
●「遊星から来た兄弟」昭和41年11月13日放映 凶悪宇宙人ザラブ星人、にせウルトラマン登場
制作第19話 放映第18話 脚本:南川竜、金城哲夫 監督:野長瀬三摩地
「バルタン星人」以来となる、宇宙人暗躍のエピソードです。開巻直後の「L1」の劇伴が怪しく響き、放射能を含む霧による被害の様子がけっこう凄惨に描写されています。イデとアラシが最初に「ザラブ星人」と遭遇するシーン(劇伴は『ウルトラQ』からの流用曲「変身6-9」)が、子どもの頃は怖くてしかたありませんでした。こういった描写は野長瀬監督の真骨頂です。
放映では第17話「無限へのパスポート」に続いているので、ホシノくんが隊員として行動するのが自然な流れになっています。しかし、今回は放射能が検出され危険な任務に就かせられないということで、キャップの命令で本部への居残りに‥‥。隊員となったことによって、却ってホシノくんが自由に行動することができなくなってしまったとは‥‥。この設定が良かったのか悪かったのか‥‥。
森田博士役は土屋嘉男さんです。土屋さんは東宝特撮ではお馴染みで、円谷作品では『ウルトラセブン』第14・15話「ウルトラ警備隊西へ」の前後編に登場するミズノ博士役も印象的です。
ザラブ星人が「宇宙語翻訳機能のある、科特隊本部の電子頭脳を介さないと地球人と会話できない」という設定が秀逸です。「バルタン星人」は「アラシ隊員の脳髄を借りて」、または「パンスペース・インタープリターを通して」会話しました。『ウルトラマン』に登場する宇宙人は、直接には地球人とコミュニケーションがとれないことが徹底されています。
イデに催眠術をかけ、宇宙局の秘密会議を盗聴しようとするザラブ星人。イデからの無線を傍受するためにフジ隊員に変身して、留守番のアラシに睡眠薬入りのコーヒーを飲ませますが、このシーンでの桜井浩子さんは目のメイクが濃くて、妖しい魅力があります(*^o^*)
イデの脳波を調べる医師は森山周一郎さんが演じられています。また、ザラブ星人を宇宙局へ連れて行こうとする局員の1人は、お馴染みの勝部義夫さんです。
宇宙人は怪獣とは異なり、知略で攻めてきます。ザラブ星人は「放射能を含む霧」を発生させ、それを消すことで宇宙局の信用を得て内部に潜入しました。そして、「にせウルトラマン」となって暴れてウルトラマンの信用を失墜させ、同時に科特隊も貶めようと謀りました。
そのためにはハヤタにウルトラマンに変身されてはならないのですが、幸いにも(?)ハヤタの「ベーター・カプセルを持っていくのを忘れる」というミスによって、「ザラブ星人にベーター・カプセルを奪われる」という最悪の事態は回避されました‥‥。ハヤタが忘れ物をするなんて‥‥^^; 私は非常に違和感を覚えました。
ベーター・カプセルはホシノくんが持って来るのですが、ホシノくんの手と対比すると、かなり大きなプロップであったことがわかります。
ザラブ星人によってハヤタが縛られていた金属のベルトが、ホシノくんの涙で切れるというのは唐突な感じがします。野暮な科学的な考証を加えるべきか、「ザラブ星には無い、ひたむきさと悔しさの涙が勝った」という象徴的な解釈をするべきか‥‥。何か伏線が張られていたら、このシーンが生きてくると思うのですが‥‥。
ハヤタを助けたあと、ホシノくんは再び窓から逃げますが‥‥、なぜ? だから、にせウルトラマンに捕まり、ややこしいことに‥‥。ウルトラマンがホシノくんを奪い返して地上に降ろすまで、腕を痛がりながらも動きを止めて見守っているにせウルトラマン‥‥。違和感があります。
ウルトラマンが登場すると、高らかに「M5」が鳴り響きます。そしてザラブ星人との空中戦では、空中戦の定番曲「A2」へ切り替わります。この第18話と第17話の野長瀬組の2本は、ウルトラマンのヒーロー性が色濃く出されたエピソードです。「M5」のヒロイックな使われ方、そして事件解決でエピローグ無しの結末も、「ウルトラマン登場」こそが番組のクライマックスであることをハッキリと示しています。
にせウルトラマンとウルトラマンの戦闘シーンでは、目の電飾の明るさと形がずいぶん違うので、動きが激しくてもどちらがどちらか見間違えることはありません。さらに、邪悪さも一目で感じられるので、非常に親切な「にせものデザイン」であると思います。よく「あれだけ見かけが違うのに、劇中人物が本物と見分けられないのはおかしい」という指摘がありますが、私は以上のような「子どもの視聴者への配慮」だと感じるので、劇中での扱いについては特に違和感はありません。(子どもの頃には、「なぜニセモノだって気付かないんだ!」と私も思ったこともありましたが‥‥。)
にせウルトラマン、そして正体を現してからのザラブ星人との戦闘は、第5話「ミロガンダの秘密」以来の市街地のビル街が舞台です。動きのある人型の宇宙人同士の戦闘がビルを破壊しながら繰り広げられる様子は、巨大ヒーロー番組の醍醐味です。
●ザラブ星人

成田亨氏のモチーフのテーマである「肩を無くすシルエット」と「顔の凹凸の逆転」が用いられています。体はラゴンの改造です。
巨大化した時には、耳にあたる部分の突起が頭部に埋まっています。(戦闘シーンでの安全が考慮されたためか?)
名前はサブタイトルにもなっている「兄弟」の「ブラザー」から。
人の脳波に直接作用する攻撃を用います。それには催眠術に似た作用もあります。また、腕(?)から光弾を発射することができます。その他にフジ隊員や「にせウルトラマン」への変身、テレポーテーションの能力も持っています。
地球を支配しようとする目的が、ザラブ星人自らの口から「私が狙った星は互いに戦い、滅んでいった。私はそうするために生まれてきた。そうすることが私の仕事なのだ。」と語られます。謎めいた侵略目的です。
声とスーツアクターを青野武さんが演じています。
●にせウルトラマン

ザラブ星人の変身した姿。
胸の厚みを見るとAタイプのスーツが流用され、黒い線を追加して改造されています。ウルトラマンのスーツは脚が長い古谷敏さんの体型に合わせて作られているので、膝の部分に弛みが確認できます。頭部は新規に造型されています。
本物との違いは
釣り上がった目(電飾が暗い)
細い顎
尖った耳
胸と腹の赤い模様の黒い縁取り
尖ったつま先
にあります。
制作第19話 放映第18話 脚本:南川竜、金城哲夫 監督:野長瀬三摩地
「バルタン星人」以来となる、宇宙人暗躍のエピソードです。開巻直後の「L1」の劇伴が怪しく響き、放射能を含む霧による被害の様子がけっこう凄惨に描写されています。イデとアラシが最初に「ザラブ星人」と遭遇するシーン(劇伴は『ウルトラQ』からの流用曲「変身6-9」)が、子どもの頃は怖くてしかたありませんでした。こういった描写は野長瀬監督の真骨頂です。
放映では第17話「無限へのパスポート」に続いているので、ホシノくんが隊員として行動するのが自然な流れになっています。しかし、今回は放射能が検出され危険な任務に就かせられないということで、キャップの命令で本部への居残りに‥‥。隊員となったことによって、却ってホシノくんが自由に行動することができなくなってしまったとは‥‥。この設定が良かったのか悪かったのか‥‥。
森田博士役は土屋嘉男さんです。土屋さんは東宝特撮ではお馴染みで、円谷作品では『ウルトラセブン』第14・15話「ウルトラ警備隊西へ」の前後編に登場するミズノ博士役も印象的です。
ザラブ星人が「宇宙語翻訳機能のある、科特隊本部の電子頭脳を介さないと地球人と会話できない」という設定が秀逸です。「バルタン星人」は「アラシ隊員の脳髄を借りて」、または「パンスペース・インタープリターを通して」会話しました。『ウルトラマン』に登場する宇宙人は、直接には地球人とコミュニケーションがとれないことが徹底されています。
イデに催眠術をかけ、宇宙局の秘密会議を盗聴しようとするザラブ星人。イデからの無線を傍受するためにフジ隊員に変身して、留守番のアラシに睡眠薬入りのコーヒーを飲ませますが、このシーンでの桜井浩子さんは目のメイクが濃くて、妖しい魅力があります(*^o^*)
イデの脳波を調べる医師は森山周一郎さんが演じられています。また、ザラブ星人を宇宙局へ連れて行こうとする局員の1人は、お馴染みの勝部義夫さんです。
宇宙人は怪獣とは異なり、知略で攻めてきます。ザラブ星人は「放射能を含む霧」を発生させ、それを消すことで宇宙局の信用を得て内部に潜入しました。そして、「にせウルトラマン」となって暴れてウルトラマンの信用を失墜させ、同時に科特隊も貶めようと謀りました。
そのためにはハヤタにウルトラマンに変身されてはならないのですが、幸いにも(?)ハヤタの「ベーター・カプセルを持っていくのを忘れる」というミスによって、「ザラブ星人にベーター・カプセルを奪われる」という最悪の事態は回避されました‥‥。ハヤタが忘れ物をするなんて‥‥^^; 私は非常に違和感を覚えました。
ベーター・カプセルはホシノくんが持って来るのですが、ホシノくんの手と対比すると、かなり大きなプロップであったことがわかります。
ザラブ星人によってハヤタが縛られていた金属のベルトが、ホシノくんの涙で切れるというのは唐突な感じがします。野暮な科学的な考証を加えるべきか、「ザラブ星には無い、ひたむきさと悔しさの涙が勝った」という象徴的な解釈をするべきか‥‥。何か伏線が張られていたら、このシーンが生きてくると思うのですが‥‥。
ハヤタを助けたあと、ホシノくんは再び窓から逃げますが‥‥、なぜ? だから、にせウルトラマンに捕まり、ややこしいことに‥‥。ウルトラマンがホシノくんを奪い返して地上に降ろすまで、腕を痛がりながらも動きを止めて見守っているにせウルトラマン‥‥。違和感があります。
ウルトラマンが登場すると、高らかに「M5」が鳴り響きます。そしてザラブ星人との空中戦では、空中戦の定番曲「A2」へ切り替わります。この第18話と第17話の野長瀬組の2本は、ウルトラマンのヒーロー性が色濃く出されたエピソードです。「M5」のヒロイックな使われ方、そして事件解決でエピローグ無しの結末も、「ウルトラマン登場」こそが番組のクライマックスであることをハッキリと示しています。
にせウルトラマンとウルトラマンの戦闘シーンでは、目の電飾の明るさと形がずいぶん違うので、動きが激しくてもどちらがどちらか見間違えることはありません。さらに、邪悪さも一目で感じられるので、非常に親切な「にせものデザイン」であると思います。よく「あれだけ見かけが違うのに、劇中人物が本物と見分けられないのはおかしい」という指摘がありますが、私は以上のような「子どもの視聴者への配慮」だと感じるので、劇中での扱いについては特に違和感はありません。(子どもの頃には、「なぜニセモノだって気付かないんだ!」と私も思ったこともありましたが‥‥。)
にせウルトラマン、そして正体を現してからのザラブ星人との戦闘は、第5話「ミロガンダの秘密」以来の市街地のビル街が舞台です。動きのある人型の宇宙人同士の戦闘がビルを破壊しながら繰り広げられる様子は、巨大ヒーロー番組の醍醐味です。
●ザラブ星人

成田亨氏のモチーフのテーマである「肩を無くすシルエット」と「顔の凹凸の逆転」が用いられています。体はラゴンの改造です。
巨大化した時には、耳にあたる部分の突起が頭部に埋まっています。(戦闘シーンでの安全が考慮されたためか?)
名前はサブタイトルにもなっている「兄弟」の「ブラザー」から。
人の脳波に直接作用する攻撃を用います。それには催眠術に似た作用もあります。また、腕(?)から光弾を発射することができます。その他にフジ隊員や「にせウルトラマン」への変身、テレポーテーションの能力も持っています。
地球を支配しようとする目的が、ザラブ星人自らの口から「私が狙った星は互いに戦い、滅んでいった。私はそうするために生まれてきた。そうすることが私の仕事なのだ。」と語られます。謎めいた侵略目的です。
声とスーツアクターを青野武さんが演じています。
●にせウルトラマン

ザラブ星人の変身した姿。
胸の厚みを見るとAタイプのスーツが流用され、黒い線を追加して改造されています。ウルトラマンのスーツは脚が長い古谷敏さんの体型に合わせて作られているので、膝の部分に弛みが確認できます。頭部は新規に造型されています。
本物との違いは
釣り上がった目(電飾が暗い)
細い顎
尖った耳
胸と腹の赤い模様の黒い縁取り
尖ったつま先
にあります。
超能力のレベルがケタ違いと言うか
霧だけでなく人間も自在に操り、巨大化や変身さえ可能な生命体。
その超人性はそのまま、ウルトラマンにも当てはまります。
つまるところ、彼ら宇宙生物同士の戦いは、およそ人類の窺い知る事の出来ない「超格闘」なんですよね。
決してウルトラマンだけが飛びぬけた能力を持つわけではないと。
宇宙破壊工作員とでも言えるザラブ星人は、そのままウルトラマンのネガ的存在でもあります。
そんな存在さえ生息する宇宙の広さ、人類永遠の謎を垣間見せてくれるようなエピソードでした
そうそう、ダダは弱かったですが(苦笑)、ザラブ星人やメフィラス星人など、ウルトラマンと互角の能力を数々持っていました。
『ウルトラセブン』では宇宙人がベラベラと饒舌で、一般の地球人との会話が当たり前でしたが、『ウルトラマン』での数少ない宇宙人キャラたちは、地球人とのコミュニケーションも価値観の共有もできませんでした。計り知れない宇宙の規模を感じさせてくれましたネ。
>tirusoniaさん
ザラブ星人が屋外にいるシーンは、全て「夜」でした。夜の闇が「宇宙人らしさ」を際立たせていると感じます。また、夜の闇に紛れているかのようなザラブ星人の「怪しさ」も、このエピソードの重要なモチーフでしょう。
前回の記事に書くのを忘れていましたが、「進め!ウルトラマン」のアレンジ曲である「M5」が戦闘シーンに使われたのは、「悪魔はふたたび」からです。追記しておきます。
それまでの通称「戦い」という劇伴のミステリアスさと緊張感に替わって、強さとヒロイックな面が強調された劇伴になりました。
にせウルトラマンが登場して驚きました。
ザラブ星人がやった事は、かつて西欧の列強たちがアジアなどでやっていた侵略方法ですね。
‘たとえウルトラマンといえども、この地球上で暴力を振るう者とは戦わなければならない’というムラマツキャップの言葉は大好きです。
にせウルトラマンを攻撃するミサイル戦車の
映像はモスラの渋谷攻防戦のシーンですね。
これを見て‘やぁ~兄弟!’などと馴れ馴れしく寄って来る輩は怪しいと判断するようになりました。
「ミサイル戦車の映像」は、映画の流用ですネ。どの映画かは気が付きませんでしたが、『モスラ』でしたか。教えていただきありがとうございます。
私が初めて見たエピソードはどれだったのかなぁ~。気が付いたら見ていたという感じなので、記憶にありません‥‥(苦笑)。
あの人の声優作として タツノコの「破裏拳ポリマー」での車錠が好きなんですけど・・・
「ショッカー首領」といえば納谷悟朗さんがいまだにキャスティングされますが、青野武さんはすっかり「ザラブ星人」が定着しましたネ。(「メフィラス星人」の加藤精三さんも)
贅沢ですなぁ あの時代・・・
セブンのバドー星人も トランポリンで宙返りの部分は普段と 別のアクターでやってるらしいっすけど
あ
そろそろ明日のWBC決勝に備えて寝なくっちゃ!
日本必勝!
仕事で見られなかったのですが、WBCは2連覇を達成したようで。まだ日本以外の国が優勝したことが無いって、スゴイことだと思います。