ナベッチーのエンジョイライフ

他人様からすれば他愛もないことでも、記憶にとどめておきたい事、感動したスポーツ、本、映画などを思いつくままです。

吉村 昭

2009-09-24 09:20:18 | ブック(記憶に残したい本、文章)

昨日23日は秋の彼岸の日であった。いつもの散歩道である市営墓地近くの堤防は彼岸花が咲き乱れている。私は青空の下の彼岸花より、雨の日や、早暁の彼岸花をじっくりと見てみたいと思い、21日の早朝小雨の中での彼岸花をデジカメで撮った。

 

 

先週は吉村 昭のエッセー 「回り灯籠」を読んだ。小説の裏話や、その後の秘話であったり、取材メモのようなもので、その小説を読みたくなるようなエッセーである。その中では戦前に海軍の潜水艦が沈没し、昭和27年にサルベージ船で引き上げられ、船室の状況をカメラで撮った、中国新聞の白石記者とのやりとりが生々しい。潜水艦には102名の乗員がおり、生存者2名の悲惨な事故で、たまたま潜水艦前部2室だけが未浸水のままの状態で引き揚げられた。酸素がなくなり、腐敗菌の活動がやみ、海底のため気温が低く腐乱することなく、冷凍人間になった状態で8年後に姿を現した。遺書には皇居遙拝、国歌斉唱の儀式が行われことも記され、外国の潜水艦の折には狂乱状態になった乗組員が我先にとハッチから脱出しようと凄惨きわまりない状態とは全く違う当時の海軍精神を見せてもらった。