失われた時を求めて

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YELLOW SUBMARINE

2009-02-04 23:30:44 | 音楽:懐かしの洋楽
 “YELLOW SUBMARINE”は最も人気が低く、最も語られることの少ないアルバムでしょう。その理由の1つとして、LP時代のB面にはBeatlesによる楽曲が収められておらず、新曲もたったの4曲と少ないため、コスト・パフォーマンス的に損な印象があるからだと思います。
 はっきり言ってしまえば、Beatlesの面々はこの劇場用アニメーションの制作には乗り気ではなく、映画のために新曲を用意する気力も無かったようです。収録曲のうち、‘Yellow Submarine’‘All You Need Is Love’は既存の楽曲の再収録です。また、‘Only A Northern Song’は“SGT. PEPPER'S”のボツ曲でした。しかし、その状況はHarrisonにとっては好都合で、先の‘Only A Northern Song’に加えて‘It's All Too Much’も発表して、ラーガ・ロック、サイケデリックを前面に押し出した楽曲で存在感をアピールすることができました。アルバムに占める割合としても、LennonとMcCartneyの新曲がそれぞれ1曲ずつであることを考えると、このアルバムで最も輝いているのはHarrisonであることは明白です。

 ‘Only A Northern Song’は“SGT. PEPPER'S~”のセッションからで、‘It's All Too Much’‘All Together Now’(と‘All You Need Is Love’)も“MAGICAL~”と同時にレコーディングされていたので、音作りが“WHITE ALBUM”以前に戻っています。

 もちろんオリジナルのこのアルバムも良いのですが、最新テクノロジーでリミックスされた“SONGTRACK”もお勧めです。特に‘Only A Northern Song’が真正ステレオに生まれ変わりましたので、その自由奔放な音像を楽しむには“SONGTRACK”の方が適しています。


  ●Yellow Submarine
 詳細は“REVOLVER”の記事で。
 映画の主題歌となったことで、全レパートリーの中での重要性と別の味わいが加わりました。

  ●Only A Northern Song
 タイトルの「Northern Song」とは、Lennon-McCartneyの楽曲を管理している社名のことです。つまり、自分たちの楽曲、自分たち自身について歌われた歌ということになります。
 Harrisonによるメロディは、‘If I Needed Someone’や‘You Like Me Too Much’‘Love You Too’‘Here Comes The Sun’のようなシンコペーションが多用されたもので、これはHarrisonの中に自然にあるリズムなのでしょう。彼の癖のようなものですネ。
 このアルバムのバージョンは擬似ステレオです。これはベーシック・トラックの2種類のリダクション・ミックスにそれぞれ追加レコーディングをしてしまい、それを後からモノラルで1つにまとめたという、複雑なレコーディング過程を経たことによるからです。“SONGTRACK”では最新テクノロジーによってテイクを遡って追加レコーディングされたトラックを分離し、多チャンネルでのミキシングが可能になったことによって真正ステレオバージョンが誕生しました。
 レコーディングは“SGT. PEPPER'S”セッションで行われました。Ringoのこの時期独特の重いバスドラム、‘Strawberry Fields~’や‘A Day In The Life’にも通じるフィル・インを聴くことができます。
 キラキラときらめくようなトランペット、重いハーモニウム、グロッケン、その他テープ・リールなどが一見デタラメのように挿入されて、歌詞の内容を補完しているようなプレイです。

  ●All Together Now
 アコギによるイントロは、拍が裏返ったようになる仕掛けが施されていて、曲に合わせて歌い出すのが難しいです。
 歌詞は数字、アルファベット、色などが織り込まれ、曲名や映画のエンディングの各国語でのメッセージのように、全世界の人たちに「ごいっしょに」と語りかけているような簡明さです。
 ミドルの“Bom-Bo-Bom, Sail the ship”の部分は、歌詞やメロディ、リード・ヴォーカルから考えて、Lennonが作ったものと思われます。

  ●Hey Bulldog
 低音弦のピアノ、ラウドなディストーション・ギターのイントロが決まっています。ベースはかなり速いフレーズを弾いています。ミドルのギターソロも激しく、‘Everybody's Got Something~’や‘Helter Skelter’を経て、ヘビーな曲調ででも見事なパフォーマンスを聴かせてくれます。
 フェイドアウト前のセリフが笑いとなり徐々に狂気じみていくのが、私は中学生くらいまでは怖く感じていました。

  ●It's All Too Much
 イントロのフィードバック・ギターの一発がカッコイイ! その後のオルガンが荘厳です。
 ミドルのギターソロはかなり魅力的なフレーズが奏でられています。Aメロと同じベースが大きくフィーチャーされていますが、最後の音はミストーンではないでしょうか。ベースに比べてギターが引っ込んだ印象があるので、ギターが前に出たリミックスも聴いてみたいです。
 トランペットも開放感のあるプレイを聴かせてくれます。特にエンディングのインプロヴィゼーションは、ずっと同じコードの中で奔放なプレイです。
 エンディングのタンバリン、カウベルなどの打楽器がオン過ぎると感じます。これらはもっと引っ込んだリミックスが聴いてみたいです。

  ●All You Need Is Love
 詳細は“MAGICAL MYSTERY TOUR”の記事で。

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