月水食堂のお弁当

地産地消と昭和の香りをコンセプトにした安くておいしいお弁当を届けます。

映画「みなさん、さようなら」

2013-02-12 05:51:20 | 日記
タイトルが妙だなあと興味が沸き、ネットで検索してみた。

中学から団地の中だけで暮らすことを選んだ主人公、悟の物語。

不登校で引きこもり?

単純に考え、昔住んでいた社宅を思い出し、団地を舞台としたこの映画に惹かれ観に行った。

のほほんとした悟役には濱田岳。ぽっちゃり体型で大きな童顔。足裏で止める昔ながらのださいジャージがよく似合う。

しかし、彼すごい演技派です!

時代は昭和の終わり頃。マンモス団地から同じ小学校に在籍する107人が卒業。しかし、悟は中学には通わないと宣言し、自分なりの生活設定を掲げ、日課に沿って毎日を送る。

16歳になり団地内のアーケードにあるケーキ屋に勤め、職人気質の師匠にこき使われながら真面目に勤務。

いじめが原因で不登校になった同級生と親友になり、団地内をパトロール。

毎日公園でトレーニングし、悪を成敗できるようマッチョな体へと切磋琢磨。

幼なじみの女子松島は隣の部屋にいて、ベランダ越しに世間話。そのうち勢いから男女の関係に。

成人式の打ち上げは、地区公民館。そこで憧れのマドンナ、咲に告白し見事交際を実らせる。

引きこもりのまさかのサクセスストーリーかと思いきや、後半への展開がすごい。

悟は、単純に出無精で団地に固執してるのではなく、団地から出られないあるトラウマを抱えていた。

そのフラッシュバックシーンは壮絶だった。あまりに痛くむごかった。

悟の人生は二十半ばを過ぎ、だんだんと色あせてゆく。団地から次々と去ってゆく友達。時代の流れで閑散とする団地人口、商店街を象徴するように。

恋人の裏切り、親友の発病と精神科入院。師匠の認知症。

それでも老舗のケーキ店を受け継ぎ、団地主婦相手に洋菓子教室を開催し、外国人の姉妹を虐待から救い、悟は小さな世界の中で大きく成長。悟がずっと目指してきた団地のスーパーヒーローに近づいた。

しかし30になり、最愛の母が死んで、形見となった日記帳を読んだ時、初めて自分自身と向き合い、赤ん坊のように泣きじゃくる。

どんな時でも黙って悟を見守り続けた母の愛の深さ、温かさに揺さぶられる。

それは悟が、やっと団地から踏み出す追い風となるのだった。

平凡を装いながらのなんという破天荒なストーリー!やられた!心の奥まで染み入りました。

原作も買って読もう。