鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

ー動乱のジレルー宇宙戦艦ヤマト2199外伝

2018-08-31 00:57:17 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝
過去に書いた物語りです(^^;
2016-09-08 03:57:40


ー動乱のジレルー
宇宙戦艦ヤマト2199外伝


前編


ー小マゼラン銀河:外縁部ー

惑星:ジレル:新ジレル歴:17年=(西暦2189年)。



「第7.8.9.12防衛衛星消失!!」

「我々の戦力では最早太刀打ちが困難!!」

この年、新たな主導者と成る種族長が誕生した。
同時に、惑星ジレルに人類が誕生してから2度目の、惑星外から侵略されると云う動乱の時を迎えた……

制宙権を僅か24時間で奪われた惑星ジレル。

「防空宙隊:隊長!!全戦力を防空へ回せ!!」

「レーレライ様が一部の民と巡礼に出ている時に……」

ジレル自衛軍。
第343自衛空宙隊は、種族長代行セレナの命(めい)により、防宙を破棄、惑星内防衛へとシフトした。
ジレル自衛軍防空宙隊には、戦闘機部隊の1つ九尾隊がある。
部隊名は、この惑星(ほし)に古くから伝わる《神獣:九尾の狐》から由来する。

《惑星ジレル:神話(神獣)九尾の狐》イメージ

太古の昔、1度だけ行く先々で侵略を繰り返し、その惑星(ほし)の利用価値が無くなると次の惑星へと渡り歩く侵略惑星国家に、このジレルも侵略をされかけた事があった。
だが、神の惑星:アケーリアスの女神の守護神の1つ九尾の狐によって、この侵略惑星国家は撃退され、窮地を救ったと言い伝えられている。
その事から、このジレルの最強を誇る自衛軍:防空宙隊:隊名に代々使用している。

九尾隊:隊長:コドー・ウーは陽動撹乱を主とした大気圏内でガトランティス侵略軍を迎え撃つ為、遊撃隊を編成、迫り来るガトランティス侵略軍に食らい付く。

「我ら九尾隊はこれより、迫り来るガトランティス侵略軍を迎え撃つ!!」

「セレナ様が神の艦(ふね)を起動させ、民を引き連れ脱出するまでの時間稼ぎが主の目的である!!」

「皆!!無駄死にはするな!!」

「無理と思えば、直ぐに戦線から離脱せよ!!」

「一人でも多くのジレルの種を残す為にも!!」

ジレル自衛軍防空宙隊:隊長コード・ウーは大気圏突入時を狙うように指示を出した。
いくら高性能な攻撃力で高機動力であっても大気圏突入時は、一時的ではあるが性能は落ちるもの。
大気圏突入速度を安定させる事で、精一杯の状況で、攻撃されれば、回避運動はレーダーが効きにくい事もあり、ヒットしやすい。
ましてや反撃にしようにも、同等な理由から中々、直撃弾を喰らわす事もままならないのだ。

「全機!大気圏突入時を狙え!!」

「了解!!」

「それより、隊長!撃墜スコア大金星ですね!!」

「駆逐艦タイプの撃破おめでとうございます!」

「オキィ!そんな事より、次、降りて来るぞ!!」

「セレナ様が発進するまであと、21分だ!油断するな!」

「チッ!本隊は軌道上で高みの見物かよ!」

「格闘型=デスバテーターの厄介なヤツが降りて来やがった!!」


◆◆◆◆


「隊長!格闘型=デスバテーターだ!!」

「ああ。それと駆逐艦タイプが二隻、大気圏内に突入した!」

「なんとしても、この二隻と格闘型は排除する!!」

迫り来るガトランティス侵略軍。
大気圏内に突入した二隻のククルカン級は、突入と同時に無差別に地上攻撃に移行した。
幸い、ジレルの人々たちは侵略が始まった直後から、地下都市へと避難を開始、地上施設には誰一人として居ない。

地上から2.000メートル以上掘り下げられた地下の岩盤が屋根代わりの縦、横、200.000メートル以上のドーム内が地下都市。
ククルカン級のビーム弾やミサイルによる空爆が相次ぐ。
天井や壁面の内側から、小石程の大きさの岩盤がパラパラと落ちる。
「キャー、キャー」と悲鳴も岩盤ドーム内のあちらこちらで、飛び交う。

「いくら地上都市を空爆しても、誰一人としても居ないよッ!!」

「墜ちろッ!!蛮族!!」

九尾隊が使用する防空宙戦闘機は、主翼がエンジン寄り、胴体部やや後方にある。
その主翼後部には縦二列、左右に高性能エンジンが合計四基、装着されている。
そのエンジンの横にハードポイントが左右に三基つづ、合計18基のミサイルが装着されている。
更にエース機は主翼先端部が15度下方に折れている。
その下部には、12.000発を発射可能とした固定武装:25mm8連装バルカン砲を装備。
機体の特徴としては、機首の下部に垂直尾翼にあたる安定翼がある。

我が物顔で暴れまくる二隻のククルカン級と、それを護衛する15機のデスバテーターを相手にエースを含めて20機の九尾隊。

「あと3分だ!!あと3分でセレナ様の宇宙船が発進する!!」

「なんとしても墜とすぞ!!」

たかが3分、されど3分であった。
僅か3分がこれ程までに長く感じた事はなかった。
この3分の間に6機の友軍機が新たに撃墜された。
郊外にある旧市街地首都200.000メートル四方に仕掛けられた爆薬が一気に爆破され、導火線のように発火された場所から連動、旧市街地首都にそびえる宮殿が崩壊する。
崩壊する瓦礫を押し退け、このジレルの王家に代々伝わる神の船=アケーリアスから伝わったとされる船。



《ジレル・インペリアル・スターシップ》イメージ

全長:1.000メートルを超えるほぼ非武装の宇宙船。
九尾の狐と共にやって来たこの宇宙船。
超アウトレンジから撃つ事の出来る主砲=超量子レーザー1門と、八連装:量子魚雷発射管を両舷側に装備する。
主機関は不明だが、超空間跳躍=連続ワープが可能で、一定時間のバリアを張る事が可能である。

グングンと大気圏内を上昇するインペリアル・スターシップ。
4機のエース機を残し、九尾隊10機が護衛に付く。
逃さんとばかりに回頭するククルカン級二隻。

「よし!セレナ様が脱出なされた!」

「ガトランティスの艦(ふね)を引き付ける!!」

「弾幕を避けつつ、ブリッジを狙え!!」

縦横矛盾に飛び回り、ククルカン級二隻のブリッジを目指す九尾隊エースの4機。
だが、そんな中、三番機:ヒィー・ジィ機が被弾してしまう。
脱出レバーを引くヒィー・ジィ。
そのヒィー・ジィに容赦なく襲い掛かるデスバテーター機。
脱出したヒィー・ジィのランドパラシュートを撃ち抜くデスバテーター機の機銃。
二番機:オキィが叫ぶ。

「やめろーーーッ!!」

瞳を閉じ、口からは血へどを吐くヒィー・ジィ。
ランドパラシュートから黒煙を撒き散らして急降下するヒィー・ジィは地面にそのまま叩きつけられる。

「うわあぁぁぁーーーッ!!」

「よくもヒィー・ジィをッ!!」

ヒィー・ジィを打ち落としたデスバテーターを追撃するオキィ。
そんなオキィを他所にインペリアル・スターシップを追撃するククルカン級二隻とインペリアル・スターシップにハイエナの如く群がるデスバテーター機。


◆◆◆◆


大気圏を離脱したジレル・インペリアル・スターシップ。
行く手を阻むように、ガトランティス侵略軍:旗艦:試作型メダルーサー級ヘル・ハウンドが立ち憚(はばか)る。



《旗艦:ヘル・ハウンド艦長兼艦隊司令:ロジアーノ》イメージ

「逃がしゃしないよ!!」

更に遥か前方に30隻あまりのワープアウト反応をレーダーが捉えた。

「くっ!ここまで来て新手か!」

識別灯からして、ガミラスの艦艇だと分かった。
これに過剰なまでに反応したガトランティス侵略軍:指揮官:ロジアーノは、ジレル・インペリアル・スターシップを盾にする事を思い付く。
全長:1.000メートルもあるスターシップ、間違っても3、4発の直撃弾を食らっても沈む事は無いと踏んでいた。
ワープアウトするや否や、ガミラス:ゼーリック上級大将航宙部隊:小マゼラン監視艦隊:ゲール艦隊司令は、識別灯の確認もそこそこに攻撃を開始した。

反撃するガトランティス侵略軍。
旗艦:ヘル・ハウンドはスターシップへの攻撃を一時的に取り止め、盾にする為、後方へ下がった。

「青虫のガミラスよ!これでも喰らうがいいッ!!」

「空間跳躍レーザー波送射!!」

「五連量子衝撃波砲!!撃てーーーッ!!」

ヘル・ハウンド前部に装備された五連装:量子衝撃波が撃ち放たれると同時に空間跳躍レーザー波が、そのエネルギー弾を包み込む。

ロングレンジ攻撃に度肝を抜くガミラス:ゲール司令。
ここで、艦隊がこのまま潰滅してしまっては、後からやって来るガミラス総統:デスラーに顔向け出来ない。
そんな思いから、ゲールは艦隊を後退させる。
だが、ヘル・ハウンドの撃ち放つ、空間を跳躍する五連装量子衝撃波砲の餌食と成ってしまう。
焦るゲール。
空間跳躍する攻撃にワープアウトして僅か2分で、8隻を失うゲール艦隊。

僅か3隻のガトランティス侵略艦隊に、精神的に追い込まれるゲール艦隊司令に、朗報とも言える報告が飛び込む。
それは、デスラー総統、自ら戦果状況を視察に赴きと云う事もあり、ゼーリック上級大将は、援軍と云う訳ではないが、自身の総統忠誠心の現しとして、もう一部隊を派遣していたのだ。
その数、更に30隻あまりの艦艇であった。

とにかく、その艦隊が到着するまで今の艦隊数を維持する為、更に後方へ下がり、陣形を解き、バラバラに展開させた。
この事に寄り、複数の艦(ふね)が空間跳躍する攻撃に沈む事は避けられた。
援軍とも言える30隻あまりの艦艇が、ワープアウトする。

だが、その時であった、誰一人と武装用端末キーボードに触れてもいない状況で、ジレル・インペリアル・スターシップの主砲塔が独りでに動きはじめたのだ。

「砲術士!誰が主砲を動かせと言った?」

「いえ!自分は何も!」

「船が勝手にッ!!」

「セレナ様!!シッ、シールドが勝手に解除されています!!」

「何だと!?」

セレナをはじめ、同乗するクルーたちも、何が起きているのか困惑していた……


◆◆◆◆


「何が起きている?」

「オペレーター!即座に制御せよ!!」

困惑するクルーたちに対し、口調が荒くなるセレナ代行。
そんなセレナを他所にインペリアル・スターシップはまるで自身の意思で動くかの如く、主砲にデータ送信とエネルギーチャージを行っていた。

《ジレル・インペリアル・スターシップ(アケーリアス人工知能)=マザーコンピータ》イメージ

ジレル・インペリアル・スターシップの中核:マザーコンピータ室。
この部屋は、この船が飛来してからこのかた、誰一人として入室した事が無い。
した事が無いと云うより、誰一人として入室が出来ない状態であった。
あらゆる方面の専門家によって幾度となく、入室を試みたが入室出来た者はいない。
1億年以上もの間、誰一人として入室出来た者はいないのだ。

「コノ私ニ攻撃トハ愚カナ者達ヨ!」

「オモイシルがヨイ!!」

マザーコンピータの意思により、装備されている主砲が動き出す。

「左舷角176度、右舷角150度、仰角32度、インプット完了!!」

次の瞬間、主砲=超量子レーザーが放たれた。
左から右へと主砲塔が旋回、レーザーの刃が30隻あまりものワープアウトしてた来たガミラス艦隊を凪ぎ払う。
左から右へと輝いては消える輝かしい光はやがて悪魔の光へと変わる。
8割以上のガミラス艦隊は宇宙の藻屑と消え、残り2割は航行不能となった。
叫び声と怒号が響き、交差する。

「フッハッハッハッ!!」

「コヤツら青虫のガミロンを凪ぎ払ったぞ!!」

「コヤツの艦(ふね)を大帝に献上する!!」

「攻撃は最小限にとどめよ!!」

「拿捕する!!」

旗艦:ヘル・ハウンド艦長兼艦隊司令:ロジアーノは、ジレル・インペリアル・スターシップ撃破の命令から拿捕へと切り替えた。
だが、インペリアル・スターシップの中核:マザーコンピータはガトランティス侵略艦隊も排除すべき者と認識、量子魚雷を撃ち放つ。
両舷側から撃ち放たれた16発の蛍光ピンクに輝く光弾が各ガトランティス艦に食らい付く。

インペリアル・スターシップの前方に陣取るヘル・ハウンドに8個の光弾:量子魚雷が狙い、後方から迫り来るククルカン級二隻には各4個の光弾:量子魚雷が狙う。
インペリアル・スターシップから撃ち放たれた量子魚雷はマザーコンピータの意思により、まるで獲物を狙うコブラのように回避運動するヘル・ハウンド、ククルカン級二隻にしっかりと射程に捉え、食らい付く。

三艦の轟沈を確認したマザーコンピータは、何事も無かったかのように、その機能を停止、再び眠りについたのだ。
機能を停止した事により、インペリアル・スターシップは機関も停止、宇宙を漂う。

攻撃から逃れたゲール艦と数隻のガミラス艦は、自軍の負傷者の救助をそっちのけで、インペリアル・スターシップを取り囲み、拿捕した。

「よくも我々、ガミラスを攻撃してくれたな!」

「お前らは死罪に値するッ!!」

「一生、奴隷としてこき使ってやるから覚悟しておけッ!!」

唾を撒き散らし、いきり立ちながら自分の感情を撒き散らすゲール准将。

「ゲール准将!デスラー総統が御到着致しました!」

「うむ。」

「出迎えだ!急げ!」





「ゲール准将。出撃させた艦の数が合わないな。」

「蛮族の艦(ふね)の残骸の数より、コチラの艦の残骸がやたらと多いのは気のせいかな?」

ゲールはその質問に冷や汗をかきながら、言い訳を陳(の)べた。
主導者を奴隷にし、他の民は収容所惑星送りにしたと告げた。

「ゲール君。ガミラスに奴隷など不用だ。」

「君の処分と、あとの事は君の上官であるゼーリック上級大将に任せるとする。」

「私はこれから収容所惑星へ赴く。」

「下がって良いぞ。ゲール君。」

デスラーは自ら収容所惑星に赴き、収監された少女たちを連れ出した。

時は流れ……
西暦2199年。


◆◆◆◆


《ミーゼラ・セレステラ》

《ミネーレル・リンケ》

収監された少女の内、一人はデスラー総統の側近として自身を確立した。
それが、ミーゼラ・セレステラ。
そして、そのミーゼラ・セレステラの直属の部下としてミネーレル・リンケ特務少尉を配置し、他の少女たちは各前線へと送り出した。

後に、ミーゼラ・セレステラとミネーレル・リンケはバラン星:宙域にて宇宙戦艦ヤマトと交戦、精神攻撃を仕掛け、勝利まであと一歩のところで破りれ妹のように可愛がっていたミネーレル・リンケは戦死した……
復讐を誓うセレステラ。








~the.end~


使用している画像はイメージです。

一部、使用している画像は「宇宙戦艦ヤマト:復活編」より引用。また、ネット上に出回っている画像を使用しています。

ー戦乱のフェーベー宇宙戦艦ヤマト2202外伝

2018-08-31 00:16:36 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝
過去に書いた物語り(^-^ゞ
2016-08-24 00:43:38


戦乱のフェーベ

宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第一話


ー土星圏・フェーベ沖ー


《太陽系・国連第二極東管区・連合艦隊旗艦:アンドロメダ級:大蛇=オロチ》



艦隊司令:土方 竜:宙将はヤマトからの情報を基に、白色彗星・ガトランティス帝国軍:本隊の侵攻ルートを探るべく、波動実験艦改・情報収集艦:武蔵をタイタンのリング=土星の環(わ)軌道上に派遣、潜伏させた。

元々、実験艦として運用していた武蔵であるが、地球の存亡が掛かった大事な一戦である事から、敵ガトランティスの戦力を1分1秒でも早く捉え、分析するの事が急務と考えた土方は、手っ取り早く実験艦:武蔵を改良し、情報収集能力を一段とアップさせた。

そして、今、情報収集艦:改・武蔵は外見は旧型ではあるが、エンジンをはじめ武装も格段にアップされた金剛型・巡洋戦艦:夕凪=ゆうなぎ、比叡=ひえい二隻の護衛と共にタイタンのリング内へ身を潜めていた。

さらに土方は宇宙戦艦ヤマトを土星圏まで後退させ、機動部隊から改・アンドロメダ級:正規空母:蒼龍、飛龍の二隻と合流させ、極東管区・連合艦隊集結完了までの陽動撹乱を任務とするの特務を命じた。


ー土星圏外縁宙域ー


「全艦及び蒼龍、飛龍へ通達!これより敵の本隊を誘き寄せる!」

ヤマト第一艦橋で指揮をとる古代 進の命令が下された。
同時に蒼龍、飛龍に搭載される各コスモタイガーⅡ・戦闘機隊:計46機のフル爆装が、ところ狭しと慌ただしく行われた。
ハードポイント5ヵ所に合計15基の空対空ミサイルが装着され、1.200発の12.7mmバルカン砲弾がセットされた。

蒼龍コスモタイガーⅡ戦闘機隊:隊長を務めるのは、ヤマト航空隊:隊長:加藤 三朗と同期の山本 明が務める。
山本はガミラス戦役中、火星沖海戦にて負傷、以後、回復はしたもののヤマト配属前に、土方にてよって後方支援部隊にて配属された。
配属当初は土方をいや、自分の身体に中々馴染まない義手=機械仕掛けの手を恨んでいた。

リハビリを兼ね地球で防空任務にあたっていた。
寝る時間も惜しんで、山本はとにかく当時、先行ロールアウトされた試作コスモタイガーⅠを飛ばしていた。
ヤマトがイスカンダルへ旅立ち、帰還するのまでの約1年間、飛び続けた。
その甲斐あって山本の義手は身体に馴染み、今では負傷する前以上のパイロットに成長、その実力を高く評価され、極東管区・機動部隊へ配属、改・アンドロメダ級:正規空母:蒼龍コスモタイガーⅡ戦闘機隊:隊長に拝命されたのだ。

エースパイロットに与えられる特権、愛機=専用機を貸与された山本は機体をパーソナルカラーであるブラックを主体カラーとし、二枚ある垂直尾翼をイエローに施していた。
それは、かつて山本が火星沖海戦まで所属していた今は無き「ブラック・タイガー隊」のチームカラーである。

「コスモレーダーに感!!」

「14時の方向に艦影30!!」

森 雪の報告からして、恐らく前衛艦隊と判断したヤマト指揮官:古代は、ヤマト航空隊及び蒼龍戦闘機隊に発艦命令を下した。
ヤマト航空隊には直俺機として、ヤマト、蒼龍、飛龍の護衛に就かせた。
蒼龍コスモタイガーⅡ戦闘機隊を第一波戦闘機隊とし、敵前衛ガトランティス艦隊:機動部隊を叩くべく攻撃目標を定めた。

間髪入れずに古代は第二波戦闘機隊として、飛龍コスモタイガーⅡ戦闘機隊の発艦体制に入らせた。

蒼龍飛行甲板は慌ただしく動く。
二番機、三番機と飛び立つ。
二十二機が発艦完了。
最後に山本機が発艦、合計二十三機の蒼龍・コスモタイガーⅡ戦闘機隊の発艦が完了した。

「隊長機:山本より、第一波戦闘機隊各機へ。」

「弾幕を恐れるな!!」

「恐れれば必ず墜ちる!!」

「ラジャー!!」

血気盛んな声がインカムを通し、山本に届く。

◆◆◆◆


「土方司令!ヤマト古代指揮官より、暗号電文!」

「うむ。読め!」

大蛇、通信オペレーターがヤマトから送られた暗号電文を読み上げる。
だか、土方は返信は無用と伝えると、情報収集艦:改・武蔵を僅かに前進させ、ヤマトと交戦中のガトランティス艦艇のデータ収集を優先させた。

「ワレ。敵ガトランティスの前衛機動部隊と思われる30隻ヲ補足。」

「コレと交戦中。」

「どうやら特務戦隊は、これまでのデータに無い部隊と交戦中のようだ。」

「コスモタイガーⅡ戦闘機隊と交戦中のガトランティス戦闘機、インターセプターか?」

「エースじゃないのか!?」

「バカ言うな!40機以上もエースなんてあり得ない!」

改・武蔵には三つのブリッジがある。
最上階のブリッジは戦闘ブリッジ。真ん中は通常のブリッジ。そして、下位に位置するCICを併設する情報収集実験データブリッジと成っている。
その情報収集実験データブリッジには、今回の敵であるが、ガトランティス帝国軍の一部データとヤマトが持ち帰ったガミラス艦艇や空間データなど様々なデータが蓄積されている。

今現在、特務戦隊と交戦中の艦艇、航空機のデータ収集が優先されている。
勿論、その中には武器、兵器のデータ収集も含まれている。
何故なら、その武器、兵器の対応策を見つけ出し、これを各艦艇、航空機にデータを送り対応させるためだ。

「チッ!!発見された!!」

「どうやら偵察隊が潜んで居たようだ!!」

「全艦!!戦闘配置!!」

巡洋戦艦:夕凪、比叡が慌ただしく動き、改・武蔵が後に続く。

宇宙戦艦ヤマトのデータを基に新開発された地球製波動エンジン。
オリジナルの波動エンジンとは異なるので、正確には波動エンジンとして呼べないのだが、便宜上、波動エンジンと呼ばれている。

主エネルギーをタキオン粒子とし、陽電子エネルギーと掛け合わせる事で、波動エンジン並みの高出力を得る事に成功。
その為、従来の高圧ビーム砲の威力を遥かに上回る陽電子ショックカノンを標準装備する事が可能と成った。
データ上、ガミラス艦艇を一撃で沈める事が可能と成った。
が、しかし、ヤマトの46cm陽電子ショックカノンに比べると36c無砲身では射程距離が短いと云うデメリットもまた、隠しようの無い事実である。

巡洋戦艦:夕凪、比叡はその為、前進を余儀無くされた。

「レーダーオペレーター!ガトランティス艦との正確な距離を逐一、報告!」

「砲雷オペレーター!ガトランティス艦の速度を読み間違えるなよ!」

「主砲!二番、三番、撃て!!」

夕凪に装備された第二、第三主砲6門の36cm陽電子ショックカノンが一斉に火を吹く。
それにつられるように、比叡の第二、第三主砲も火を吹く。
計12門の36cm陽電子ショックカノンがガトランティス前衛機動部隊:偵察艦隊に襲い掛かる。

「敵は僅か二艦の偵察隊だが、必ず墜とせよ!」

「逃したら全て筒抜けに成るからな!」

「頼んだぞ!砲雷オペレーター!」

「ラジャー!!」

「艦首:魚雷発射管、全門開け!!」

夕凪:砲雷オペレーターは艦首に装備された全6門の魚雷、発射を急がせた。
一番には音響魚雷を二番、三番には通常魚雷を装填、四番から六番まではホーミング魚雷を装填させた。

「ガトランティス艦との距離:3.000!!」

「二番、三番、通常魚雷発射!!」

「続いて一番、音響魚雷発射!!」

「奴等の耳を潰させて貰う!!」

夕凪から初弾として発射された通常魚雷が、ガトランティス艦にそれぞれ喰らいつく。
亜空間から突如、姿を表す通常魚雷。
レーダーに反応した時には既に遅しであった。

ガトランティス各艦は、それぞれ一本づつ直撃を喰らう。
レーダーだけでは回避が困難な事から、亜空間にソノブイを投下、魚雷音を拾う策をとる。
ソノブイから魚雷の反響音を拾うソナー士。
魚雷との距離が縮むにつれ、「カン!カン!カン!」と反響音が大きく反応する。

ガトランティス艦との距離500で第二射目の音響魚雷が爆発、通常魚雷の約3倍の火薬量が爆発、耳を研ぎ澄ますソナー士の鼓膜を破る轟音が襲う。
更に間髪入れずにホーミング魚雷が襲い掛かる。
ガトランティス偵察隊二艦は宇宙の藻屑と消えた。

一方、蒼龍からな発艦した山本率いる第一波戦闘機隊はガトランティス機動部隊:直俺機隊:イーターⅡに苦戦を強いられていた。
コスモタイガーⅡの約2倍の速力を見せ付ける。


◆◆◆◆


「チッ!!こいつら機体性能差を武器にやりたい放題かよ!!」

「ヤマト指揮官へ。此方、第一次戦闘機隊:隊長:山本!援護と援軍を要請する!!」

宇宙戦艦ヤマトに飛び込む第一波戦闘機隊:隊長:山本の無線。
その要請に応えるべく、古代は動向する空母飛龍:戦闘機隊発艦の要請を行うと同時に、ヤマト航空隊:山本 玲率いる第三群隊を援軍へとシフトした。

「此方、玲。第三群隊、了解した!」

「此方、ヤマト航空隊:第三群隊:山本!」

「ガトランティス殲滅戦に参加したし!」

「喰らえッ!!墜ちろッ!!」

「オレと同名の娘がゼロに。エースの援軍なら心強い。」明はそう呟いた。

「面舵30!!ヨーソロ!!」

「古代!このままじゃヤマトも空母も持たないぞ!!」

航海長:島の操艦技術を持ってしても、直撃を回避する事が難しくなっていた。
古代はこの状況に苦悩していた。
戦闘機隊の損耗率を考えれば、波動砲を使用して、一気に方を着けたい。
だか、大量破壊兵器である波動砲を使用してしまえば、謀反を犯してまでヤマトを奪取した意味が薄れてしまう。

「クソッ!!せめてガトランティスの直俺機さえ排除出来れば、攻撃機隊を発艦出来るんだが……」

「古代!こんな事もあろうかと、開発中ではあるが、良いものがある。」

古代の嘆きを聞いていた真田は、開発中で1度しか使えないが、また、ヤマトではテストも行っていない為、失敗する可能性が32パーセントもあるが、ここは一か八かの賭けを試す事を促した。

「良いもの!?」

「そうだ!ガミラスやガトランティスの兵器からヒントを得て、オレも開発してみたんだ!」

「物質エネルギー転送システムを!」

「詳しい説明は後だ!」

「一時的にヤマト航空隊を戦闘宙域から離脱させるんだ!!」

古代は真田が提案する1度限りの「波動ショットガン」を使用する事にした。
ヤマト艦首に波動防壁エネルギーを最大展開、主砲ショットカノンの陽電子エネルギーを集約、艦首に展開する波動防壁エネルギーでこれを包み込む。

古代の号令に合わせ、ヤマト両舷側に設置されている艦外作業船格納庫が開く。
開くと同時に競り出る物質転送システム基。
ヤマト航海科所属の太田が転送先をピンポイントで入力した。

約30発分のショックカノンエネルギーがヤマト艦首に展開する波動防壁エネルギー内に集約され臨界点を迎える。

古代は波動砲発射時の手順を踏み、波動ショットガンを発射した。
転送波が波動ショットガンエネルギー体を包み込む。
一瞬にしてエネルギー体は空間を跳躍、ガトランティス直俺機隊上空にその姿を表す。
歪む空間にプラズマ波が四方八方へと飛び散る中、球体エネルギーがスパーク、集約されたショックカノンエネルギーが散弾、更にその一つ一つのショックカノンエネルギーが散弾、四方八方へと飛び散る。
瞬く間にガトランティス直俺機隊=イーターⅡ40機を貫く。

直俺機隊の排除を確認した古代は、蒼龍、飛龍、二隻の空母へ攻撃機隊の発艦を急がせた。
第一波、第二波戦闘機隊残存機と玲率いる第三群をそのまま、攻撃機隊の護衛に就かせた。

「沖田よ。貴様の子供達は、かなり成長したようだ。」

「とかく古代の成長は大きい。」

極東管区:連合艦隊司令:土方は心の中で旧友沖田に語っていた。

「通信オペレーター。古代に通信を送る。回線を開け!」

「土方司令!ヤマト指揮官:古代と回線繋がりますます!」

「古代。久しぶりだな。今、改・武蔵と夕凪、比叡の三艦をそちらに向かわせた。」

「合流後、改・武蔵の艦長:山南の指揮下に入れ。」

「古代。了解しました!」

ヤマトはガトランティス機動部隊と交戦中、改・武蔵率いる情報収集部隊と合流、旗艦を改・武蔵とする特務戦隊を再編した。

「古代!山南だ!」

「挨拶は後にして、引続き君はヤマトで指揮を取れ!」

「残りのガトランティス機動部隊を叩く!」

艦隊戦へ移行した特務戦隊はヤマト、夕凪、比叡を中心に砲撃を開始した。
航空隊戦力を強化すると云う課題を残し、特務戦隊は、辛うじて勝利を収める。

だが、この前衛機動部隊の壊滅に怯むガトランティス軍ではなかった。
たがだか、機動部隊の一部隊が壊滅したに過ぎないと、ガトランティス艦隊総司令:バルゼーは、次の駒を送り出した。

極東管区:連合艦隊の集結が完了した時と、ほぼ同時期にバルゼー総提督は、自らも殲滅型:重戦艦メダルーザー級:プレデターに座乗した。


◆◆◆◆


「テロン=地球艦隊の正面を突破する!!」

「各艦に通達!空間跳躍の陣を敷け!!」


ー土星圏:フェーベ沖ー


「奴らガトランティスは、必ず正面から仕掛けて来る!!」

極東管区:連合艦隊:総司令:土方は、古代らの報告からして、気高き戦闘民族であると察していた。
その土方は、必ず奴らガトランティスは正面から仕掛けて来ると睨んでいた。

その「睨み」は的中した。

「ガトランティス艦隊!!正面にワープアウト!!」

「艦隊数:100!識別に入ります!」

「更に右舷と左舷からもワープアウト!!」

「右舷から100!!左舷からも100!!」

「いや、待って下さい!!正面奥にワープアウト反応!!」

「ガトランティス艦隊:総数500!!」

「大艦隊です!!」

うろたえるクルーに激を飛ばす土方。
土方は陣形を変更、アンドロメダ級及び「拡散波動砲搭載戦艦」を艦隊最前列に配置した。

「此方、土方だ!アンドロメダ級及び拡散波動砲搭載艦は、拡散波動砲発射体制に入れ!!」

「この砲撃で奴らの100隻以上の艦艇を沈める!!」

100隻以上の艦艇を沈めたところで、極東管区:連合艦隊の約3倍の艦艇が残る。
土方は機動部隊へ戦闘機隊と攻撃機隊の発艦準備に入らせた。
拡散波動砲攻撃で100隻以上を沈め、怯んだ隙を突き、戦闘機隊、攻撃機隊による波状攻撃を仕掛け、更にエネルギーを回復させた戦艦群で砲雷撃戦に持ち込む。
これが土方の策である。

「テロン=地球をの艦隊は我々の1/3以下である!皆の者、存分に楽しめ!!」

「ガミロンの科学奴隷に造らせた新兵器、試してみるか!」

「空間超磁力防御幕よーーーい!!」

「火焔超重力波砲、座標入力せよ!!」

空間超磁力防御幕。

それはガミラスの捕虜やガミラス(ガミラス領土内.ガミラス本星)から亡命した科学者たちによって研究、開発され造らせた一定時間ビームを無効化する事の出来る防御兵器。

「司令!波動砲搭載艦、全ての発射体制が整いました!」

「よし。拡散波動砲、発射ーーーッ!!」

十数隻から発射された拡散波動砲。
その威力は壮大なものであった。
螺旋を描(えが)き宇宙空間を切り裂くように突き進む波動エネルギー弾。
突き進む波動エネルギー弾周辺には、波動プラズマが放射され、かすめるだけで宇宙デブリや小隕石を凪ぎ払う。
正面に現れたガトランティス主力艦隊100隻あまりが、拡散波動エネルギーに呑み込まれ、瞬時に消滅した。

「オペレーター!!なっ!何が起こった!?」

「かっ!艦隊が……前衛艦隊が消滅しましたーーーッ!!」

「うぐぐっ!こしゃくなテロンめ!!」

反撃を開始するバルゼーは、自艦に搭載された新兵器「火焔重力波砲」を、拡散波動砲によって消滅した前衛艦隊の仇を取るかのように撃ち放つ。
更にバルゼーは座標を瞬時に入力させ、当たり散らすかのように撃ち放った。

超重力波によって艦(ふね)の操舵が効かない。
回避不可能の艦は、その青白い焔のような超重力の衝撃波が押し潰す。
一隻、一隻と最前列に配置されたアンドロメダ級、拡散波動砲搭載艦は成す術もなく粉砕されてゆく。

「通信オペレーター!!全艦隊に通達!!」

「土星宙域まで後退せよ!!」

「機関いっぱいワープだ!!」


◆◆◆◆


「テロン艦隊は怖じ気づいて逃げ出しおったわ!!」

「フッハッハッハッハッ!!」

高々と笑うバルゼー。

間一髪、難を逃れ、土星宙域へ撤退した残存極東管区:連合艦隊。
ヤマト、改・武蔵ら特務戦隊と合流を果たす。
艦隊陣形を立て直しに掛かる土方。

立て直しもつかの間、残存極東管区:連合艦隊を追ってきたバルゼー率いる残存ガトランティス太陽系侵攻艦隊。
残存艦隊と言っても300隻以上も大艦隊である。

いち早くヤマトのコスモ全天球レーダーが、そのガトランティス残存艦隊をキャッチ、コスモレーダーに転送した。
だが、そのレーダーに反応した艦隊は、バルゼー率いる残存ガトランティス艦隊ではなかった。

「全天球レーダーに反応!!」

「ワープアウトして来ます!!」

「ワープアウト艦隊、識別!!」

「こっ!!これはガミラス!?ガミラス艦艇を識別!!」

「……総統。」

「何をしている?リッケ大佐。」

「急速反転。ハイパーデスラー砲、発射準備だ!!」


《新・デスラー艦=戦略指揮艦》

《戦略指揮艦・シールド・デスラー砲艦×2艦》


「シールド・デスラー砲艦を左右に展開せよ!!」

ガトランティス残存艦隊より早くワープアウトして来た艦隊は、戦死したと思われていたガミラス総統デスラーの艦隊であった。

通常航行では中央指揮艦の左右にシールド艦として合体してる。
いわゆる多胴艦である。
ハイパーデスラー砲を発射時に主に分離する。
通常戦闘では「盾=シールド」の役割を果たす。
単艦としての戦闘も可能である。
新開発した「空間磁力防御幕」を展開する事で一定時間、あらゆるビーム兵器の攻撃を弾く。
波動砲も例外ではない。
これはガトランティス:バルゼー座乗艦:プレデターと同等である。

「亜空間ソナー同調!!」

「ワープアウト座標入力完了!!」

ハイパーデスラー砲、三連射発射体制完了!!」

「うむ。」

「蛮族どもを焼き払え!!」

「ハイパーデスラー砲。発射ーーーッ!!」

次々とワープアウトするのガトランティス残存艦隊は、デスラーの撃ち放った地獄の業火ともいえるデスラー砲=波動砲の餌食に成る。
亜空間から通常空間へと変わる瞬間、何が起こっているのか分からないまま、気がつけば艦(ふね)は跡形も無く溶け、座乗するクルーたちは蒸発、亜空間出口で200以上もの
輝かし閃光がフラッシュされる。

「古代。借りは返したぞ。」

「デスラー……。」

「リッケ大佐。当宙域から離脱せよ。」

そう言い残すとデスラー率いるガミラス艦隊は、ヤマトをはじめとする残存極東管区:連合艦隊の行く末を見届ける為、戦闘宙域から後退した。

何故ガミラスが、デスラーがと思いながらも、これを最大のチャンスと捉えた土方は、早急に陣形を整えた。
残りのガトランティス残存艦隊がワープアウトして反撃に打って出る前に勝負を着ける為、陣形を整えると同時に機動部隊:全空母から戦闘機隊を発艦させた。


◆◆◆◆




第六話と最終話の回収が……m(__)m


この物語りは、「宇宙戦艦ヤマト2」をベースに私の妄想を混ぜた「宇宙戦艦ヤマト2202」外伝です。
本編とは異なります。

改めてブログ作り直しました(^-^ゞ

2018-08-30 22:17:05 | 日記

日頃から、わたくし 《ミーゼラ・セレステラ少将の航海日誌》を閲覧してくださった皆様ありがとうございます。
何かの手違いで、今までのブログが凍結されました。
申し訳ございません。
改めてブログを開設致しました。
今まで同様に、ご贔屓して頂けましたら幸いです。

《ミーゼラ・セレステラ少将の航海②》出撃します(^-^ゞ

2018・8/30