鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

追憶の戦士たちー宇宙戦艦ヤマト2202二次創作

2019-03-04 21:10:11 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



ー追憶の戦士たちー
宇宙戦艦ヤマト2202

二次創作スピンオフ




私の機体は爆発炎上、コックピットごと私は飛ばされた・・・

「やっ……山本ォォォーーーッ!!」古代艦長の声が聞こえた・・・


◆◆◆◆◆




真っ暗な闇の中に私は一人で、宙に浮かんでいた。

「ここは何処なんだろう?」
「私は死んだのか?」

頬っぺたをつねってみた。

「痛たッ!」
「生きているのだと思う。」
「いや、思いたい。」

この闇の空間は、どうやら歩く事も可能なようだ。
ただ、歩いてみても、進んでいるようには感じない。
体力の消耗、身体には疲労感を感じる事から、進んでいるのだと。
ただ、東西南北のどの方角へ歩いているのかは、解らない。
私のインナースーツには、方位磁石の機能が付いているのだけれど、方位磁石の針は全く役にたたない。
何処を示すでも無く、ただクルクルと回るだけ。

「つかれているのかなぁ。」
「なんだかとても眠い………。」


◆◆◆◆◆


滅びの方舟に設置された"ゴレム"を起動させたガトランティスの王:大帝ズォーダー。

崩壊をはじめる白色彗星都市帝国。
次々と機能を停止し、その場に膝から崩れるように倒れてゆくガトランティスの民。

だが、大帝ズォーダーだけは、ゴレムに拒否され死ぬことすら許されない存在に成っていた。




「これもお前の導きか!?テレサ。」

「ならば、この儂が裁定者と成りて、全知的生命体を抹殺するまでのこと。」

「滅びの方舟よ!真の目覚めをーーーッ!!」



崩壊する都市帝国。
幾つもの瓦礫が渦を巻く。
その瓦礫は徐々に纏まり、やがて大きな一つの瓦礫の渦と成った。
渦の中心に不気味な光を放つ球体が浮かび上がった。
やがて、その球体は意思を持ち、1つの生命体のような存在化した。
取り巻く瓦礫の巨大な渦は、その球体の意志により、眼前に浮かぶ満身創痍のヤマト、残存地球ガミラス連合艦隊そして月と地球へと、容赦無く降り注ぐ。

「古代。」
「まだ一発、波動削岩弾が残っていたな。」
「あれを使わせて貰う。」キーマンはそう告げると、古代の許可を待たずにツヴァルケへと走り出した。

「中尉。俺も付き合うぜ。」
「あの削岩弾を積み込む時間の余裕はねぇだろ!?」

「ふん。」
「生きて帰れる保証はないぜ。」
「それでも良ければ、好きにしな。」
クラウスの台詞(ことば)に斉藤は右の口角を上げて見せた。

「上等だ。」
二人は拳と拳を"コツン"と当てた。



「艦長の古代だ!格納庫管制クルーへ通達!」
「キーマン中尉に発艦命令は出して無い。」
「発艦させるな!」





「隊長………。」
「隊長が選んだ路(みらい)……邪魔させないよ…」

「あんたたちだけで、行かせやしないよ。」
「あたしも護衛に行くよ。」敬礼で見送る永倉。

キーマン中尉のツヴァルケの上に仁王立ちの機動甲冑隊長機は永倉に返礼した。
「すまねぇな。永倉。」

古代はキーマン中尉を追うようにコスモゼロを発艦させた。
だが、その古代のコスモゼロに永倉の機動甲冑が飛び乗る。

「行かせてやってよ……。」


◆◆◆◆◆




「中尉。慌てず急いで正確にな!」

「古代!未来を掴め!!」



「愛してるよ……玲。」





「……キーマン中尉…………。」





◆◆◆◆◆


静寂に満ちた宇宙(せかい)。
すべての闘いが終止符を迎えたかに思えた。

だが本当の闘いは、これからだった・・・

満身創痍のヤマトの眼前には、あのズォーダーの魂とも云える球体が、以前にも増して巨大化し、浮遊していたのだ。

その巨大化した球体、ズォーダーの魂:真の滅びの方舟は、一条のエネルギー波を撃ち放つ。

その一条のエネルギー波は、満身創痍のヤマトを霞め、月面都市を抉るように凪ぎ払い壊滅させた。





真の姿を表し、尚も今、その力を増幅させる滅びの方舟。
その滅びの方舟の猛攻に成す術もなく、疲弊してゆくヤマトとクルーたち。
使用可能な武器も無く、波動エンジンすらも悲鳴を上げるヤマト。
艦を預かる古代は苦悩する。

「このまま、やられてゆくのか………。」
そう古代は心の中で呟く。
だが、そんな古代の心の中に、一つの光が差し込んだ。

「……古代。」
その光に導かれるように、古代は艦長席に飾られた初代ヤマト艦長:沖田のレリーフに眼をやった。

「……沖田艦長。」
「自分は、どうすれば…どうすればいいのか?」
「もうヤマトには使用可能な武器もなければ、波動エンジンも悲鳴を上げ、成す術もありません。」

「なぁ。古代。」
「お前はまだ、生きているではないか。」
「生き残るはヤマトではない。」
「生き残るは人類だ。」

「お前にはまだ、武器があるではないか。」

「武器……武器ですか?」
「何が一体武器なのです?」
「教えて下さい。沖田艦長。」

「命だよ。」
「お前の命が残された武器だ。」

「自分の命でありますか?」

「そうだ。お前の命だ。」
「お前はヤマトの艦長だ。艦長ならヤマトを信じるんだ。」
そう告げると沖田は消え、古代の眼前にレリーフがあるだけだった。



古代は云う。

「相原。銀河に回線を繋げ。」



「藤堂艦長。これより、ヤマトのクルーを退艦させます。」
「移艦終了後、Gー計画に向け、当宙域を離脱されたし。」



「総員ただちにヤマトを退艦せよ。」

総員退艦後、古代は一人、第一艦橋から脱出艇を見送っていた。

「俺は何十年で終わる命を無限に刻む命に変えに行くんだ。」そう心の中で呟く古代。
その呟きが聞こえたかのように、記憶を失った森雪もまた、ナビゲーターを務めたいと、第一艦橋に姿を現した。
ヤマトは波動エンジンの制御も効かず、いつ轟沈しても、おかしくない状態であった。

ゆっくりと滅びの方舟へ向かってゆくヤマト。
そのヤマトの前に再び、テレサが出現した。




それぞれの人の思いと共に、滅びの方舟に向かうヤマト。

そのヤマトをテレサが包み込む。
「共に参りましょう。」
「命が繋ぐ未来のために………。」

艦長席に古代と雪の姿があった。
古代の膝の上に腰を下ろす雪。
見つめ合う二人。



「雪。俺と結婚して欲しい。」



「……古代…くん。こんな記憶の無い奥さんでいいの?」

「いいさ。」
「これから二人の記憶を作ればいいさ。」

「お受けいたします。」頬を朱く染めた雪。
二人は唇を重ね、熱いキスを交わした・・・




◆◆◆◆◆




目が覚めた私は辺りを見渡す。
代わり映えしない真っ暗な闇。
でも、さっきとは違うものを感じた。
「ポツン」と灯りのようなものが見える。
私はその灯りに引かれるように歩き出した。
その灯りは、どんどん大きくなり、灯り程度の光は、輝きと変わった。

私は目が慣れるまで眼を細めて過ごした。

「ここなら解り会えるかも知れないわね。」聞き覚えのある声だ。
私は再び歩きはじめた。
聞き覚えのある声は桂木透子,透子さんの声だと。
透子さんもこの世界に?「じゃあヤマトも?」と思い、私は透子さんの姿を探した。
金色(こんじき)輝く透子さんを見つけた。
白いヤマト艦内服が光の加減で金色(こんじき)色に見えているのだと思った。
透子さんの隣にはキーマン中尉の姿も確認出来る。
二人は私に気づかない。



金色(こんじき)に輝く透子が口を開いた。

「あら、私でいいの?」
「貴方、玲ちゃんが好きなんでしょ!?」

「ああ。玲が好きだ。」
「好きだったが正解かな……。」
「彼女と俺では住む世界が違い過ぎる。」
「俺は地球では、いやガミラスと異なる世界では長くは生きられない。」
「だからと言ってガミラスでは彼女、玲が辛い思いもするだろうと思う。」
「純血を重んじる風習は無くならないからな。」
「玲には俺より、相応しい男が現れるよ。」

「あら、未来を見たのね。」

「恋愛って出逢いと別れがあるだろ。」
「出逢って別れた……直接、別れを告げた訳ではないがね。」
「あの出撃が、俺的の別れだ。」

「……この世界なら死ぬこともない。」
「愛を育み、永遠に愛し合える。」

「いいわ。クラウスが私を望むなら……」
「二人の愛を育みましょう。」金色に輝く透子さんとキーマン中尉は、お互いの服を脱がしはじめた。

私は何故か、そのまま二人の行為を見ていた。
悲しいとか悔しいとかの感情が、込み上げては消えてゆく・・・
まるで、寄せては返す波のように。
私を抱いた中尉が、今は透子さんを抱いている。
何時しか、悲しみも悔しさも、私の心から消えていた。
代わりに私が中尉に抱かれている感覚に包まれていた。
透子さんとキーマン中尉が唇を重ねれば、私も唇を重ねた感覚に。
透子さんが舌を絡めれば、私がキーマン中尉に舌を絡めている感覚に。
私は眼を背ける事もなく二人の行為を見つめている。
私の中に甦る中尉に抱かれた時の感覚。
何時しか私の身体は、その感覚に反応していた。
心が求めるまま、私は指を動かしていた。
私の心と身体が満たされてゆく・・・



やがて、二人は1つに重なり、透子さんの脚が中尉の腰をホールドしたと同時に、私の子宮内に「ドクドク」と脈を打つ感覚で熱きものを感じた。
暫く二人は、そのまま熱いキスを交わした。
しばらくすると二人の金色に輝く光は、消えてしまった・・・



「何だったんだろ?」私は消えてゆく二人に声も掛ける事が出来なかった。
私は心を落ち着かせ、消えた光を探すように再び歩きはじめた。


◆◆◆◆







二人の光を探す私は・・・

「ここは……ここはイスカンダル………!?」
「メルダ……!?」
幻を見ているのか?
私は自分の頬をつねった。
「痛っ!!」
夢や幻ではないようだ。
でも、イスカンダルの出来事は、三年も前の事。

「玲!何時までそうやってるつもりだ?」唐突にメルダが言った。

「……何時まで?」
「艦長に聞いて!」私は訳が解らす"カチン"と来た勢いで返事を返した。

「……何だよ。透子さんやクラウスが現れたり、メルダが現れたり……。」

私は何処に居るの?
何処へ行けばいいの?

そんな私をメルダが誘う。
「んだよ……」と思いながら、彼女に泳ぎでも、負ける訳に行かないと、私はメルダを追うように泳ぎはじめた。







私たちは、何れくらい泳いだのだろう?
ふと気がつくと岸からかなりの距離に居た。
再びメルダが口を開いた。

「玲。何時までここに居るつもりなんだ?」
「私たちが長居出来る場所じゃ無いんだよ。」
「なんて言うか、高次元!?時空間!?」
「上手く言えないけど、今は、ここにいてはいけない事だけは、解ってるんだ。」

「……今は!?」
「今はって?」
私はメルダに問いかけ。
メルダの返事は意外なものだった。

「あの人に、あの人に聞いたら解るよ。」そう言い残すとメルダは消えてしまった。
私はメルダを探すように、メルダが指を指した方を「クルリ」と回り、目を凝らした。

「……クラウス。」
さっきまで透子さんと二人で愛しあっていたクラウスが・・・

「玲。俺は、お前に未来を掴んで欲しく、この場所を選んだ。」
「いや、縁を創る為に、ここへ来た。」
「古代と森雪も、この場所に居る。」
「あの二人を玲、お前に託す!」

「あの二人は、その気に成れば帰れるのに、そうしようとしない。」
「森雪は帰りたがっているのだけど、古代が頑なにこばんている。」
「玲。お前に真田や島たち"ヤマト"を連れて来て欲しいんだ。」



「私は……私はクラウスが、クラウスが欲しい……。」
「何で透子さんと……私はクラウス、貴方に捧げたのよ……。」



「玲。よく聞くんだ。」
「ここでは、お前を抱けないんだ。」
「解りにくいかも知れないけど、君に俺の証を授けるには、ああするしか無かった。」
「透子さんを媒体にするしか………。」
「もうじき、ヤマトが出港する。それに乗るんだ。」
「現実の世界に戻った時から、新たな未来がカウントされ、始まる!」
「ここに居た時間はたったの6時間。」
「新たな未来が始まるのは、ガトランティス戦役から半年後だ。」
「解りににくいけど、そういう事なんだ。」

再びクラウスは、それだけを私に伝えると消えてしまった・・・
でも、消える前、確かに私はクラウスの唇と重なるのを感じた。



私はいつの間にか、眠っていた。



「帰ろう。地球(ふるさと)へ。」
私の頭に過る一つの台詞(ことば)。
私はその台詞(ことば)を胸に、地球へ帰還する事だけを考えた。




◆◆◆◆◆


ガトランティス戦役から半年。




突如、時間断層内にヤマトが出現した。
艦内には戦死したと思われた玲が一人だけが乗っていた。
玲にはまだ息がある。
その玲は言った。
「古代さんと雪さんは生きています。」と・・・

だが、しかし彼らを救うには、時間断層を崩壊させる必要があった。
真田は全てを公表した上で、その是非を国民投票に掛ける。
巨大な樹のような"時"が見える世界で古代は未来を探し続けていた。
やがて雪と小さな未来を見据えた時、その足下にヤマトが現れた。

時に西暦2203年。

古代と雪はヤマトと共に地球へ帰還した。


~fin~




古代さんと雪さんが、地球に戻ってから三ヶ月後、確かにクラウスの証が私の身体の中に芽吹いていた・・・

「逢えるのは来年の秋の今頃ね。」
「男の子かな。」
私は「クスッ」と微笑んだ。


◆◆◆◆◆


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち:第七章二十六話》のスピンオフ二次創作です。
一部、公式より引用。