鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

◇義手のエースパイロット◇宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー

2020-05-07 23:37:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝

◇義手のエースパイロット◇
宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー


国連宇宙軍開発部は長年、開発、研究、試作を繰り返し、ガミラス艦載機及び艦艇に対抗可能な、極めて高機動で攻撃力の高い駆逐戦闘攻撃機の開発に成功させた。
それは、後に発展系である通称コスモゼロ52型へと繋がる貴重で重要な機体である。

「天城二等宙尉。調子はどうだ?」
極東管区:富士航宙基地上空に浮かぶ艦(ふね)があった。
金剛型宇宙戦艦:榛名ーハルナーである。


【国連宇宙軍:極東管区宇宙艦隊第二機動戦隊旗艦:BBS552榛名ーハルナー】

「榛名ーハルナー」の進宙は西暦2171年で、艦橋砲や陽電子衝撃砲などは2190年代後半に「コンゴウ」「ハルナ」「キリシマ」の3隻に対し施された近代化改修で、対宙機銃もメ号作戦参加前に増設されている。

「BBS-552 ハルナ」以外にも「BBS-551 コンゴウ」「BBS-553 ヨシノ」「BBS-554 ミョウコウ」「BBSー555 キリシマ」「BBS-556 ヒエイ」「BBS-557 チョウカイ」「BBS-558 フソウ」の計7隻の同型艦が建造されたが、対ガミラス戦役の中、「ヨシノ」「ミョウコウ」「ヒエイ」「チョウカイ」「フソウ」の5隻が外惑星防衛戦、「コンゴウ」「ハルナ」の2隻がカ号作戦で失われ、2199時点で残存しているのは「キリシマ」のみである。

この物語はまだ、遊星爆弾攻撃がはじまる数ヶ月前の物語りである。

時に西暦2189年・夏_。

この榛名には沖田 十三の同期である土方 竜宙将が座乗している。

その土方の目に叶った元火星生まれで現在は極東管区宇宙軍:防空隊に所属する天城二等宙尉が、今回のテストパイロットに抜擢され、テスト飛行を行っていた。



天城 志鶴。

二等宙尉(中尉)。23歳。独身。

火星:アルカディアシティにて産まれる。幼児期に強制的に地球へ移住させられている。

高校を卒業後、極東管区宇宙士官学校へ入学。その後、"パワハラ的しごき"によって、利き腕である右手の神経を損傷、義手による生活を余儀なくされた。 パワハラ的しごきの原因は火星産まれである。俗に言う迫害である。 事態を重く見た当時、校長を務めていた土方は最新式の義手を彼女に与えた。 士官学校卒業までリハビリと課題をこなす日々を送り、晴れて卒業と成った。 第一志望である防空隊への配属も決まり、トップエースを目指す。 同期には加藤 三郎、篠原 弘樹がいる。

「この機体なら戦艦を仕留められそうです。」



「そうか。」土方は軽く口角を上げ、告げた。

天城は軽く流すように榛名のブリッジ横を通過、基本的な飛行テストからはじめた。

急上昇し急降下からのタッチアンドゴー、人工的に作り出した乱気流でのダッチロール立て直し、急加速から急制動を掛け、木の葉がヒラヒラと堕ちるような木の葉落としから急上昇をやってのけた。



「この機体はまだ、改・51型(彗星5型1号搭載機)で、現在開発中の新型52型エンジンより若干最大パワーが落ちるエンジンである。

「天城。まだ、やれそうか?」

「はい。」

「よし。陽電子カノンのデータを取る。」 「08:00の方向下に敵に見立てた標的があるのが、解るか?」

「確認。」

「うむ。はじめてくれ。」

「ラジャー!」

国連宇宙軍の廃艦処分と成った艦にガミラス艦の破片を張り付けた模擬艦が標的である。 この駆逐戦闘攻撃機:コスモゼロワンには、垂直尾翼が機体後方上部と下部に装着されているのが特徴の一つで、その下部の垂直尾翼には戦艦の装甲をもぶち抜くとされる陽電子カノンが一門装備されている。その他、コックピット後部に四連装12.0mm機銃座が装備されている。

「射線上に障害物の確認は認められない。」 「よし。SID(シド)。ターゲット、ロックオン!」

「ターゲットヲカクニン。イツデモ ウテマス。」

「ヴァシュュュュューーーッ!!」碧白い光弾と同時に55.0mmの薬莢が白煙と共にとびだし、落下してゆく。 真一文字に伸び陽電子ビーム光弾は標的に直撃、ガミラスマークの入った装甲材を貫通、その奥の廃艦の装甲も貫通、破壊した。

榛名のブリッジでは歓声が上がっていた。

「チッ。」 「あのテスト機、本来なら俺たちの隊長、加藤さんが乗るはずだたったのによぉ。」

「全くだぜ。火星人のくせによ。土方の校長もあの事故からベッタリだしよ。女の武器でも使ったか?」

ゲラゲラと皮肉混じりに笑うを加藤の後輩。

「お前らぁ!」 「何をダッセェ事、云ってんだよ!」叱責を飛ばす加藤に、身をすくめ持ち場に戻る後輩たち。

「義手とは思えない程、良い腕してやがるぜ。それにあの機体なら。」加藤がそう呟くのとほぼ同じくして、防空ラインを強襲、突破したガミラスのポルメリア級:強襲母艦一隻が姿を表したのだ。

緊急戦闘配置に入る榛名。 だが、ポルメリア級の攻撃体勢は整っていた。艦底部に装着された主砲にエネルギーが集約された。 誰もが榛名への直撃は間逃れない、いや轟沈もあり得ると見守っていた。

「くッ!防空隊は上がらんのか?」

その時であった太陽を背にしたコスモゼロワンが陽電子カノンを喰らわせた。 歓声が上がる中、天城はクールダウン飛行に入り、榛名に帰投、収納された。 土方が久しぶりに観た天城の笑顔があった_。

~fin~

この物語りは私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト219のサイドストーリー(二次創作)です。
使用している画像はイメージです。
「宇宙戦艦ヤマト2199」から引用、使用しています。(一部の画像を除き)

◇星の守護神◇宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー最終話

2020-05-05 20:29:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝




◇星の守護神◇
宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー

エピローグ

「大気圏を離脱!」

「うむ。」
「各typeシュデルグへ通達!全ゼードラー機を発艦ッ!!」

それぞれのtypeシュデルグから一度、回収されたゼードラー(ワン)50機が、補給を済ませ発艦した。

「全機!鬼神に攻撃開始せよ!」
ニンギルスを取り囲むゼードラー50機から対空ミサイル100発が、撃ち込まれた。
恐ろしい程の輝かし光の環。
爆煙で景色は嵐の前の黒々とした入道雲を連想させた。
その入道雲は霧が少しずつ晴れてゆくかのように、風に誘われるがままに散ってゆく。
朧月を思わせる景色が浮かんでいた。

「……鬼神の姿が確認出来ます……。」
唾を呑み込んだオペレーターの一人が、呟くように口を開いた。

「ばっ、バカな!」
「100基(発)もの対空ミサイルが効かないだと……。」

ニンギルスの周りには6基のポッドがプラズマ波を共振させながら「くるくる」と回っていた。
煙の隙間から紅く光る目が不気味に死に神を連想させた。




宮殿内に侵入したメルバー2両は進撃の足を止めた。
33mm機関砲を装備したキューポラ=司令塔のハッチが開き、車両隊長が双眼鏡を片手に辺りを索敵した。

「…妙に静か過ぎる。」
「罠かも知れん。我らは此処に待機。」
「この先はアンドロイドたちに進撃させる。後部ハッチ、開け!」
二両のメルバーから下車するガミラスアンドロイド兵16体。

「女王は生け捕りに、他の奴らは抵抗が激しい者は殺せ!」
「あとは捕虜にする。」

「進撃せよ!」
二列縦隊に整列したアンドロイド兵たちが、行軍を開始した。
「ザッ!ザッ!ザッ!」と足音を響かせ、宮殿の奥へと消えた。
その足音はやがて、悲鳴と怒号そして連射される銃声に変わった。

「破散弾ッ!!」

「…こやつら呪札が効かぬ。」
「人間ではないのか?」アヌビスは得意とする科学術を手を変え品を変え、幾度も発するも機械で動くアンドロイド兵には、かすり傷程度が関の山だった。



「ならば剣で倒すまで!」

「オオオォォォォォォォォーーッ!!」




「ララシャ様!やはり波動エンジンが悲鳴を上げましたわ!」
「このままではラガシャ(ビーメラⅣ)に墜ちます!」
「……ん!?4時の方向で激しい戦闘が確認出来ます!」
「このままですと霞めてラガシャに突入する事に成ります!」

「ええ。かまわないわ。そのままラガシャへ!」

「承知致しました。」

「あっ!待ってイヴ!」
「アレを何時でも起動出来るようにセットしておいて下さいな。」

「…アレをですか?」

「そう。アレをね。なんて云うか保険ね。万が一の時の。」

「かしこまりました。ララシャ・イスカンダル。」



その数分後、ララシャのシュヘラザードは戦闘宙域を霞め、ラガシャ(ビーメラⅣ)の大気圏を突入した。
だが、イヴの警告通り、ララシャのシュヘラザードはエンジントラブルを起こし、岩山に囲まれた草原地帯に不時着した。
土を抉り、草花を蹴散らし、大きな一直線を大地に刻みながら数百メートルを進んだところで、漸く停止した。

「あたたたたた…。」片目を瞑り、腰に手をあてがい立ち上がったララシャは、イスカンダル近衛隊に古くから代々、長(ちょう)を継ぐ者だけに持つ事を許される刀をケースから取り出した。
その握り部分=柄(つか)には"正村"と彫られていた。
ララシャは、一緒に携帯したガントレットを装着、正村を握りシュヘラザードを降りると宮殿へと足を向けた。

「古の伝説通りなら、あの機動兵器は最早、人は乗っていない。」
「宇宙空間で戦っているということは、地上では被害が甚大に成るとの判断なのか?」
「なら、市街地や宮殿の周りに民の一人でも居ても不思議ではない。」
「けれど、まるでゴーストタウン。」
だから、ララシャはまだ、地上でも進撃が続いていると思い、空間戦闘を横目に降りたのだ。
ララシャの感は、当たった。
宮殿内に入ると直ぐに叫びや怒号、銃声までもが耳に飛び込んで来た。

「ん!?あれはガミラスの戦車。」
戦車=メルバーの上にはガミラス兵が見える。
ララシャは正村をギュッと握りしめ、走り出した。
「タッタッタッタッタッタッ。」と靴音に振り返るガミラス兵、「ハァァァァァァーーーッ!!」と気合い声と同時にジャンプしたララシャは正村を頭上高く振りかざすと、そのままの勢いで振り下ろした。
「ゴロゴロ」と床に転がるガミラス兵の頭。
ララシャは間髪入れずに、開いているハッチから携帯したボタン型の小型プラズマ弾を投げ入れ、ハッチを閉めた。
閉ざされた空間内に鈍い悲鳴が充満した。
静まり帰った事を確認するかのようにハッチに耳を当て、様子を伺った。

「念のため、もう一個、入れてと。」ハッチを開け、プラズマ弾を放り込むと素早くハッチを閉めた。
「バチバチ」とショートする音だけで、悲鳴などは聞こえて来なかった。
ララシャはハッチを開け、中に乗り込むと33mm機銃砲塔を旋回、隣のメルバーに打ち込んだ。
無人のメルバーは炎上、黒煙を吹き上げると真っ赤な炎に包まれた。

「この先に臣民たちが居る。」そう心に思うララシャは、メルバーを降り、奥へと走り出した。


「ガガガガガガガガガガガガッ!!」無数の弾痕が刻まれ、ニンギルスの頭部は吹き飛び、二対の腕が大破した。

「怯むな!!艦砲射撃も加えよ!!」
「堕ちろ!化け物ッ!!」

「ゼェゼェ」と肩で息をするかのような仕草を見せるニンギルス。



「…もう残された武器は此れしかない。」
「使いたくはなかったが……。」
「我がラガシャと親愛なる臣民たちの未来の為にッ!!」

「コスモブレイク発動ーーーッ!!」



ニンギルスの腹部に装備された大型ビーム砲、砲口が蒼白い輝きに満たされてゆく。
反物質エネルギー粒子が渦を巻き、解き放たれる時を待っている。

「すべてを凪ぎ払らえーーーッ!!」

目も開けれぬ程の光の塊はニンギルスの手前で炸裂、数百メートル四方にプラズマ波が拡がる。
そのプラズマが数百メートルの空間を一瞬にして呑み込んだ。
真っ白な空間。静けさが保たれるが二秒後、衝撃波がニンギルスを含め襲い掛かる。
その勢いはラガシャ(ビーメラⅣ)をも呑み込んだ。





「遅すぎた……。」涙を浮かべるララシャ。

ララシャのシュヘラザード=イヴはララシャの言い付けを守り、ララシャの記憶を詰め込んだエナジーボールを核(コア)にコスモリバースを発動と同時に長き眠りについた_。

ニンギルス=イシスの発動させた反物質エネルギー粒子砲=コスモブレイクを終息させる事と引き換えにララシャ・イスカンダルも高度な文明も、臣民たち、そしてガミラス公国軍も全てを風化させた_。





「…哀しい過去……。」
「…明るい未来……。」



「歴史は繰り返すわ。」岬百合亜は呟くように言った_。

~fin~

この物語りは私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2199第16話「未来への選択」のサイドストーリー(二次創作)です。

使用している画像はイメージです。
「宇宙戦艦ヤマト2199」から引用、使用しています。(一部の画像を除き)

◇星の守護神◇宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー第四話

2020-05-04 20:19:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝



◇星の守護神◇
宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー

第四話

ガミラス公国軍の戦車4両と戦闘機22機を一瞬にして、凪ぎ払ったニンギルス。その核であるイシスは、ラガシャ(ビーメラⅣ)から出てゆくよう警告を発した。

「我は、この星ラガシャ(ビーメラⅣ)の守護神ニンギルス!」
「蒼き肌を持つ民たちよ。兵を纏め、早々に立ち去れ!」

「うぐぐっ。」苦虫を噛んだような顔を覗かせ、ガイデ・リー将軍は少しだけ残りの部隊を後退させた。

「許さん!この儂をコケにしおって!」
「艦長!残りのメルバー隊を後退、散開するドーゼラー隊を更に散開、させよ!」
「撤退すると見せかけ、ヤツを仕留める!」
「我らガミラスが絶対なのだ!」
「劣等種族の分際で舐めた真似など許さん!」

「艦長!確かこの惑星(ほし)は、女王が治めていたな!?」

「ハッ。そうであります。」

「国民の前で跪つかせ、公開奴隷にしてくれる。」と呟き、不適な笑みを浮かべた。
「クックックッ。」

「艦長!作戦を変更する。」
「残存するメルバー隊はあの岩山の陰に待機させよ。」
「追って指示あるまで待機せよと伝えよ。」
「ドーゼラーの部隊は帰投させよ。」
「我が艦隊は、あの"鬼神"を攻撃しつつ、この惑星(ほし)の上空まで後退せよ。」
「宇宙で潰してくれる!」

「ザーベルク!」




「ララシャ様。まもなくワープが開けますわ。」
「天の川銀河外縁部に到着致します。」

ホログラム映像で可視化されたシュヘラザード、マザーコンピュータ=イヴは、自身の意思でホログラム映像を投影、主であるララシャに報告した。

「ありがとう。ワープアウト後は最大船速を。」

「承知致しました。」
「ですが、ワープアウト後に最大船速はリスクが大きいですが、よろしいですか?」

「かまいません。」

「承知致しました。」
「ワープアウト、3秒前!…2・1・ワープアウト!」
「機関最大へ!」唸りをあげるシュヘラザードの波動エンジン。
最大加速を維持したまま、ラガシャ(ビーメラⅣ)を目指した。


「ガイデ将軍!空母艦載機は、ほぼ収容完了しました!」

「うむ。」
「あの鬼神目掛け、砲撃しながら大気圏外へ離脱せよ!」





「…蒼い肌を持つ民は何を考えている?」
「攻撃を止めない限り、ニンギルスは攻撃を続ける。」
四対の腕から砲撃、6機のポッドを縦横無尽に操り、防御と攻撃を繰り返し、ニンギルスはガミラス艦隊との距離を詰めてゆく。

だが、これがガイデ将軍の策略であった。
岩陰に隠したメルバー残存隊を宮殿へ送り込ませる策略だったのだ。
対抗出来る兵器類は"鬼神"=ニンギルスのみと判断した、ガイデ将軍はニンギルスが居ない間に宮殿を制圧、一般臣民を人質、ニンギルスに降伏させよと目論んでいたのだ。
勿論、宮殿はもぬけの殻なのだが、衛士たちが封鎖する地下シェルターへの入り口を突破されては人溜まりも無い。
ニンギルス=イシスは、その策略に乗せられていた。

「グォォォォォォォォォッ!」再び雄叫びを上げ、速力を上げた。

「蒼い肌を持つ民よ!無駄あがきは止め、速やかに立ち去れ!」イシスの声が響き渡る。
だが、ガイデ将軍に聞く耳など持ち合わせている訳もなく、後退しながらの攻撃は止む事はなかった。
むしろ、大気圏離脱が近づくにつれ、砲撃を強めた。

「ガイデ将軍!あと20秒で大気圏を離脱します!」

「うむ。」
「全艦!集中砲撃を加える!」
「空母部隊は第二波攻撃の準備に入れ!」
「大気圏離脱と同時にゼードラー隊全機発艦せよ!」


エピローグへ
つづく。

この物語りは私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2199第16話「未来への選択」のサイドストーリー(二次創作)です。

使用している画像はイメージです。
「宇宙戦艦ヤマト2199」から引用、使用しています。(一部の画像を除き)

◇星の守護神◇宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー第三話

2020-05-03 12:14:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝



◇星の守護神◇
宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー

第三話

宮殿の地下に眠る先住民の置き土産"巨大人型浮遊機動兵器ニンギルス"
この兵器の特徴として、基本的にゴーストリンクシステムを用いる為、自身の思考を神経伝達的に伝える必要がある。
その為、全神経を電子信号に変換させる。
衣服などによる抵抗を極力減らしタイムラグを無くす為、全裸で電子プラグを全身に装着する事が望ましい。
ただ、全裸では電子プラグを接続出来ない。
そこで特殊な鎧(スーツ)を着用する。
コックピットは仰向けに寝そべって乗り込むタイプだ。
足を伸ばして入るバスタブのようなカプセルである。
そして、反物質エネルギーと融合して、はじめて機動する。
死を恐れる事もなく、目的を果たすまで動き続ける戦士、守護神である。

イシスは儀式をはじめた。
衣服を抜ぎ、聖なる溶岩石で造られた露天風呂に身を沈めた。
甘いアロマの香りをちりばめた石鹸泡がイシスの裸体を包み込む。
長い黒髪を洗い、つげの櫛を通してゆく。
湯けむりが天(そら)へ舞い上がり、水滴となりて墜ち、波紋が拡がってゆく。
聖なる溶岩石の上に仰向けに寝るイシス。
そのイシスに近づく一人の巫女。
巫女はイシスの前に立つと着物を脱ぎ、イシスに添い寝するように肌を重ね、呪札を下腹部にあてがい、その上から紋様を指でなぞり描き、座薬を入れた。
「ウウン。」と息を漏らし、下唇を噛むイシス。
イシスの呼吸は一時期、早く成るが直ぐに無呼吸に近いくらいに回数が減った。
身体が弓なりに成ると腰を「ガクガク」と数回振った。
弓なりは収まり、その場に意識を失い深い眠りについた。




すると呪札から金色に輝く球体が浮かび上がった。
浮かび上がった金色に輝く球体="コスモエナジー・ボール"を優しく包むように持ちエレメントカプセルに移した。



今度は下腹部にあてがわられた呪札が「すー」と浮かびがり、イシスの胸部のあたりまで広がると包み込む。
イシスの身体にフィットした鎧と化した。
0.001マイクロメートルくらい薄い液体形状記憶合金で出来た鎧だ。
巫女が呪文を唱えると、イシスは意識を取り戻したかのように起き上がると、再び露天風呂に身体を沈めた。
頭まですっぽりと湯に浸かると、そのままイシスは消えた。

バスタブのような操縦席に仰向けに寝るイシス。
そのイシスの髪の毛から足の指先まで幾つもの電子プラグが接続された。
カプセルの上部がスライドし、イシスの姿は完全に包まれた。
3秒後、イシスの瞳が紅く光を放つと同時にニンギルスの目も紅く光を輝かせた。
「ゴゴゴゴゴゴッ。」と地響きが鳴る。ニンギルスを固定する幾つものワイヤーが、うねりながら外れてゆく。
メインバーニアに火が入ったようだ。
土煙を舞い上がらせた。
「グォォォォォォォォォッ!」ニンギルスの口がゆっくりと開き、まるで雄叫びのような声を轟かせた。



「イシス様が融合なされた。」
「闘い終わるまで、誰にも止められない。」

「古の契約に基づき、捧げた生け贄の対価を今、支払うとき。我が剣となりて敵を滅ぼせ!!ハルマゲドン発動ォォォォォー!!」

戦(いくさ)の神。ニンギルス守護神降臨!」



アヌビスは呪札を天(そら)に投げ、祈りを捧げた。

小刻み揺れる大地。
大地に砂煙を舞い上がらせ、我が物顔で田畑を荒らし、進撃するメルバー隊は思わずその足を止めた。
同時に一群の飛行編隊を組むゼードラー隊は、発砲音に散らされた烏丸のように編隊を散らした。

「……なっ!?何だよアレ……。」

「…人……か?」

「何言ってんだよ!あんなバカデカい人間が要るがよ!」
「…伝説を聞いた事がある鬼神だ……。」
「アレは、鬼神だ!!」
メルバー部隊隊長は目を見開き、口を開き、唾を呑み込んだ。
「ゴクリ」と耳に届くのと同時に蛍光ピンクに輝く光弾が眼前に迫っていた。

「ああああああああーーーッ!!」

断末魔の叫びと同時に4両のメルバーが一瞬にして蒸発した。
ニンギルスの目は、地下シェルターの街頭モニタにもリンクされてた。
歓喜に沸く臣民たち。

「オオオッ!」
「古の守護神が降臨なされた!」

「アレは、あの守護神はイシス様である。」
「イシス様が我らをお守りして下さる!」

「皆は祈りを捧げよ!」アヌビスの言葉に臣民たちは耳を傾け、祈りを捧げた。

空に舞い上がるニンギルス。
再び目が紅く光を放つ。
脊髄部分に装備された6機の共振波動プラズマ波小型ポッドが、蜂の巣をつついたように四方八方へと飛び出した。
6基のポッドは一番手前を飛行するゼードラーを囲えるくらいの環を形成、ゼードラーを潜らせると共振波動プラズマ波を放出、飛行不能にさせると散開し、次のゼードラーに対しても同じ攻撃を仕掛け、墜落させた。


第四話へ
つづく。

この物語りは私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2199第16話「未来への選択」のサイドストーリー(二次創作)です。

使用している画像はイメージです。
「宇宙戦艦ヤマト2199」から引用、使用しています。(一部の画像を除き)

◇星の守護神◇宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー第二話

2020-04-29 23:12:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝


◇星の守護神◇
宇宙戦艦ヤマト2199サイドストーリー

第二話

突然の地下シェルターへの避難指示に驚きを隠せない臣民たちだが、里帰りしていた雄タイプヒューマノイドたちの毅然とした態度に、来訪していた他の民たちを含め、冷静さを取り戻していた。

「皆の者。冷静さを欠けば、助かるものも助からない!」
「我ら衛士がお守りする!」
「我が臣民たちは先ず、見本を示せ!」
「これより地下1.000mまで降り、シェルターに避難する。」
「慌てること無く、移動せよ。」
「伝令殿は宮殿へお戻り下さい。」こうして、地下シェルターへの移動が開始され、伝令は宮殿へ戻り、女王イシス護衛の為、戦いの準備をはじめた。


ラガシュの空を埋め尽くす勢いで現れたガミラス公国軍は、最新鋭艦ガイデロール級ガーディアンを旗艦とし、同新鋭母艦ガイペロン級:多層式母艦typeシュデルグの最上部甲板(第一甲板)に積んでいた強襲揚陸艇デラメヤ6艇を発艦させた。
各デラメヤにはメルバー型装甲兵員輸送車6両づつ計36両が搭載されている。
※後にサルバーSーⅥ型重戦車の開発へと繋がる。
また、艦載機として、空間駆逐戦闘機ゼードラー(ワン)が24機づつ計72機が搭載され、艦隊司令であるガイデ・リー将軍はメルバー隊支援と降伏を促す目的で、全機発艦させた。
※後にゼードラーⅡへと発展させる。
夜が明け、陽が昇り、爽やかな秋晴れの空。
だか、どんよりとした曇り日を連想させた。
紅い葉、黄色い葉、茶色や焦げ茶色の葉を覗かせる大地、近代化が進んだ宮殿を取り囲む城下町の上空は、黒い影を幾つも落としていた。

「実に良い眺めだ。」
「奴等もこのまま、大人しく降伏を受け入れれば、この景色を楽しめるのだが。」キャプテンシートに腰を下ろし、頬杖を付くように顎の下に指を組、スクリーン越しに眼下を見下ろしていた。




「それにしてもしても、派閥が分裂した貴族たちによる勢力拡大が急激に加速している…。」
「いや、し過ぎている。」
「やはり、ガミラスには統治する者が必要…って事ね。」
惑星ガミラスに隣接する惑星イスカンダルから勢力拡大の為の侵略を阻止しようと、一人の元近衛隊所属で隊長を務めたララシャ・イスカンダルが女王スターシャによって派遣された。

イスカンダルもまた、ラガシュ同様に女王による王国制である。
王位継承する者は"スターシャ・イスカンダル"の名を引き継ぐ。
ララシャはその妹にあたる。
そして、この時代のイスカンダルの宇宙船シュヘラザード級は、武装解除が進んではいるが、全てのシュヘラザード級が武装解除出来ている訳ではない。
ララシャのシュヘラザードもその一つだ。


【ララシャ・イスカンダル】

「あの惑星(ほし)の文明は古代アケーリアスがもたらしたもの。」
「そして、最初の移住者は"ジレル"の巫女。」
「もし、当時の兵器が存在するなら波動砲を持ってしても破壊は無理…。」
「超空間ネットワークの一つ亜空間ゲート以上に今のガミラスに渡してはならない代物…。」

「イヴ。ワープスピードを最大でワープを。」

「了解(わかりました)。ワープに入ります。」
※イヴ。この時代のシュヘラザードに搭載された音声対応マザーコンピュータ。可視化用ホログラムも存在感する。


巨大人型浮遊機動兵器ニンギルス。

脚部は無く、大腿骨部分にあたる場所には大型メインバーニアが付き、それを正三角形を描くように加速用小型機バーニアが並ぶ。全高:75.0m 全幅:58.0mもある巨大人型浮遊機動兵器。
頭部は各種センサー、メインレーダーと"ゴーストリンクA.I"が設置されている。
コックピットは胸部にある。
肩の部分には大腿骨部分と同じようにバーニアが並ぶほか、姿勢制御小型スラスターが複数付く。
アームユニットは左右に二対づつあり、手の掌の部分にあたる先端は連射可能なビーム砲口に成っている。
腹部には大型ビーム砲口が付く。
背中、脊髄にあたる部分には、遠隔操作可能の6機の共振波動プラズマ波小型ポッドを装備している。(次元波動理論を応用した攻守に使用可能兵器。)


第三話へ
つづく。

この物語りは私設定が混ざった宇宙戦艦ヤマト2199第16話「未来への選択」のサイドストーリー(二次創作)です。

使用している画像はイメージです。
「宇宙戦艦ヤマト2199」から引用、使用しています。(一部の画像を除き)