七夕の夜8時、その時報と同時に小池百合子氏の東京都知事3選が発表された。結果は、小池百合子氏(71)の2,918,015票に対して石丸伸二氏の1,658,363票、蓮舫氏の1,283,262票で得票と対比して選挙戦としては「勝利」であった。「選挙戦としては」と但し書きを付けたのは、「現職」対「対抗者」ということで言えば小池氏の292万票に対して対抗者二人の獲得票は294万票とかすかに小池氏票の方が少ない。これが小池神話の破綻の始まりにならないか?、と筆者のやじ馬根性が刺激されるからだ、が・・・。
第一に小池氏は「学歴詐称」というご当人には慢性化した古傷が未だに完治していない。これは国際都市東京にとっては、知事個人の問題である以上に品位を著しく落としているはずだ。しかもこれが、小池氏のごく身辺から、今回の選挙戦直前に公職選挙法に係る犯罪として訴えられている。もしもこれが法廷に出されることになれば一国内問題ではあり得ず、国際間の外交問題にも発展しかねない。
ところで、この首長選挙の舞台となった「東京」は、法的には単に47都道府県の一地域に過ぎないが、ここにはしばしば「首都」の名が冠される。これは、多くの人がそう言うからに過ぎなくて、府県名に付いた東京「都」の呼称が国民をしてその気にさせているだけであろう。「東京を首都とする」と書いた法律は実はどこにも無いので、東京は法定上の「首都」ではないのだが何となく首都と思っていればこそ、そこの首長選挙は全国的関心を呼んできたのであろう。
東京には、中央政府機関の中で世俗的行政を司る部門の中核部分が例外なく全部集中して配置され、これを好都合と判断する民間組織(有力企業等)がその核組織(本社)をここに配置しているという事実。そのことによってそれらに課される様々な「税」がその所在地に支払われる税制度によって、また社長・会長・役員のいる本社と地方支社との間の所得格差に見られる圧倒的な差があるなど、東京と他の46道府県との間には俗的巨大な差異が生じる。
東京に本社を持つ製造企業ではその工場などが他府県におかれていても地方が受けるのは事業税と従業員給与の所得税引き後の所得のみ、その事業によって生じる騒音や環境汚染などの公害によって住民が受ける負の所得は無視され、もっと安く作れるところが海外に有ればさっさとこれを閉鎖して出て行ってしまう。それでも、東京本社は東京所在法人として不動のまま残る。
かくて東京都が労せずに入ってくる巨額の収入によって、職権で選挙前にあちこちに小遣い金をばら撒くゆとりを都知事は持つ。かくて、知事個人に大した才覚は無くとも、優秀な官僚が居ればその職は勤まる。「一将功成りて万骨枯る」、その「一将」がこの度再再選されたという話。
東京、波乱の4年が始まる。