先日の「30年前」の記事の中で「40年前」についても書きましたが、ビートルズの“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”と“MAGICAL MYSTERY TOUR”が発売されて40周年なのですネ。
私は中学生の頃は、夏になると“PLEASE PLEASE ME”“FOR SALE”と、この“MAGICAL MYSTERY TOUR”をよく聴きました。トランペットによるイントロの‘Magical Mystery Tour’の勢いが爽快だし、‘The Fool On The Hill’の優しさ、‘I Am The Walrus’の暑苦しさは夏向きだと思います。(夏になるとハードな歌が聴きたくなることってありますよネ?)
“MAGICAL MYSTERY TOUR”は元々はイギリスでは、同名TV映画のサントラとして6曲入り2枚組コンパクト盤として発売されました。
これがコンパクト盤のジャケットです。
このコンパクト盤の楽曲をA面に収録し、それまでに発売されてアルバム“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”に未収録だった3枚のシングル盤の楽曲がB面に収録され、米キャピトルで編纂されたのがこのアルバムです。
アルバムには、TV映画のシーンの写真を収めたブックレットが付けられていました。(イギリスのオリジナル・コンパクト盤にも付属されていましたが、CDには付けられていません。)
“SGT. PEPPER'S~”がリリースされる前に、続けてTV映画のプロジェクトがスタートしたので、“SGT. PEPPER'S~”と音質的な印象が近いものとなっています。
B面に収録されている楽曲も同時期のセッションでレコーディングされたものなので、コンピレーションの体裁ながら非常にまとまりのあるアルバムとなっています。
くわしくは
‘Strawberry Fields Forever / Penny Lane’
と
“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”
の収録曲のレコーディングが'66年の年末から'67年の4月21日までかかって続けられ、4月25日からは
“MAGICAL MYSTERY TOUR”
の収録曲と
‘All You Need Is Love / Baby You're A Rich Man’
‘Hello Goodbye / I Am The Walrus’
と
“YELLOW SUBMARINE”
の一部の収録曲のレコーディングが同時進行で行われました。
TV映画の発案と同様に、McCartneyはサントラの制作にも意欲的で、コンパクト盤に3曲、そしてB面にも2曲(+1曲)提供しています。ポップさとメロディの美しさがますます洗練されています。
Lennonは“SGT. PEPPER'S~”では4曲(+α)の提供にとどまっていました。コンパクト盤では「I Am The Walrus」1曲だったのが、シングル曲も収録されてやっと3曲(+α)になりました。しかしこの3曲、つまり‘I Am The Walrus’‘Strawberry Fields Forever’‘All You Need Is Love’のインパクトと多彩さには目を見張ります。
Harrisonは‘Blue Jay Way’1曲のみの提供で、あまり目立った活躍はしていません。
●Magical Mystery Tour
同名TV映画のOPテーマ曲です。勢いのある4本のトランペットによるイントロで、OPとして相応しい楽曲に仕上がっています。
‘Roll up, roll up for the mystery tour’というコーラスは回転数を落としてレコーディングされ、エフェクト処理で明るくはつらつとした声に変化されました。
間奏は転調され、mpのレガートで演奏されるトランペットにメリハリがあります。
ドラムスは左チャンネルから聞こえてきますが、パワフルでノリの良いリズムを叩き出しています。レコードおよびCDではミックスでカットされていますが、TV映画のサウンドトラックでのミキシングでは、右チャンネルで3拍目にスネアが入り、別のノリがつくられています。
イントロから全開だった楽しげな雰囲気が、いきなりタイトル通りのミステリアスになるエンディング。このアウトロの怪しげなピアノは、ミスタッチでは?
曲中に左から右へ横切る「バスの走行音」は、Stewart Elsamのライブラリーからの引用です。
●The Fool On The Hill
コペルニクスを題材に、周囲から理解されない男の哲学的な内容が歌われています。
フルートやリコーダー、低音のハーモニカなどが使われ、アコースティックな味付けがされています。ピアノが中心で、アコギも最小限の使われ方です。ドラムスは使われません。
●Flying
Beatlesの公式リリース曲としては初のインストルメンタル曲で、4人の共作名義になっています。
メロトロンが駆使された演奏で、左から聞こえるギターの独特な響きが病みつきになります。
インストルメンタルですが、最後のバースでは‘La-lalalala’というコーラスがメロディを奏でます(?)。
●Blue Jay Way
この時期のHarrisonにしては、インド音楽をあまり感じさせない楽曲です。
前曲のミステリアスなエンディングに導かれ、オルガンで始まるイントロが不気味です。チェロがさらに不気味さを加えています。高音を強調したMcCartneyとHarrisonによるコーラスも不気味です。
ヴォーカルは全てエフェクト処理され、浮遊感があります。
●Your Mother Should Know
TV映画のエンディングを飾るしっとりとした楽曲です。メロディとアレンジが一体となり、隠れた名曲です。ちょっとアレンジがシンプル過ぎるかも‥‥。
‘Your mother should, yeah’というLennonとHarrisonによるコーラスのメロディに無理があるように感じます。
最初は左、次に右、最後は左右両方から聞こえてくるMcCartneyのヴォーカルは、定位をいじり過ぎ‥‥。
‘Penny Lane’以降では、ピアノが中心となる楽曲がMcCartneyの作品に増えてきますが、ほとんどが4分音符のコード弾きなのがワンパターンに感じられます。
●I Am The Walrus
ファズを通したLennonのヴォーカル、Mike Sam's Singersによる‘Hoo!’というコーラス、低音でのおどろおどろしいチェロのオブリガード。これまでのBeatlesの楽曲には無い不気味さで迫ってきます。
コード進行はLennonのクセのようで、‘Lucy In The Sky With Diamonds’‘Dear Prudence’などに同じ進行が見られます。
実際にTV映画の中でセイウチのコスチュームを着けていたのはLennonですが、‘Glass Onion’では‘The Walrus was Paul’と歌われ、セイウチのコスチュームが黒かったために「ポール死亡説」の1つの証拠として挙げられました。
‘Sitting in the English garden’から始まる最後のヴァースは擬似ステレオですが、これはモノラル・リミックスの日にラジオで放送されていた「リア王」の音声を、モノラル・リミックスにライヴでレコーディングしてしまったために、この音声が混じっている部分がステレオ化できないための措置です。
イントロのメロトロンは、現在CD化されているものでは全て6拍ですが、当時はレコードによって4拍のものもありました。
●Hello Goodbye
フィドル(バイオリン)も加えてにぎやかなアレンジが施された、ポップソングの王道的作品です。ヴァースによって楽器編成を変えるアレンジが、単純なメロディを飽きさせないで聴かせます。
●Strawberry Fields Forever
“SGT. PEPPER'S~”のレコーディング・セッションで、最初に手がけられた楽曲です。
この楽曲には2通りのアレンジが存在します。最初のアレンジは、イントロに聞こえるフルートの音色のメロトロンを使った静かなヴァージョン(第7テイク)です。そしてもう1つのアレンジは、チェロやトランペットを使ったリメイクの激しいもの(第26テイク)。このどちらも捨て難いと考えたLennonは、両方のヴァージョンを繋げて1曲に編集して完成させることを思いつきました。しかし、第26テイクは、半音高くレコーディングしてしまっていました。Lennonに依頼されて困ったMartinは、第26テイクの回転数を落として半音下げて繋げてみると、テンポも無理なく繋がることを発見します。こうして、楽曲の開始後ちょうど1分のところの‘Let me take you down, 'cause I'm’の後の‘going to’からは第26テイクが繋げられて完成されました。
後半の第26テイクの方には「シンバルの逆回転」も挿入され、幻想的な音を奏でています。
McCartneyによる‘Penny Lane’と好対照で、混沌として幻想的な楽曲です。この2曲は両A面シングルとしてリリースされましたが、新しいBeatlesを象徴する強力なカップリングです。売り上げ枚数も多かったのですが、‘Please Please Me’から続く連続1位記録が途絶えてしまいました。
●Penny Lane
ピアノを何重にも録音して作られています。フルートやビブラフォン、ブラスセクションが大々的に盛り込まれたアレンジは、“SGT. PEPPER'S~”のセッションから顕著になったものです。
複雑に転調が繰り返され、‘And all the people that come and go, stop and say hello’からは同主音マイナーに転調し、サビでも1音上がる転調をします。McCartneyの曲作りの手腕が高度になってきたことを存分に示しています。
歌詞に‘fire engine’が登場する度にチャイムが鳴らされるという遊びが採り入れられています。
ミドルとエンディングにピッコロトランペットのソロが入りますが、最後の‘Penny Lane’の歌詞の後にもう1回入っていたフレーズが、リリースされたミキシングではカットされています。ところが、アメリカのラジオプロモーション向けに送られたミキシングにはこのフレーズが含まれていて、マニアの間では「トランペット・エンディング」のレア・テイクとして貴重なものになっています。このテイクはアメリカ版“RARELITIES vol.2”に収録されて、一般にリリースされたこともあります。
子どもの頃に住んでいた町を題材にしながら、Lennonの‘Strawberry Fields Forever’と好対照を成し、明るいポップソングに仕上がっています。
●Baby You're A Rich Man
LennonによるAメロとMcCartneyによるサビが1つに合わされて1曲になりました。
クラヴィオラインという、他の楽器の音に似せた音を出すキーボードが使われ、イントロやAメロで印象的な音を聞かせています。
レコーディングはアビー・ロード・スタジオではなく、外部のオリンピック・スタジオで行われました。このセッションにはRolling StonesのMick Jaggerが見学に来ていましたが、もしかしたらコーラスに参加しているかもしれません。
シングル“All You Need Is Love”のB面としてリリースされましたが、ステレオ・ミックスは作られていなかったため、このアルバムにも擬似ステレオ・ヴァージョンで収録されていました。(CDは真正ステレオ・ヴァージョンが収録されています。)
●All You Need Is Love
世界同時中継番組“Our World”のイギリス代表に選ばれ、この歌のレコーディング風景が中継されました。実際に番組の中で演奏されて録音されたのは、ヴォーカル、ベース、ギター・ソロ、ドラムスといったいつものBeatlesのライヴ・パフォーマンスでお馴染みの担当パートと、13人編成のオーケストラによる「ブランデンブルグ協奏曲」(このトランペットを吹いているのは、‘Penny Lane’のソロと同じDave Maison)「イン・ザ・ムード」「グリーン・スリーヴズ」です。
Lennonによるヴォーカルと、イントロのスネア・ロールは後日再録音されて差し替えられていますが、エンディングに‘She Loves You’を歌うところはライヴ録音の音源が残されました。
フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」のイントロは、中継のために準備されたカラオケに既にレコーディングされてありました。その他に録音されていたものは、Harrisonによるバイオリン、Lennonによるハープシコードとバンジョー、Martinによるピアノです。
私は中学生の頃は、夏になると“PLEASE PLEASE ME”“FOR SALE”と、この“MAGICAL MYSTERY TOUR”をよく聴きました。トランペットによるイントロの‘Magical Mystery Tour’の勢いが爽快だし、‘The Fool On The Hill’の優しさ、‘I Am The Walrus’の暑苦しさは夏向きだと思います。(夏になるとハードな歌が聴きたくなることってありますよネ?)
“MAGICAL MYSTERY TOUR”は元々はイギリスでは、同名TV映画のサントラとして6曲入り2枚組コンパクト盤として発売されました。
これがコンパクト盤のジャケットです。
このコンパクト盤の楽曲をA面に収録し、それまでに発売されてアルバム“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”に未収録だった3枚のシングル盤の楽曲がB面に収録され、米キャピトルで編纂されたのがこのアルバムです。
アルバムには、TV映画のシーンの写真を収めたブックレットが付けられていました。(イギリスのオリジナル・コンパクト盤にも付属されていましたが、CDには付けられていません。)
“SGT. PEPPER'S~”がリリースされる前に、続けてTV映画のプロジェクトがスタートしたので、“SGT. PEPPER'S~”と音質的な印象が近いものとなっています。
B面に収録されている楽曲も同時期のセッションでレコーディングされたものなので、コンピレーションの体裁ながら非常にまとまりのあるアルバムとなっています。
くわしくは
‘Strawberry Fields Forever / Penny Lane’
と
“SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND”
の収録曲のレコーディングが'66年の年末から'67年の4月21日までかかって続けられ、4月25日からは
“MAGICAL MYSTERY TOUR”
の収録曲と
‘All You Need Is Love / Baby You're A Rich Man’
‘Hello Goodbye / I Am The Walrus’
と
“YELLOW SUBMARINE”
の一部の収録曲のレコーディングが同時進行で行われました。
TV映画の発案と同様に、McCartneyはサントラの制作にも意欲的で、コンパクト盤に3曲、そしてB面にも2曲(+1曲)提供しています。ポップさとメロディの美しさがますます洗練されています。
Lennonは“SGT. PEPPER'S~”では4曲(+α)の提供にとどまっていました。コンパクト盤では「I Am The Walrus」1曲だったのが、シングル曲も収録されてやっと3曲(+α)になりました。しかしこの3曲、つまり‘I Am The Walrus’‘Strawberry Fields Forever’‘All You Need Is Love’のインパクトと多彩さには目を見張ります。
Harrisonは‘Blue Jay Way’1曲のみの提供で、あまり目立った活躍はしていません。
●Magical Mystery Tour
同名TV映画のOPテーマ曲です。勢いのある4本のトランペットによるイントロで、OPとして相応しい楽曲に仕上がっています。
‘Roll up, roll up for the mystery tour’というコーラスは回転数を落としてレコーディングされ、エフェクト処理で明るくはつらつとした声に変化されました。
間奏は転調され、mpのレガートで演奏されるトランペットにメリハリがあります。
ドラムスは左チャンネルから聞こえてきますが、パワフルでノリの良いリズムを叩き出しています。レコードおよびCDではミックスでカットされていますが、TV映画のサウンドトラックでのミキシングでは、右チャンネルで3拍目にスネアが入り、別のノリがつくられています。
イントロから全開だった楽しげな雰囲気が、いきなりタイトル通りのミステリアスになるエンディング。このアウトロの怪しげなピアノは、ミスタッチでは?
曲中に左から右へ横切る「バスの走行音」は、Stewart Elsamのライブラリーからの引用です。
●The Fool On The Hill
コペルニクスを題材に、周囲から理解されない男の哲学的な内容が歌われています。
フルートやリコーダー、低音のハーモニカなどが使われ、アコースティックな味付けがされています。ピアノが中心で、アコギも最小限の使われ方です。ドラムスは使われません。
●Flying
Beatlesの公式リリース曲としては初のインストルメンタル曲で、4人の共作名義になっています。
メロトロンが駆使された演奏で、左から聞こえるギターの独特な響きが病みつきになります。
インストルメンタルですが、最後のバースでは‘La-lalalala’というコーラスがメロディを奏でます(?)。
●Blue Jay Way
この時期のHarrisonにしては、インド音楽をあまり感じさせない楽曲です。
前曲のミステリアスなエンディングに導かれ、オルガンで始まるイントロが不気味です。チェロがさらに不気味さを加えています。高音を強調したMcCartneyとHarrisonによるコーラスも不気味です。
ヴォーカルは全てエフェクト処理され、浮遊感があります。
●Your Mother Should Know
TV映画のエンディングを飾るしっとりとした楽曲です。メロディとアレンジが一体となり、隠れた名曲です。ちょっとアレンジがシンプル過ぎるかも‥‥。
‘Your mother should, yeah’というLennonとHarrisonによるコーラスのメロディに無理があるように感じます。
最初は左、次に右、最後は左右両方から聞こえてくるMcCartneyのヴォーカルは、定位をいじり過ぎ‥‥。
‘Penny Lane’以降では、ピアノが中心となる楽曲がMcCartneyの作品に増えてきますが、ほとんどが4分音符のコード弾きなのがワンパターンに感じられます。
●I Am The Walrus
ファズを通したLennonのヴォーカル、Mike Sam's Singersによる‘Hoo!’というコーラス、低音でのおどろおどろしいチェロのオブリガード。これまでのBeatlesの楽曲には無い不気味さで迫ってきます。
コード進行はLennonのクセのようで、‘Lucy In The Sky With Diamonds’‘Dear Prudence’などに同じ進行が見られます。
実際にTV映画の中でセイウチのコスチュームを着けていたのはLennonですが、‘Glass Onion’では‘The Walrus was Paul’と歌われ、セイウチのコスチュームが黒かったために「ポール死亡説」の1つの証拠として挙げられました。
‘Sitting in the English garden’から始まる最後のヴァースは擬似ステレオですが、これはモノラル・リミックスの日にラジオで放送されていた「リア王」の音声を、モノラル・リミックスにライヴでレコーディングしてしまったために、この音声が混じっている部分がステレオ化できないための措置です。
イントロのメロトロンは、現在CD化されているものでは全て6拍ですが、当時はレコードによって4拍のものもありました。
●Hello Goodbye
フィドル(バイオリン)も加えてにぎやかなアレンジが施された、ポップソングの王道的作品です。ヴァースによって楽器編成を変えるアレンジが、単純なメロディを飽きさせないで聴かせます。
●Strawberry Fields Forever
“SGT. PEPPER'S~”のレコーディング・セッションで、最初に手がけられた楽曲です。
この楽曲には2通りのアレンジが存在します。最初のアレンジは、イントロに聞こえるフルートの音色のメロトロンを使った静かなヴァージョン(第7テイク)です。そしてもう1つのアレンジは、チェロやトランペットを使ったリメイクの激しいもの(第26テイク)。このどちらも捨て難いと考えたLennonは、両方のヴァージョンを繋げて1曲に編集して完成させることを思いつきました。しかし、第26テイクは、半音高くレコーディングしてしまっていました。Lennonに依頼されて困ったMartinは、第26テイクの回転数を落として半音下げて繋げてみると、テンポも無理なく繋がることを発見します。こうして、楽曲の開始後ちょうど1分のところの‘Let me take you down, 'cause I'm’の後の‘going to’からは第26テイクが繋げられて完成されました。
後半の第26テイクの方には「シンバルの逆回転」も挿入され、幻想的な音を奏でています。
McCartneyによる‘Penny Lane’と好対照で、混沌として幻想的な楽曲です。この2曲は両A面シングルとしてリリースされましたが、新しいBeatlesを象徴する強力なカップリングです。売り上げ枚数も多かったのですが、‘Please Please Me’から続く連続1位記録が途絶えてしまいました。
●Penny Lane
ピアノを何重にも録音して作られています。フルートやビブラフォン、ブラスセクションが大々的に盛り込まれたアレンジは、“SGT. PEPPER'S~”のセッションから顕著になったものです。
複雑に転調が繰り返され、‘And all the people that come and go, stop and say hello’からは同主音マイナーに転調し、サビでも1音上がる転調をします。McCartneyの曲作りの手腕が高度になってきたことを存分に示しています。
歌詞に‘fire engine’が登場する度にチャイムが鳴らされるという遊びが採り入れられています。
ミドルとエンディングにピッコロトランペットのソロが入りますが、最後の‘Penny Lane’の歌詞の後にもう1回入っていたフレーズが、リリースされたミキシングではカットされています。ところが、アメリカのラジオプロモーション向けに送られたミキシングにはこのフレーズが含まれていて、マニアの間では「トランペット・エンディング」のレア・テイクとして貴重なものになっています。このテイクはアメリカ版“RARELITIES vol.2”に収録されて、一般にリリースされたこともあります。
子どもの頃に住んでいた町を題材にしながら、Lennonの‘Strawberry Fields Forever’と好対照を成し、明るいポップソングに仕上がっています。
●Baby You're A Rich Man
LennonによるAメロとMcCartneyによるサビが1つに合わされて1曲になりました。
クラヴィオラインという、他の楽器の音に似せた音を出すキーボードが使われ、イントロやAメロで印象的な音を聞かせています。
レコーディングはアビー・ロード・スタジオではなく、外部のオリンピック・スタジオで行われました。このセッションにはRolling StonesのMick Jaggerが見学に来ていましたが、もしかしたらコーラスに参加しているかもしれません。
シングル“All You Need Is Love”のB面としてリリースされましたが、ステレオ・ミックスは作られていなかったため、このアルバムにも擬似ステレオ・ヴァージョンで収録されていました。(CDは真正ステレオ・ヴァージョンが収録されています。)
●All You Need Is Love
世界同時中継番組“Our World”のイギリス代表に選ばれ、この歌のレコーディング風景が中継されました。実際に番組の中で演奏されて録音されたのは、ヴォーカル、ベース、ギター・ソロ、ドラムスといったいつものBeatlesのライヴ・パフォーマンスでお馴染みの担当パートと、13人編成のオーケストラによる「ブランデンブルグ協奏曲」(このトランペットを吹いているのは、‘Penny Lane’のソロと同じDave Maison)「イン・ザ・ムード」「グリーン・スリーヴズ」です。
Lennonによるヴォーカルと、イントロのスネア・ロールは後日再録音されて差し替えられていますが、エンディングに‘She Loves You’を歌うところはライヴ録音の音源が残されました。
フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」のイントロは、中継のために準備されたカラオケに既にレコーディングされてありました。その他に録音されていたものは、Harrisonによるバイオリン、Lennonによるハープシコードとバンジョー、Martinによるピアノです。
こちらのブログにもリンク貼っておきました。
ちなみにマジカル~はビートルズで
1番か2番目に好きなアルバムでござる。
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