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漏れバケツの穴をふさぐ

2018-04-23 02:33:50 | 政治
宇治市で初の産業関連表が完成したという。
産業関連表は、財やサービスが各産業部門で
どのように生産され販売されたかという
連鎖的なつながりを統計をもとに表したもので
市の経済構造の把握に役立ちます。

国レベルの産業関連表は5年に1度作成され
公表されていますが、市区町村レベルのものを
独自に作成するという取り組みはまだまだ少ないようです。

産業関連表でどこからお金が漏れているのかを調べることができます。
自分たちの市の外からどのようなモノやサービスをどれくらい買っているのか
そして、市外にどのようなモノやサービスをどれくらい売っているのかを
産業部門から見れば、全体像がつかめます。

地元紙によると2014年の宇治市の総経済規模は1兆5553億円で
市外から購入した「移入・輸入」5756億円に対し
市外への「移出・輸出」は4442億円で1313億円の「貿易赤字」。
外貨を稼ぐ以上に消費が市外に流出しているということです。

『地元経済を創りなおす 分析・診断・対策』(枝廣淳子著)に書いてあった
「漏れバケツ」理論という概念がとてもわかりやすいので紹介します。
地域をバケツに、入ってくるおカネを水として考え
これからの人口減少社会への対応として
「地元の経済をきちんと回し、おカネや雇用を外部に依存する割合を
低減していくことが大きなカギとなる」とあります。

産業関連表は、地元経済の現状を「見える化」し
地域経済の「漏れ具合」を知るための方法です。
どの部分から大量のお金が漏れ出しているのかを知り
「漏れ穴」をふさぐ効果的な取組につなげることを可能にします。

2015年から国が提供している「地域経済分析システム(リーサス)」でも
自分たちの地域を見ることができます。
これは、全国の市町村についての産業関連のデータを
誰でもインターネットでアクセスできるビッグデータシステムです。
宇治市の「地域経済循環率」を見ると2013年で87.5%となっており
市内の所得6221億円のうち、地域内の生産が賄っている額は5442億円です。

「地産地消」から「地消地産」という考え方は
地域で消費しているものを地域でつくろうというもので
「リ・ローカリゼーション」をキーワードとし
食、エネルギー、住宅、多様な小規模事業者など
地域にとって必要不可欠なものを「地域の手に取り戻す」という取り組みです。
学校給食の地消地産の取組をはじめ、
「最大の漏れ穴」とされているエネルギー料金に対し
エネルギー自給率100%以上の自治体が2015年度で71市町村あります。

人口減少は、これからも止められません。
少子高齢化もますます進んでいくでしょう。
いかにして「漏れバケツの穴」をふさぐかを考えなければ
「財政が苦しい」を言い続けなければならないまちになるでしょう。
地域経済をいかに回していくかが、ますます問われるときです。



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