
ビートルズのパロディとしては彼らを忘れてはいけません。日本では昭和51~52('76~'77)年頃にLPレコードが発売された「The Rutles」です。
このバンドはそんじょそこいらの二流、三流のパロディではありません。モンティ・パイソンの1人エリック・アイドル(やはりモンティ・パイソン出身のテリー・ギリアム監督の『バロン』や、ハリウッド映画『キャスパー』『102』などにも出演するようになりました。)が企画し、TV映画『Magical Mystery Tour』でビートルズと共演するなどの親交のあった「ボンゾ・ドッグ・バンド」の元メンバー、ニール・イネスが楽曲を担当しているのです!
元々は、エリック・アイドルが企画したTV番組の1つのコーナーでしかありませんでした。そこへイネスがクウォリティの高い楽曲を提供するとその評判が益々高まり、海を渡ってアメリカの『サタデー・ナイト・ライヴ』のスタッフにも伝わりました。話がどんどん進み、英BBC米NBC共同で制作、ブルース・ブラザーズのお2人(ジョン・ベルーシとダン・エイクロイド)も出演したTVスペシャル番組が誕生しました。
このTVスペシャル番組はラトルズの誕生から解散までをビートルズの歴史になぞってパロディ化し、ライヴや映画での有名なビートルズの映像そっくりな演奏シーンが盛り込まれていますが、イネスの楽曲の胡散臭さと映像のチープさがパロディとしては超一級品です。フィルム撮影なので、質感もドキュメンタリー風です。ミック・ジャガーやポール・サイモンがラトルズについてインタビューを受けていたり、ロン・ウッドがパンクファッションの暴走族役で登場したり、そして何と本家のジョージ・ハリスンがインタビュアー役で登場したりと、かなりスペシャルな内容です。VAPからDVD化され、昨年再発売されたものが入手可能です。

このアルバムは、そのTVスペシャルに使用された楽曲が編纂されています。来年には紙ジャケ使用のCDが「四人もアイドル」のタイトルで発売され、ブックレットや内袋も再現されるそうです。しかし、現在CD化されている曲順の20曲が収録されるので、完全なLPの再現ではありません。
では、オリジナルの曲順で映像と楽曲のレビューを。
●Hold My Hand
「Eight Days A Week」のようなイントロと歌い出し。ビートルズのオリジナルにもこんな歌がありそうな傑作! 演奏は「All My Loving」のようなギターの1拍三連のリズムと「A Hard Days Night」や「You're Going To Lose That Girl」のようなボンゴにニヤニヤ(^o^) ギター・ソロも「All My Loving」をモチーフにしています。サビは「She Loves You」のような歌詞と「All My Loving」のコード進行のようですが、何ともチープ! それがまた(≧∇≦*)イイ!
映像は「エド・サリバン・ショー」。本物のエド・サリバンの映像を使っています。バリー役のジョン・ハルシーは本物のドラマーなので、演奏シーンに嘘臭さがありません。

●Number One
「Twist And Shout」が元ネタ。あまり面白くありません。映像もレコーディング風景だそうですが、ヒネリはありません。ただ、ディック・ジェームズ氏によく似た人物が「アーチー・マカウ」という名で登場するのですが、真相は? その後に「ディック・ジョーズ」なるハゲヅラの男も登場します。
●With A Girl Like You
ん~、これは「If I Fell」が元ネタかなぁ。クラベスは「And I Love Her」風。
映像は「ロイヤル・バラエティ・ショー」ですネ。「♪With a girl like『you』」でいちいち女王様に視線を送るダーク(アイドル)がしつこくてイイ! 女王様もそっくりさんを起用し、アクビをさせています。

●I Must Be In Love
映画『A Hard Day's Rut』の主題歌の設定で、もちろん「A Hard Day's Night」が元ネタなのでしょうが、カウベルとボンゴとリッケンバッカーの12弦ギターくらいしか共通点が見出せません。
映像はナンセンスなギャグが早回しで展開され、『A Hard Day's Night』の中の「Can't Buy Me Love」のシーンからのネタでしょう。

●Ouch!
明らかに「Help!」を引用しています。バッキング・コーラスやサビの胡散臭さも何もかもよくできたパロディです。
映像では映画『HELP!』の「Another Girl」のシーンを元ネタに、バハマでロケ(?)されたように演奏されています。歌詞の「Ouch!」に合わせてリンゴが頭に当たったりと、楽しめる一編です。

●Living In Hope
元ネタは「Don't Pass Me By」で、ボーカルもバリーです。イントロのレズリーを通したピアノも雰囲気があります。
●Love Life
「All You Need Is Love」のパロディ。「ゴンベエさんの赤ちゃんが風邪ひいた」の歌(曲名がわかりません^^;)のイントロから、変則拍子、ギター・ソロ、そしてエンディングには「Hold My Hand」のサビが歌われるなど、ネタ元の「All~」が徹底的にパロディ化されています。
映像は『アワ・ワールド』のパロディです。

●Nevertheless
「Within You Without You」が元ネタ。インド音楽風のメロディですが、そこかしこに漂うチープさと胡散臭さ、ニセモノっぽさが満天です。
映像ではマハリシのネタのパロディのBGMに使われています。
LPレコードではここまでがA面でした。
●Good Times Roll
「Lucy In The Sky With Diamonds」を元ネタにしています。
映像ではLSDならぬ「tea」の影響というネタのBGMです。
●Doubleback Alley
「Penny Lane」のパロディ。ブラスのフレーズ、コーラスの付け方、ピッコロトランペットのソロなど、ネタ元の「Penny Lane」をウマくパロディにしていますが、それ以上に1曲のポップスとしてよくできています。
映像作品ではエンド・クレジットのBGMに使われています。
●Cheese And Onions
「A Day In The Life」が元ネタ。美しいメロディに、メッセージが込められているような無いような歌詞が傑作です。映像に合わせて「サブマリン・サンドイッチにチーズとオニオンを入れるか否か」という意味でしょうか。
映像は映画『YELLOW SUBMARINE』のパロディ、『YELLOW SUBMARINE SANDWICH』のアニメーションも秀逸です。ネタ元の『YELLOW~』の雰囲気をよく出していて、キャラクターも似ていて非なるもので、なんといっても「黄色い潜水艦」が本当に「サブマリン・サンドイッチ」のデザインなのに爆笑です。(潜望鏡がオリーブになっています(^o^)) セリフのボソボソ話す雰囲気もネタ元そのままです。



●Another Day
「Martha My Dear」を元ネタにした名曲。メロディの美しさは「Martha~」にヒケをとりません。本気で演奏されている情感タップリなストリングスがパロディの本気度を高め、このパロディを一流のものにしています。アレンジも素晴らしい。
映像では「キリスト発言」をネタにしたパロディのBGMとして使われました。こんなネタもパロディにするマニアックさが、ビートルズをよく知っている人を感心させます。記者会見で話すナスティ役のイネスの口調がジョン・レノンそっくり!
●Piggy In The Middle
「I Am The Walrus」のパロディで、映像での演奏シーンのパロディもよくできています。
ボンゾ・ドッグ・バンドが出演したテントの映像のパロディも含め、雰囲気が『Magical Mystery Tour』にそっくりです。

●Let's Be Natural
「Dear Prudence」が元ネタ。コード進行とバッキング・コーラス、16ビートのドラムスなど、雰囲気をよく掴んでいます。
ダークの結婚のエピソードのBGMとして使われています。
CDには上記の他に、映像作品に使われた以下の楽曲が収録されています。
●Goose-Step Mama
キャバーンでの演奏シーンで有名な「Some Other Guy」のパロディ。
映像もキャバーンでの演奏のパロディです。
●It's Looking Good
「What Goes On」「I'm Looking Through You」が元ネタでしょうか。
シェア・スタジアムでのライヴ映像のパロディの演奏シーンです。

●Get Up And Go
タイトルからもわかってしまう通り、「Get Back」のパロディです。演奏はそっくりなのですが、リズム・ギターの音色が軽くて固すぎます。メロディはあまりにそっくりで、あまりヒネリが感じられません。「Ouch!」のようなチープさを醸し出すには、ネタ元の「Get Back」があまりにもシンプル過ぎたのでしょうか。
映像も映画『LET IT BE』でのアップル屋上のパロディです。

そして彼らの架空のアルバム・ジャケットです。
MEET THE RUTLES

A HARD DAY'S RUT

OUCH!

SGT. RUTTER'S DARTS CLUB BAND

顔の部分だけ差し替えたものですが、バスドラムの図案が「ダーツの的」になっていたり、花の文字も「RUTLES」に替えられていたりします。
TRAGICAL HISTORY TOUR

曲目もパロディです。私は個人的には「Lying」と「I Am The Waitress」、「Denny Lane」がツボです(^o^)
SHABBY ROAD

LET IT ROT
このバンドはそんじょそこいらの二流、三流のパロディではありません。モンティ・パイソンの1人エリック・アイドル(やはりモンティ・パイソン出身のテリー・ギリアム監督の『バロン』や、ハリウッド映画『キャスパー』『102』などにも出演するようになりました。)が企画し、TV映画『Magical Mystery Tour』でビートルズと共演するなどの親交のあった「ボンゾ・ドッグ・バンド」の元メンバー、ニール・イネスが楽曲を担当しているのです!
元々は、エリック・アイドルが企画したTV番組の1つのコーナーでしかありませんでした。そこへイネスがクウォリティの高い楽曲を提供するとその評判が益々高まり、海を渡ってアメリカの『サタデー・ナイト・ライヴ』のスタッフにも伝わりました。話がどんどん進み、英BBC米NBC共同で制作、ブルース・ブラザーズのお2人(ジョン・ベルーシとダン・エイクロイド)も出演したTVスペシャル番組が誕生しました。
このTVスペシャル番組はラトルズの誕生から解散までをビートルズの歴史になぞってパロディ化し、ライヴや映画での有名なビートルズの映像そっくりな演奏シーンが盛り込まれていますが、イネスの楽曲の胡散臭さと映像のチープさがパロディとしては超一級品です。フィルム撮影なので、質感もドキュメンタリー風です。ミック・ジャガーやポール・サイモンがラトルズについてインタビューを受けていたり、ロン・ウッドがパンクファッションの暴走族役で登場したり、そして何と本家のジョージ・ハリスンがインタビュアー役で登場したりと、かなりスペシャルな内容です。VAPからDVD化され、昨年再発売されたものが入手可能です。

このアルバムは、そのTVスペシャルに使用された楽曲が編纂されています。来年には紙ジャケ使用のCDが「四人もアイドル」のタイトルで発売され、ブックレットや内袋も再現されるそうです。しかし、現在CD化されている曲順の20曲が収録されるので、完全なLPの再現ではありません。
では、オリジナルの曲順で映像と楽曲のレビューを。
●Hold My Hand
「Eight Days A Week」のようなイントロと歌い出し。ビートルズのオリジナルにもこんな歌がありそうな傑作! 演奏は「All My Loving」のようなギターの1拍三連のリズムと「A Hard Days Night」や「You're Going To Lose That Girl」のようなボンゴにニヤニヤ(^o^) ギター・ソロも「All My Loving」をモチーフにしています。サビは「She Loves You」のような歌詞と「All My Loving」のコード進行のようですが、何ともチープ! それがまた(≧∇≦*)イイ!
映像は「エド・サリバン・ショー」。本物のエド・サリバンの映像を使っています。バリー役のジョン・ハルシーは本物のドラマーなので、演奏シーンに嘘臭さがありません。

●Number One
「Twist And Shout」が元ネタ。あまり面白くありません。映像もレコーディング風景だそうですが、ヒネリはありません。ただ、ディック・ジェームズ氏によく似た人物が「アーチー・マカウ」という名で登場するのですが、真相は? その後に「ディック・ジョーズ」なるハゲヅラの男も登場します。
●With A Girl Like You
ん~、これは「If I Fell」が元ネタかなぁ。クラベスは「And I Love Her」風。
映像は「ロイヤル・バラエティ・ショー」ですネ。「♪With a girl like『you』」でいちいち女王様に視線を送るダーク(アイドル)がしつこくてイイ! 女王様もそっくりさんを起用し、アクビをさせています。

●I Must Be In Love
映画『A Hard Day's Rut』の主題歌の設定で、もちろん「A Hard Day's Night」が元ネタなのでしょうが、カウベルとボンゴとリッケンバッカーの12弦ギターくらいしか共通点が見出せません。
映像はナンセンスなギャグが早回しで展開され、『A Hard Day's Night』の中の「Can't Buy Me Love」のシーンからのネタでしょう。

●Ouch!
明らかに「Help!」を引用しています。バッキング・コーラスやサビの胡散臭さも何もかもよくできたパロディです。
映像では映画『HELP!』の「Another Girl」のシーンを元ネタに、バハマでロケ(?)されたように演奏されています。歌詞の「Ouch!」に合わせてリンゴが頭に当たったりと、楽しめる一編です。

●Living In Hope
元ネタは「Don't Pass Me By」で、ボーカルもバリーです。イントロのレズリーを通したピアノも雰囲気があります。
●Love Life
「All You Need Is Love」のパロディ。「ゴンベエさんの赤ちゃんが風邪ひいた」の歌(曲名がわかりません^^;)のイントロから、変則拍子、ギター・ソロ、そしてエンディングには「Hold My Hand」のサビが歌われるなど、ネタ元の「All~」が徹底的にパロディ化されています。
映像は『アワ・ワールド』のパロディです。

●Nevertheless
「Within You Without You」が元ネタ。インド音楽風のメロディですが、そこかしこに漂うチープさと胡散臭さ、ニセモノっぽさが満天です。
映像ではマハリシのネタのパロディのBGMに使われています。
LPレコードではここまでがA面でした。
●Good Times Roll
「Lucy In The Sky With Diamonds」を元ネタにしています。
映像ではLSDならぬ「tea」の影響というネタのBGMです。
●Doubleback Alley
「Penny Lane」のパロディ。ブラスのフレーズ、コーラスの付け方、ピッコロトランペットのソロなど、ネタ元の「Penny Lane」をウマくパロディにしていますが、それ以上に1曲のポップスとしてよくできています。
映像作品ではエンド・クレジットのBGMに使われています。
●Cheese And Onions
「A Day In The Life」が元ネタ。美しいメロディに、メッセージが込められているような無いような歌詞が傑作です。映像に合わせて「サブマリン・サンドイッチにチーズとオニオンを入れるか否か」という意味でしょうか。
映像は映画『YELLOW SUBMARINE』のパロディ、『YELLOW SUBMARINE SANDWICH』のアニメーションも秀逸です。ネタ元の『YELLOW~』の雰囲気をよく出していて、キャラクターも似ていて非なるもので、なんといっても「黄色い潜水艦」が本当に「サブマリン・サンドイッチ」のデザインなのに爆笑です。(潜望鏡がオリーブになっています(^o^)) セリフのボソボソ話す雰囲気もネタ元そのままです。



●Another Day
「Martha My Dear」を元ネタにした名曲。メロディの美しさは「Martha~」にヒケをとりません。本気で演奏されている情感タップリなストリングスがパロディの本気度を高め、このパロディを一流のものにしています。アレンジも素晴らしい。
映像では「キリスト発言」をネタにしたパロディのBGMとして使われました。こんなネタもパロディにするマニアックさが、ビートルズをよく知っている人を感心させます。記者会見で話すナスティ役のイネスの口調がジョン・レノンそっくり!
●Piggy In The Middle
「I Am The Walrus」のパロディで、映像での演奏シーンのパロディもよくできています。
ボンゾ・ドッグ・バンドが出演したテントの映像のパロディも含め、雰囲気が『Magical Mystery Tour』にそっくりです。

●Let's Be Natural
「Dear Prudence」が元ネタ。コード進行とバッキング・コーラス、16ビートのドラムスなど、雰囲気をよく掴んでいます。
ダークの結婚のエピソードのBGMとして使われています。
CDには上記の他に、映像作品に使われた以下の楽曲が収録されています。
●Goose-Step Mama
キャバーンでの演奏シーンで有名な「Some Other Guy」のパロディ。
映像もキャバーンでの演奏のパロディです。
●It's Looking Good
「What Goes On」「I'm Looking Through You」が元ネタでしょうか。
シェア・スタジアムでのライヴ映像のパロディの演奏シーンです。

●Get Up And Go
タイトルからもわかってしまう通り、「Get Back」のパロディです。演奏はそっくりなのですが、リズム・ギターの音色が軽くて固すぎます。メロディはあまりにそっくりで、あまりヒネリが感じられません。「Ouch!」のようなチープさを醸し出すには、ネタ元の「Get Back」があまりにもシンプル過ぎたのでしょうか。
映像も映画『LET IT BE』でのアップル屋上のパロディです。

そして彼らの架空のアルバム・ジャケットです。
MEET THE RUTLES

A HARD DAY'S RUT

OUCH!

SGT. RUTTER'S DARTS CLUB BAND

顔の部分だけ差し替えたものですが、バスドラムの図案が「ダーツの的」になっていたり、花の文字も「RUTLES」に替えられていたりします。
TRAGICAL HISTORY TOUR

曲目もパロディです。私は個人的には「Lying」と「I Am The Waitress」、「Denny Lane」がツボです(^o^)
SHABBY ROAD

LET IT ROT

映像版の方もいつの間にかトール・サイズのDVDになっていたとは。私は旧版のジュエル・ケースの方を持っています。
やっぱりラトルズを深く楽しむには映像版からですネ。