鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

魅猫アゼルスタン・ククリットーガトランティスを導く者ー前編

2019-03-21 19:50:06 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



魅猫アゼルスタン・ククリット
ガトランティスを導く者

前編


第八番浮遊大陸を完全制圧して二時間後、降伏を受け入れたガミラス惑星調査団残党は、瓦礫と化した施設の中でも一番まともな建物の一室に集められていた。
最終的に陣頭指揮を取ったアゼルスタンが、口を開いた。

「お集まりのガミラス残党の諸君、お初にお目にかかわり、光栄です。」
「光栄ですが、早速、責任者はご存命か?」
「ご存命なら、一歩前へ。」
その言葉に「ピクリ。」と動いてしまうガミラス親衛隊将校ムルケ。
その仕草に反応したのか僅かに遅れて、パイパダ科学技術准将が、一歩前へ出た。

「私が責任者のパイパダ科学技術准将だ。」
細身の身体に出るところは出るを強調するかのように、将官クラスでは珍しいピッチリでセパレートタイプのコマンダースーツを纏い170cmと、やや高身長の身体に踵高5cmのニーハイブーツ。
髪は、やや紫かかった女性将官は、こんな小娘が指揮官の部隊に負けたのかと、云わんばかりな顔を覗かせながらアゼルスタンの前に立った。



「コイツわざとらしく、わたくしを見下ろして来やがる。」そう心の中で呟きながら、負けじと背伸びし、目を細め顔を上げた。

「貴様。敗軍将にしては、見上げた態度だな。」
「だが、その強気な態度、嫌いではないが、今すぐにわたくしに跪く事をオススメ致しますわ。」

「跪く?」
「跪くくらいなら死んだ方がましね。」

「あら、そう。」
アゼルスタンは大帝から戦士の証として頂いた腰裏に携帯した剣を抜き、パイパダのへその辺りにあてがいパンツの上から下げている帯革を切り落とした。
拳銃の抜かれたホルスターを着けたまま、「パラリ。」と床に落ちた。
と、同時にパンツがゆっくりと足首まで落ちた。
生き残った部下たちの目にさらけ出された裸体の下半身。
とっさにパイパダはしゃがみ込もうとしたが、アゼルスタンの護衛兵二人に、両腕を掴まれ、無理矢理に立たされてしまう。

「くっ!」
「殺せッ!」パイパダは眉間にシワをよせ、顔を紅く染めながら捨て台詞を吐いた。

「こういう気の強い女は陵辱するのに限るんだよ。」
「どう?部下に見られる気分は?」
「綺麗な顔が、茹でたこのように真っ赤だな。えっ、准将殿。」

「ペッ!」唾を吐き掛けるパイパダ。
アゼルスタンの左頬に伝わる唾。

「この准将殿をその部屋に繋いでおけ!」
アゼルスタンの命令に即座に従う護衛の兵。

「准将殿の代わりにあのいかにも軍人な将校に聞くとしよう。」
アゼルスタンが顎を「クイッ。クイッ。」と元親衛隊将校ムルケに目線と合わせてを送った。

詰め襟に五つの金ボタンで、肩からはモールを下げ、乗馬パンツのようにももの辺りが太く膝から下が絞られたパンツに膝下まで黒いブーツで身を固める金髪の将校。

「あの准将殿に変わって貴様に聞くとしよう。」
アゼルスタンが、そう云うとムルケはアゼルスタンの前にしゃがみこみ片膝を床に付け、頭を(こうべ)を深く垂れた。

「自分に解る事は全てお話致します。」

「そうですか。貴様はわたくしに跪くのですね。」
「良い心掛けですね。では、あの准将殿の部屋に繋いで起きましょう。」
「後でわたくしが尋問します。」

両脇を抱えられるようにムルケもまた、別室に連れて行かれ、パイパダ准将同様に後ろ手に縛られ、繋がれた。

「残りの者は、あの二人とは別の部屋に繋いでおけ。」





「ピキン。ピキン。ピキン。」
だが、その様子は超高感度サーモグラフレーザー波を通し、一部始終バルゼーの元へ送信されていた。

八番浮遊大陸の裏側に艦(ふね)を隠すように停泊させ、大陸をアゼルスタンを監視していた。
殲滅が基本だが、指揮官の判断ですぐには殲滅させない事がある。
それは利用価値があると判断された時である。

だが、利用価値があると判断した時点で大帝に報告、その後、大帝から与えられた猶予内にどのような利用価値が認められたかを報告しなくてはならない。
その報告を大帝が裁定する。

アゼルスタンは現段階で報告を怠っていた。
これだけでも、本来な処分の対象なのだが、今、大帝にこの事を報告しては、バルゼー自身も処分される事からバルゼーはわざと報告をしなかったのだ。
バルゼーは自身の処分を間逃れる為また、サーベラーからの「"失脚"させよ。」の命令も遂行出来ると考えたからだ。
報告を怠った事に対しては、アゼルスタンを庇う事で、処分は間逃れると考え、これに対し、サーベラーは、これでは民に示しがつかないと、アゼルスタンを失脚させる口実に利用出来ると考えた。



「全て録画も録音も、記録を取ってあるからな。」心の中で呟いたバルゼー。

だが、ここで誤算が生じてしまう。
それはサーベラー自らが、乗り出して来た事である。



「報告せよ。バルゼー提督。」

あたふたと慌てるバルゼーの姿が、シヴァーのメインモニタに映し出されていた。

「……ハハッ。」
「サーベラー閣下。戦闘は終結、我がガトランティスの勝利で御座います。」モニタ越しに頭(こうべ)を垂れるバルゼー。

「その報告ではない。」
「状況を見れば解る。この浮遊大陸にどんな利用価値が認められたのだ?」

バルゼーは動揺していた。
「このままでは、処分されてしまう……。」

「閣下。申し訳ご……」と云い掛けた時であった、新たな盗聴が飛び込んで来たのだった。
「……ほう。」
「アケーリアスの遺産の/%#℃℃$%<…………。」

「ハッ!閣下。あの大陸にはアケーリアスの遺産が確認出来まして、自分も驚きの余り、ご報告が遅く成った次第で御座います。」

「何!?アケーリアスの遺産だと?」
「して、その遺産とはどんなものだ。」

「ハッ!それは今、あの小娘アゼルスタンが尋問しているところであります。」
「尋問に手こずっているようでして……まだ、詳しくは解っておりません。」
「申し訳御座いません。」再び深々と頭(こうべ)を垂れるバルゼー。

バルゼーは、これまでのサーモグラフ映像と録音された音声を超空間通信でシヴァーのブリッジに送信させた。



「バルゼー。この映像と会話を直接、私の艦(ふね)に送信されるように切り替えよ。」

「御意!」



「あの小娘。何を始めようというのだ。」
「……こっ。これは………。」
「あの小娘に抑制は施されてはいないのか?………。」
「私同様に子を宿すこともまた可能ということか………。」

「まぁいい。これで確実にあの小娘を失脚、いや処分出来ると云い訳だな。」
そう心の中で呟くサーベラーは、一部始終を見届け、この浮遊大陸に存在する"アケーリアスの遺産"の情報を入手した。

「しかし、両刀遣いだとはな。」

「アハハハハハハーーー!」高々笑うサーベラー。

だが、高々に笑うサーベラーの声を打ち消すように警戒アラームが、シヴァーのブリッジ内に響き渡る。

「敵襲だと?」
「艦長!バルゼーに通達せよ。後方の浮遊大陸群に後方せよと。」

「御意!」





「ほう。」
「ガミラスは余程、この准将殿と浮遊大陸が大切らしいわね。」
「ガミラスからお迎えが要らしたようですわ。」

「護衛兵。この二人を監視してなさい。」
「わたくしはガミラスを歓迎して来ますわね。」
そう言い残すとアゼルスタンは部屋をあとにした。

「全艦隊に通達!全艦ただちに発進せよ!!」

「艦長。わたくしの艦(ふね)も緊急発進を!」
「火焔直撃砲、発射準備!」
「大気圏離脱と同時に発射せよ!」

「……。座標はいかが致しますか?」

「艦長。わたくしは大気圏離脱と同時に火焔直撃砲を発射せよ。と云ったのよ。」

「…ぎ、御意!」

「レーダー士。状況を逐一報告。」

「御意!」

「通信士。狼煙(のろし)の準備を!」
「艦内外に響き渡るようにね!」

「あと、14秒で大気圏を離脱します!」

「うむ。」
「狼煙を揚げよ!!」

「火焔直撃砲てぃーーーッ!!」



イメージ曲

※ワーグナーより【ワルキューレの騎行】


後編へ
つづく。


【ガトランティス娘アゼルスタン・ククリット】は心友の特務中尉(ミレーネル・リンケ中尉さんハンドルネーム)のオリジナルキャラクターで、お借りしてます。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。