鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

魅猫アゼルスタン・ククリットーガトランティスを導く者:後編

2019-03-28 00:52:57 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



魅猫アゼルスタン・ククリット
ガトランティスを導く者

後編


邁進するガミラス艦隊は、突然の火線に度肝を抜かれていた。
先行する偵察部隊が、一瞬にして消滅した。

進撃速度を落とすガミラス艦隊。
だが、この判断がさなる危機を招いていた。
アゼルスタンの座乗するアゼルスタードから放たれる火焔直撃砲の恰好の餌食と化していた。




時を同じくして・・・

占領した第八番浮遊大陸では、アケーリアスの遺産:生命体兵器、後に"ガイゼンガン兵器"と呼ばれる一つの兵器が誕生した。

その一報がアゼルスタンの元へ届く。

「アゼルスタン様!大陸が緊急回線が、入ってます!」

「緊急回線だと!?」
「通信士。わたくしのインカムにダイレクトに繋げ。」

「御意!」

アゼルスタンにダイレクトで繋がれた通信内容に、焦りを浮かべるアゼルスタン。

「研究中の遺跡から生命体のようなものが、ふ化しております!」
「一切の制御コントロールシステムを受け付けません!」
「ご指示を!」

「…………ふ化?」アゼルスタンは戦闘指揮も一時、忘れるほどであった。

「アゼルスタン様!ご指示を!」

「……すまぬ。技術長。」
「ガミラスの上級士官二人を連れ、一時的に脱出を。」
「南極側から脱出せよ!」

「ガミラス上級士官も連れてですか?」

「そうだ!あの二人はガミラスにとって重要な人物のようだからな!」
「貴重な人質だ!」

「御意!」







「生命体……ふ化?だと………。」
「あの大陸のアケーリアスの遺産………。」
「我がガトランティスに幸運をもたらすか否か……。」
「我々の使い方次第って事か。」そうサーベラーは呟いた。



縦横無尽に飛び交う敵、味方の火線。
アゼルスタンの一時の間が、開戦当初こそ優勢であったが、その勢いは戻されつつあった。



モニタ越しにその様子を見届けるサーベラーは、自身が乗り付けた最新鋭艦を戦力に加える事も出来ず、歯痒さの中、巫女の大扇を握りしめていた。

そんな中、あわただしく飛び込む報告。

「サーベラー閣下!浮遊大陸から離脱する艦(ふね)あり!」
「我がガトランティスのククルカン級一隻、離れて行きます!」

「逃亡か?」
「砲術士、一番から二番に亜空間魚雷装填!」

「目標は逃亡艦!」

「御意!」

「亜空間魚雷、一番、二番発射せよ!」



パイパダ准将とムルケ親衛隊大佐を乗せたガトランティス浮遊大陸駐留軍ククルカン級駆逐艦内でもまた、一つの騒動が起こっていた。

囚われた二人は、元々は親衛隊に所属していた。
ムルケ大佐に関しては変わらないが、一時的に上官だった時代がある。
パイパダ准将が技術情報部隊に転属する前の将官候補生であった三ヵ月の間である。
その三ヵ月間、どんな過酷な尋問、尋問という名の拷問にも耐えられるよう訓練を集中的に訓練してきた。
アゼルスタンから受けた陵辱的な仕打ちにも、彼女パイパダにとっては、屈辱でも何でもなかったのだ。
恥じらう演技を見せたに過ぎない。
後ろ手で縛られる時に二人とも、ジャンケンでいうところの"パー"の状態にし、縛られたのである。
とは言え、完全にパーの状態では怪しまれる為、やや開いた状態で尚且つ腕を着けた状態で、縛られたあと今度は腕を重ねるようにし、隙間を確保していたのだ。
初歩的な訓練の一つである。
こうして"縄抜け"をやって退けた二人は、ブリッジを制圧、艦(ふね)を奪取した。



「悪いわね。ガトランティスのお嬢さん。」
「私たちはガミラスへ帰らせて頂くわ。」

「大佐。ジャンプを。」

亜空間魚雷が直撃かと思われたそのタイミングで、奪取されたククルカン級はワープした。

「サーベラー閣下!僅かな時間差でククルカン級は、空間跳躍をしたもよう!」
「亜空間魚雷、目標ロストの為、迷走。」



「艦長。バルゼーに連絡を。」

バルゼーと直接、対話するサーベラーは、こう告げた。

「アゼルスタンは下がらせる。」
「バルゼー。貴公はその場で戦闘指揮を取れ。」
「命令だけをその場から出せばよい。艦(ふね)を表に現すなよ。」
「すぐに交代の者を遣わす。」

「御意!」





「アゼルスタン様!サーベラー閣下から直通通信!」
通信士から、あわただしく告げられて来る。

「繋いで頂戴。」

「アゼルスタン。貴公、部隊の指揮官としては無能だな。」
「脱走兵が出たぞ。」
「幸い、この私が討ち取ったがな。」
「ここから先はバルゼーが艦隊の指揮を取る。」
「貴公は解任だ!」

「サーベラー閣下。その命令には受託出来ませんわ。」
「ガミラスを壊滅するまで、あと一歩のところまで来ております。」
「バルゼー殿には申し訳ないけど、この大事な一戦を大帝に献上すると約束致しましたので。」





「小娘がァァァァァーッ!!」

「艦長!あの反逆者へ亜空間魚雷をプレゼントして差し上げて!」

「ぎ…御意!」

「亜空間魚雷!一番から六番、装填!」
「目標!アゼルスタード艦!」



「くっ!」
「味方を撃とうというのか!!」

「艦長!回避運動を!」
「それと、わたくしのインターセプターの発艦準備を!」
「サーベラー閣下に直にお逢いする!」
「沈むなよ。」

「御意!」

口角を上げるアゼルスタン。



亜空間に潜む艦。
スクランブル発進したアゼルスタンは、次元トランスデューサー・システムを発動させた。

※次元トランスデューサー:物質転送波システムの応用でガミラス科学奴隷に研究、開発させた"変換器"である。
一定時間内、発動させた物体とほぼ同等な空間を、任意に選んだ次元へ変換するシステム器。
但し、現段階では1時間が限度である。
時間が限度に達すると強制的に、元の次元へ戻される。

ワープ時に体感する時空次元に似た現象の中、インターセプター仕様のパラノイアは、シヴァーの艦尾にその姿を現し、強襲揚陸艦の如く着艦した。



「サーベラー閣下。」

その声に驚きを隠せないサーベラーは、普段見せる事もないくらいに動揺していた。
そのサーベラーに対し、間髪を入れずに台詞(ことば)を投げた。

「貴女ほどのお方が何故、大帝への献上をと思う行為の邪魔をする?」
「そして、貴女は味方を撃ったのです?それも背中から、白銀の巫女と異名を持つガトランティスの偉大な戦士のする事なのか?」

銃を構えるアゼルスタンはサーベラーに詰め寄った。

「頭目風情の小娘が、いい気になるなよ。」
「白銀の巫女の異名、伊達ではないぞ。」
ゆっくりと巫女の大扇を開くサーベラー。
舞を踊り出す勢いで、サーベラーは手にする大扇を天高く放り、アゼルスタンを眼を見開き直視した。



同時にブリッジのメインモニタに映し出される大帝ズォーダー。

「サーベラー!止めるんだ!」
「何をしておる!」
「お前が感応波を使えば、確実にアゼルスタンは死を迎える。」
「闘う前からサーベラー、お前の勝ちは解っていた事。」

「アゼルスタン。貴公も銃を下ろせ!」
「儂に助言する事を許された戦士アゼルスタンよ。」
「ガトランティスを導く同志よ。」

「御意!」
アゼルスタンもサーベラーも、同時に頭(こうべ)を垂れた。



「戦士アゼルスタンよ。その大陸に眠るアケーリアスの遺跡には、何が有った?」

「はい。あの大陸に眠るアケーリアスの遺跡には"ガイゼンガンという兵器であり生命体でもある、まだまだ謎多きものが、存在しています。」

「その中の幾つかが、ふ化しております。」
「わたくしは便宜上、ガイゼンガン兵器群と呼んでいます。」



「ガイゼンガン兵器群。良い響きだな。」


◆◆◆◆


アゼルスタンとサーベラーの騒動から53日目、この"ガイゼンガン兵器"は戦場に投入された。




大陸から見て、正面左舷側からガミラス艦隊が、右舷側からは地球艦隊が邁進して来る。

「全艦!180度、回頭せよ!」
「これより、地球・ガミラス連合艦隊を叩く!!」

イメージ曲ヤマト2199星巡る方舟より。


~fin~


【トランスデューサー(変換器)】は測定、情報転送を含む様々な目的のために、ある種類のエネルギーを別のものに変える装置で、通常電気的、電子的な素子または電気機械である。
たとえばセンサのようにある物理量を電気信号に変える素子、機器などである。

広義では、トランスデューサーは1つの形態から別のものに信号を変えるあらゆる装置と定義される。





【ガトランティス娘アゼルスタン・ククリット】は心友の特務中尉(ミレーネル・リンケ中尉さんハンドルネーム)のオリジナルキャラクターで、お借りしてます。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。