だな。」

「反射衛星砲!次弾装填!」
「発射ーッ!!」

「…3.2.1.着弾!ヤマト左舷後方に命中!」
「ヤマト黒煙を撒き散らし、"冥府の海"に沈んで行きます!」

「うむ。」
「諸君。ご苦労であった。」

「シュルツ司令。上空に散らばるヤマトの艦載機は放っておくのですか?」

「母艦を失ったんだ。いずれ死を迎える。」
「無理に突入などしようものなら、ビーム砲台の餌食だ。」
「放っておけ。」

「了解であります。」



「シンマイ。例の高出力ビーム光弾の録画は全て、出来ているか?」

「聞こえないのかシンマイ?」

「艦長。お言葉ですが私はシンマイと書いてアラコメと読むのです。新米と。」

「…済まなかった。」
「で、新米、録れているか?」

「勿論、全ての戦闘記録は録画も含め、出来ています。」
「今、ヤマトが冥王星の海に沈んでいる場面も。」
「しかし、冥王星の分厚い氷の下にこんな海が存在したとは…新たな発見ですね。」

「コポン。…新米少尉。」

「あっ!?余計でしたね。」
「これが録画したものです。」
解析室中央に映し出された空間モニタにいましがた録画された冥王星攻略戦の一部が、映し出された。

「見ての通り、あの高出力ビーム光弾は反射され、ヤマトに命中している事が解ります。」
「つまり、ヤマトが冥王星上空の何処に居ても、反射させて直撃させる事が可能です。」
「ですが、このポイントから全て高出力ビーム光弾は発射されます。」

「うむ。」
「話は変わるが、新米。少尉はメガネを外した時の方、可愛いく見えるな。」

「…コポン。」
「艦長。今のセクハラに成りますよ。」

「いや、済まなかった。」

「戦術長。上空のコスモタイガー隊に陽動を仕掛けさせよ。」
「無数にあるビーム砲台に攻撃を仕掛けさせるんだ。」
「但し、全てを破壊出来なくとも構わんと伝えろ。」
「ヤマトはこれより浮上する。」
「浮上と同時に戦術長。君と椎名のゼロで、この座標を空爆せよ。」

「戦術長。了解。」

こうして、改めて冥王星攻略作戦が、開始された。
五月蝿いくらいに飛び回り、氷岩に設置されたビーム砲台に陽動攻撃を仕掛けるコスモタイガー隊。
そのコスモタイガーの攻撃に気を取られている合間にヤマトは浮上、古代と椎名のゼロを発艦、反射衛星砲台を破壊すべく超低空で侵入させた。

「アレだな。」
「これでも喰らいやがれッ!!」
ありったけの対地ミサイルをぶっぱなした椎名。

「南部!ヤマトは艦砲射撃で支援!」
「島!高出力ビームを捉えたら再び海へ潜れ!」

「了解!」

数分後、侵入した椎名から「高出力ビーム砲台」=反射衛星砲、破壊の報告を受ける。
その報告と同時に上空を飛び回るコスモタイガー隊が一気に雪崩れ込み、ヤマトと共にガミラス冥王星基地を壊滅させた。

24時間後、修復を終えたヤマトは、遅れを取り戻す為、ワープを行った。



「クルーの諸君。艦長の沖田だ。」
「あと数日で、最初の目標地「バラン星」である。」
「諸君らの活躍で占領された冥王星は解放する事が出来た。」
「そして、もう二度と遊星爆弾は地球に落ちることは無くなった。」
「感謝する。」
「バラン星到達までの間、各科で調整を取り、休息を取れ。」

人類滅亡まで、あと290日と迫っていた_。



ーバラン星宙域・ガミラス制宙権エリアー

「ん!?」
「…隊長。あれはヤマト。ヤマトをキャッチした。」

「バラン鎮守府に連絡を入れる。」

「コチラ、パトロール艇963。ヤマトをキャッチした。鎮守府方向へ向かっている。」



「ドメル閣下。」

「何か?」

「パトロール艇より入電、ヤマトを捕捉したとの事です。」

「何ッ!!あのシュルツを倒し、占領地、冥王星基地を壊滅させたヤマトか!」
「飛んで火に入る何とやらだな。」

「ゲール君。全艦艇を出撃させよ!」
「私も出る!」

「お言葉ですが、全艦艇でありますか?ヤマト一隻に。」

「ん!?不満か?」
「全艦艇で出迎え、戦意を奪う。」
「降伏か死か、好きな方を選ばせる。」

「御意。」



「居た!居た!ヤマトを捉えた!」

「ガミラス艦隊ワープアウト!」
コスモレーダーに捉えたガミラス艦隊。
緊急報告に度肝を抜かれるクルーたち。
うろたえるクルーたち。

「ガミラス艦隊!百を超え、尚もワープアウト!」
「ヤマトは包囲されつつあります!」
慌ただしく告げる相原。

「ガミラス艦隊!発砲!!」

「また、ワープアウト!」
「ガミラス艦隊総数…。」
「ガミラス艦隊総数500!!」

「……島航海長!ワープだ!」
「緊急ワープだ!」

「ワーーープッ!!」


ー次元断層空間ー


緊急ワープにて、ドメルの艦隊から逃れる事に成功したヤマトであったが、"次元断層空間"=時空間の狭間に墜ちるというトラブルに巻き込まれていた。

【スターシャの宇宙船ゴッド・ウイング】

「……ん!?」
「あの宇宙船は、何だ?」
次元断層空間にヤマトが落ちて、いの一番に口を開いた古代が云った。

「あの宇宙船も、何かの拍子で落ちて来たと考えてるのが妥当ね。」
「他の彷徨う宇宙船や宇宙艦みたく朽ち果てない事から、落ちてそんなに時間が経ってない感じね。」
古代の問いに答える新米。

「古代。なんとかあの宇宙船と接触出来んか?」
「此方に敵意が無い事を伝えて、接触を試みよ。」

「了解。」


百式偵察機で横付けした古代は椎名を随行させ、彷徨う宇宙船内へ侵入した。

「我々は地球人。君を傷付ける気はない。」
「君と話がしたい。」

「………。」

「やっぱり、言葉が通じないか。」椎名が呟いた時であった、優しい声で言葉を返す少女。


「私はイスカンダルのスターシャ。」

まだ、幼さが残る少女は古代たちの耳を疑う言葉を発した。

古代が一歩、歩みはじめた時であった乗り込んだ宇宙船が、大きく揺れた。



「謎の宇宙戦艦よ。聞こえているか?」
「貴艦の星籍と所属を名乗れ。」

「その宇宙船(ふね)に手を出すな。」

「言っておくが銃を抜くなら、止めておけ。貴艦に勝ち目はない!」





【デス・シャドウ】
※旧太陽系連邦艦隊・冥王星戦隊旗艦デス・シャドウ
・時空間戦闘を得意とする宇宙戦艦。
元々は、他の宇宙船、艦同様に時空間での航行は出来なかったが、次元断層空間に墜ちた際に、何度が脱出を試みるも失敗に終わり、諦め掛けたある日、同乗する※大山敏郎が見た夢を実行したところ、脱出に成功。
その後、通常空間と時空間(亜空間)での航行を可能にするシステムユニットを造り、デス・シャドウに搭載した。

旧太陽系連邦艦隊所属。

艦種:宇宙戦艦
艦級:ア・ドミラル級

全長:286.00m
全幅:40.00m
全高:70.00m

推進機関
次元流動型ヒート機関×1基

武装
主砲:48糎・三連装パルサーカノン砲×3基(9門)
四連装艦首ミサイル×2基 
舷側ガトリング速射パルスレーザー砲×4
重力波短魚雷管×12門
八連装重爆雷投射機×1基

艦長:ハーロック(ファントム・F・ハーロック)
他、不明。



【ゴッド・ウイング】
スターシャ専用の宇宙船。
この時代、最速の宇宙船。
非武装船だが、搭載する4機の小型自立思考近衛機がガード(盾)とアタック(攻撃)を担う。
現在、少女時期のスターシャが使用している。

全長:180.00m

主機関:波動ターボチャージャーエンジン×2基

非武装宇宙船。
4機の小型自己思考・近衛機を搭載している。
この4機がガード及びアタックをする。
スターシャが直接、命じる事も可能。

防御膜で宇宙船全体にコーティングを施している。
波動エネルギーを転用(波動フィールド)する事で「波動砲」クラスのエネルギー光弾をも弾き返す。但し、最大値で転用する為、一度、弾き返すとエネルギー回復まで8時間を必要とする。(通常航行は可能)


【小型自己思考・近衛機バスター・ガード】

・オールレンジ対応。
攻撃、防御共に4機で賄(まかな)う。

・ショックカノン級のエネルギー光弾発射から陽電子パルスレーザー砲クラスのエネルギー光弾を発射する事が可能。
各機、波動フィールドを展開する事でゴッド・ウイングを守ると同時に自己も守る事が可能。

全長:7.2m
全幅:1.8m

主機
波動粒子流動式コスモエンジン×2基

武装

・陽電子パルス機銃モード
・陽電子衝撃砲モード
※機首に装備された砲口に集約されるエネルギーをモード切り替えにより、パルス状に発射する機銃クラスから陽電子衝撃砲(ショックカノン)級のエネルギー光弾を発射する。

・波動フィールド
波動エネルギーを粒子状に流出させ、機体全体に膜を張ることでコーティングされ、一定時間、全ての攻撃から守る事が可能。





【再会】


次元断層空間に落ちた、宇宙戦艦ヤマトのクルー古代と接触したイスカンダルのスターシャ。
そのスターシャの乗船するゴッド・ウイングの真横に、浮遊する宇宙戦艦ヤマトの目と鼻の先ほどの距離に着弾した高エネルギー光弾。
警告射撃なのだろう。

「その宇宙船(ふね)に手を出すな。」と告げて来た。
そして、星籍と所属を教えろと_。

「私は、この艦(ふね)の艦長沖田だ。」
「この艦は、太陽系第三惑星地球所属である。」
「我々は旅の途中でワープトラブルでこの空間に落ちてしまった。」
「そして、脱出方法を探っているところに、眼前の宇宙船と遭遇、もしかしたら生存者がと思い、使者として私の部下を派遣した。」
「貴艦とやり合うつもりもない。」
「以上だ。」



「なるほど。」
「我が艦(ふね)はデス・シャドウ。」
「貴艦と違って、星籍を持たない艦(ふね)だ。」
「脱出したいのなら、このデス・シャドウが手を貸そう。」
「早々にあの宇宙船から使者を引き上げさせろ。五分だけ待つ。以上だ。」
そこで一旦、音声通信は「通信不可」と表示され、通話が出来なく成った。

一方、ゴッド・ウイング内では、敵意を感じない事から、スターシャを名乗る少女から、衝撃的な話を古代らは聞かされていた。

「…今、何と?」古代は再び聞き返した。

「私はイスカンダルのスターシャ。」

「私はイスカンダルを脱出し、別の銀河へ赴く途中でした。」
「そして、あのバラン星宙域で"バラノドン"たちに襲われる一隻の軍艦と遭遇したのです。」
「私は、それを見過ごす訳には行かなかった…。」
「たとえそれが、私の故郷(ふるさと)イスカンダルを窮地に追い込んだ者たちの艦(ふね)でも…。」

「イスカンダルを窮地に追い込んだ者たち?」古代よりも先に椎名が云った。

「そうです。イスカンダルを窮地に追い込んだ者たち、ガミラスです。」

その言葉に古代も椎名も、驚いた顔を覗かせ後退りした。

「…ガミラス。」

「我々も自分たちの星をガミラスによって滅ぼうされかけている。」
「我々が向かうとしているイスカンダルから使者が訪れ、地球を救えると…。」

「…地球……。」スターシャは古代の眼を見つめた。
「古代さん。貴方方に会わせたい方が居ます。」
そう云ってスターシャは、右手の手の掌をそっとコックピットの奥をかざした。
すると、人が一人入れるくらいのカプセルが現れた。
「カチッ。」と音が成ると、カプセルの上の部分が「スー」と開いた。
湯けむりのような気体に包まれ、もやもやする湯けむりのような気体から見栄隠れする姿は、人のように思えた。
髪は肩の辺りまである栗毛色したセミロングの髪で、スラッと伸びた手と足、そして、何も纏わない美しい裸体をさらけ出した一人の女性が現れたのだ。

古代も椎名も、目を丸くした。

「……女の人………。」

「綺麗……。」目を「ぱちくり」させ、頬を紅く染めた椎名が、ゆっくりと彼女に近づいた。

「……貴女、人間…。」



「クスッ。」と笑顔を覗かせて綺麗な裸体をさらけ出した女性は、こう告げた。
「驚かして、ごめんなさい。」
「わたし、人間よ。」
「地球人よ。」
まじまじと見つめる古代に気がついたようで、その女性はとっさに胸に手を宛がい、しゃがみ込むと頬を紅く染めた。
「…きゃぁぁぁ。」と後ろ向き、左手に着けているブレスレットのようなものを弄った。
裸体だった身体は何かに包まれていった。


太陽系連邦軍の制服に似た服を纏った女性に変わった。

「驚かして、ごめんなさい。」
「私は地球人。」
「森雪。」
「これでも、わたし、軍に籍を置いていたのよ。」
「太陽系連邦軍のね。」
「ミサイル駆逐艦:雪風、衛生長だったの。」

「…雪風の…雪風の生き残りなのか?」
「雪風の艦長、古代守はどうなったのです?」
そう古代が訪ねた時であった、またもや宇宙船が激しく揺れた。

そう、デス・シャドウが再び警告射撃を撃ったのだ。

「キャプテン!撃ってはいけない!」スターシャは叫ぶと同時に感応波を飛ばした。
「ピタリ。」と砲撃は止んだ。

「キャプテン。この方たちは地球の民。」
「撃ってはいけない。」
「わたしに危害を加える事はないわ。」

そんな中、ヤマト艦内で一人黄昏ていたサーシャが、動きはじめた_。

「もう。ハンデは要らないわね。」
「私の実態がバレるのも時間の問題かしらね。」
「本物のスターシャが、現れたのね。」
「少し、様子をうかがいましょうかね。」
「あの、次元断層空間を自由に航行出来る宇宙戦艦も、気になるし。」



古代らは、スターシャの提案で、スターシャが今、一番安全場所であるゴッド・ウイング内で、対面して話し合いをする事と成った。
ヤマトからは真田少佐とアナライザーが加わり、デス・シャドウからはキャプテンと呼ばれるハーロックと随行員として、有紀螢が話し合いに参加した。

古代は参加者が揃ったところで、改めて自己紹介を済ませ、話を切り出した。

「自分たちは地球人で、宇宙戦艦ヤマトのクルーです。
今、地球はガミラスを名乗る異星人の侵略を受け、我々、地球人類はもう一年以下という僅かな日数で死滅する程にまで、追い込まれました。
ですが、イスカンダルのスターシャと名乗る方から救いの手を差しのべられ、サーシャと名乗る妹から、今の地球では造り出す事の出来ない"波動エンジン"を入手、地球を地球人類を救う為、イスカンダル星を目指していました。」

「何らかの拍子で、この次元断層空間へ落ちた。」
古代の話に割って入ったハーロック。

「そうです。それからはご存知の通りです。」

「…なるほど。」ハーロックは一通り、集まる顔ぶれを見た。
「真田。アナライザー。久しぶりだな。」
ハーロックは唐突に話を振った。

「わたしも気がついていたわ。ロボちゃん。」
ハーロックも雪も、真田、アナライザーは繋がりがあるようだった。

そう、ハーロックと真田は同期で、アナライザーは雪が雪風に配属に成るまで、連邦政府管理の中央病院にて、雪の助手をしていたのだ。

「ユキ。オヒサシブリデス。デス。」

「アハハ。」と笑うハーロック。

「話は分かった。」
「だが、古代進と言ったな!?」

「はい。」

「時、既に遅しだよ。」
「イスカンダルは、最早、女神スターシャの住む惑星(ほし)では無い!」
「君たちの目の前に要るスターシャこそが女神スターシャの末裔で、本物のスターシャだ。」
「今から、そう、ガミラスと地球が戦争に突入した頃、イスカンダルもまた、別銀河の異星人によって侵略され、このスターシャを残し、先代のスターシャ、この娘の母親は、この娘を助ける為、犠牲に成った。」
「丁度、俺たちが第一次冥王星奪還作戦を遂行している頃だ。」
「俺たちは、デス・シャドウは轟沈寸前、不思議な現象により、一度、この次元断層空間に落ちたんだ。」
「だが、ある日、俺の親友で真田や守の親友でもある大山敏郎が脱出する事に成功させた。」
「それからは、俺たちは軍を無許可だが抜け、ご覧の通りだ。」
「そんなある日、このスターシャの宇宙船が、バラン星に生息する普段はおとなしい宇宙生物バラノドンたちに襲われているところを発見、救助した。」
「それからは、付かず離れず見守っているというわけさ。」

「話は変わるけど、進さんってキャプテンに勝るとも劣らず、イケメンね。」
「私の理想(タイプ)かも。」

「えっ!?だめ!古代さんはダメ!」
「駄目なんだから!」
顔を紅く頬を膨らませ口を尖らせ椎名が慌ただしく言った。

「…椎名。落ち着け。」

「うふふ。残念ね。」

「話がそれたが、事は一大事だぞ。戦術長。」
「ヤマトに乗艦しているサーシャは、イスカンダルいや、スターシャとは何らか関係が無い事に成る!」

「……真田さん。」

「進さん。先ずは目の前の危機を排除しては?」
「雪さんは、私がお守り致します。」
「キャプテンは、進さんに力を貸して差し上げて。」

「うむ。」
「どうする?古代。」ハーロックは古代を見つめながら告げた。

「…目の前の危機を排除し、イスカンダルを目指す。」
「キャプテン。力を貸してくれませんか?」

「話は決まりだな。」


【反乱】


一旦、話し合いを終え、それぞれが艦(ふね)に戻り、その時を待った。
古代は艦長沖田の意見を伺う為、報告を兼ね艦長室で報告をする事にした。

「…うむ。」
「大まかな話は分かった。」
「だが、古代。仮に、この話が本当だとして、サーシャをどうやって孤立させるかが問題だ。」

「その事ですが、ハーロックに協力を要請したいと思います。」
「ハーロックたちとの話し合いは決別し、白兵戦を仕掛けられた。という筋書きです。」
「そして、彼女サーシャはアナライザーに保護という形で営倉区へ移動して貰います。個室営倉にて確保、アナライザーによる暗号キーロックします。」これが自分たちが考えた案です。

「うむ。」

数分後、宇宙戦艦ヤマト艦長沖田は、決断を下し、古代から提案された案を実行に移した。

「艦長代理の古代だ。」
「全艦に達する。」
「全艦、戦闘配置!各位、白兵戦に備えよ!」
「繰り返す。全艦、戦闘配置!各位、白兵戦に備えよ!」古代はわざと、この艦内アナウンスが、偽りである事を示すアナウンスを流したのだ。
末端のクルー、一人一人に説明している時間が無いからだ。
だが、これは、この時代の軍属を目指した者なら、初期の段階で教わる共通した科目の一つなのだ。
これは"スパイ"が潜入しているまたは、その疑いがある者が、紛れていると判断した場合、該当者=スパイに気づかれない内容で伝えられる。

今回、古代が伝えた内容は、初期の初歩の内容である。
「艦長代理の古代だ。」これで、"ピン"と来る。
何らかの事情で艦長が不在であるならば、先ずは船務長が指揮を取るのが、通常で、更には船務長も不在ならば、次に階級が高い者が指揮を取る。
確かに現在、ヤマトは船務長は不在ではあるが、次に階級が高い者は機関長の徳川又は解析・技術長の真田が指揮を取るのだが、いきなり古代が艦長代理を名乗った事で、クルーは"スパイ"が存在すると感じ取る。

訓練とは違い、実戦での"このアナウンスは緊張感を高めていた。

「第一主砲、初弾撃て!」沖田の命令が飛んだ。

青白エネルギー光弾がデス・シャドウを掠めてゆく。
これを合図とし、デス・シャドウからチューブアンカーが打ち込まれた。

「有紀。本気でゆけ。」

「了解。」

ヤマト艦内に緊急アラートが響き渡る。
同時に左舷艦首、第一主砲塔下に突き刺さるチューブアンカーの先端が、植物が開花するように開いた。
数秒後、軽武装したゴッド・ウイングで紹介された有紀蛍を先頭に血気盛んな白兵戦慣れというか、戦闘、格闘に精通した十数名が、若き指揮官:有紀蛍の指揮の下、統制を保ち侵入した。

「早い!ものの数分で、第一、第二主砲塔が制圧された!」艦内モニタを覗く、相原が告げた。

「アナライザー!サーシャさんを保護、営倉区へ移動せよ!」この案(策)を練った古代は、スムーズに策を進める為、次の段階へ駒を進めた。

「不愉快ね。」

「…ソウイワレマシテモ……。」
「ソレヨリ、アナタヲ、オマモリスルコトガ、ユウセンデス。」

「あら、それなら尚更ねッ!!」その言葉と入れ替わるようにサーシャは変体、アナライザーをショートさせ、機能停止させた。

「悪いわね。私、か弱い人間じゃないのよね。」
「このまま「はい。そうですか。」と拘束される訳にはいかなのよ。」


【共闘】


古代、ハーロックらと共闘でスパイを排除する策が実行される中、全てを見抜いていたかのようにサーシャは、アナライザーをショートさせ、反撃に打って出た。

「コイツの端末から艦内の様子を掴むとするかね。」
ショートさせたアナライザーの頭部を外し、艦内の動きを探る為、サーシャは自身の腕を外し、配線端末ケーブルとアナライザーの端末コネクターを接続、生きているコンピュータチップから艦内情報にアクセスした。

「℃¥#_$:……ワカリマシタ。」
「サーシャサンヲ、エイソウ……℃$¥#$/℃」
「ハーロックタチはハ、ミカタ…℃¥¥#$#/℃……℃$¥…ワカリマシタ。」

「やはりな。」

「ブリッジを墜しちまえば、あとは楽勝ってところだな。」



「雪。貴女(あなた)にコレを授けます。」
「地球の未来を貴女が変えてゆくのです。」
「でも、強制は致しませんわ。」

「…私が地球の……。」
「地球の……地球の未来…。」

「そう。貴女が新しい地球の未来。」
「エレメントとして生きてゆく事に成る。」
「レナトゥース・エネルギー・エレメントとして生きてゆく事に成るのです。」
「エレメントと云っても、姿は人間のままで、過ごせるのだけどね。」
「そうね。特殊能力を備えた人間。」
「…ただ、雪。貴女の死と共にその効力は消えてしまうの。」
「でもね。貴女の子供にも、この能力は受け継がれるわ。ただし、受け継がれるのは、女の子だけ。」

「イスカンダルが王制なのは、この能力によるもの。"スターシャ"を守る事は未来永劫イスカンダルは浄化された大気が失われる事はなく、繁栄されるとされたからなの。」
「……でもね。今のイスカンダルは文化や文明は地球人類の予想を遥かに超えたものにこそ成ったけど、それでも侵略され、民は殺戮され滅んだわ。」
「まもなく、イスカンダルの大気も汚染された時代と変わらない程に、汚い惑星(ほし)に戻るわ。」
「私が脱出したからね。」
「だから、偽りのスターシャは私を連れ戻す為、アンドロイドの民を造ったの。」
「そして、自分が、自分の子孫が守られるように"スターシャ"を守れ"とインプットしたの。」
「それが"ガミラス"よ。」

「私は薦めたけど、最初に云ったように、雪。貴女自身で決めなければ成らない。」
「地球の未来は解らない。」
「イスカンダルが辿った路を歩むかも知れないし、いままでのような路を歩むかも知れない。」

「未来は変わるから……。」

「…サーシャさん。私、受け入れるわ。」
「今の地球が、地球人類が救われるなら。」

「分かったわ。」
そう云うと一錠の風邪薬ほどの小さなカプセルを手渡した。
「それを飲むと良いわ。受け入れる為の準備の薬よ。」
「貴女方で云うビタミン剤みたいなものよ。」
サーシャは笑顔を見せた。

雪はカプセルを口に含み、水で流し込んだ。
ビタミン剤と云われて飲んだカプセル、それは即効性の睡眠薬であった。
雪は液体ベッドに寝かされ、施術を施された。
手の小指の爪ほどの錠剤のようなものを子宮内に埋め込まれた。



「古代。アナライザーからの連絡はまだか?」
艦長沖田が口を開く。

「確かに遅いですね。」
「此方からは連絡を入れられませんので、自分が様子を見て来ます。」

「うむ。」
「…思い過ごしかも知れないが、胸騒ぎがするのでな。古代、コスモ銃(ガン)を携帯してゆけ。」

「了解しました。」
営倉区を目指す古代。
途中、有紀たちと鉢合わせした古代は理由(わけ)を伝えた。

「なるほどね。」

「ぎゃぁぁぁぁぁーーーッ!!」
突如、響き渡る悲鳴、鉢合わせした古代たちは目を丸くし、悲鳴が上がった方向へ顔を向けた。

「……何者?」

右舷陽電子粒子速射砲(パルスレーザー)塔群制御室から走り去る黒い人影。
古代らを見るなり、不適な笑みを見せつけた。


【自沈・宇宙戦艦ヤマト】


逃げてゆく黒衣の人物を目で追いながら、古代はインカムで第一艦橋へ報告をいれ、陽電子粒子速射砲塔群制御室に向かった。

「………。」言葉を失う古代。

「…なんて惨(むご)い……。」制御室のクルー八名の変わり果てた姿を見た古代に動向した有紀が、小声で口を開いた。

古代たちが駆けつけた時には、息をしている者はなく、それどころか残虐な殺し方をした割には、壁や床そして計器類にはそれほど血痕はなかった。
どの遺体も切断された部位には焼かれたような跡が、見られた。
熱伝導式の鋭い刃物のようなもので、殺害されたと推測出来た。

「艦橋!艦内モニタを全てチェック、黒衣の人物の居場所を突き止めて欲しい!」
「現在、黒衣の人物は八名を殺害、中央エレベーター方向へ逃走した!」

「……コチラ……相原…現在、らしき人物と………。」
「…ガガガ…ッーーーッーーー……。」

「艦橋?第一艦橋、相原!」
「返事をしろッ!!」

「沖田艦長!此方、古代!」

「……艦長ッ!!」

古代の呼び掛けに誰も応答する者が居なかった…。

「…古代。艦橋は諦めろ……。」
そばに居た有紀が告げた。
「…お前に、お前に何が解る!?」

「…解るさ。この無線のやり取りを見れば……。」
「古代と言ったね。艦橋の次にアイツが狙う場所を特定して、その場所にアイツがたどり着く前に仕留めるしか方法は無い!」

「認めたくないのは、解らないでもない。受け止めるしかないんだよ。」

「……。」

古代は愕然と肩を落とし、返事を返せずにいた。
そんなに矢先、有紀のインカムには、ハーロックから報告が、届いていた。

「有紀。落ち着いて聞け。」
「次元断層空間の時間の流れが変わろとしている。」
「その兆しが現れた。急いで帰投せよ。」 であった。
有紀は、すぐさまヤマトの状況を報告すると同時に、デス・シャドウから偽りのサーシャの居場所を特定して欲しいと具申した。
ハーロックは解析が得意なクルーにスーパーサーモグラフィックセンサーを使わせ、偽りのサーシャの居場所を特定させた。
2~3分が過ぎ、デス・シャドウのクルーから有紀に連絡が入った。
「現在、エレベーターにて下を目指しているようだ。」
「おそらく、機関区を目指していると思われる。」
「追跡を続行します。」

「了解。」

「古代。アイツは機関区を目指してる。」
「機関区に入る前にアイツを倒さなければ、ヤマトが沈むぞ。」
「…古代!艦橋の様子が気になるのは解らなくもないけど、今はアイツを倒す事が先決なんじゃないのか?」

有紀は、無言な古代の肩を掴み、揺さぶった。

「…解っている……。」
「ボソッ」と返事を返すと、制御室のコンピュータから機関室入口のメイン通路の隔壁を閉鎖、偽りのサーシャが、この通路に入ったところで、もう片方の隔壁を閉鎖する準備に入った。

「有紀隊長。例の人物は機関区メイン通路に入った。」スーパーサーモグラフィックセンサーで追跡するクルーから報告が入る。
有紀は、その報告を聞きながら古代に偽りのサーシャが、通路に入った事を伝えた。
間髪入れずに古代は隔壁を閉鎖した。

「有紀さん。ピンポイントでデス・シャドウから砲撃を頼めないか?」
古代は赤く点滅するヤマトの図面モニタを指、指した。

「出来なくはないが…。」
「ヤマトを修理している時間は無いぞ。」
「この次元断層空間の時間の流れが変わろとしているからな。」

「…構わない。吹き飛ばしくれ……。」

「解った。」返事を返した有紀はデス・シャドウにピンポイント攻撃を要請した。
デス・シャドウに装備される四連装艦首ミサイル1発が、指定座標に発射された。
大きく揺れるヤマト。
勢いよく流出する爆炎と黒煙。
見るも無惨な満身創痍のヤマト。

デス・シャドウに牽引され、次元断層空間から脱出したヤマト。

だが、そんなヤマトに襲いかかるドメル艦隊主力部隊。
包囲しつつあった陣形を緊急ワープで脱出されたドメルにとっては、屈辱でしかなかった。
ドメルは半数近い200隻を率いり、逃がしたヤマトを捜索していたのだ。

「見つけたぞ。ヤマト!」

「バラン鎮守府と目と鼻の先に隠れていたとはな。」
「灯台下暗し。とはこの事か。」

「全艦!戦闘配置!」
「目標!ヤマト!及び星籍不明艦二隻!」

その時であった、突然、短距離ワープしたゴッド・ウイングのスターシャから古代に通信が飛び込む。

「古代さん。私の船、ゴッド・ウイング目掛け、波動砲を発射して!」
「時間が無いわ!急いで!」

満身創痍のヤマトを預かる古代も、デス・シャドウのハーロックたちも、耳を疑った。
だが、躊躇している暇はなかった。
ヤマトが波動砲発射体制を整える間、デス・シャドウがドメル主力艦隊に砲火を浴びせた。

「古代!俺たちも、時間稼ぎに出撃するぜ!!」
加藤率いるヤマト航空隊第一戦隊戦隊長:加藤の無線だった。

「だけじゃないぜ!!」
第二戦隊戦隊長:山本も、椎名や阪本、揚羽も、加藤の後に続いた。

「波動砲発射10秒前!」
「波動砲薬室内、エネルギー充填120パーセント!」
「波動砲、セーフティロック解除!!」
「対閃光、対ショックよし!」
「発射5秒前!」
「4.3.2.1.発射ーーーッ!!」

「波動フィールド最大展開!」

ヤマト艦首から発射された一条の超高出力波動エネルギー:波動光弾は、慈悲の心を持たない悪魔の吐き出す業火の如く、
波動フィールドに包まれたスターシャのゴッド・ウイング目掛け、突き進む。

「あの大砲か?何処を狙ってるんだ。恐怖で気でも狂ったか?」
ドメルの副官ゲールが失笑しながら云った。

だが、それはすぐに青ざめた顔を覗かせる事に成る。
ヤマトの撃ち放った超波動光弾は波動フィールドを最大展開するゴッド・ウイングに当たると人工太陽に反射させ、ドメル主力艦隊の背後から何倍にも過剰した超波動光弾が襲いかかる。
瞬く間にドメル主力艦隊は消滅、また人工太陽を失った事により、バラン星の大気は急激に冷やされ、分厚い雲が形成され、超嵐を発生させた。
大雨により、バラン星ガミラス鎮守府は水没、同時に残りの艦隊も水没、バランの海の藻屑と消えた。



デス・シャドウのハーロックをはじめ、クルーが右舷側から見守り、スターシャと雪がゴッド・ウイングから見守る中、偽りのサーシャの犠牲者と成ったクルーたちと、ドメル戦で命を落としたクルーたちの宇宙葬が行われていた。

・艦長:沖田十三
・航海長:島大介
・解析・技術長:真田史郎
・通信長:相原義一
・砲雷長:南部康雄
・副航海長:太田健二郎

・機関長:徳川彦左衛門
・機関士:藪助治

・戦術科航空隊第一戦隊戦隊長
加藤三郎
・戦術科航空隊第二戦隊戦隊長
山本明
・他、各科クルー104名。合計114名。



「どうしても、ゆくのか?」
「もう、ヤマトも修復は不可能、波動エンジンも使い物にはならんだろ?」

「キャプテン。私がゴッド・ウイングで古代さんを乗せてゆきます。」
「私たちの未来の為にも。」

「そうか。ならば、ヤマトの負傷者はオレが太陽系まで送る。そこからは救命艇で向かわせる。」
「古代。また何時の日か遭う時があるかも知れん。」
「死ぬなよ。古代。」


【秘宝レナトゥース・エネルギー・エレメント】


偽りのサーシャとの白兵戦、バラン星沖での戦いで多くの犠牲者を出し、希望の艦(ふね)であるヤマトも失った古代は、スターシャに救いの手に差しのべられ、スターシャの宇宙船(ふね)ゴッド・ウイングで惑星イスカンダルを目指す事と成った。

あれから80日が経過した_。

ゴッド・ウイングは大マゼラン銀河外縁部に到達した。
古代はゴッド・ウイングに乗船してから少しずつ、森雪と過ごす時間が長く成って行った。
スターシャの思惑はここにあった。
二人が仲良く成り、愛を育む。それが狙いなのだ。
だから、古代だけを乗せ、イスカンダルへゆくと云ったのである。
イスカンダル到着後、大した妨害や障害がなければ、あと160日後には地球へ到達する。
人類滅亡まで50日を残し、救う事が出来る日程だ。

「あと2日もすればイスカンダルよ。」どこか懐かしさを浮かべるが、すぐに済まし顔を見せるスターシャ。
そのスターシャは、話はじめた。

「私の母、スターシャに成りすます者。"ビーメラ星人"。
彼女の暮らしていたビーメラ星は120年に一度、星を統治する代表者が選ばれるの。
成りすましのビーメラの女王アシュラは交代を拒み、女王の座を譲らなかった。
それに反発した民は、アシュラに対し、「法と秩序を守れ!」と詰め寄ったの。
アシュラは話し合いも拒み、任期が数日、ある事を盾に詰め寄った民を拘束、裁判も無しに処刑した。
それをきっかけに「暴挙を許すな!」と、ビーメラ星の各地区で暴動が発生、やがて内戦と発展したわ。
そのお陰で、ビーメラ星の大気は汚染され、植物は枯れ、大地は腐敗していった_。

ビーメラの文明は滅びの路を歩みはじめたわ。
そんなある日、アシュラは「私を女王と認め、私に従えば嘗(かつ)てのような豊かな暮らしを再び、与える!」と。言い放ったの。
アシュラには考えがあったわ。
それは私の母から「レナトゥース・エネルギー・エレメント」を譲り受ける事。
レナトゥース・エネルギー・エレメントを譲り受ければ、生き延びた民の前で"奇跡"を起こすと称し、汚染された大気と腐敗した大地を"浄化"させようとね。
でも、その目論みは叶わなかった。
私の母が「私欲の為には譲れない。」と。

「ならば、奪うまで!」とアシュラは刃(やいば)を母に向け、暗殺、偽りのスターシャを名乗り、成りすました。
母は殺害を察知し、私にレナトゥース・エネルギー・エレメントを託し、脱出させてたの。」

「それからは雪や古代さんが知っている通りよ。」

「……このまま放っておいても、やがてイスカンダルは滅びる…。」
「でも、彼女、アシュラが造り出したデスラー=ガミラスが残っている限り、この宇宙は侵略され続ける…。」
「それを阻止する為に古代さん。貴方はイスカンダルへ、いえ、ガミラスへ赴くのでしょ!?」

「だから私は、古代さん。貴方に手を貸す事にしたのよ。」

「ありがとう。…でも、スターシャさん。貴女は俺をイスカンダルへ下ろしたら、立ち去ってくれ。」
「雪を地球へ送り届けて欲しい。」
「貴女は手を血で汚してはいけない。」

その言葉にスターシャは古代の目を見つめるだけで、無言だった_。



「…あの宇宙船(ふね)戻って来たのか。」
「まぁ。戻って来たところで、最早、お前の返り咲く場所など無いのだよ。」
「お前の始末は、"あの"スターシャに任せ、私は見物させて貰う。」
「遅かれ早かれ、イスカンダルはイスカンダルではなくなり、ガミラス即ち、我がデスラーの惑星(ほし)と成るのだからな。」





「ん!?」
「あの小娘。戻って来たか。」
「ワタシがくたばったとでも思ったか?」
「まぁ。いい。」
「どちらにしても、あの小娘は必要だからな。」

偽りのスターシャ=アシュラは、もう以前のスターシャに成り済ました面影もなかった。
自身が造り出したデスラーに惑星(ほし)の半分を与えた事が、仇に成っていたのだ。
A.Iによる大気浄化制御衛星によって、浄化された大気をイスカンダル側は、維持してはいるものの、毒素を含んだウィルスまでは、全てを浄化出来ずであった。
その事は、じわりじわりと侵食されたアシュラには、感じ取れなかったのだ。
眼は常に充血し、透き通るような白い肌、金色に輝く長い髪も失い、毒素に侵食された肌は青紫化していた。
ビーメラ星人としての面影もなく…神話に登場する悪魔ような容姿に変わり果てていた。


【決戦の地・イスカンダル】


「古代さん。ここから先、暫くは私のやり方でやらせて貰うわね。」
「雪を無事に地球へ送り届ける為にね。」

「…お任せしよう。」
「だけど、さっきも云ったように俺を下ろしたら、速やかに地球へ向かってくれ。」

「ええ。そうするわ。無事に下ろしたらね。」

「ガミラス側から侵入するわ。」
「先にデスラーを倒しておかなくては、古代さん。貴方を無事に下ろせないからね。」

「…しかし、スターシャさん。このゴッド・ウイングは非武装の宇宙船でしたよね!?」

「ええ。そうよ。」
「でも、四人の精鋭が守ってくれるわ。」

「四人の精鋭?」

「そう。四人の精鋭よ。」
「このゴッド・ウイングの近衛(兵)たちよ。」
「ゴッド・ウイングには四機の近衛機が搭載されているの。」
「この四機は、それぞれ自立した思考を持つ小型の格闘機。」
「それぞれが盾であり、剣でもある最高の近衛兵よ。」

「……それぞれが自立思考って事は、A.Iか?」

「そうね。ヤマトにも乗艦してたでしょ!?」

「アナライザー。アナライザーみたいなものか。」

「そうか。そんな凄いものが、搭載されていたんだ。」

「見えて来たわ。」

「……あれが、あれがイスカンダル星!」
「あんなに綺麗な星にデスラーが!?」

「そうよ。言わばイスカンダル側が表の顔かな。」
「あの裏側がガミラス。」

「イライザ。クローキングデバイス・フィールド展開!」
※イライザ=ゴッド・ウイング・マザーコンピュータ。
※Cloaking Device(クローキングデバイス)=光学迷彩。




※可視化されたホログラムイメージ=イライザ。

「オーケー。スターシャ。」可視化されたホログラムイメージのイライザは、ゴッド・ウイング全体に液体状の薄い膜を張り、クローキング・デバイスによる光学迷彩化、空間に同化させた。

「あれがガミラスよ。」
「突入するわ。」

「惑星に穴が…穴が開いてるのか?」

「そうよ。兵器実験を繰り返した結果、海は枯れ、大地は腐敗、腐敗した大地が陥没、大気は汚染されたわ。」
「イスカンダル側との境界上空には幾つものA.Iでコントロールされた浄化用衛星が浮遊しているの。それで辛うじてイスカンダル側は防護服無しでも、平気だけどね。」
「もう、惑星(ほし)としては終焉を迎えたに等しいわ。」

「スターシャ。今は少し、状況が変わったようです。ワタシのセンサーが微量ながら毒素系ウィルスを検知しています。」
「ガミラス側から胞子が紛れ込んでいるようです。」
「今、映像を出します。」 イライザは、そう告げると、サブモニタに毒素系胞子を散布する不気味な形態をした植物を映し出した。

「……あれは、あれは、地球に突然、生えた植物じゃないか!」目を丸くし、古代は驚いた顔を見せた。

「…じゃぁ地球も既に毒素のウィルスに犯されているって事か……。」

「コダイさん。今、解析してみましたがワクチンは作れます。」

「やっぱりイスカンダルと言うかスターシャさんの持つ科学力は凄いものだな!」
「しかし、星全体が地底と言うか鍾乳洞のような場所だな。」

「スターシャ。デスラーの存在を確認出来ない。」
「何処か違う場所に身を隠していると判断する。」

「解ったわ。イライザ。」
「このままイスカンダル側へ突入、マザーの海へダイブして。」


【reborn】


ーイスカンダル星マザーの海ー


「トラップを感知したわ。」
「それと高速で接近する物体を二つ捉えたわ。」
「識別データから照合して、ガミラスの空間駆逐戦闘機DDG110ゼードラーⅡ!」

「トラップは、どうやら機雷のようです。その数1.000!」

「海の中、水中に機雷だと!?」
「しかも、深海と呼べる深度に数量が尋常じゃない!」イライザの報告を聞いていた古代が慌ただしく口を開いた。

「イライザ。近衛機=バスター・ガードを全機発進させて!」

船底部から射出された四機のバスター・ガード。
各機が干渉しない距離を保ち、母船ゴッド・ウイングの周りを自機を「くるっくるっ」と自分の位置と向きを確かめるように、ロールさせながら回っている。

イライザは各機をグースαアルファ・β
ベータ・Γガンマ・Δデルタと呼んでいる。
グースたちはGOサインを待っているようだった。
直接、スターシャが指示を出した。
まるで猟犬が、「待っていました。」と獲物に向かって走り出すかのように見えた。

「スターシャ。海上(うえ)の二機は強化アンドロイドが、搭乗しているようだ。」
「いままで遭遇したガミロイドらより、反応(うごき)が機敏だ。」

「デスラーも一応は格好を付けたってところかしらね!?」

「そうみたいね。水中機雷が幅を狭めつつあるわ。」
イライザが、そう告げた時であった、古代と雪は、いままでに見せた事がない言動を繰り返した。

「えっ!?何?」

「古代さん。雪。しっかりしてか……。」
その直後、スターシャにも異変が見られた。
何かを感じたイライザは可視化を止めた。
「…これだけの感応波…ワタシが全てをコントロールするしかない!」
「ゴッド・ウイングのセキュリティーを強化!ゴッド・ウイング及びスターシャの保護を優先。」
「船内冷却。冷凍催眠用ガス注入!」



「あら、我々の感応波を見抜く人間が居たとは。」そう口を開いたのは、デスラーによって復活した惑星シャンブロウの古の種族長ミュラ。

「でも、お母様。相手は既にわたくしたちの術の中。」そう返事を返した、ミュラの長女キュラ。

「そうですわ。わたくしたちの三位一体の攻撃を交わせる人間など、居ないのだから。」キュラに同意するキュラの妹ビュラ。

「小型の戦闘機はお母様とお姉様に、お任せしますわ。」
「わたくしは水中の母船をやりますわ。」
そう云うとビュラは再び感応波を張り巡らせ、1.000もの水中機雷を巧みにコントロール、ゴッド・ウイングの逃げ道を塞いでゆく。

「では、わたくしは小型の戦闘機、四機を相手させて頂くわ。」
「お母様はデスラー様と見物なさっていて下さいな。」

「まぁ。二人とも欲張りね。良いわ。二人に任せて、キュラの云う通り、デスラー様と見物させ貰うわ。」



ゴッド・ウイング、マザーコンピュータ:イライザはスターシャ、雪、古代の三人を眠らせるとガード重視のモードからアタック重視のモードに切り替えた。
四機のグースを巧みにパターンを組み合わせ、格闘させた。
三機が攻撃、一機が防御またはその逆のパターンや二機づつのパターンなどを縦横無尽に飛び回らせながら操る一方で、ゴッド・ウイングの行く手を拒むかのように動き回る水中機雷。
二手、三手先と先回りする機雷に苦戦するイライザは、ある一手を思いつく。

再びホログラムイメージを現すイライザ。

「ふ~ん。そんなところに隠れていたんだ。」
「でも、もう"かくれんぼ"も終わりよ。」

イライザは、クローキング・デバイスによる光学迷彩を解除、波動フィールドを最大展開させ、自転をはじめた。
自転するゴッド・ウイングに動きを合わせ、水中機雷もまた、回りはじめた。

「ハイ。チェックメイトよ。」

ゴッド・ウイングに同調する水中機雷群、その中の一基にイライザはわざと接触、爆発させた。
その一基の爆発が集まった水中機雷群に誘爆を招き、トルネード状の爆焔がゴッド・ウイングに襲いかかるが、爆焔は波動フィールドに反射され、水中機雷をコントロールする母機雷=ビュラの機雷を爆焔の渦に沈めた。

爆焔の勢いは衰える様子は伺えない。
海底水脈源の眠る海底岩盤をえぐり、凪ぎ払う。
湧き水程度で流出していた水は、受け皿を失い、一気に放流、水位上昇を加速させた。
枯れ果て干上がったガミラス側の海へと雪崩込む。

「このまま放っておいてもガミラス側は水没ね。」
「さて、海上(うえ)の応援に行きますかね。」
「鬼ごっこは終わりよ。」
「グースたちの光弾チャージは完了と。」
「二機纏めて墜とします。ショックカノン級をプレゼントするわ。」

最大限にチャージされた陽電子衝撃砲モードによって撃ち放った光弾は、二機のゼードラーⅡを貫き、イスク・サン・アリアの宮殿を吹き飛ばした。

「グースたちよ帰還せよ。」
「離脱します。ワープ!!」


◆◆◆◆


「どうやら、私は君たちを買い被りし過ぎたようだな。」
「感応波攻撃も地に落ちたようだね。」
「君にはもう、用はない。宙雷艇を一艇プレゼントする。この改・デスラー艦から立ち去れ。」

「ゴッド・ウイングも本物のスターシャも逃がしはしない!」
「目標!ゴッド・ウイング!空間磁力波、送射!」

「ドン!」とゴッド・ウイングは大きく揺れた。

「えっ!?何?」
冷凍睡眠を解かれたスターシャが云った。

「後方に星籍不明艦が潜んでいたみたい。」
「光学迷彩でカムフラージュしていたみたいで、ワタシとした事が油断しました。」
「強力な磁場に捕らえられ、思うように動けない!」
「グース=近衛機たちも射出出来ない!」



「デスラー砲、発射ーーーツ!!」

「なっ!何が一体!?」

ブリッジのメインモニタに強制的介入したミュラ。

「デスラー。わたくしの力を甘く見ないで欲しいわね!」
「道ずれよ。」
「所詮は傀儡に過ぎないのよ。お前は。」
ミュラは侮辱された事で、デスラーを裏切ったのだ。
宙雷艇で離脱して直ぐに、感応波でデスラーの電脳を一瞬、遮断、幻影を観せいたのだ。
その隙に宙雷艇でデスラー砲の砲口を塞いだ。
デスラーは気がつく事なく、デスラー砲の引き金を引いてしまったのだ。
偽りのスターシャ=アシュラによって、機械生命体兵として造られた自己思考型アンドロイド=デスラーは、座乗する戦闘艦=改・デスラー艦と共に宇宙の海の藻屑と消えた。





西暦2199年11月15日、僅か46日という日数を残し、宇宙戦艦ヤマト戦術長:古代進、及び元太陽系連邦艦隊第二駆逐戦隊ミサイル駆逐艦:雪風・衛生長:森雪、地球に帰還。




ー太陽系・地球軌道上ー




「あんなに綺麗な惑星(ほし)だったのね。」
「あの惑星(ほし)なら、私も暮らしてゆけそうね。」
「そうは思わない?イライザ。」

「スターシャ。…ワタシはオススメ致しません。」
「ワタシの情報が正しければ、地球は既にイスカンダルの辿った路を歩みはじめたようです。」

「ふ~ん。」

スターシャの宇宙船ゴッド・ウイングは、静かに地球圏を離脱した_。


~完~


【改・デスラー艦デスラーズⅡ(ツゥ)】

全長:285m

全幅:74.6m

主機関
イスカンダル製波動エンジン改・コスモブースター×1基

兵装
デスラー砲×1門

ミサイル発射管×8門

瞬間物質移送器×1基(2基で1組)

三連装無砲身陽電子衝撃波砲塔×3基

三連装陽電子粒子速射機関砲×8基

磁力波発射基×2基

搭載機(艇)
ゼードラーⅡ×12機
宙雷艇×4艇



【空間駆逐戦闘機DDG110 ゼードラーII】

分類:戦闘機

全長:17.2m

乗員:不明

武装
7.9ミリ機関銃×2(機首)
13ミリ機関銃×2(主翼兵装ポッド)
47ミリ機関砲×4(主翼兵装ポッド)
空対空ミサイル×6(主翼兵装ポッド)



【宇宙戦艦ヤマト】

艦種:超弩級宇宙戦艦

星籍:地球

所属・部隊:地球連邦
(太陽系連邦艦隊とは別)

全長:390.00m
艦体幅:43.60m
最大幅:61.77m(安定翼展開時:87.72m)
艦体高:94.54m
最大高:99.47m

最大速力
(通常航行時) 亜光速

乗員:300名

主機関:ロ号艦本イ400式次元波動缶(通称:波動エンジン)×1基
副機関:艦本式コスモタービン改(74式推進機関)×8基・2軸(核融合推進方式)

兵装
波動砲×1門
主砲:46糎・三連装陽電子衝撃砲塔×3基(9門)
副砲:15.5糎・三連装陽電子衝撃砲塔×2基(6門)
亜空間魚雷発射管×12門(艦首および艦尾両舷)
八連装ミサイル発射塔×1基(煙突部)
ミサイル発射管×16門(両舷側)
八連装空間機雷発射機×2基(艦底部)
94式爆雷投射機(マスト付け根)
12.7糎・四連装陽電子パルス高角速射砲塔×8基
8.8糎・三連装陽電子パルス高角速射砲塔×2基
12.7糎・連装陽電子パルス高角速射砲塔×8基
7.5糎・連装陽電子パルス高角速射砲塔×10基
7.5糎・三連装陽電子パルス速射機関砲塔×4基
司令塔近接防御火器×2基

艦載機
艦載艇
艦載車両
零式52型空間艦上戦闘機 コスモゼロ×2機
1式空間戦闘攻撃機 コスモタイガーII×32機(+予備機4機)
100式空間偵察機×2機
キ8型宙艇×1機
90式内火艇×2隻
作業用装載艇×6隻
特2式多目的換装車×6両

特殊装備
亜空間ソナー



【ガミラス・ドメル艦隊旗艦ドメラーズ】

艦級:改・ハイゼラード級

全長:390.20m

主機関:ゲシュ=タム機関=ガミラス式波動エンジン(イスカンダル製を量産化し、改良を加えた。)

武装
330mm三連装陽電子カノン砲塔×4基(艦上3基艦底1基)
280mm二連装陽電子ビーム砲塔×4基(艦尾)
近接防御火器(単装)×32基
近接防御火器(四連装)×8基(艦上6基、艦底2基)
亜魚雷発射管×12門(艦首)
短射程ミサイル発射管×21門(艦底)

※元々はガイデロール級に座乗していたが、バラン星ガミラス鎮守府の司令官に拝命後、専用艦として最新鋭艦ハイゼラード級の特別仕様を造らせた。
艦体カラーは、ホワイトをベースにジャーマングレー/ライトグレーの三色迷彩カラーで施してある。
戦闘時には、両舷側のインティークが蛍光ピンクに光る。
特別仕様のみ330mm三連装陽電子カノンが4基に増設され、脱出用ブリッジ仕様である。
元々、使用していたガイデロール級はシュルツに払い下げられ、シュルツ艦と成る。


~あとがき~


使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。石津嵐氏小説版や松本零士氏のコミック版、2199等を私的に再構築した《宇宙戦艦ヤマトreborn》です。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト》の二次創作です。

二次創作ー宇宙戦艦ヤマトrebornー前編

2020-01-27 22:27:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作


二次創作
宇宙戦艦ヤマトreborn前編


プロローグ【悪夢の始まり】


若き宇宙戦艦の士官は躊躇う事なく波動砲の引き金を引いた_。




「波動砲発射ーーーッ!!」

「波動砲弾、着弾まであと三十秒!」

「・・・8・7・6・5・4・3・2・1・着弾!!」

「イスカンダル星、崩壊をはじめました!!」


ーイスカンダル王都イスク・サン・アリア:スターシャの寝室ー


「ハッ!?」物凄い量の寝汗を掻きながら、くるまる毛布を払いのけ、起き上がるスターシャ。
美しい裸体に輝く日射しが優しいく包み込む。
ベッドの縁に腰を下ろし、呼吸を整えた。
呼吸を整えたスターシャは裸体のまま、窓辺に立ち、朝日が射し込む中、眼下を見下ろす。
何時もと変わらない王都イスク・サン・アリアと、この惑星(イスカンダル)唯一のオリジナルの海=マザーの海。
このマザーの海と呼ばれる海だけが、人工の砂浜と海洋生物を除き、惑星が誕生して出来たままのオリジナル海。
八割以上を占める碧く輝く海の星、地球の二倍もの大きさの星。
それが惑星イスカンダル。

「…嫌な夢を見たわ。」
そう呟くと侍女のアンドロイドを呼んだ

人型のアンドロイドで、生きた細胞で人工的に造られた人間的な皮膚で被われた侍女的な役割のアンドロイド一体が現れた。

「シーツと毛布を取り替えて、ベッドメイキングをしておいてちょうだい。」

「かしこまりました。」と右手を胸に当て、腰から上を曲げ、頭(こうべ)を垂れた侍女のアンドロイドは、すぐに作業に入った。

スターシャはそのままバスルームへ向かった。
湯けむりがスターシャを包み込む。
金色(こんじき)に輝く髪を洗い、裸体にへばりつく汗を流し、プールのような広いバスタブに身体を沈めた。

「……正夢にしてはいけないと、教えてくれたのかも知れませね。」そう思うスターシャはバスタブから上がり、全身が映る鏡を見つめる。
透き通るような白い肌、金色に輝く誰もが羨むような長い髪、地球人の年齢に換算して25、6歳くらいの美形の女性だ。

「なんとしても、この身体を維持せねば…永遠に…。」

時に西暦2191年。

イスク・サン・アリアの大広間に自身が造り出した"機械生命体"近衛兵・デスラーを呼び出したスターシャ。
そのスターシャは、命令を伝えた。


デスラー。人工の皮膚細胞を造る段階で配合する分量を間違えた事によって、グレー掛かった青い肌のまま、造られた。
地球人に概算して28歳くらいの年齢だ。
軍属らしく、そして、その長(ちょう)に相応しい高級将校を感じさせる軍服に漆黒のロングマントに身を包む。

「アンドロイド:デスラー。」
「貴方に命令を伝えます。」
「ここから16万8.000光年離れた銀河へ赴き、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星そして太陽この十個の惑星から成る太陽系と呼ばれ、その中で地球と呼ばれる惑星(ほし)を、そこに生息する生命体を絶滅させなさい。」

「惑星(ほし)をまるごとですか?」

「そうです。わたくしを守る為です。」
「貴方に、このイスカンダルの半分を与えましょう。好きに使うがいい。」
「兵を造り、兵器を造り、地球を攻めるのです。」

「かしこまりました。」デスラーは右手を胸に当て、腰から上を曲げ頭(こうべ)を垂れた。

時は流れ_。
翌年、近衛兵アンドロイドとして造られたデスラーは、万を数える程のアンドロイド兵と、千を超える戦闘兵器を造り整えた。

スターシャから与えられたイスカンダル星の半分は、海は埋め立てられ、兵器開発に伴う実験を繰り返したおかげで、大地は荒れ、大気は汚染された。
アンドロイドでなければ暮らす事は不可能なくらいまでに衰退した。
境界線上空には幾つもの大気浄化衛星がA.Iで制御され、浮かんでいた。

「兵士の諸君。機は熟した。」
「我々は、スターシャとイスカンダルを守る為に造られた。」
「私はそのスターシャから銀河系に属する太陽系の惑星(ほし)地球を滅ぼせと、仰せ使った。」
「そして、その時は来た。」
「我々は、古のイスカンダルを守ったとされる神獣ガミラスの名を頂いた。」
「栄光ある神獣ガミラスの名を頂いた!」
「これより、我々ガミラスは銀河系へ赴き、太陽系の惑星地球を侵攻する!」
「兵士の諸君!このデスラーに力を貸して欲しい!」

「進撃を開始せよ!!」

こうして、イスカンダルが造り整えた。ガミラスによる地球侵攻作戦が幕を開けた_。


ー太陽系外縁部・冥王星圏ー


ガミラスを名乗る異星国家軍は、西暦2192年を半ばほど過ぎ頃、太陽系に進出、圧倒的な科学力を見せつける。
戦端から僅か三時間足らずで地球初の外宇宙冥王星基地は、壊滅、陥落した。

「クックックッ。」
「圧倒的ではないか我がガミラスは。」不適に笑うデスラー。

「ガミロイド兵団長ドメルよ。」
「この制圧した惑星を整備、我々ガミラスの最前線基地とせよ。」

ガミラスの長(ちょう)、デスラーは造り出したアンドロイド兵の中でも、優れた戦術能力を有する兵団長ドメルに告げた。

ドメル兵団長。後の占領惑星:バラン星鎮守府の最高司令官=将軍の階級を得る。
体格は造り出したデスラーより、大柄で190Cm以上の身長があり、戦略家的な存在である。
地球人に概算して28歳くらいだ。
自ら戦線に立ち、戦闘を指揮するタイプで、高級感ある将校用軍服より、コンバットスーツを好む。
髪型はデスラーとは異なり、金色ではなく黒の短髪である。

「私は、この太陽系に来る途中で、補給基地に相応しい惑星(ほし)を見つけた。」
「その惑星に大補給基地を造り上げる。」
「完成するまでの間、貴公にこの占領地を任せる。」

「ハハッ。」
「早急に我がガミラスに相応しい前線基地に仕上げてみせます。」
ドメルは右手を肩の高さに水平に上げ、肘から90度に曲げ、手の掌を相手側に向け、ガミラス式敬礼で応えた。

基地を壊滅させたはいいが、資材と成る鉱石等をこの冥王星で採掘、精製、建造するしかなく、予定以上の時間費やす事となった。

「ドメル団長。この占領地(ほし)には資源が乏しく、基地の建設に支障があります。」
「自分が調査したところ、土星と呼ばれる惑星と、その周辺には鉱産物が豊富だと、解りました。」
ドメル団長の右腕的存在のシュルツ兵長が、意見を陳べた。

「うむ。」
「ならば、その土星圏をも我がガミラスの領土し、資源の確保を急がせよ!」

「ハハッ。」

ガミラスが冥王星基地を陥落させてから三ヶ月が過ぎた_。

「これより、我がガミラスは土星圏を確保する為、地球侵攻を再開する!」
「全部隊はシュルツ兵長の指揮下へ入れ!」
こうして、西暦2192年末、ガミラスによる地球侵攻作戦が再開され、それを察知した地球は、火星を絶対防衛線とする対ガミラス戦に移行した。
「第一次火星沖会戦」と地球側は名付け、30日にもおよぶ戦闘の末、地球軍の勝利と成った。
火星宙域までの占領は叶わなかったが、敗れたとは言え、ガミラス側は土星圏までの占領を成し遂げる事と成る。
敗北したシュルツは、名誉挽回を具申した。

「ドメル団長。わたくしシュルツに、もう一度、もう一度だけ地球侵攻のチャンスを!」

「……まぁ。よかろう。」
「資源惑星の確保は叶った。シュルツよ。もう一度だけ、チャンスをやろう!」
「私は、デスラー総統に呼ばれ、惑星バランへ赴く。」
「この冥王星前線基地をシュルツ。貴公に任せる。」
「もう一度だけチャンスをやる。戦果に期待する!」
「それとシュルツ。私は兵団長から将軍と呼称と階級が変わり、貴官は冥王星基地司令で大佐だ。」
「新たな階級は大佐だ。」

「ハハッ。ありがたきお言葉。」
「このシュルツの命に変えても、地球侵攻に勝利、致します!」
シュルツはドメルが、デスラーに行ったように右腕を水平に肩の高さまで上げ、肘から90度に曲げ、手の掌を相手に向け、応えた。

三ヶ月後、体制を整えたシュルツは艦隊を率いり、再び地球侵攻作戦を敢行した_。



だが、「第二次火星沖会戦」と呼ばれた会戦もまた、惨敗で幕を閉じた。
地球軍の奮闘に大敗を喫したのだ。

「…グググッ。」
「一度成らずとも二度までも、地球に、あの猿どもに敗れたとは、ドメル団長にも報告は出来ん!」
「ガンツ!ガンツは居らぬか?」
シュルツは、苛立ちを部下に当てるかのように、呼び出した。

「ハッ!シュルツ兵長。」

「ガンツよ。ドメル団長には地球の艦隊を殲滅、しかし降伏には至らず申し訳ありません。と打診せよ。」
「されど地球人のサンプルを入手、暫くはじわじわと地球を地球人を痛め付けたく思う所存です。」と伝えよ!

「必ずやご期待に添えます。今しばらく楽しみのお時間を下さいませ。」とな。

「…ガンツ。承知致しました。」

「うむ。」

約一年の間に二度も大敗したシュルツは先頃、完成した"反射衛星砲"を用いり、ロングレンジ攻撃に、切り替えた_。

シュルツ。
ドメルからは信頼され冥王星前線基地の司令官として第一線で指揮し、ヤマトの前に立ち塞がったガミラロイド=アンドロイド。
副官としてガンツがいる。
前頭部から後頭部まで禿げ上がった白髪頭が特徴の初老。


時は流れ…
西暦2198年初頭_。


ーイスク・サン・アリア:大広間ー


「総統、デスラーよ。」
「あれから随分と時間が経過したが、未だに地球陥落、地球人類の死滅の報告が上がらんが?」

「ハハッ。」
「スターシャ陛下。地球侵攻を任せたガミロイドシュルツが、何やら余りにも地球軍が弱すぎる為、遊び心で侵攻しているとの報告を受けています。」
「即刻、遊びを止めさせ、死滅させます。」
「大変、申し訳ございません。」片膝を床に付け、深々と頭(こうべ)を垂れ、許しを請うデスラー。

「そんなに弱すぎるのか!?」
「ならばハンデを与えるとしようか。」
「シュルツとやらが、楽しんでおるのなら、好きにさせてやろう。」
「これからは退屈しのぎのゲームとして、地球侵攻と地球人類殲滅を楽しもうと思うが、どうかな!?デスラーよ。」

「ハハッ。それは善きお考えかと。」

「そうと決まれば、デスラーよ。太陽系のシュルツに地球人類の殲滅はするな。と伝えよ!」

「よいな。デスラーよ。」

「御意!」



デスラーが立ち去るのを見届けたスターシャは、新たに造り出した機械生命体を呼び寄せた。
自身に似せて造り出したのか、着用しているビスチェとレオタードそして、ガーターストッキングを組み合わせたようなコスチュームを除けば、透き通るような白い肌、金色の長い髪、目鼻立ちや背格好は瓜二つの容姿だ。
年齢は地球人に概算して19~20歳くらいだ。


「イスカンダロイド・サーシャ。」
「このゲームを面白くするも、詰まらなくするも、お前に掛かっている。」
「この意味、解るな!?」

「ハイ。陛下。」

「うむ。」
「期待しているよ。サーシャ。」

「御意。」


【偽りの使者】


地球から16万8.000光年離れた大マゼラン銀河に属する惑星イスカンダル。
そのイスカンダルより、一隻の宇宙船がサーシャという一体のアンドロイドを乗せ、発進した。
サーシャはイスカンダル唯一の人類、スターシャによって、使者として送り出されたアンドロイドである。

だが、地球に地球人類に使者として信用させる必要がある。
そこでスターシャは、ある策を実行に移させた。


ー西暦2198年初冬・火星軌道ー


「…ん!?」
「此方、監視衛星マーズアルファ!」
「火星基地司令部へッ!!」
「地球のものでもガミラスのものでもない、星籍不明船をキャッチ!」
「……ちょっと待ってくれ!」
「その星籍不明船の後方にガミラスの高機動宇宙艇を二艇キャッチ!!」
「状況からして、追われているようだ!!」

「此方、火星基地司令部!」
「ガミラスを排除!星籍不明船を拿捕せよ!」
「繰り返す!ガミラスを排除!星籍不明船を拿捕せよ!」

「ラジャー!」

「陽電子速射砲、カートリッジ装填完了!」
「何時でも撃てます!」

「うむ。」
「射程圏に入り次第、速射開始せよ!」

「射程圏に入った!」

「撃ちー方はじめッ!!」

青白いパルス状のビームエネルギー弾が連射される。

「はっ、速い!」
「射撃レーダーが追い付かない!」

「クッ!オートから手動に切り替え、撃てッ!!」

「星籍不明船が被弾したもよう!」
「速度が若干だが、落ちた!」

「よし!ガミラス高機動艇を捉えた!」
「・・・3.2.1ビンゴッ!!」
「ガミラス高機動艇を撃破した!」
「しかし、星籍不明船の拿捕は失敗!」
「座標aポイント1654283付近から火星に突入した!」
「基地(そちら)で対象されたし!」

「了解した。」

この様子はイスカンダルから火星圏までシュヘラザードに同行した、ガミラスのデスラーにも見届けられていた。

だが、今の地球に、この事を知る余地はなかった…。

【デスラー座乗戦艦:デスラーズⅠ(ワン)】

「どうやら成功したようだな。」不敵な笑みを浮かべるデスラー。


ー太陽系・火星ー


「座標ポイントからしてこの辺りだ。」
「用心に超したことはない。」
「慎重に捜索にあたれ。」

「それにしても、今日は砂嵐が酷いな。」
いの一番に降り立ったのは昨年、空間騎兵隊小隊長に任命され、火星基地に配属された古代守が口を開いた。

「古代中尉!あれを!」
同隊に配属され、同行した斎藤が告げて来る。
その斎藤の指先に目を向ける古代。

「…人間…!?」
「に、しても美しいな。」そこに横たわるビスチェやガーターストッキングとレオタードを組み合わせたやや、露出度の高いコスモスに身を包む、歳は20前後の金色の長い髪と透き通るような白い肌の女性を見つめる斎藤。

「惚れるなよ。斎藤。」まじまじと見つめる斎藤を冷やかすように古代守が、云った。

「えっ!"アワアワ"!」
「小隊長。そんな事より、不時着した星籍不明船はまだ、使えそうです。」
斎藤は、誤魔化すように話を切り替えた。

「息はあるようだ。誰か担架を持って来い。」
「それと、基地に報告して医療班を待機させておくよう伝えよ。」

「ラジャー。」

小隊長の守は不時着したシュヘラザードを見上げていた。
「この宇宙船の航行能力があれば…。」見上げながら、そう思う古代守の目には希望に満ちた輝きがあった_。

古代守らが基地へ帰投して四時間後、イスカンダルの宇宙船シュヘラザードは、回収された。


ー太陽系連邦防御軍・火星基地解析・開発研究室ー


「これは凄い代物だ。」
「このエンジンさえあれば……」と目を輝かせながら守の同期で科学技術科に席を置く真田史郎が言った。

「やっぱり、そう思うか!?」

「…ん!?古代。」
「何時からそこに?」

「今さっきだ。」
「俺、不時着したこの宇宙船を見て「ピン!」と来たよ。」

「どうしたんだ?今日は非番か?」

「ああ。そんなところだ。」
「オレな。転属が決まったよ。」そう話はじめた守は、どこか浮かない顔を覗かせていた。

「転属!?」

「ああ。転属だ。太陽系連邦艦隊第二駆逐戦隊に転属が決まった。」

「太陽系連邦艦隊…か。」それを聞いた真田の顔もまた曇らせた。

太陽系連邦艦隊。
第一次、第二次火星沖会戦でガミラス艦隊を退け、勝利した誇り高き太陽系連邦の艦隊であったが、勝利したとは言え、艦隊としては壊滅に近い存在に成り下がっていた。
第二次火星沖会戦で古代や真田の同期で、大山敏郎とドイツ人のファントム・F・ハーロックの二人は消息不明と二人の親友を失ったという思いがある。
その会戦を境に、冥王星宙域から飛来する小隕石「遊星爆弾」を撃ち落とすのとは訳が違う。
圧倒的な科学力の差が歴然で、当時は物量にものを言わせ、しかも辛うじて勝利したに過ぎないのだ。
今は物量にもの言わせるだけの戦力は無く、この時期、艦隊配属は「還らぬ人」を意味していた。
守と真田の二人の顔が曇ったのも、それが頭を過ったからだ。

「遊星爆弾を根源から止めるんだと。」
「上層部(うえ)は、奴らが隕石落とししかやって来ないのは、まともに戦闘艦艇が不足しているからでは?と楽観視しているところがある。」
「土星宙域を占領したのは資源の確保で、占領した冥王星基地で艦艇を建造していると睨んでいる。」
「完成させるのに幾ら科学力が勝っていても三年から四年は掛かるとみている。」
「オレも、その辺りは否定しない。が…。」
「第二次火星沖会戦から既に約四年、経つ。」
「つまり、奴らガミラスは艦隊を整えたと考えるのが妥当だろ!?」

「かも知れんな。」
「遊星爆弾も全てを撃ち落としている訳ではない状況だからな。」
「土星圏を取られてから新造してる艦艇は一隻だけだ。」

「真田。オレは…オレは今度の出撃は陽動だと思っている…。」

「陽動?」

「ああ。陽動だと思っている。」
「噂に過ぎないが、新造してる艦艇は「方舟」じゃないかと思う。」
「地球を脱出する為の方舟だとね。」

「その噂なら俺も耳にしたよ。」
「一部の人間と動植物のD.N.Aだけを積み込み脱出すると。」

「……そうか!」突然、真田は声を大きく何かに納得した様子を見せた。

「確か、この宇宙船は大マゼラン銀河に属する惑星イスカンダルから来たと、古代、お前が助けた女性が言っていたと上層部(うえ)が話してるのを聞いた。」
「古代。陽動も含まれているかも知れんが、護衛じゃないのか。」
「「方舟」の護衛だよ。この宇宙船のエンジンは恒星間航行能力を有している。」
「「方舟」に換装して惑星イスカンダルへ移住、移住後、再び地球へ。」
「その為には占領された冥王星基地を奪還しておく必要がある。」
「そう考えれば、辻褄が合う。」
「時間的にギリギリだがな。」

「しかし、真田。大マゼラン銀河まで、光の速さでも168.000光年も掛かるんだぜ。」
「一年以内に往復なんて夢物語りだろ。」

「ああ。確かに。だが、この宇宙船のエンジンなら光の速さを超える事が可能なんじゃないか。」
「ワープ航法だよ。ハイパードライブって聞いた事あるだろ!?」
真田は目を輝かせ、話に夢中に成った。

「古代。胸を張ってガミラスを叩いて来い。」
「大山やハーロックの仇伐ちだ!」
「俺は新造される艦艇が完成するまでに、このエンジンを量産出来るように解析も同時に行う。」
「資源ある内に量産が可能に成れば、地球人類は助かる!」
「もし、間に合わなくでもイスカンダルの援助があれば助かるだろ。」
「古代。頼むぞ。」

「なんか分からんが元気出て来たよ真田。」

二人は大声で笑った。


【第一次・冥王星会戦】


西暦2198年12月25日ー地球・連邦都市跡地ー

この日、地球に本部を置く太陽系連邦艦隊司令部は、全連邦艦隊所属残存艦艇を集結、フル装備を整え、決戦地:冥王星宙域へ向け、出撃した。

アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、ロシア、中国、インド、オーストラリア、日本を中心としたアース(地球)艦隊、ルーナ(月)基地、マーズ(火星)基地そして、壊滅寸前にジュピター(木星)基地を脱出した艦艇から成る85隻余りの太陽系連邦艦隊。
最後の太陽系連邦艦隊である。
総旗艦をアース(地球)艦隊を指揮するアメリカ:ニュージャージーとし、古代守の配属された第二駆逐戦隊は、沖田十三中将座乗艦:霧島を戦隊指揮艦とし、斬り込み隊長艦を古代守少佐艦:雪風とした。
古代守にあたっては、日本艦艇限らず、艦長職を任せたられる人員の多くが、先の第二次火星沖会戦で失われ、不足していた事もあり、急遽、二階級特進させた。
最後の太陽系連邦艦隊の内訳は、次の通りである。
アース艦隊:45隻・マーズ艦隊:20隻・ルーナ艦隊:15隻・ジュピター艦隊:5隻から成る連合艦隊である。
ジュピター残存艦艇は脱出時には7隻であったが、内二隻は損傷も激しく"地球脱出船"の材料とされた。


ー冥王星沖宙域ー


「シュルツ司令!地球艦隊を捕捉!」
「土星圏資源採掘部隊:監視隊の報告通りの艦隊数85隻です!」

「うむ。通信オペレーター。」
「我が方はガンツの艦隊を出せ。」
「手加減しろ。と伝えよ。」

「手加減するのですか?」

「殲滅するなとの仰せだ。」
「撤退に追い込めば、それでいい。」

「了解であります。」

先制攻撃を仕掛けたのは、太陽系連邦艦隊であった。

「この一戦は大事な一戦である!」
「地球の地球人類の未来の為にも大事な一戦である!」
「必ずや勝利し、明日の未来に繋ぐ!」
「諸君らの健闘に期待する!以上だ!」
艦隊総旗艦アース艦隊ニュージャージー座乗のアーチャ・ミズリー提督が攻撃開始を告げた。
第二駆逐戦隊斬り込み隊長:雪風が突破口を開く為、従える八隻のミサイル駆逐艦を率いり、新型対艦ミサイルの雨を降らす。
イギリス艦艇:宇宙空母アーク・ロイヤルからは、コスモタイガーワン・雷撃隊が42機、発艦した。
第一波攻撃機隊だ。
斬り込み艦隊による対艦ミサイルの弾幕は、航空隊の発艦を援護と二段構えの策でもある。

宇宙空間対応型戦闘機は、宇宙空間を高機動力で自由気ままに飛び回る利点はあるものの、航続距離が短いという不利な点も、持ち合わしている。
その為、武装に乏しい空母タイプの艦艇は、敵本隊との距離を詰めなくてはならない。
だが、敵との距離を詰めれば、それだけ沈む確率も高く、母艦としては役に立たない。
そこで格闘能力がそこそこに高く、脚の速さを武器に出来る駆逐艦による護衛的支援が必要と成る。
ましてや、航続距離の長い小型機を開発する余裕など、今の地球には無のだから。

突破口とも言える応戦するガミラス艦隊前衛に陣を敷く巡洋艦三隻を、轟沈に追い込み勢いを見せる太陽系連邦艦隊は、歓喜に沸いた。
そんな中、第二戦隊指揮艦:霧島に座乗する沖田中将は、こう口を開いた。

「…このガミラス艦隊、おそらく前衛部隊に過ぎないであろう。」
「必ず、奥の手を出して来る。」
「総員、監視を怠るな。」

「了解。」

時折、ノイズが入るメインモニタを分割し下面に映し出される完全に修復、改良され、無傷のガミラス冥王星基地。
司令部と思える建造物は確認出来ない。
歯痒さの中、沖田中将は「第二戦隊・主力戦隊へ!砲雷撃戦よーい!」と命令を下した。

「主力戦隊は横一文字隊形を取れ!」
「艦首:四十六糎衝撃砲!初弾、装填!」
「全艦、座標ポイント入力!」
「艦首、下方へ5度修正!」

「閣下!全艦、初弾装填完了!」

「うむ。」
「全艦、艦首衝撃砲、一斉射撃てぃーッ!!」

第二戦隊主力戦隊全10隻による艦首衝撃砲が、一斉に火を吹く。
螺旋を描き光弾はプラズマ波を纏い、真一文字に突き進む。
沖田中将の狙いは艦隊ではなく、射程ギリギリの冥王星ガミラス基地であった。
二本の長く伸びた滑走路と管制施設が、目標であった。
着弾と同時に衝撃砲光弾は滑走路のアスファルトをえぐり、大地をむき出しにした。
また、管制施設は三分の二を蒸発させた。

「全艦、艦首を戻ーせ!」
「機関、逆進いっぱい!」
反撃を予測しての後退であったが、戦果に気を良くしたアーチャ・ミズリー提督は「後退するな!前進し、基地壊滅を!」と打診して来たのだ。

「閣下!総司令より、打診!」
「前進し、基地壊滅を!」であります。」

「バカな…。探りを入れたに過ぎん攻撃だぞ。」と心に思う沖田中将。

その時であった。
予測外からの光弾に、まるで奇襲攻撃されたかのように襲われたのである。

「主力六番艦!轟沈ッ!!」

「なっ!何ッ!?」

「レーダー士!今のは何処からだ!」

「はっ、ハイ!それが零時の方向です!」

「…真上か!?」
「真上に艦影は?」

「あ…ありません……。」

「…ん!?」
「…今度はまっ…真下からです!」

「…艦長!艦隊を散開させよ!」

「了解ッ!」

目まぐるしくブリッジ内には状況報告と指示、命令が飛び交っていた_。



「少し、手加減し過ぎたようだ!」
「反射衛星砲、次弾装填!」
不機嫌そうにシュルツが命じた。


【壊滅の太陽系連邦防御艦隊】


「沖田中将!」
「岩々の間からビーム砲台、多数出現!!」
「奴ら!あんな所に兵器を!」

「…ん!?あのビーム砲台とは別の方角ら先ほどの高出力エネルギー光弾!!」
「4時の方向からです!」
「相変わらず艦影や機影は確認出来ません!」

「イギリス艦艇、航空母艦アークロイヤルに直撃したもよう!!
「火柱と黒煙を噴き上げ急降下して行きます!」
「エンジンにダメージと思われます!」

「ミサイル駆逐艦:不知火に救助に向かわせろ!」

「了解ッ!!」

第二駆逐戦隊指揮艦霧島に座乗する沖田の的確な指示、命令が飛び交う中、全艦艇に衝撃が走る。

それは、総旗艦アメリカ艦艇ニュージャージー轟沈の報告であった。
その報告から僅か五分、地球太陽系連邦艦隊の各艦隊、部隊は"うろたえる"だけで、ガミラス艦隊及びビーム砲台の格好の餌食に成っていた。
だが、不思議な事に七十隻以上が沈んだところで、ガミラスの砲撃は「ピタリ」と止んだ。
この時、事実上、地球太陽系連邦艦隊は壊滅した_。

「山南艦長。現時点で太陽系連邦艦隊は何隻残っている?」

「ハッ。現時点で十五隻です。」

「うむ。」
「副司令のルーズト閣下は何と?」

「ハッ。現状を維持せよ。追ってすぐに指示を出す。との事です。」

「更に高出力エネルギー弾による味方艦、爆沈!!」

沖田中将座乗艦:霧島の艦長山南との会話の合間にも、味方艦艇、爆沈、大破、轟沈の報告が飛び交っていた。
沖田中将が確認を取る度に艦隊残存数は、時計の秒針のように、一刻、一刻、と時が加算されていく代わりに、艦艇の数は、減って行った。
第一波攻撃を仕掛けた航空隊の未帰還を除き、12機の雷撃隊は第二波攻撃隊としてアメリカ艦艇:空母エンタープライズから出撃した48機の雷撃機隊と共に、戦果を上げる事なく、漆黒の宇宙(そら)に散った。

「右舷艦尾に被弾!!」
「シアンガス発生!第六区隔壁閉鎖ッ!」

「ルーズト提督の艦(ふね)ウィスコンシン反転!」
突如、反転する副司令ルーズト提督の戦艦ウィスコンシン。
そのルーズト提督は自分の撤退後、「各個に撤退に入れ。」と命令を下した。
この命令を聞いた沖田は、即座に所属部隊、群隊関係無く残存艦艇に撤退を呼び掛けた。
沖田は思う。
「これが、太陽系連邦艦隊総司令だとはな……。」

「沖田閣下!自分は撤退の支援に移行します!」

「山南艦長。今のは誰か?」

「ハッ。第二駆逐戦隊斬り込み隊長古代少佐です。」

「支援は要らぬと伝えよ。」

「了解。」

「閣下!古代の艦(ふね)加速、隊列より、離脱!」

「何ッ!」
「通信士!古代の艦(ふね)に繋げ!儂が直接話す!」

「了解。回線、繋ぎます。」

「貴艦も貴重な戦力である。明日の地球を地球人類を守る為にも、撤退に専念せよ。」

「沖田閣下。命令違反をお許しください。」
回線はそこで途絶した。
止んでいたガミラス側の砲撃が再開されたのだ。
古代の座乗するミサイル駆逐艦:雪風だけに砲口は向けらた。


ーイスカンダル王都イスク・サン・アリアー


女王の間(ま)に設置されたモニタ。
そのモニタにはガミラス側に設置した監視カメラから捉えた映像が、映し出されていた。

「それにしても、見事なくらい汚染させたものだな。」
「好きに使えとは言ったが、これほどまでに汚染させるとわな。」
スターシャは呆れ顔を覗かせ、呟くように口を開いた。

汚染された大気と荒れ果てた大地に、根を張る毒素を放出する不気味な花を咲かせる適性植物までもが、栽培されていた。

そう。デスラーはわざと地球侵攻に時間を掛けていたのだ。
約四年もの時間を使い、実験を繰り返していたのだ。

地球を地球人類を使って_。

己が宇宙の支配者と成る為の準備をしていたのだ。
いや、今現在も準備していると言った方が、正解である。
自身の主スターシャの忠誠を誓うフリをしてまで_。


【その名は宇宙戦艦ヤマト】


大気汚染の状況から、どの科学者や研究者の意見も、地球人類がこのまま生きてゆける時間は、一年間以内との見解を示していた_。

「藤堂長官。もう、ここまで来たら、あのイスカンダルの女性サーシャさんを信じ、彼女をイスカンダルへ送り届ける。これが最善だと、儂は思う。」
「未だに"ワープ航法"の研究はされてはいるが、それを実現した事はない。」
「だが、彼女サーシャさんの乗って来た宇宙船はそれが可能で、我々は彼女を送り届けるという約束で、彼女の宇宙船のエンジンを譲り受けた。」
「だからこそ、儂はコレ(ヤマト)に賭けてみたいのだ。」
「いや、賭けてるしかないと思う。」
「彼女の話では、地球を再生する事が可能なものが、イスカンダルには存在するとも言っている。」
「ならば、儂は、尚更の事…」

「沖田中将。話の腰を折るようで申し訳ありませんが、」そう切り出したのは、技術将校の真田であった。
真田は、完成しただけで、何一つテストもしていない事を理由に、最低でも、あと一ヶ月はイスカンダル行きを待つべきだ。と主張した。

「私も沖田提督。真田少佐の意見に賛成だ。」
「せめて、まだ人類が成し遂げた事のない"ワープ航法"だけでも、テストするべきだ。」
「イスカンダル行きはそれかでも、ギリギリだが間に合うと思うが。」

「長官。それと真田少佐。お二人のご心配に成る事は、十二分に承知している。」
「だが、テストは航海しながらでも可能だと儂は思う。」

「提督。万が一の時、どうなさるおつもりですか?」
「サーシャさんから提供された今の地球では造り出す事が出来ない"波動エンジン"を失うのです。」
「無論、テストが100パーセント成功するとは言えませんが。」

「ならば、テスト初日に波動エンジンを失う可能性も、否定出来ないという事でもある訳だ。」
「航海しながらのテストと変わらんと、儂は解釈出来るが。」

そんな真田と沖田のやり取りに、オブザーバーではあるが、波動エンジンを提供したサーシャが、意見を述べた。

「サナダ。ワタシが提供した波動エンジンはワープに失敗した記録がナイ。」
「サナダは、自分が設計したヤマトに自信ヲ持てない!?」

「自信が無い訳ではない。ただ、」

「もういいわ。ワタシに波動エンジンを返すか。ヤマトで航海にデルか。トウドウさん。決めてクダサイ。」

「…サーシャさん。」
「真田君、ここは一つ、ヤマトを預ける沖田提督に協力をして欲しい。」
「一日も早く、イスカンダルへの航海は私も望んでいる。」

「……解りました。」

「サーシャさん。ご協力に感謝致します。」
「ですが、あと2日、ヤマトの抜錨は2日後という事で、どうだろうか。」
「最終準備の時間に2日必要なのだ。」

「ワカリマシタ。あと2日待ちます。」

「沖田提督も了承して貰えるかな?」

「分かりました。」

こうして、宇宙戦艦ヤマトは2日後、年明けの西暦2199年1月1日に抜錨する事に成った。
藤堂が2日後にしたのには、訳がある。
即戦力として投入出来る帰還した残存艦艇を護衛にと考えたからだ。
その艦艇の準備に2日必要なのだ。
護衛艦艇としては、ミサイル駆逐艦六隻と高速巡洋艦二隻の計八隻を護衛として、火星軌道まで随行させるとした。


ー西暦2199年1月1日ー


この日、華々しいパレードも、見送る家族もなく選抜されたクルーたちは乗艦を済ませ、抜錨のときを待った。

だが、先の冥王星沖会戦で基地の一部を破壊されたシュルツは、怒りの矛先を地球へ向けた。
新開発された惑星間弾道ミサイルを報復として、地球へ射ち放っていた。

「沖田艦長。ガミラスの超大型ミサイルを偵察衛星がキャッチした。」
「おそらく奴らの報復だろうとの見方が強い。」
「抜錨を急いでくれ。」
「此方では火星軌道までの護衛にと、八隻の艦艇を出撃させたが、衝撃砲搭載艦艇は無い。」
「超大型ミサイルを破壊出来るかは不透明な状況下だ。」

「了承しました。」
「直ちに抜錨に入ります。」
映像通信を終えた沖田はレクチャーを中断し、宇宙戦艦ヤマトを抜錨させた。

「徳川機関長。エンジン始動だ。」

「島航海長。船体を起こせ。」

「古代戦術長。第一から第三主砲の射撃準備を急がせろ。」

「了解。」

艦長に就任した沖田の命令が下され、艦内は慌ただしく動きはじめた。
機関区では補助エンジン始動マニュアルを手に手順を追うクルーたち。
第一主砲塔、第二主砲塔、第三主砲塔内では、初弾発射準備に入った。
陽電子エネルギーと波動エンジン内で精製される波動エネルギーが融合して、初めて"ショックカノン"として撃つ事が出来る。
だが、まだ補助エンジンに火が入ったばかり、波動エンジン始動までは、もう少し待たねば成らない。

「陽電子エネルギー!波動エンジンへ注入開始!」
「エネルギー充填12パーセント!更に上昇!」
「補助エンジン、回転数6.200から8.000へ!」
「波動エンジン内、エネルギー充填40パーセント!」
「補助エンジン回転数8.000から12.000へ!」
補助エンジンに火が入ってから二分が経過した。

太陽系連邦艦隊高速巡洋艦プリンツ・オイゲン
※宇宙戦艦ヤマト護衛艦隊旗艦

「射線上に超大型ミサイルを捉えた!」
「護衛艦隊全艦に告ぐ!目標を捉えた!一斉射撃準備!」

「二番艦、準備よし!」

「三番艦、準備よし!」

「・・・七番艦準備よし!」

「司令!全艦、射撃準備完了!」

「うむ。」
「全艦!一斉射撃てぃーーーッ!!」

「…3.2.1初弾全弾及び対艦ミサイル、着弾!!」

「……目標の超大型ミサイル、健在!」

「……18本の対艦ミサイルとプラズマ粒子圧縮ビーム弾10発がまるで効かない…だと。」
「…全艦!超大型ミサイルとの距離を詰めろ!至近距離が撃ち込む!」
「全艦!二射目準備ッ!!」

「司令!超大型ミサイル加速!」
「砲撃、間に合いません!」
「目標の超大型ミサイル大気圏に突入した!」

「くっ!ヤマトに連絡を!」



「波動エンジン内、エネルギー充填112パーセント!」
「波動エンジン始動まで、あと20秒!」

「…波動エンジン内、エネルギー充填120パーセント!」
「波動コアの起動を確認!」

「うむ。」
「波動エンジン始動!!」

「艦長!護衛艦隊旗艦プリンツ・オイゲンより、入電!」
「我、超大型ミサイルの破壊に失敗。ヤマトの健闘を祈る。」

「古代!ショックカノン撃ち方よーい!」
「目標!落下して来る超大型ミサイル!」

「目標!射線上に乗った!」
「全主砲、一斉射射撃=ショックカノンてぃーーーッ!!」

ヤマトは間一髪のところで惑星間弾道ミサイル=超大型ミサイルを撃破する事に成功した。

「これが…これがショックカノンの威力なのか…。」
呟くように古代は言った。

「そうだ。これがヤマトだ宇宙戦艦ヤマトだ。」
「イスカンダルから技術供与された事で、今までの宇宙戦艦とは桁違いの艦(ふね)それが、宇宙戦艦ヤマトだ。」

宇宙戦艦ヤマトは抜錨した_。
人類滅亡まで、あと360日。


【沖田の決意】


人類滅亡まで、あと360日を残し、地球を抜錨したヤマトは、月軌道に入ったところで、先に護衛として出撃した八隻の艦艇に別れを告げ、テストを兼ねワープを行った。

「艦長。護衛艦隊司令と通信回線、繋がります。」
通信長を勤める相原が告げた。

「うむ。」

「司令。ヤマト艦長沖田です。」
「ヤマトは、これよりワープに入ります。貴官らは地球へ戻られたし。」
「明日の地球を地球人類を頼みます。」

「了解した。護衛艦隊司令ゲルハルト。」

「ヤマト艦内、艦外異常なし。」
「波動エンジン異常なし。」
「ワープ30秒前。」
ヤマト航海長島によるカウントダウンが、開始された。

「…10.9.8.7.6.5.4.3.2.1.ワープ!」

「……ワープアウト!」
「ヤマト艦内、外に異常なし!」
「現在、土星衛星タイタン軌道上!」

「ワープは成功!」

航海長島の報告に続いて解析・技術長の真田による「ワープ成功。」の報告に第一艦橋のクルーをはじめ、艦内では歓喜に沸いた。

歓喜に沸いている中、沖田の命令が飛んだ。
「島航海長。進路を冥王星へ。」

「了解。進路、冥王星…。」
「艦長。冥王星へ向かうと大きく最短航路から外れる事に成りますが。」
復唱の途中で島は沖田に尋ねた。

「ああ。そうだ。」
「だが、たとえ貴重な時間をロスしたとしても、占領された冥王星をこのままにしておく事は、地球に残る者たちに不安を増大させる事に繋がる。」
「儂はこの不安を軽減させたいと思う。」

「ワープを重ねれば、ロスした時間は取り戻せると思うが。どうかね?真田少佐。」

「ハッ。ロスする時間にもよりますが理論上、取り戻せるまたは、かなり取り戻せる事は、間違いありません。」

「了解。進路、冥王星へ転進。」

「古代戦術長。中央作戦室へ来てくれ。」
「冥王星解放の策を練る。」

「了解。」



「ふ~ん。ガミラスの基地、叩くんだ。」
「まぁ。いいか。まだまだハンデ与えておかないと、つまらないからね。」
「のんびり見学させて貰うわ。」
盗み聞きしていたサーシャは独り言のように呟いた。

だが、ヤマトは思わぬ出来事に遭遇してしまう。
ワープは成功を納めたのだが、波動エンジンから艦(ふね)全体にエネルギーを供給する縦横無尽に張り巡らされたエネルギー供給パイプの内、機関区内の供給パイプに不具合が発生、供給用エネルギーが波動エンジンに逆流、波動エンジンをパンク=破裂させる恐れが出始めたのだ。

第一艦橋から緊急報告を受けた機関長徳川は、機関区へ急行した。

駆けつけた徳川機関長も、整備マニュアルを片手に作業にあたるが、原因を突き止め、修理する事が困難に成っていた。
そこで、開発者でもある真田少佐を呼んだ。
十分後、真田は原因を突き止めた。
「…なんとか逆流を今は食い止めたが、あくまでも応急に過ぎない。」
「コスモナイト鉱石が必要だ。」
「加工して修復を終わらせなければ、次に同じ症状が出た時は、波動エンジンが吹き飛ぶ。」
「何処かでコスモナイト鉱石を補給しなくては。」

「真田から艦橋へ。」
「此方、機関区にて波動エンジンの修理をしている真田だ。」
「コスモナイト鉱石を採取出来る場所へ、赴いて貰いたい。」
「今は、応急で対応しているが、このままでは、波動エンジンが吹き飛んでしまう。」

「此方、艦橋。航海長の島だ。」
「現在、艦長は戦術長と中央作戦室におられる。」

「真田。了解した。」

真田は艦内通信を通じて、艦長に報告、許可が出た事で、宇宙戦艦ヤマトは地球連邦政府管理タイタン鉱山基地へ変進した。

「右69度、変進。進路タイタン鉱山基地。」

航海長島は右手で端末機を叩き、コースを入力し、左手で舵を切った。

だが、土星の環に身を潜め、地球艦隊等の動きを監視していた土星圏資源採掘部隊:監視隊所属偵察機に、ヤマトは補足されたのだ。
光学迷彩に機体をコーティングしたガミラス偵察機"スマルヒ"は、スーパーステルス機並みの空間同化していた事で、ヤマトのメインレーダーに捕捉されずに、ヤマトの動向を監視する事が出来たのだ。

「シュルツ司令。」
「土星圏資源採掘部隊:監視隊偵察機"スマルヒ"より、暗号入電!」

「ワレ、地球所属宇宙戦艦を捕捉。」
「我がタイタン基地へ向かっている。との事です。」
「返信、なさいますか?」

「ん!?地球の宇宙戦艦だと?」

「はい。」

「暗号通信には規模などは含まれて無いのか?」

「ハッ。ありません。」

「うむ。」
「返信は、この内容で送れ。」

すぐに暗号通信の返信が、送られて来た。
「新型宇宙戦艦=超弩級クラス一隻。です。」

「超弩級クラス…。」
「オペレーター。偵察機には引き続き超弩級クラスを監視せよと伝えよ。」

「ガンツ。二隻のデストロイヤー級を土星圏資源採掘基地へ派遣せよ。」

「了解であります!」


【タイタンの墓標】


土星衛星タイタンへ進路を変えた宇宙戦艦ヤマトは、ガミラスに占領されているかも知れないと、無人偵察機=ゴーストを射出した。

20分後、無人偵察機=ゴーストから調査データが送られて来る。
時折、ノイズが混ざるものの、映像は感動良好レベルで確認する事が出来た。
鉱山基地に生態反応は無く、施設も無人に成ってから、からなりの年月が経つ事から、所々が朽ち果ているようだった。

「どうやら映像を観る限り、ガミラスに占領されては無さそうですね。」
いの一番に口を開いたのは、戦術長古代だった。

「そのようだな。」
「古代。戦術科からあと二名を選出、それとアナライザーを連れ、コスモナイト鉱石の採取にあたれ。」
「真田少佐。君も同行を頼む。」

「了解。」



古代戦術長を班長としたコスモナイト鉱石採掘班に同行した真田が、タイタンの大地に降りる途中で、キ8宙艇内でパイロットを兼任する古代に話掛けた。

「古代戦術長。少し、話せますか?」

「はい。なんでしょう?真田少佐。」
インカムを通し、古代は返事を返した。

「私の同期に空間騎兵隊出身の駆逐艦艦長に、君と同じ名字の男がいるんだが、君とは関係無いよね!?」

「……真田少佐。その駆逐艦の艦長、古代守と言う名ですか?」
「もし、そうなら古代守は自分の兄です。」

「…まさかと思ったが、やはり守の弟だったか!」
「ヤマト乗艦に選抜された時、名簿を見て、「もしや!」と思ったが、まさかだったとは…。」

「真田少佐と兄が同期だったなんて…これも"何かの縁"というものですかね。」

「……そうか。」
「君の兄、守は立派な最後を向かえたと聞いている。」
「地球が地球人類が今も、こうして希望だけを頼りに、生きてゆけるのは古代戦術長。君の兄、守のお陰だと言っても過言ではない。」

「真田少佐。兄を買いかぶり過ぎです。」
「兄は、生きて帰る事が可能なのに、それをしなかった…」

「……。」

「それより、真田少佐。無人偵察機=ゴーストが、何やら物体を捉えたみたいです。」

「……これは…これは人!?と戦車!?」
「ノイズが酷。」

「妙だな。ゴーストからの情報では、生態反応は無かったはず…。」
「戦術長。警戒した方が良さそうだな。」

「自分も、そう思います。」

そんな中、タイタンの大地に降り立つキ8宙艇。
だが、古代たちの嫌な予感は的中してしまう。
ノイズ混じりではあるが、ゴーストの捉えた"人"と"戦車"は、待機状態のガミラス兵と多脚戦車であった。
ゴーストと古代らが搭乗しているキ8宙艇が、センサーに反応した事で、スリープモードから待機状態にモードが切り替わったのだ。
青い肌のガミラス兵の眼が紅く光が灯る。
その様子は、高度10.000メートル上空で偵察行動中のスマルヒの映像中継により、冥王星ガミラス基地のシュルツの元に届いていた。

「やはり、デストロイヤーを派遣して正解だな。」
「あとは地上に降りた奴らと超弩級の宇宙戦艦の能力の収集だけだな。」
「じっくりと見物させて貰うとするか。」



「真田少佐!無人偵察機=ゴーストが戦闘に入ったようです!」
「それと、先ほど捕捉した多脚戦車が此方に向かっています!」

「うむ。」

「古代戦術長と戦術科の二人で、多脚戦車の方を任せる。」
「私はアナライザーと、最低でも波動エンジンとエネルギー供給パイプの修復に必要なコスモナイト鉱石を採掘する。」

「了解!」

多脚戦車とゴーストが対戦する中、三体のガミラス・アンドロイド兵と対戦する古代ら三名。
青白いパルス状の光弾と蛍光ピンクの光弾が、氷岩を挟んで飛び交う。

「古代班長!ゴーストが無人偵察機=ゴーストが墜とされた!」

「くっ!」

ゴーストが墜ちた事で、多脚戦車の砲撃が加わり、古代らは窮地に追い込まれていた。
だが、同行した戦術科航空隊所属の椎名晶が、キ8宙艇に向かって走り出した。

「…ん!?」
「椎名少尉!何処へ!」

「すみません!キ8を飛ばします!」

「オッ!その手があったか!」
「揚羽!椎名を援護しろ!」
古代はもう一人の同行者で椎名と同じ戦術科航空隊所属の揚羽武に椎名の援護を命じた。

「了解!」

多脚戦車の砲撃が、激しさを増し、ガミラス・アンドロイド兵らは間合いを詰めて来る。
だが、椎名の機転により、キ8宙艇による空爆で多脚戦車の破壊に成功、さらに機銃掃射でガミラス・アンドロイド兵を倒した。

「…コイツら、ガミラス兵は人間じゃない。」
機銃掃射で倒したガミラス兵を確認する為、近づい古代は、胸、頭部から火花を散らす姿に驚きを隠せずにいた。

「揚羽。椎名に降りて来るよう伝えろ。」

無線を聞いた椎名はすぐに降りた。
キ8宙艇に駆け寄る古代。
キャノピーが開くとすぐに無線機をとり、ヤマトに報告を入れた。
丁度、最低量の採掘を終えた真田とアナライザーも、戻って来た。

「此方、採掘班班長の古代。ヤマト聞こえるか?」

「此方、ヤマトの相原。古代戦術長。何か?」

「採掘基地はガミラスに占領されていましたが、全て排除。」
「ですが、ガミラス兵は人間ではなくアンドロイドでした。」
「生態反応が無かったのも、その為だと思われます。」
「また、現在、最低量のコスモナイト鉱石は採取完了。」
「報告を……。」

「すまん戦術長。艦長に報告がまだある。」
報告を終わらせ、無線を切ろうとした古代に待ったを掛ける真田。

「もう一つ報告があります。」
「太陽系連邦艦隊所属ミサイル駆逐艦の残骸を発見!」
「生存者は無し!遺体も…遺体も確認出来ず。」
「艦名は雪風。」

そばに居た古代も、無線の先の沖田も、言葉を失っていた_。

その後、ガミラスの排除が確認出来た事で、予定量よりコスモナイト鉱石を採掘、ヤマトに積み込んだ。

一時間後、宇宙戦艦ヤマトは進路を冥王星に向けた_。

人類滅亡まで、あと357日。


【冥王星奪還作戦】


ーヤマト中央作戦室ー


空間立体モニタに映し出された、先の会戦時に霧島で撮影された映像と戦闘データから作られたガミラスに占領された冥王星基地データ。

「あと、三時間で冥王星に到達する。」
「そこで、艦橋組を中心に、作戦を伝える事にした。」
「土星衛星タイタンに立ち寄る前に、古代戦術長と話をしたのだが、波動砲の試射を兼ねガミラス冥王星基地を叩く事にした。」
「先ず、ガミラス艦隊に対し、試射をここで行う。」
「この一撃でガミラス艦隊を殲滅させ、航空隊による、空爆を敢行、基地を壊滅させた後、ワープを行う。」
「短期決戦で挑まなくては成らない。以上だ。」
「質問はあるかね?」

「はい。」
真田が質問した。

「ガミラス艦隊の規模をどの程度とお考えですか?」
「波動砲の設計者として、申し上げますが、波動砲の使用前と使用中には陽電子兵器は使用不可能です。」
「また、波動砲は艦首方向にしか発射は出来ず、艦隊を凪ぎ払うにしても、波動砲の射線上の艦艇しか凪ぎ払う事が出来ません。」

「うむ。ガミラス艦隊の規模は先の会戦の残存艦艇による艦隊規模と推測している。」
「およそ30隻前後と推測している。」
「そして、その艦隊は冥王星上空に陣を敷く。」

「仮に冥王星上空に陣を敷いていたとして、セオリーから、おそらく基地に対して平行に隊列を組んで来ると思われますが、このままの進路で冥王星突入した場合、艦隊正面に陣を敷く数隻と波動砲発射時に発生する衝撃波で誘爆させたしても、十隻がいいところでしょう。」
「半数近い艦艇を相手にヤマト一艦ではとても…。」
「波動エネルギーが回復するまで十分必要です。」
「それまで、魚雷やミサイルだけで凌がなくては成りません。とても持ちこたえられるとは、自分には思えません。」

「それなら心配は要らん。ガミラスが陣を敷くであろう正面からは航空隊による陽動を行う。」
「そして、ヤマトは艦隊の真横から攻める。」
「マニュアルの上での予測計算だが、30隻を殲滅しても、お釣りが来る計算結果が出ている。」
「儂は十二分にヤマト一隻で、航空隊の戦力を合わせれば、ガミラス冥王星基地の壊滅は可能と考えている。」

「他に質問は?」

「ありません。」

「うむ。」
「では、シミュレーションを観て、作戦を頭に入れておけ。以上だ。」



「ヤマト…ヤマトか。」
「確かに図体だけは超弩級だな。我らガミラス最新鋭艦ハイゼラード級に匹敵する大きさだ。」
「だが、たった一隻で何が出来る?」
「たかだか多脚戦車とガミロイド兵三体を倒し、タイタンの鉱山基地を奪還したくらいで、はしゃいでいるのか?」
「今の内にはしゃいでおけ。すぐにデストロイヤー級二隻とランデブー、跪く。」



「アレだな。ヤマト。」
「歓迎の祝砲を受けとれ!」
「一番、二番主砲、発射ッ!!」

全光弾がヤマトに直撃したかに見えた。
だが、ヤマトはガミラス・デストロイヤー級を捕捉と同時に、弾頭をショックフィールド(電磁プラズマ波)に切り替えた亜空間魚雷を発射、ヤマト周辺で裂く弾、バリアを張り巡らせていたのだ。
デストロイヤー級の撃ち放った陽電子ビーム光弾を弾いていた。
着弾した場所には、青白く電磁プラズマ波が、空間に浮かびあがっていた。
戦術長古代の戦術長としての芽は、ようやく芽吹きはじめたというところだと、沖田は思う。

古代は間髪入れずに主砲、斉射、ガミラス・デストロイヤー級二隻を瞬時に撃破した。

「古代。よくやった。」
「まもなく、冥王星宙域だ。」

「了解。」

「ヤマト航空隊コスモタイガー隊は、全機、発艦準備!」
「第一波、攻撃隊は加藤の指揮に従え。」
「第二波、攻撃隊は山本の指揮に従え。」
「椎名少尉は第一格納庫へ。コスモゼロ・イェーガーに搭乗し、待機せよ。」

戦術長古代の指示にバタバタと慌ただしく航空隊控え室内は、ごった返していた。

【宇宙戦艦ヤマト航空隊隊長:加藤三郎】

宇宙戦艦ヤマト航空隊隊隊長。

直属の上官である戦術長の古代進に並ぶ熱血漢として、彼の性格を最もよく理解するクルーの1人であり、古代とは同期で、階級も同じだったが、「棚ぼた」的、特進に時々、皮肉を言う事も、また対等以上の口をきくこともある。
そういった性格や口調のほか、角刈りにまとめた頭髪に細眉が特徴。
階級は中尉。

【宇宙戦艦ヤマト航空隊副隊長:山本明】

ヤマトが月軌道でワープテストの準備中、ガミラスの高速空母より発進した艦載機を迎撃するべく※コスモタイガーⅠ(ブラックタイガー・チーム機)にて出撃し、交戦中に被弾する。
ワープテスト開始時刻が迫る中、自らの帰還よりテスト決行の優先を進言するが、※戦術長の古代進による着艦指揮のおかげで決行寸前に間に合う。
※また、太陽系連邦月面基地航空隊にて、ガミラス偵察機を迎撃する際に斉藤始に殴り飛ばされて機体を奪われ、彼の帰還後には殴り返して一触即発の状態になりかけた事がある。
コスモタイガー隊(ブラック・シャークチーム)隊長に就き、新たに部下となった坂本茂や椎名晶を指導している。
愛機機首部にシャークマウスのマーキングを施している。それに因んでチーム名をつけた。
階級は中尉。

【椎名晶:宇宙戦艦ヤマト航空隊(コスモ零・イェーガー)パイロット】

※コスモタイガー(ブラック・シャークチーム)の女性パイロット。
坂本茂と同期。
冷静沈着な性格で、お調子者な彼の突っ込み役でもある。
訓練学校では北野と同じように複数の学科を受けており、非常に多才。
元々はレーダー手志望だったが、※ガミラスの襲撃攻撃からコスモタイガー隊に助けられ、それがきっかけでパイロットに転属したという過去を持つ。
※今回、土星衛星タイタンでの機転の利かせ方や行動力を高く評価した古代が、副パイロットだった椎名を本作戦に起用。古代の予備機コスモゼローアルファⅡを貸与、航空隊のバックアップにあたらせた。
コスモ零(ゼロ)イェーガー(狙撃兵)のパイロットと成る。
階級は少尉。



「航海長。第二戦速から第一戦速へ。」

「戦術長。砲雷撃戦よーい。」

「船務長不在の為、通信長はメインレーダー席へ移動せよ。」
「レーダー及び通信を兼任せよ。」

「機関長は機関区の指揮を。」

「佐渡艦医は衛生士の指揮を。」

「真田技術長。波動砲制御室にて指揮を。」

沖田艦長による一斉に命令が下された。
ヤマト艦内全体に緊張が走る。

「冥王星まで、距離10万キロ!」

「ヤマト航空隊コスモタイガー隊は全機発艦せよ!」
「敵艦隊正面より攻撃を仕掛けよ!」
「続いて、コスモ零・イェーガー、射出スタンバイ!」

「射出カタパルトアンカー固定!」
「エンジンパワー、安定に入った。」

「陽電子粒子レーザー、射撃レーダーリンク開始。」
「戦術長。狙撃、何時でもOKてす。」

「此方、戦術長。了解。」

「艦長。航空隊全機発艦完了。及びイェーガー準備完了。」

「うむ。」
「戦術長。波動砲発射準備!」
「航空隊、第一波陽動攻撃後、撃て。」

「戦術長。了解。」

「戦術長!冥王星上空にガミラス艦隊!」
「艦艇総数:42艦種識別に入ります!」
「続いて、航空隊ガミラス艦隊と接触!交戦に突入!」

「島!左舷補助エンジン、後進三分の二!」
「右舷補助エンジン、全速前進!」
「ヤマトをスライドさせろ!」

「椎名!ガミラス艦隊、最左翼を狙え撃てッ!!」

「ヤマト!ガミラス艦隊最右翼と重なります!」
「艦首固定!両舷スラスター噴射!」
「重力アンカー展開!」

「波動砲薬室内、波動エネルギー充填92パーセント!」
「強制注入機作動!」
「波動砲、発射20秒前!」
「航空隊はガミラス艦隊より離脱、ヤマト上空に待機!」

「波動砲、セーフティロック解除!」
「波動砲薬室内、波動エネルギー充填120パーセント!」
「全艦、対閃光、対ショックに備えよ!」
「波動砲発射、10:秒前!」
「ターゲットスコープ、オープン!」
「…7.6.5.4.3.2.1.波動砲発射ーーーッ!!」




「ヤマト!我がガミラス星艦隊、最右翼に捕捉!」
「あっ!?いえ、待って下さい!」

「……これは………これは超高出力エネルギーを検知!!」
「この数値は…この数値は見たことがありません!!」

「一条の超高出力エネルギー!射線上の艦艇を凪ぎ払い、尚も威力を保ち突き進みます!」


後編へ
つづく。