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腎不全患者に対するvoriconazoleの使用

2012-06-14 | 抗菌薬・関連薬剤
Administration of Voriconazole in Patients With Renal Dysfunction
Dionissios Neofytos, et al
Clinical Infectious Diseases 2012;54(7):913–21

・voriconazoleの静注での使用の際、sulphobutylether-b-cyclodextrin (SBECD)が腎不全では蓄積が認められる。 
・miceでの実験ではrenal tubule vacuolation and obstructionが認められている。
→一方で人の成人量で50倍に相当する。且つ半分の量では長期使用でも腎障害は認められていない。
・現在のガイドラインではCrCl ,50 mL/min以下の患者、透析患者では、内服を使用するように勧められているが、低い濃度での治療失敗や経口ができない場合などで問題が生じる。 
・腎障害で使用可能かどうか確かめる必要がある。

・18歳以上の3日間以上の期間でボリコナゾールの治療をうけた人を後ろ向きに調査。
・患者は施設の薬剤データベースから同定。
・除外は30日以内に先行するvoriconazoleの投与歴がある、HD, CVVHDの必要性がある場合。ハイリスクに限定するため経口でCrCL 50 ml/minも除外。腎機能はCrからCockcroft-Gault formulaを用いて算出。

・背景因子調査、CrCLについてはCrCl on days 1, 2, 3, and 7 and at EOTで算出。

・1096名の患者が3日間以上の投与で同定され、930名が除外。166名の患者の内、42名(25.3%)がCrCL50未満で経静脈ボリコナゾールを投与。47(28.3%)が経口ボリコナゾール投与でCrCL50未満。77名(46.4%)がCrCL50以上で静脈ボリコナゾール投与。
・109名(65.7%)が6mg/kgのvoriconazoleをloading doseで投与。
・投与量:47 (28.3%) :200 mg twice daily, 35 (21.1%) received 2–3 mg/kg twice daily,
72 (43.4%) received 4 mg/kg twice daily, and 12 (7.2%) received 5–6 mg/kg twice daily.
・平均投与期間は10日間(3-25)
・血中ボリコナゾールレベルは27人(16.3%)で計測(最初の2グループ12名、最後のグループ3名)。
・8名(29.6%)で5μg/ml以上(1群:2名、2群:1名、3群:5名)。2群(経口群)ではloading doseを受けている頻度が高く、予防内服の頻度、固形腫瘍の頻度、免疫不全が高かった。
・平均クレアチニンレベル: group 1 on days 1, 3, 7,and EOT was 1.93 (1.75–2.11), 1.93 (1.68–2.18; P 5 .98), 1.55 (1.27–1.83; P 5 .02), and 1.84 (1.57–2.11; P 5 .52), respectively,
where P values are for the comparison of day 1 to the other
3 time points (Figure 2).
The mean (95% CI) creatinine for group 2 on days 1, 3, 7, and EOT was 2.14 (1.93–2.36), 2.19 (1.90–2.47; P 5 .65), 2.07 (1.67–2.48; P 5 .62), and 2.02
(1.63–2.42; P 5 .36), respectively.
The mean (95% CI) creatinine for group 3 on days 1, 7, and EOT was 0.87 (.79–.94), 0.93 

クレアチニンレベル変化(days 3, 7):19 (11.4%), 14 (8.4%), and 28 (16.9%)
多変量解析:3日目、血液系悪性腫瘍 (OR, 5.09 [95% CI, 1.38–18.73]; P 5 .01), フルコナゾールをボリコナゾールの30日以内に使用(OR, 6.21 [95% CI, 1.62–23.77]; P 5 .008), ペニシリンの使用 (OR, 6.12 [95% CI, 1.24–30.05]; P 5 .03)、免疫抑制剤の使用 (OR, 7.00 [95% CI: 2.02–24.28]; P 5 .002) が腎不全の指標。一方で7日以上の投与 (OR, 0.19
[95% CI, .05–.69]; P 5 .01) 、昇圧剤との併用 (OR, 0.13 [95% CI, .02–.77]; P 5 .02) は保護作用があった。7日では初期の肝障害(OR, 5.30 [95% CI, 1.69–16.52]; P 5 .004). EOTでは、ペニシリンの投与(OR, 2.39 [95% CI, 1.01–5.66]; P 5 .04)が増悪因子、一方で白人はprotective (OR, 0.36 [95% CI, 0.13–0.99]; P 5 .04).

→あまり関連がないのではないかという結論

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