横浜地球物理学研究所

地震予知・地震予測の検証など

日奈久断層帯

2014年12月15日 | 地震情報
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ここ1~2ヶ月ほど、熊本県南部で地震活動がみられるようです。特に、八代市南域から芦北町にかけて、小規模な地震が連続しています。本日も地震が発生し、芦北町芦北で震度3を観測しています。


 2014/10/22 07:55 M3.6 N32.5 E130.6 深さ:ごく浅い
 2014/12/05 22:49 M3.2 N32.4 E130.6 深さ10km
 2014/12/05 22:53 M3.8 N32.4 E130.6 深さ10km
 2014/12/15 11:56 M3.6 N32.3 E130.6 深さ:ごく浅い


このあたりは、北東から南西に走る大規模な日奈久(ひなぐ)断層帯が有名です。最近の地震の震源も、ほぼ日奈久断層帯の付近からやや南側に沿って分布しています。全体として、北から南にわずかに移動している傾向があるようです。



(地震調査研究推進本部事務局の説明図を引用)


ここで特段、大きな地震が発生しそうだと予測しているわけではありません。この地域では、これまでもM2~3程度の地震がコンスタントに発生していることも事実です。ただ、小規模な連続地震の後に、まれに大きな地震が後続することもあります。また、近隣の阿蘇火山の噴火活動が活発で、関連を疑う向きもあるかも知れませんので、この機会にこの断層帯を簡単に復習してみたいと思います。

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日奈久断層帯という名称は、八代市の南部に位置する、温泉で有名な日奈久地区に由来します。

平均活動間隔などは良く分かっていません。短くて数百年から千年くらいではないかと考えられます。最近では744年に発生したと思われる肥後地震との関連が疑われていますが、すでに1200年以上が経過しています。

この断層が動く場合、断層の南東側が数メートル隆起し、さらに右横ずれを伴う可能性が指摘されています。M7.5程度の地震が発生する可能性があるという評価もあります(地震調査研究推進本部地震調査委員会『布田川・日奈久断層帯の評価』(平成14年5月8日)より)。

さらに、図に示しますとおり非常に距離が長く規模が大きな断層帯ですので、このうち多くの断層が連動すると、想定規模以上の大地震が発生する可能性も考えられます。いずれにしても、注意が必要な断層帯であることに、間違いはありません。

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なお、川内原子力発電所については、日奈久断層帯からは50kmほどの距離がありますので、仮にこの断層が動いたとしても、直接的には大きな影響はないものと思われます。

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